リタイヤ後は晴林雨読へまっしぐら

NO.10
2020/01/04~

待ちに待った退職後の生活は予想にたがわず極楽でした。まさにお陰様で、と申し上げたく、折に触れてそう書き、述べてきましたが、どこか自分だけズルをして良い思いをしてないか、という自問と後ろめたさを感じて振り返ることもしばしばでした。

それもやがて慣れてきて、バガボンの父ではないが「これでいいのだ」と納得できつつあります。自己否定のトラウマみたいなものでしょうが、「これでいいのだ」というメッセージは「今の自分のままでいい」という、森林セラピーの試みが盛んなころにエピソードとして聞いた自己受容のそれと似て、実は大切な魔法の言葉。(赤塚不二夫はいいこと言います。)

そしてやってきた待望の晴林雨読の生活。農にしろ林にしろ、身体力がいる訳なので動ける健康が前提なのですが、そこに釣りも加えて元気にやっておられる先輩もいらっしゃるから参ってしまいます。そこはもう、人それぞれ、天与の身体、因果応報、と割り切って、林と読の比率を変えて楽しむしかありません。

それでもやっぱり極楽に変わりありません。

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搬出のトラブル、スノモの危険

2020/02/29 sat 晴 -10℃→0℃
abe-e oyama kuri kusa tomik & m wada migita seki sasaki = 11 persons

■あと一日残す


木曜日に、新型コロナウイルスで「北海道非常事態宣言」が出された。掲示板にはあえて今日の仕事案内は書かなかったが、今日は五月雨的に人が集まってきて、最終的に11人。丸太は雪に埋もれ氷ついているため、雪をはねる人、カケヤで丸太をたたく係り、トビで剥す人、それとスノモを誘導する人などが必要になる。特にスノモ誘導係りがいてくれるのは本当に助かる。

一方、広場にも玉切りする人、積み下ろしする人など、それぞれの現場がある。さらに、伐り残した風倒木を整理する人(wadaさん)も。

並んだ丸太は3列で、例年の半分程度か。そのうち2割がアカエゾマツだ。ちなみに昨年は全体で6列あったが、送電線や、柏原という追加があったせいもある。

確かにアカエゾマツは多い。abe-e さんがひとり玉切りを担当。丸一日だった。まだまだある。

アカエゾマツのようなすぐ燃えるものがあるかと思えば、最後の画像のように、薪のために生まれたような美しいナラもある。これは遠浅川沿いの林道の風倒木。tomik さんが整理したもので、あと残すところはwada さんが手がけたもう一つの崖下にある。あと2、3回運べば終了するはず。つまり、来週で今年の搬出は終了することになる。

一日の終わり、はて、この仕事の感覚は何なのだろうと思う。労働ではない。仕事でもない。午前と午後の正味各2時間、あいだに歓談を挟み、一日の無事に感謝して家路に着く。特に世の中の役に立つということもなく、歩きにくい雪の中で、重く持ちづらい丸太を動かし、終える。曰く言い難い一日である。

■今日のヒヤリハット「スノモは止まれない」「鉄ソリは糸の切れた凧、自由人のように動く」

ことはすんなり運んだように見えるが、今日は、スノモ始動前後にまずトラブルがあった。ソリが地面に凍り付いたのである。いつもはこんな時のために直径15cm近くの「てこ」用の丸太をソリに載せておくのだが、今日のような日に限って、先週の帰り際、テントに置き忘れてしまった。

また、例年ならばこんな時のために(底がくっつかいよう)、ソリは丸太の横木に載せて停車していたのだが、エンジンがすぐかかる今年の気やすさなどで慢心してしまって、先週はこの準備をしていなかった。そばにあった直径10cmほどの丸太では、しなって使い物にならず、結局、テントにスノモだけで行き、薪ストーブに火を付けてから、太いいつもの「てこ」をもって広場に戻り、鉄ソリを地面から剥したのだった。恐るべきは氷の接着力、そして「てこ」の力だ。3回目で鉄ソリは地面から動いた。

また、スノモによる搬出でもヒヤリとすることがあった。

ひとつはseki ちゃんを後ろに乗せて木立を抜けているさなかだった。ドスンという大きな衝撃で完全に急停止した。わたしはフロントグラスに顔とヘルメットをぶつけ、sekiちゃんはわたしの背中に。

鉄ソリの角が木立にぶつかったのだ。
ちなみにしばしば、ソリはスノモのトレースから外れる。その理由の一つは牽引するロープの左右の長さが微妙に違うせいである。(注;この調整は実は大変難しい。oyamaさんがあとで調整を試みてくれたが結びめがほどけなかった。思えば、ソリ購入時、製造元がつけてくれた初代ロープの直進性が一番だったような気がする)

この衝撃は実は大変大きく、怪我をしかねない。だからドライバーのわたしは前はもちろん、ソリの角が木に当たらないか、振り向きながら運転する。今日はまたもや慢心して振り向いていないときに衝突が生じた。予防策があるとすれば、木立の間隔をいつもできるだけ開けること十分広いところを抜けること。これも現場では結構難しいのである。

そして一番おそろしい事故未遂は、午後。丸太を積んで中広場を通過した時、kuri ちゃんが広場に向かう途中で、乗車したいとの合図があった。わたしはゆっくりスピードを落とし、それに応えようとした時だった。

あっと思って振り返ると、あろうことか、鉄ソリは90度近く方向を変え、kuri ちゃんにぶつかっていた。kuri ちゃんは横倒しになり、右足を押さえて顔をゆがめている。痙攣しているようにも見えた。ヤバイ。

鉄ソリは実は直進ができない。鉄ソリの底には3本のでっぱりがあるが、あれは直進性をもったライナーとしては機能せず、実はのっぺらな鉄板と同じようにしか動けないのだ。

つまり、惰性がついていて止まらないし、スノモの牽引によって直進するが、今回のようにスノモがスピードダウンすると、鉄ソリは「糸の切れた凧」状態になるのである。わたしはだからゆっくり停止しようとしたのだが、ちょうどあの場所は広場の中の最も低いところで地面が凍っていた。そのため雪面よりだいぶ滑った。

で、横倒しになったkuri ちゃんをみて急いでスノモを飛び降り、彼のゆがめた顔をうかがった。長靴を脱いでもらうと、ぶつけた脛は骨折はしていないようで、内出血もまだだった。大事には至らないで済んだようだ。

スノモ運転は、一見簡単そうで、そうでもない。事故原因が転がっている感じである。停止できないスノモ本体を過剰に信じず、ソリは凧だと思い、ルートを何度も点検し、支障木を少なくし必要なら都度伐って、ソリの進行にも気を配る。

山仕事で事故を起こしては大変だと考える事務局が、週末作業の運転を他のメンバーに譲らず、結局、ほぼ専属でスノモを扱うようになってしまったのは、そんな危険を知るにつけ、林の作業で、スノモはドライバーが交代で乗り回すものでないことに気づいたからである。生来の臆病さにとらわれたからでもあった。


雑木林のリゾート

2020/02/26 wed 快晴 3℃
walking with my wife

早春のニドムを歩く


高速道路入口からニドムへの専用アクセス路。入った途端、ちょっとした別世界になります。雑木林は舗装などのインフラと路肩の処理で見違えるようになるもので、さらに建物との相性がとても良いものです。これはわたしが苫東で仕事をしていた時代、沿道の景観形成に取り組んだ時に開眼しました。雑木林や原野の荒れた景観は、沿道の至近景を処理すれば、近景以降(以遠)に額縁のような効果が産まれるためです。

レストランからハルニレの大木やアカエゾマツ、遠くに雑木林が見えます。これも一種の額縁効果。バーンスタインが泊まったコテージは、今、森の教会として特別な場所になっています。森の教会のプレートはメタリックな鏡になっていて、背景は勇払原野の普通の若い混交林です。

約30棟あるコテージ群の一番奥からトムトム湖の眺め。湖岸から見上げると、無造作な雑木林に囲まれてコテージが自然風に建っています。今日、幸か不幸か人はいませんでした。新型ウイルスの影響もあるようです。。

若い雑木林は推定60年程度以下の樹齢。そこにアカエゾマツやストローブマツ、カラマツが混じります。見るところ、ナラのほとんどはコナラでなくミズナラ。胆振日高のコナラは襟裳の方から西進したとされますが、私見では、美々川と湿原の西側には到達できなかった。だから北大研究林やニドムなど、勇払原野の西側一帯の広葉樹林は、苫東のようなコナラでなく、ミズナラが卓越するのではないか。だからか、白っぽいミズナラの樹皮が目に入ります。

■再び、勇払原野の雑木林を考える

思えば、ざっと約半世紀前から、当時は若かった勇払原野の雑木林を見てきました。当初は、感動など及びもしない、混んだただのヤブ山だったのですが、30年ほど前ころから、藪は青年あるいは紳士淑女の歳に近づき、みるみる美しさを見せるようになってきました。

ニドムは、ちょうどそのころオープンしたのでした。その2,3年前だったでしょうか、工事中のニドムを見せてもらいましたが、コースでは当時のオーナーが自ら、残す樹木、伐倒する樹木の選木を指揮している所でした。造園家でもなんでもないただのオジサンらしい、と案内してくれた造園屋さんは言っていました。(Sファームも見え方やアブの出ない林を標榜していましたが、指揮官は目利きの事務屋さんでした。)

しかし、勇払原野の雑木林を、意味のあるものとして発信した嚆矢は、わたしはやはりニドムではないかと思っています。PMFのレオナルド・バーンスタインが絶賛したことも人気の源泉になったでしょう。秀逸なニドムのポスターはニドムの林の空撮がいくつか含まれ、わたしはその視点に目を見張ったものです。

当時、当方も苫東緑地の造林地を野ネズミの食害から守るため、毎年2回、殺鼠剤散布の案内で、ヘリコプターに乗って緑地の上を飛んでいました。空から見る湿原、原野、そして雑木林も、実に美しく、勇払原野の雑木林の時代を少しだけ予感させていました。

そのニドムですが、ゴルフコースもさることながら、二つのチャペルを備えた、林のコテージを中心とした宿泊施設は、なかなか予約が取れないリゾートになっていると言われています。その環境を下支えしているのが勇払原野の雑木林です。かつて、「低質」広葉樹林などと揶揄された、炭焼きの皆伐跡地に誕生した萌芽再生林でした。ノルデンバルト(今の森トラスト用地)、丹治林業の所有林、イコロの森、IRで話題になった林など、いずれもがそうです。

国内外の針葉樹林、広葉樹林を、半分は仕事で、半分は趣味で見てきた限られた経験で言えば、やはり勇払原野の雑木林は、美しさと生物多様性の点で、もっともっと評価をあげることのできる潜在性を持っていると思います。しかし、開発計画が出てはじめて騒ぎ出すほど、人々の日常とはかなりかけ離れていて、通常は想像上、概念上の自然と言っていいでしょう。

こんなことを考えながら、リタイヤした後のこれからは、「雑木林だより」などを通じて、勇払原野からの発信に、もう少し向き合ってみようと思います。開発予備地にしかなっていないかつてのヤブ山、日常生活とは遠く離れた自然であるために、新たな開発計画が打ち出されて初めて持ち上がる後手後手の対策、このいつもの関係も地域が抱えた懸案であり、それは必ずしも行政だけの問題ではないでしょう。

その点、苫東の緑地は、「ミズナラ・コナラ林が地域にとって大切な、特徴的な植生だから保全しよう」と、積極的に評価されて将来に受け継ごうとするものです。その積極性こそが苫東緑地の特長ですから、そう考えると、維持管理の信託を受けている(とわたしたちは考える)当NPOの意味もちょっと変わってきます。

今日は、そのためにも、日本の林、特に美しい雑木林をさらに見ておかねば、と思いました。新しい旅行の理由がたったともいえるようで、恰好の目標ができました。

(前回のNO.107に続き、勇払原野の雑木林について再整理、再考してみました)

雨の中の丸太運び

2020/02/22 sat 曇りのち雨 0℃
oyama kusa tomik migita wada = 5 persons


■平均年齢70歳超えの精鋭が、今年1番の重い丸太を積んで下ろす



今日は平均年齢もぐんと高い5人の精鋭が、今季最も重たい丸太をソリに積んだ。午前でほとんど勢力を使い切った感もあったが、inabaさんのハスカップ入り自家製チョコレートでなんとなくしのげた。ご馳走さまでした。午後2時、雨脚が強くなり始めて切り上げ。

往復1周約700mを16回ほど。積んで運んで下ろして戻るまでのサイクルタイムは、丁度10分。広場で待ち受けてくれた wada さんは待つ間に長い丸太の玉切り、山で積むメンバーは、その間、丸太の雪はねと凍った丸太をトビで剥す作業で休みなし。作業後のティータイムでは、滅多にないことであるが「後継者はどうなる?」と話題になったが、これも自然か。話題にすること自体が冗談めいてしまうのが可笑しかった。(笑い

そもそも、大木の丸太を、ソリに積むことが困難になりつつあるのだ。頼みの綱のセキちゃんが今日に限って休みで、古希のoyama さん、wadaさん、還暦前後のtomikさんが稼ぎ頭だ。30kgをこえるだろう、持ちにくい丸太はやはり難儀する。トングにもかかりにくい時も多い。わたしは腰(左股関節)にできるだけ負荷がかからないよう気をつけながらスノモ運転に専念したが、それでも帰りは痛みが戻りビッコをひいた。

こんな話は「後継者」予備軍に一言もしゃべってはいけない。


萌芽率の再考

2020/02/17 mon 雪


今月初め池田町で苫東コモンズの紹介をする際に、事前に資料やデータを再点検してみました。特に、調査レポートNO.3の88p図7のグラフ、左下の3つの数値が、柏原の調査結果をあいまいなものにしていることをもう一度考えてみました。

この✖印の3か所は、発注者がコモンズに依頼した調査個所ではあるのですが、間伐実験個所ではなかったのではないかという疑問が出てきました。実はいずれもメガソーラーの南端部で工事個所として別業者が工事のために別途皆伐したと考えられるのです。

そうなると例えば萌芽率の下がる夏に一斉皆伐をしたなど、広葉樹本来の萌芽力が出てこない伐採が行われたことも想定されます。

もしこの3か所を除外してグラフを見直すと、本/ha がゼロ、つまり皆伐した方が萌芽率が高く、たとえシカの食害にあったとしても雑木林の再生のためには断然欠かせない手法だということになってきます。


雪解けに追われながらも、なぜか余裕

2020/02/15 sat 曇り 4℃→-2℃
abe-e inaba oyama kai kusa tomik & m sasaki migita wada seki = 11 persons


日差しは春、雪解け容赦なく、しかし林が美しく見える日



今日も、メンバーは数か所に分かれて作業。もうすぐ2月も終わるから、作業シーズンは終盤に差し掛かり3月からは丸太の玉切りや薪割りにシフトする。だから、今週と来週は例年であれば間伐材搬出の山場になるはずだが、林道も林の中ももう雪が消えかかっている。16日の日曜からの降雪が来週まで残るだろうから、次回の方がコンディションは良くなる。ここに期待だ。

先週あたりから、スタッフはサングラスをかけ始めた。やはり日差しが強くなっている。

■丸太の生産量を推し量ると

丸太の生産量は、例年に比べれば俄然少ない。しかも薪の優良材とされる「ナラ」の比率はかつてなく極端に低い。ただ今年の春に分譲する薪はすでに広場にキープしてあるから、問題は2021年春の分譲用である。今のままだと、「非ナラ」材が多く、その一部をあのアカエゾマツが占めるわけだ。

今年用はすでにおととしから先送りされた分も含めて十分にあるので、今年の生産がどうあれ問題はなし。2021年度用はこれから9か月後に始まるエリアで、ナラやシラカバが多く生産されればいい(あまり自信はないけど)。
だが、今計算してみると、来年用にナラの多い通常の薪が14棚先送りされるから、まあ、余裕と言える。

それに、あまり窮屈に考えなくてもいいように思うのは、現在の薪割りから、薪が供給され各持ち主が薪を焚くまでの乾燥期間はだいたい1年半=18か月だが、これだと薪の含水率は10%以下になることである。わたしの場合、これだと薪ストーブの温度が上がり過ぎる。この頃は10%から15%でもいいような気がしているのだ。

ということは、つまり今年の11月以降、来年の3月までに発生する間伐材も来年春の分譲に振り向けてもいいのではないか、ということである。結論から言うと、どうも不足の心配はあまりしなくてもいいようだ。

■今日の反省、ヒヤリハット

早春の陽気に誘われて注意力散漫になってはいないか。そんな気も湧いてくる日、スノモの運転で、わたし自身がギアの入れ方を誤って50cmほど前進し、危うくinabaさんを突き飛ばすところだった。さいわい、事前に後ろに飛んで倒れてくれたので事なきをえた。高齢者ドライバーの誤作動運転、などとすましてはいられないことだ。

実はスノモを運転していると、一番怖いのはスノモの制御能力のなさと、ヒトである。遠心クラッチで急発進になることも多く、かつブレーキがないから惰性で動く。スノモと、丸太などモノとの間に「人が入る」と、だからとてもヒヤヒヤ、大変困るのである。 とくに後ろに入って好意で誘導してくれる人などには、「どいてくれ~、頼む~」と全身で表現することになる。

inabaさんはこの日いろいろと3回ぶつかりそうになったことを教訓に、気をつけて帰ろう、などと誰となくみんなで話していたが、帰り際、なんと内輪同士の思わぬ追突事故が発生してしまった。(これは次週のお昼でも紹介します)

それともうひとつ、忘れるところだった。離れたところで作業していたwadaさんを昼前にスノモで迎えに行った帰り、丸太を踏み上げた反動でスノモが左右にぶれ、wadaさんを振るい落としてしまった。わたしはハンドルがあったからしのげたが、後部座席は踏ん張りがきかなかったのだ。wadaさんはスルリと転げ落ちて見事な受け身でセーフ。

これまでも、ひっくり返ったり、切株などでよくこんな目にあってフロントグラスに顔をぶつけて唇を切ったりしたが、隠れた切り株や丸太など障害物はかくも危険である。スノモの移動ルートを作業前に何度も確認して歩いて、搬出本番までに切り株の有無や、邪魔な灌木を見て回る。必要なら伐り戻す。事故を無くし、早くスムーズに作業をする(サイクルタイムを短くする)ために、結局、自分で運転することになって、今がある。

そうして今日のヒヤリハットは、わたしの失敗談の反省と告白ばかりとなってしまった。自戒、自重せねば。

■ハンディキャプトを自覚したわたしの仕事

力仕事の引退宣言をしてから、痛みと相談しながら軽作業に徹している。いつもの画像記録のほかに今日は動画撮影も加えた。

あと、作業跡に残された伐倒高さが高い切り株の切り戻し。35cmのひと玉を悠に取れる切り株もある。軽いスチール150Eで、スピードを捨てたゆっくり作業。集められた枝(ボサ)を低くたたいて押さえたり、枝折れ、風倒木を始末したり。その手の作業は無尽蔵に近く目につくのだが、実際にやれるのはそのほんの一部に過ぎない。


何の変哲もない、いつもの雑木林日常、丸太搬出進み、春近し

2020/02/08 sat 晴れ 朝−10℃、昼-2℃

bae-e inaba oyama ohsawa kai kusa tomik & m sasaki migita wada seki = 12 persons

それぞれの仕事進んでカレーライス届く





朝9時、テント前は-10℃でキリリと体がひきしまる気分だ。10時、午前の作業始まる。アカエゾマツ造林地は、もう掛かり木を避けて倒せるほどになっていて、それに枝の片付けもしっかりフォローされているから、林のエントランスを修景する今年のプロジェクトはもうすぐ完成する。スノモの通過も容易になった。午前の4,5往復で搬出は完了。

予想通り、まだまだいつもの材積には程遠い。昨シーズン、風倒木に追われながらの作業とは大違いで、期待したように気分が楽である。思えば、やはり、太い間伐木や風倒木が出ないと稼げないのである。その点、早々に伐倒したイタヤカエデやコブシの太めが今のところ目立っている。

まとまったナラとシラカバは、電牧の試験地のmigitaさんらが手がけたものがある。さらに今日の午後、wadaさんが着手した遠浅川沿い林道の風倒木も来週までかかるが少し期待できる。これらもあと2,3日運べば終わるのではないか。

お昼、A先生からカレーの差し入れをいただく。カレーもお米もとってもおいしい。おまけの調理パンもしっかりいただいたら満腹状態になった。

何の変哲もない、春の近い雑木林だが、作業ひとつひとつにはそれぞれドラマがあって迷いも葛藤もある。いつもの雑木林の日常だが、こうして人里の山が手入れされていくのだと思うと、なんだか感慨深いものがある。

今年は、「勇払原野の、特に苫東の雑木林は、武蔵野のそれより若く美しい」というメッセージを出そうと思う。そのためには、静川のあの林道と遠浅のフットパス沿いをさりげなくシェープアップしたい。


“少ない機材でよくやってるモデル

~森林資源フル活用セミナーにて~

2020/02/04
solo-work @池田町

■林業先進地の雰囲気が伝わる

㈱中川(和歌山)の大谷さん

池田町は、行政区域の6割を占める森林の資源を、フルに活用する取り組みを始めており、大型機械やチップボイラーの導入のような骨格的なものと並んで、小規模林業の実施など、コモンズとある部分では重なる取り組みが行われている。

また近自然森づくりの考え方を導入して将来木施業をスイスのフォレスターに学ぶなど、補助金を活用した展開を進めているようだ。役場の若手担当者が、積極的に町内の林業グループや篤林家を巻き込んで活発な協議会運営やセミナーなど続けていることがわかる。もちろん、林業という産業の視点に立ち、そこに環境が加味されている。

2月4日はわたしを含め3人の講師が立ち、まず、木の特性を考慮した森林管理の必要性について、和歌山県の38歳の樹木医、会社員の大谷栄徳さんが基調となる講演をした。林業ハンドブック的な一般ガイドに樹木医の目線を加えてあり、ある意味懐かしい内容で勉強になった。

中間のわたしの後には未利用材を有効に活用している木質チップボイラーの事例を、上川町の鈴木昌記さんが講演した。参加者は50~60人ほどで、林家や行政、民間の方々など会場は満員、質問はかなり出たが時間オーバーで散会となった。寝てる人はいなかった。ローカルな力ある目的意識を目線に感じ、チップボイラーでも技術的な点で詳細な質疑があった。さすがである。

■なぜ、苫東コモンズなのか

そんな雰囲気のなかで、当方はかなり場違いなところへ呼ばれてしまった、と少し後悔もし、冒頭素直にそう申し上げて苦笑いしつつ話をスタートした。そもそも未利用材の収集と利用であれば、別に苫東コモンズでなくても全国的にいくらでもいるはずで、わたしはオファーを受ける際に町の担当者にその理由を聞いてみた。率直に言ってしまえば、その理由は、(在京のスポンサー法人から道内に探してほしいという申し入れもあった)

①大した機材もないのに頑張っている
②そこそこ材を出している
③他人の土地で一見うまくやっている(どういうしくみか)

という点に注目されたようで、まさに“少ない機材でよくやってるモデルとしてホームページで探し当てたのだという。とらえ方はまさにその通りで、先方の見方は、個人でもやれそうな小規模林家の参考になるということだったと思う。

小規模林業については、2014年の「北方林業」誌に『人口減少社会に備える身近な林の小規模管理~コモンズの概念で見直す「町内林」の自前林業~』を発表しているので、資料はパンフとこれを用意してもらった。詳細はここにあるので、参照してもらうことにして画像中心に話したのだが、ナント、時間をオーバーしてしまった。

結論的な表現をすれば、こんなことを強調した。

・苫東コモンズはいわゆる林業ではなく、「林業技術を利用した」「里山の造園」であり結果として薪生産がある
・薪炭林として皆伐された萌芽再生林70年生から100年生程度を扱っている
・機材は確かにこれといったものはなくスノモと鉄ソリで藪だし、搬出する
・美しい林を目指し里山的な森林公園に向かっている
・林業に特有な作業後の醜悪な風景を避けて、枝条整理などに手間をかける ブルは入れない
・年寄半日仕事をスローガンに無理しない
・当初目標の将来木施業にたどり着く前に、火山灰土壌のために「風倒木」が発生、方針変更
・萌芽枝のシカの食害に悩んでいる
・危険な広葉樹伐採、風倒木処理のため、技術のスキルアップが不可欠で日々研さんを積んでいる

講演後、「育林コンペは自分たちもやってみたい」「ぜひ視察してみたい」「間伐前後の紅葉比較実験は面白い」などの反応があった。視察の話をしたのは町長の勝井勝丸さんだった。


山仕事と合間の団欒

2020/02/01 sat 曇り マイナス7℃~0℃
abe-e inaba oyama kusa tomik & m migita wada = 8 persons


材の搬出も始める


雪は再び融けそうなくらいに少ない。林内では、エゾシカが雪を払って落ち葉を掻きだし、落ち葉そのものか、その下の何かを食べているようだ。

そんな中、今日も粛々と作業が続く。例年、2月は間伐のほかに藪だし、搬出が加わる。十分な雪ではないのだが、3月初旬には雪が融けるので2月早々には運び始める必要がある。運べるのはあと4,5回と覚悟しなければならない。





アカエゾマツの造林地は林の入口、いわば玄関口にあたり、ここに今3,4人が関わってシェープアップの最中だ。間伐本数も増えて、運んでみるとそこそこの山になった。アカエゾマツの材は、薪として評価は低いものの、各棚に均等に分配して、入手者に使ってもらう予定。

木口からたっぷりヤニが出るので、手袋、チャップス、上着はべとべとと黒ずんできた。この道のプロ・inabaさんによると、単なるアルコールやベンジンではプラスチックなどに影響が出るので、薬局に行って、エ〇シンとかいうものを買って使えばよいとのこと。

■安全管理と声掛けと団欒

山仕事は慢心してはいけない、と自分にいつも言い聞かせる。ちょっといいだろう、というときに限ってトラぶって後悔する。だから、ヘッドギア、チャップスの装着、できれば手袋や靴も怪我を防ぐ手立てがほしい。最終的には本人しか事故予防ができない。

それと伐倒の際のホイッスルによる周知。国鉄や引き継いだそのあとのJRの運転手や車掌が指差確認を怠らないのを見ていて、若いころは何とかったるいことをしているのだろう、と思っていたものだが、今はよくわかる。人の神経と注意力は常にマヒする方向に向かうらしい。それを初歩中の初歩に戻って元に戻す。

きっとそうやっても事故はゼロにならない。だからこそ、いつも相互に声掛けをしておこう。ヒヤリハットのおっかない話も、恥をしのんで隠さず、オープンにしてしまおう。逃げれるものなら、危険からは遠ざかろう。これは自分への言い聞かせである。と同時に作業する全メンバーに祈ることでもある。

テントの団欒は、薪ストーブのせいか、よく弾んで腰が重くなる。今日は朝、昼、夕と、がっちりコーヒー、紅茶、ココア、こぶ茶などを飲みながら、天下国家から病気自慢、晩酌スタイルの紹介、医者・病院の評判交換などが次々と続いた。こういう交歓のなかに、課題解決の芽や、相互啓発のヒントが転がっている。もちろん、組織運営の大事な部分もそこ辺から醸成されていくはず。やはり社会関係の蓄積social capital の一歩は雑談、団欒、交歓から始まると思う。



マイナス4℃に13名

2020/01/25 sat 晴時々曇り -4℃
abe-e inaba oayama ohsawa kai kuri kusa tomik migi wada seki + nomura 2 = 13 persons

早さか堅実さか
、トラクターか大とびか




先週からアカエゾマツの間伐にトラクターが試験的に参入している。確かに作業効率が高いという説と、ちょっと危なっかしい、という見方とがあり、この日も3,4本手掛けて、あとは隙間が出たところをめがけて手作業で伐倒しようということになった。

わたしは個人的にはロープやチルホールなどを使わずに、チェンソーと大とび1本の組み合わせが、安心してできるマイ・スタイルだった。ポータブル・ウインチも借用して藪だしをしてみたが、段取りが必要で作業には複数人の連携が要る。

習い性となり、どういうわけか、ひとりの山仕事に固執するきらいがあるので、結局は大とびに頼る。森林愛護組合に買ってもらったヤチダモの柄の大とび、今や、内心は右腕である。柄は道内もの、とびの先は高知産、STIHL製より約1万円高い2万7千円ほどだったと思う。これでたいていの難局が超えられる。しかし今の関節の不調では現場の応急措置に持ち歩くだけになりそうだ。



左の写真はエリアの西の先頭部分。oyama さんがアズキナシの玉切り中。右はwada さんが伐倒した根アガリ寸前のイタヤ。アカエゾマツの隙間にうまく倒して高枝の枝打ちをしたように倒してある。枝を片づけ、玉切りを終えるまで恐らく一日がかりだろう。

■現場に差し入れ

正月気分も消え大寒に入って、人の体はもう春を感じているらしい。なにせ間もなく24節気の立春、いよいよ、山仕事は本番に入り、遠浅にも雪が20cmほど積もった。

こんな現場に、思いがけず、一日のピーク時は13人がテントに出入りした。昼前、山林をもっともよく散策するnomura 夫妻が甘酒の入った大きなやかんをもって差し入れに来てくれた。

migita さんからは九州土産のボンタンを2個いただいた。ボンタンの由来は、中国から日本に持ち込んだ中国船の船長の名「謝文旦(シャブンタン)」から取ったと言われる。むき方、食べ方諸説あり、youtube でこんな方法も見た。

果肉が堅く、新鮮だ。生ごみに持ち帰るのもしゃくだから、居残って薪ストーブで燃やした。なかなか難物で、少し残してテントを後にした。

差し入れ。言い言葉だと思う。見返りを期待しないキモチの表れ。それがしばしば物々交換のようになって、季節のやり取りに似てくる。かくして各地の風土と人に思いを馳せて、日一日が過ぎていく。その毎年の習わしも年賀状が途絶えるように各々が世代交代していく。そこは世の習い、白秋期の必然。ああ、ちょっと横道の感傷に逸れた。

■今年の活動計画

昼休みの後半は、理事会のメールによる申し合わせをうけ、メンバーへの告知を兼ねて今年の活動予定を事務局が説明。運営委員会にメンバーが加わった形で、テントは時々こういう役割をする。

6/13 に第8回コモンズフォーラムでテーマはヒグマ、6/27研修は「薪と原子力」をテーマにして、うまくいけばニセコの森づくりも視察、、10周年記念は8月、動画のほかに記念誌に挑戦。11月のチェンソーワークのスキル・アップ研修はabeプロのカムバックを期待し、例年通り実施、育林コンペの発表会を札幌ウッディーズと厚真森林結びの会に打診予定。あとは毎週、折々の薪割りやフットパスの刈り払いなど、ルーティンワークに取り組む。


『絶望の林業』(田中淳夫著)を読んで

2019/12/16 記
ショッキングで絶妙なタイトルの本が8月に出た。10月には早くも3刷りであるから売れているのだろうか。正直、わたしは、ついに出たかという印象だった。著者は森林や林業ジャーナリストとしてその道では有名な田中淳夫氏。表紙に登場するキーワードだけでも、氏の視点と内容がうかがえる。「いま、日本の林業現場で何がおこなわれているのか、補助金漬け、死傷者続出、低賃金、相次ぐ盗伐、非科学的な施策…」と続き、「官製”成長産業”の不都合な真実」とあり、目次構成は第1部・絶望の林業、第2部・失望の林業、第3部・希望の林業、となっている。現在、全300pの半分を読み終えたところだ。さすがに現場と施策に精通した人のルポルタージュだけに、ズシリと重たいものがあって文字通り絶望に誘導されそうになるが、いつもセンセーショナルに描く氏独特の筆致を差し引いても、指摘は当たっていると思う。別に林業という業種に肩入れする立場でもないのだけれど、森林や緑と人の関わり、という未来に向けた共通するテーマに集うものとして、改善改革の手法の大事な部分は「林業」という産業、業界、行政に負うところは大であるから注視せざるを得ないのだ。しかし、情けないほど振るわず、このままでは林業がだめで喜ぶのは、林業行政を進める行政(施策と打つために人が要る)と、問題を指摘・研究する大学(不振の林業は研究課題に事欠かない)だけということになりかねない。各界の英知を集めて旧態依然とした閉塞をなんとか飛び越えたいところである。読了の折に再考して改めて書いてみたい。

2020/1/22

先月の16日に続いて後半の感想を書きます。まず、第1部の絶望、第2部の失望、第3部が希望の林業と目次は続いていますが、読み終えてもやはり希望の光は見えてきませんでした。読んでいる途中から、この本は補助金のあり方、そして林業の採算をどう合わせるのか、という話に絞られているのがわかりました。森林行政と林業という産業です。だからGDPから離れない。国土保全と人の生業がかかるのですから、それはそれで当然なことで、国の政策として大変大事なことです。
ただ、森林の扱いという視点に立つと、林業とは別のところで、地方の森林は大きな課題を抱えているのではないかと思うのです。どこにも何にも役立たないで地方の林は腐っており、腐るだけでなく、里山的に人手が入れば、気持ちのよい人々の憩いのスペースになるチャンスを、行政も地域の人も無関心によって捨てているのが現状です。

今、日本の林業は膨大な経費で収穫し海外へ採算度外視の輸出をし、そのコストの70%は実は補助金という税金だと著者は暴いて見せます。その一方、GDPには出てこない地域通貨のようなもので動く、狭い範囲の流通こそ身近な林のささやかな林業ですが、思えば、それを無理やり「林業」の一部と位置付けるから居心地が悪かったのでした。地域に住む人々が身近な林に誰でも行けるスペースを「林業の技術」で創ること、換言するとそれは「里山コモンズの造園活動」であると言えるでしょう。国の補助金などあてにしないのは当然で、それでも自由な発想と動機で身の回りの環境を改善することは十分可能だと、今なら確信できます。地域の環境に関心があり、もっと快適な暮らしがしたいと望む気持ちがあればそんなに難しいことではないように思います。


*固い、キツイテーマなので、2回目の感想は「ですます体」としました。



雪が降らないうちに

2020/01/18 sat 朝は−10℃
oyama ohsawa kusa tomik migita seki = 6 persons

■今週も雪がない


考えてみると雪がなくて作業上困るのは、林内から材を運ぶスノモぐらいで、間伐作業はありがたいほど仕事はしやすい。

migita さん、seki ちゃんコンビは電気牧柵の脇の風倒木を片づけ、まとまった材積が積まれた。
oyamaさんはエリアの西側先端部で間もなく林道に近づく。今日は最後にアズキナシを一本伐倒。密生したシウリザクラの幼木をどうするか。スノモのルートの支障にならなければ放置か。
tomik さんも傾斜していたアズキナシの伐倒を美しく終える(切り株参照)。大きなギャップができた。さてどう更新がすすむか。
ohsawa さんはアカエゾマツの倒木整理を終え間伐へ。migitaさんがお昼に「かかり木をトラクターで引っ張ったら早いよ」と提案し試験的にやってみたら3本があっと言う間に片付いたようだ。






アカエゾマツが最後の写真のようにまとまると、これは薪利用者への分配の中に混ぜ込むしかないな、と肚がきまった。テントの中の衆議である。ただ、マサカリでは割りにくい上に焚き付けにすると火の粉がはぜて、フロントガラスの隙間から飛び出てフローリングの床やじゅうたんを焦がす。薪に使えばすぐ燃えてしまう。

発想の転換だ。アカエゾマツを楽しもう。薪会員のお客さんはアカエゾマツに造詣の深い人ばかりで何らかの感慨をもって受け止めてくれるはずだ。わたしたちは薪屋ではなく、間伐材を有効利用するのが本務であったのだから。

■全山を走ってみる

わたしは相変わらず腰が不調。できるだけ歩かず、かつ股関節に重量の負荷をかけず、と心がけてスノモで全山を見て回った。林道のどこに風倒木がありどう片づけるかの段取りもある。それでも万歩計は3.9kmを示していた。道理で痛むはず、と思った。

午前の一番はまず今年の作業エリアの運搬ルートを試走。枝や切り株が雪に隠れておらず、ぶつかる振動がもろにハンドルに伝わる。ひょっとしてスマホの万歩計にカウントされていたかも、と思ったほどだ。今年のエリアは小さく、広場からも超近く楽ができそうだ。だが、このままでは材積がない。



林の縁の斜面は雪がない。遠浅川に沿った林道は5,6本の手ごろな倒木があって、2月、整理がてら回収の予定。



さらに進むと送電線の線下地のナラの切り株が赤い。最初はシカの角磨きかと思った。ただ日の当たる方だけで、よく見るとミズナラのガサガサがはがされた感じで、ブツブツ穴も開いている。強靭なくちばしで剥されたような。しかし、何のために?虫?oyamaさんにも画像を見てもらったが、今のところ不明。



あまり行かない方面を歩いてみれば、やはり台風前後以降の枝折れが目立つ。ツルに絡まれたところも多いが、ツルはやはりハンノキに多い。ハンノキの根粒細菌が、ツルの成長を促してしまうのだろうか。

林を見ていると大局的な気づきがやってくる。
この林の保育が直面している現状と課題を整理すれば、

①薪炭林で皆伐された跡地が、4,50年で伐採されず(炭が不要になったから)に伸び放題になった
②それが80年近くの高齢林になって、火山灰という場所柄、強風で耐えきれず倒れるようになった
③このままどんどん倒れるだろう。これは皆伐してしまう以外止めようがない
④保育の前に風倒木整理に追われ、天然更新のギャップづくり(植林の替わり)をしているのが現状。
それはそれで良しと受けとめよう
⑤風倒木をなくすためには、50年程度で更新し、林を常に若くしておくことだが、それは今得策でない
⑥それでは美しい雑木林とはちょっと違う風景になってしまうから


そのための方策は、フットパス=搬出路をもっと増やし(あるいはどこでも入れるようにし)、モザイク状に皆伐して常に収穫体制と更新態勢を用意しておくこと。現状がそうならそれに合わせるしかない。それが適地適木適作業だ。これは林業の大系にはないローカルな特殊事例だと思う。

GDPに反映されないコミュニティ林業、コモンズ林業の面白い側面だと確信するに至った。


植生が物語る土地利用と履歴

2020/1/11 sat 雪のち曇り -4℃~+2℃
oyama ohsawa kai kuri kusa migita tomik & m wada seki = 10 persons

早速ホイッスル装着



もっと安全管理に踏み出すこととしたので、技術向上実習の自覚と自己責任を明確にするため、まだ取り交わしていなかったメンバーに先週から確認書を書いてもらっている。古いメンバーには、すでに2014年に書いてもらっており、そのまま更新されている。この確認と同時に、各々がチェンソー作業も補償対象に含む傷害保険に加入することにしている。

これに合わせ、伐倒周知用のホイッスルを用意して配った。すでに持っている人もいるが、このNPOではほとんど習慣化していなかった。なにか気恥ずかしい点もあるようであるが、先週のようにヒヤリとする場面が見受けられるようであれば早々に改善するに如くはない。

ついでに、伐倒時以外に、「お昼ですよ」「もしもし」「わかったよ」「時間ですよ」なども笛でやろうとアイデアが出されて、一応、その方向になりそうである。イアマフを使用しているので、結構役に立つはず。

安全管理にはもう一つ当NPOならではの秘密の策がある。代表理事が担ってくれるヨグマタによる安全祈願である。このようにハードソフトの両面からの対策は大事だと個人的には考えている。

■ナラが少ない今年のエリア



今年、保育するエリアは森林法の地域森林計画のアミをかぶっていない、変わったところである。わたしの古い記憶によれば、送電線が走っていたところではないかと思う。いわゆる線下地である。

従って、ナラなどの萌芽更新によって成立したところではなく(かつて伐根した可能性あり)、線下地をやめて以降に実生で生えてきたものが多いと推測する。ヤナギやハンノキ、コブシ、サクラ、そしてシラカバが適度に交じって、ほとんどナラがない。そしてどういうわけか、根アガリを起こし始めているものがずいぶん多い。それらも伐倒の対象にマーキングしたが、空がガランと空いてしまうのでケースバイケースで残すようにしている。

さらにアカエゾマツの造林地の間伐もしているので、薪の材料としては、これまでナラが半分を占める「雑木薪」を1級材とすれば、今年は2級材になるだろう。それでも市販のものよりいつも2,3割安く分譲しているので、来年は事情をお伝えしナラの棚と混在させる必要があるかもしれない。

■スノモ、稼働


ohsawaさんにスノーモービルのVベルトとバッテリーを交換してもらったので、試運転の日となった。バッテリーを充電する時間がなかったので、フットパスを巡って充電する必要もあった。朝、一発でセルモーターが動くというのはさすがに気持ちがいいもので久々の感覚だ。毎回、ウンウン唸ってダイナモのスターターコードを引いていた時に比べれば天国である。

メインの間伐作業から引退したわたしは、フットパスをふさいでいる風倒木を、小型のチェンソーで整理して回った。また、今年の作業エリアのメインとなる運搬路の支障木を伐ってルートを確保した。ここから枝線に入れるので今年の搬出作業は意外と楽そうである。

しかし雪が5cmほどだったので、昼頃にはところどころ落ち葉が見えて、スノモ日和には程遠かった。テント内は24℃近くになった。


雪のない初山仕事

2020/01/04 sat 曇り マイナス6℃
abe-e oyama kusa migita wada seki = 6 persons

雪がない正月の雑木林


意外や意外、雪がない。「どうせいずれ帳尻はあいますよ」とwada さんは達観。どんとくれば災害になりかねないし、雪が少なければスノーモービルを使った運材は制約される。願わくんば、ほどほどを希望。せめて今のうちに仕事を進めておくのが得策だ。

■山仕事風景


NPOの正式の山仕事初日は1月11日としてあるものの、6人の精鋭が集合し、テントで新年の挨拶を交わしてから、思い思いの持ち場についた。アカエゾマツの風倒木の玉切りのほか、根上りの多い広葉樹(ナラが少ない)をもう一度値踏みしながら伐倒など。倒すには惜しいかな、という大木が混じり、いずれも一筋縄では倒れないものばかりだ。

migitaさんらはシカの電牧そばの斜面の風倒木を処理し、トラクターでフットパスまで引き出した。わたしは昨年来のohsawaさん、年の瀬のkaiさんが手がけていたアカエゾマツ造林地の枝打ちを完了させ、外周の若い広葉樹を整理して、造林地全体の見栄えをあげるよう修景に従事。終わってスノモ・ルートの支障木を除いていたころに早々と股関節の限界が来てテントに戻った。

■作業の安全と効率向上に向けて



作業安全に向けて、昼休み、中断していた確認書を書いてもらった。自動更新で継続されるため、このたびの該当は3名。自己責任をうたったもので、傷害保険加入と伐倒研修が前提となっている。

NPOの作業も通算10年になるので、「ここはひとつ気を引き締めていこうね」、が目下の合言葉だ。今日のわたしのヒヤリハット反省は、細めのサワシバを伐倒した折、声掛けを省略したため oyama さんに枝先が振りかかってしまった。安全予防としては、念のため一声かけるべきだった。

また、午後一番のwada さんの伐倒でも、バキバキと音がしたので顔をあげると、枝先あたりに abe-e さんが玉切りしていた。距離感がわからなかったが、これも念のために声掛けが必要だった。

さらにスノモが縦横に走り、雪に埋もれた切り株に突然の追突をしないために、切り株はやはり基本通り切り戻してほしい(写真・右上)。結構面倒だが、守りたいところ。

3面窓付きのストーブは実に調子が良い。その原因は、長い煙突によって吸い込みがよいこと、そしてストーブに隙間が多く通気が抜群のこと。したがって、常に良く燃えて「微燃焼」という選択肢がない。今日も外は−5,6℃だったにもかかわらず、ブルーテント内は20℃近くあった。