手仕事の現地から

NO.15

2002/06/15〜8/17

雑木林を育てると言うことは、壮大なガーデニングのような ものだ。あっちから見てこっちから見て、また春見て夏見て 秋、冬、そうして少しずつ手をかけてみる。枝がふれあわな いように、しかもいろいろな樹木が混じるように。また、人 が怖がらないよう見通しのいいことも心がける。だから夏、 ウルシを気にしながらササや萌芽枝を刈る。なにか、とてつ もない達成感がこみ上げる。こんなことでなんてこっちゃ、 と思うのだが、手作業っていうのは意外と重たいのだ…。 



8月17日(土)くもり 20度                          薪のサイズを今日から長さ30cm以上にした。こうすると伐る回数が減るし、積み上げる 時のすわりも向上する。そこへ斉藤泉さんが不要になったブッシュカッターをもってきて くれた。若干分解して掃除して試運転して無事使用に耐えることが解ったので、テラスで 昼過ぎまで四方山話。ところが斉藤さんが帰ってから、本格的に運転してみたところ、ト ルクをあげると振動がひどくて作業できない。2枚刃の左右のバランスがおかしいようだ。 帰りに斉藤さんに寄ってグラインダーをかけてもらおう。                先日見つけたアオダイショウが、今日は薪の上に寝ている。枝や薪の集積はこうして何 かの住処になる。                                


8月11日(日)くもり 13時半                         
林道の入り口でキジの母子と遭遇。藪の中には渡りきれなかったちびっ子がひとついたみ
たいだったからさっと過ぎ去る。ベランダでじっとしてると面白い鳥の鳴き声がする。こ
れもじっと見ていると、見えるところにやってきたのはヒヨドリのペアだった。ゴジュウ
カラもつがいのように仲良くやってきた。どうもそういう季節のようだ。むつまじい。 

2枚歯のチェンソーは灌木も切れる。根性入れて慎重に進む。

まずは林道から小屋までのアクセスと駐車場を刈り払う。いい気持ちだ。
こんなことでも風景が変わる。いわば、里山らしくなるのだ。

 ブッシュカッターを借りてササ刈りをして道づくりに大汗。ササの高さが60cmほど
だから、生えそろったササは、芝のようにそろって、ある種、田圃を歩くような感じにも
見える。緑色がある濃い色に収束して見える曇りの日。緑は夏風邪をひいた体に優しかっ

先週の作業のあとはこんな風に見える。林の観察路だ。

た。これで、底を打った、もう治る!と言い聞かせる。ササをはじめ、植物たちは、この
湿度、この温度を心底うれしがっているのか、美しい表情を見せた。雑木林の内側から観
察路は、このフィールドのもう一つのプロフィールを見せてくれそうだ。       

創造的道づくりと言ってみても、刈ったばかりのササ地は、こんな風。
これから月1回程度、刈り込めば大分使えるはず。

8月3日(土)くもり 10時                           鎌をもって、刈っても刈ってもはびこる草を刈る。林道に被さるハギやヨモギもトリミン グした。車にこすることのないように。「創造的道づくりプロジェクト」は、一旦林道に つないでみた。いくつかのルートがあっていいから。刈り込み作業は遅々として拙速だか ら、10日はブッシュカッターを借りてこようと思う。                 窓のしたの薪スペースにいくと、アオダイショーが草むらに逃げていくところだった。 草むらを刈っているとき、小さなネズミを見かけた。いろいろな生き物がいる。小屋は1 週間で蜘蛛の巣だらけになる。                           8月2日(金)快晴 14:40                             道東への出張の帰り、札幌大学の松本先生を案内する。(夏の草いきれがする、草木の伸 び盛りのこのとき、拒絶反応を持つ人も多いので、あるいはわが雑木林の印象はよくなか ったかも。そうしてみると、作業小屋とは言いながら、小屋の内部も雑然としている。整 然としているのは積んだ薪ぐらい。8/3に記す)                   7月27日 はれ 13時40分                          今年の夏の小屋。この日も蚊はいなかった。テラスに座ると風が気持ちよい。 先々週刈り込んだ後にもう若いササがが出ている。でも、この作業は とても創造的。なにしろ、道をつくるのだから。          先週は出張だったから2週間ぶり。案の定、蜘蛛の巣がベランダと内部の隅に発見してほ うきで撤去する。ササ刈りを延長して道作りに入る。小屋から南の方に、うねうねと細い 道を作れば、一周も可能になるはず。1日数十メートルのノルマを課せば秋には完成する だろう。そして来週の薪割り用に薪を玉ぎる。こんな暑い日にチェンソーは使わなくとも いいのに、どうしても秋までには薪づくりを終わらねばと気分が押される。       step by step 。これをしないと薪割りはできない。 7月13日(土) くもり                              薪を割っていると瀧澤先生が到着。、テラスでイングリッシュハープを奏で始めた。  バッハのプレリュード、うまい。外は音が拡散してしまうけれど、繊細なアコースティッ クな音は、雰囲気によくとけ込む。わたしはそれを聞きながら、リズムにもならない不定 時の薪割りの音を加える。なんとなく、無粋な、でもよくマッチしてるような…。斧をリ コーダーやギターの持ち変えて合奏の段取りもしてみた。いずれ可能だ。         7回目の「林とこころ」の勉強会を昼過ぎまで。少し、蚊がいるので今回も小屋の中で。 7月6日(土)くもり 12:40 外は20度                     ボリボリが出始めた。今年の初物だから、わずかだけどもって帰る。やはり蚊がいない。 雨が少ない夏はいつもこうなるのだ。蚊のいない夏は、したがって山火事が多かったもの だ。                                        小屋の前のササ刈りをする。コシアブラ、ミズキ、ホオノキ、ガマズミを残したほかは、 ササもミズナラなどの萌芽もすべて刈り込んだ。仕事前に鎌をよく研いだので気持ちよく 切れる。そして、薪を切って割って積む、いつものセット作業をこなす。これで、シャツ はびっしょりとなった。                               着替えてから小屋の前の枕木テラス、別名ヨガテラスでヨガをする。外の、特に林の中 のこれはものすごく気持ちいい。                          6月22日(土)くもり 室温13度                 なつかしいなあ、つた森山林。20数年、この山をフィールドとしてわたしは森を学んだ。 昔はいろいろな木を植えた。これはその記録・アメリカのストローブマツ。 見せたい林の林床をこのようにコントロールして見せるのもわたしたちの工夫だった。 小屋に来る前にツタ森山林の写真を撮ってきた。自分が長い間管理に関わった思い出深い 林だが、かかりの人がちょうど沿道の刈払いを終えたばかりのようでとても気持ちが良か った。ただ、訪れる人がめっきり少ないのが一目でわかる。林道一面に草が生えているの だ。この写真は今日の6回目の「林とこころ」に張り付ける予定だ。道ばたの草を刈って からいくつか濡れた薪を割って片づけるころ、瀧澤先生と入谷さんらがやってきた。   このうっそう感とぽっかり明けた空間がここの特徴  勉強会終了後、札幌でNPOの人たちを交えた雑木林の会合があり、そのあと、学生時 代のワンダーフォーゲル部の顧問だった八木先生の米寿のお祝いにでる。学生時代にわた しは、自分が年をとってからは裏山の林をゆっくり楽しむようなことをしたいと語ってき た。それが現実になっている。別々の会合だが、どうも一本筋が入っている。偶然でもあ り、小さな選択の結果とも言える。えらい時間の流れを感じる。           


6月15日(土)くもり 11:30 15度c                      コナラとミズナラの葉がもう褐色だ。ハモグリ系の虫が入っており、表面と裏面の葉の間 に潜り込んで、もうまゆを作ってさなぎになっている。葉っぱが開いた矢先の出来事だ。 ぬくい冬のせいだろうか。いくつかの葉っぱを観察していると、緑色のクモのような昆虫 が毛虫を食べていた。これがクサカゲロウであろうか。                 センダイムシクイのさえずりが今日は多い。新米であろう、ジョッピンカケタカときき なす前半の、ジョッピン部分がジピンと聞こえる。ほかはキビタキとツツドリが良く聞こ える。                                       薪を切って割って積む。                            

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雑木林だより14