「雑木林の保育作業は昆虫の敵なのか」調査 2000/7/29

     *お手伝いのみなさん、ありがとうございました(草苅)

調べようとした動機

伐採が自然破壊の元凶である、という文が盲目的に、漠然と受け止められるようになって、それは盲目的にというよりひとつのオピニオンになって歩き出しました。たくさんの人が言うことだから、それはある時期から「真理に違いない」と、いわば人々が寄り添いたくなる「大樹」に替わりますが、木を切ることは悪いことだという、一見もっともらしい仮説も一人歩きした時期がありました。

 快適な林、見た目にも美しい林を創りたいという思いも、「箱庭のような自然を目指すのか!君たちは!」と知識人にきびしくアジテートされてしまうと、ああ、雑木林に美しさを求めるなんて、自然を保護する意味でまったく馬鹿げた素人のあそびなんだ!と見る向きもあるいは出てこなくもありません。緑への入り口を見失った今、その入り口を探し求めるひとつの方法が「林の美しさ」であり、「あずましさ」でありそこに向かうことはいずれもいわば意味のある方法論なわけですが、片方では相変わらず「貴重な動植物の保護・保全」という単一な価値論が強烈に押し売りされていると言ってもいいでしょう。

 でも、この多数派工作の一般的、我田引水的理論はそろそろ無視してもいいかもね。貴重な動植物を、学問として扱うアプローチだけが自然のアプローチではありません。自然の自然科学的な追求だけが、地球の環境負荷を緩和していく手だてであるわけでもありません。雑木林をよりどころにする生物が人間を含めて多様であるように、雑木林の関わりもアプローチも多様です。本来決して排他的なものではないはず。人のために雑木林は欠かせない!という思いもわたしたちはしっかりと持っています。

 もっとも、こんな初歩的テーマは、今日の自覚的「林の遊び人」らはとっくに見抜いて多様な価値観に身を任せているはずです。要は、概念の世界から一歩も踏み出せないインテリっぽい自称ナチュラリストがはまってしまう「たこつぼ」みたいなものです。わたしら、手仕事の実践派はもちょっとバランスのある境地に達しているんです、ハイ(ホントかなあ?)。

 さて、そんな背景を見ながら、雑木林の側面を少し林になじみの薄い人にもわかりやすい方法であらわにしようという小さなプランを立てまして実行しました。これまで続けてこれからもやろうとしている「間伐すると雑木林はめちゃきれいになる!」は第1弾のトライ。今回は、雑木林の保育は昆虫相を豊かにするのではないか、が仮説。名付けて、「雑木林の保育作業は昆虫にとって敵なのか・調査」。今回はその第1弾。見た目で判る素人的方法を模索しました。
 作業では北海道大学農学部の学生・院生のみなさんにものすごくお世話になりました。ここでお礼を申し上げますね。

調べた内容

●調べた日時   
平成12年7月22日 午後7時半から9時まで



●調べた方法   
・ログハウス近くの「保育をした林」と「手をつけていない林」の2カ所で、各々1.5m四方の白布を地上1.5
mくらいの高さにはる
・ブラックライトを2灯、懐中電灯1本で照射。
・飛散した昆虫を捕獲しアンモニアで仮死状態にし保存


・調査地べつに並べて、見た目で子運虫の数とバラエティーを感じ取る

結  果


見た結果は写真の通りです。写真中央から右が保育地、左が間伐をしていない雑木林。左右対称に並べています。大体次のことが言えます。
1.保育地は小さな蛾を含め全体的にいろいろな虫が捕まった。
*大きな方では保育地でオオクワガタ。双方でオオミズアオという薄青い大型の蛾。村井さんによるとこのほか、アオシャク、トンボエダシャク、ミズイロエダシャク、ノコ義理かみ切り、カミキリ、サクラコガネ、ヒメコガネ、ヨツモンシデムシ、サビキコリなど。
2.甲虫は非保育地が多く、種も多いらしい。
3.捕獲された数は保育地が多い。

何となく、保育された場所はいろいろな種が住めるいろいろな環境が創られるのかな、とまあ、こんな納得をしました。みなさんはどう考えます??

■支援して下さった村井雅之さん(ゆうふつ自然情報センター)のコメントが着き次第掲載します。 
 
上の写真はベイトとラップに入った昆虫の仕分け。シデムシ、ゾウムシ、マイマイカブリ、かたつむりなど。

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