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舎生日誌

大正2年正月(抜粋)



     






181123青年寄宿舎日誌(大正時代)


日誌 文芸部

一月一日 天気濠々として雪花○(糸偏に賓)紛たりき 冬休み以来朝寝坊になれたる舎
生一同も一年の計は元旦にあり、一日の計り事朝ありととか見えけん、早起きする事なり
き、或る者雪を冒(下は月)し遠く札幌神社に参拝する者見ゆ 十時頃舎を代表して北村、
小堀等宮部先生、石沢氏に年始を歴す
一月二日 天晴れ 寒気烈し
夜六時より宮部先生江招待せらる 初めは写真見、夫より舎生二組に分かれ一はトランプ
党、一つはカルタトーに分かれ、相互に楽しむ、終に二党合し、銭廻しを為し興に乗じ、
くるを忘れ帰舎せしは一時頃なりき、舎生一同満腹したる様に見えたり
一月三日 晴天
朝、雑煮の御馳走あり 其為めか中食をせざる者多くあり
一月四日 晴天
舎長来舎親しく書籍をしらべ舎を辞せしは三時半頃なりき
一月五日 天晴れ寒気凛冽を裂くが如し
今日漸く図書の整理もつきて本棚に飾られたり
六日 空晴れたれども昨日より寒気強からず
七日 晴天にして風やや(漢字)強し
今日は冬休みの最終日にて今や之までと思ひ大に遊べり
八日 冬休み寝坊の習慣と為りてなかなか規定の時間に起きるは容易なる事にあらず 朝
より電燈掛来舎して取付けを為し、其晩より初めて電燈がつく様になれり、当舎も夜の如
きは今までと外観を異にする様になれり
九日 晴天
いよいよ今日より真面目に授業初まれり 徳田副社長を午後六時ころ帰舎す
十日 毎日晴天にて吾人の悦びこの上なし 夜少々降雪あり
十一日 天候 前日に同じ
岡田氏帰舎する
十二日 時々吹雪の模様あり
豊島氏帰舎す 
晩新顔ぶれの委員会あり、会終わり種々問題に移りなかなか興深かりき
十三日 太陽よき光線を浴せかけたれど寒気烈かりき
十四日 折々吹雪ありて寒気骨をさす程なりき 工藤君も漸く正午頃来舎す、今日で舎の
全体の人洩れなく集まる様に到れり
十五日 晴天
事平凡に終り記すべき事なし
十六日 晴天
第二学期初まりてより茲に一週間、実に実に夢のごとく一週の授業を受く
本山氏は病魔に冒され無止(やむなく)十四日より退舎して療養怠ざりき
十七日 雪空晴れ渡る
農芸一年生山崎芳雄君十五日晩入舎す、吾等舎生の歓迎する所なり
十八日 曇天
今日土曜日なれば帰舎後皆思ひ侭に遊び廻り、夜は諸所に活動して初めて舎内やや(漢字)
寂寥の感あり
今夕後競売あり、其結果左の如し
北海タイムス(一月)八銭 中川君
東京朝日(一月)十三銭五厘 小堀
万朝報(〃)十三銭 徳田君
太陽(十二月)十三銭 〃
冒険世界(十二月) 七銭 北村君
〃 (一月)三銭         〃
十九日 暁明より吹雪烈し為に諸所の人道埋もて歩行の困難容易ならず、午後一時頃より
ピンポン大会催する、東西の力相伯仲し勝負決ざりしが安達氏の剛の者ありて東軍大に勝
てり
二十日 晴天
本日漸く図書目録不完全ながら結末を告げ図書室に備える程に到れり 本山君も警戒の運
びに到れ再び本日より入舎致され様になれり
二十一日 午前は可なりの吹雪なり
副舎長より除峰書??寄付致されたり 夜は月資金に就き委員会あり
二十二日 晴天 今までもっとも寒気烈しきは今日となり、零度以下十五度内外に下れり
全室に雨漏りて困難なりと見えしかば今日デメンを頼みて屋上の雪を掻けり
二十三日 好天気にて夜月光冴え渡る、何ぞ其壮なる!!


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