手仕事の現地から

NO.20

2003/06/07〜

カラマツの間伐を終えてからはあっという間に春が来た。
その片付けもままならぬうちに、春は、仕事が次から次へと
やってくる。
林だけでなく、庭仕事も追いかけてくる。草取りもしないと
荒れ放題になってしまう‥‥。あああ〜!

だが、こう考えると、よろずがつまらなくなる。
だから、今年はそういう風に考えることをやめた。
十分時間があるんだから、できるだけのんびりやろう。
余計な気をもむことはない。なあに、やろうと思えばすぐできる!

所詮、楽しみではじめたのだから。
そう、いわゆる道楽。ひとはそう呼ぶ



家内に笹道を案内                       8月24日(日) 霧雨   家内は結構喜んでいたような表情。   少し手をかけてあるつた山林               につた森に寄る。    娘を空港に送ったついでに、家内を植苗の田園と雑木林に案内した。笹道のモニターをか ねている。「夏休みの間○○(娘のなまえ)をつれてくればよかったね」と、彼女は感想を 口にする。霧雨の中だが、笹道の印象は悪くなさそうだ。               雨上がりに                  8月23日(土) 晴れ時々くもり 25℃ 苔むしたナラのの大木に頭を垂れる。 いろいろなキノコが出始めたが、ボリボリとラクヨウはまだだ。収穫時期は近い、と浮き 足立つ。そんな気配が林には感じる。雨上がりで、林の中に何かが満ちている。マイナス イオンなのか、気なのか、しじまというものなのか、はたまた単純に湿度や冷気なのか。 丸太運びは20数本運んだところで、びしょびしょの暑さにめげて小屋の温度計をみる。外 気は28℃。これは今年の記録だ。力仕事はもう少し涼しくなってから、と割り切って早速 着替えた。                                    厚真の斉藤さんに寄る。 休耕していた畑が元気だ。 キノコが出始める                      8月16日(土) 21℃   雨の後、いろいろなキノコが出てきた   古い薪をめくるとそこは羽アリと卵               ここもじめじめのビオトープゾーン 通勤のJR列車の窓から、毎日、植苗(うえなえ)の美しいルーラルパスを眺めている。そ の写真を撮って当ホームページの「身近な緑地」張りたいと思っていた。その写真を撮る べく早朝に家を出て、雑木林に着いたのは7時過ぎだった。だれも居ないはずの雑木林に は、もうすでにキノコ採りのおじさんがログ周辺を歩いていた。もうボリボリ(ナラタケ )がでてもおかしくない季節だ。確かに笹道を歩くと何種類かのキノコが見つかり、その 一部はもう化けていた。残念ながら、普段食べているレパートリーのものはまだない。 だいぶ、道らしくみえるようになった  夏草が林道にかぶさってきたので、大鎌をもって林道入り口からログまで1kmほど、 やなぎやヨモギ、ハギなどではみ出した部分を刈って歩いた。今日も丸太を運んだがまだ まだ林内に間伐の丸太が転がっている。日が射して笹がはびこったから道から見えないだ けで、いささか、うんざりする光景である。  薪はなんとなくいい加減に積みなおして終了。くの字型にすれば崩壊の危険は少しだけ 減る。オブジェとしてはちょっと小さいのが悩みか。存在感がない。美瑛の畑のように、 ビニールの肥料袋を屋根代わりにしたが、どうも素材として浮いているのも気になる。い ずれ代案を考えよう。 こんなL字型。これでログの一冬分くらいか ただただ繰り返す               8月12日(火) 24℃ 曇り時々晴れ  土日が仕事の旅先だったので、10日ぶりとなった。大雨が来た割には草の伸びは少なくて 助かった。それでも南側の笹道と小屋の周りは刈り払った。特にエノキダケのほだ場が草 に覆われたので一帯を刈り進んだ。バリバリと払われる笹と高茎草本。単純な繰り返しだ が、得るものは多い。                       ホーミーと笹道のお客さんのこと           8月2日 土曜日 雨 19℃ 小ぶりだった雨が午後にかけて本降りに変わった。笹道を歩いていくと笹薮の中から意外 に多くの鳥たちが飛び立つ。藪に棲む鳥たちはとりわけ地味で、逆光のなかでよく見えな いのとあいまって、結局、種がはっきりしないまま過ぎる。これがどうもいつも按配が悪 い。実に多くの鳥が飛び立つので、ホーミーをやってみた。トキオのダッシュ村かなんか で、ホーミーで動物が寄ってくるとか言って下手なホーミーをうなっているのをチラッと 見たのだ。で、わたしはHPでマスターしたチャンと倍音の出るホーミーをやってみた。あ ら不思議、鳥たちが逃げない。5m先の枯れ木に留まっているアカゲラが5分ほどわたし の前から逃げなかった。それどころか、首をくるくると回したり、羽づくろいしたり、く つろいでいる風にも見える。もちろん、ヒヨドリやシジュウカラなども近づいては「ヘン ナノ!」とか言うように私を見てから去っていく。こりゃあ、面白い。          カラマツの丸太を運んでいると、道庁の立原さんがやってきた。笹のフットパスに興味 を持ってきてくれたのだ。雑木林の手入れに参加していた早稲田、川嶋、好田さんらの世 代よりちょっと前の世代だから、育林コンペが始まったころはもう社会人だったようだ。 だから、ここは初めて。ようこそ、の挨拶もそこそこに笹道を案内する。大木の刈りだし はその意味をちょっと力をこめて説明。北側のルートも回った後で平木沼コースも行って みる。                                      刈り出した大木のひとつの前で。身長180cmほどある立原さんにスケールに なってもらう。このコナラはこの辺でもっとも太いのだ。 いずれ、こんな大木がいっぱいある林にできれば。  本降りになって傘を用意し、ふたり、少し伸びた草の道を掻き分け田園地帯に出る。そ こから南下して農道を歩き、また別の道をはやしに戻った。この間1時間弱。雨の散策な んて久々だ。ログに戻って早速ストーブをたいて立原さんは服を乾かす。わたしはちゃっ かりいつもの如く着替える。遅い昼食後、薪ストーブの気持ちよい温もりを感じつつだら だらと林のことなど語る。                             ログのノートに記念のメッセージを残す立原さん 以下は立原さんからのメッセージ。                              初めて遊びに来ました。草苅さんと二人で並んで小一時間森の中を散策しましたが、フットパスの  壮大な計画を聞くだけでも、まだまだこの森は“進化”していくのだと思います。里山という言葉は 巷におどっていても北海道らしい里山とは何なのか、よくイメージがつかめませんが、ここにはひと つの答えの形があるように思いました。また遊びに来ます。 立原                大木を刈り出す                7月26日 土曜日 快晴 23℃ 大木のすそを刈り払い、ログまでのフットパスにつないだ大木の周りは守り神のように、しばしばキウルシとつたウルシが随伴する。 まったく久々の快晴。まずログの周りをブッシュカッターで刈り払う。幹線の林道からの アクセスも中央部と左右の3回刈る羽目になった。これに駐車場を入れると優に小一時間 の作業になる。ログのまわりの大木を少しずつ刈りだして人目につくようにしようと計画 しているのだが、今日は気になっていたもっとも太いコナラに着手。林道脇に枝をたくさ ん出した威風堂々としたこの大木は、恐らく実生から育ったものだ。やはりまわりにキウ ルシを一杯従えて若々しい萌芽も見える。ヤバイ、飛まつが飛びそう。気合をいれてエイ ヤっと片付けて、フットパスをつないだ。                      左:フットパスで獣の毛皮の一部を発見。何だろう? 右:植苗グループの道作りの作業跡。        フットパスを点検しに行くと、植苗グループが今週、作業をした形跡がある。刈り込み が20mほど進んでいた。鎌ではかりにくい細いものが残っていたので、引き返してブッシュ カッターをかついできて、後始末をする。暑くて大変だったかなあ、とか、虫がいて嫌が られなかったろうか、ウルシにかぶれた人はいなかっただろうか、などと想像する。 木漏れ日のまだらが好きだ。  また、間伐したカラマツを道沿いに運ぶ。作業着の肩の部分にタオルをはさむと、結構 痛みが緩和される。奥のほうから肩に担いで30mほど運搬するのだが、平均25kg前後とはい え、普段持ちなれない重さだから、肩にめり込む。コナラが数本混じったがこの重さは改 めてすごいと感じる。みすみす腐らせるのはやはり申し訳ない。            こんな風に積み直しはじめた。  先週、北大の田中さんが下記のようなメッセージを残してくれた。励みになる内容なの でここに転載。                                  『(バイクの)遠乗りがてらふと思い立って寄ってみました。雨に濡れてきれいな林の中を 走るのは気持ちがいいです。温まったケアセンターで草苅さんにお会いし、昆布茶をご馳 走になりました。その後、二人でケアセンター周囲のフットパスを散策。素晴らしい!こ れを作るという発想も、出来も素敵でした。                      これから北大サイト(作業場所)を見て帰ります。「見たら刈りたくなるよ」と草苅さん にすごまれちゃいました。2年ぶりくらいの雑木林、やはり魅力的ですね。北大M2TS』 雨のフットパス                    7月21日 月曜日 雨 15℃ 若い笹がそろうとじゅうたんのようだ。送電線の下の道(右)もフットパスのネットに入る。 原野は風があるのに林に入るととたんに無風状態となった。シーンとして静まり返りキツ ツキやヒヨドリの声が時たま聞こえる程度。少し小屋の中が寒いので久々に薪をたいた。 霧雨にぬれたフットパスを歩くと、清浄な湿った空気が「これはマイナスイオンの世界で はないか」と思わせるような、体にいい感じがした。わたしはマイナスイオンに関する資 料を読んだことはないが、ごみごみした乾燥した空気がこのマイナスイオンの対極にある とすれば、今日の林の空気はマイナスイオン的。散策路を巡回してから空腹状態でストー ブの前で瞑想。                                  ヒヨドリバナの群落にあう  昼過ぎ、北大M2の田中さん(女性)がオートバイでログを訪問。どうやら2年ぶりのよう。 ちょっとだけフットパスを案内する。                        平木沼フットパスを刈る            7月12日 土曜日 曇り 26℃ 久々にしっかりとした雨が降って、林の勢いを感じる。午後から平木沼のフットパスの刈 り払いを始める。春の刈り払いの跡形はなく、刈り甲斐がある。つまりすっかり草ぼうぼ うになっていたわけ。連続の作業は腰に悪いが、つい続けてしまうのが草刈仕事の不思議 なところだ。厚真の田園に刈り進んででると、そこはアブラナ畑だった。見に行こうと歩 み寄ると右側の藪の中をエゾシカが一頭奥へ逃げていくのが見えた。 整然とした田んぼに出る  平木沼はジュンサイの採取時期。小さな木製ボートが二つ、水辺においてあった。しず かで、荒れた感じがしない。緑が茂ってきて、林本体が見えないからだ。そうか、そうす ると、夏場はフットパスに使える、ということだ。わたしも、ここが2ヶ月前は寂しさを 覚えさせる林だったことをすっかり忘れていたのだから。 左:おもちゃのような船。ジュンサイはしばらく食べていない。 右:また少し道らしくなった。  しかし、である。コナラとミズナラの葉が虫に蚕食され、見る影もない。葉がほとんど ないところもある。コナラをたくさん残した間伐地は、だから無残である。繭を作ってい るのでハマキガのような形跡もあるが、別のところでは尺取虫のような動きの毛虫であっ た。よくある現象で、こんな年、土用のころ再び芽吹くのだ。春からの虫の大発生は、こ うなるのを予言していた。この秋、どんぐりをつける元気はナラたちにあるのだろうか。 虫に食べられたコナラの木。右のように蚕食されている。  薪積みの難しさを再び実感。長方形のものへやり直す。大きなものを狙わず、いくつか 作ればいい。それをつなげるのも手だ。                       ログの前の直径60cmのハりギリ。ゴツゴツした コルク質の肌触りがいい。見上げる大木。

                                    薪のケルン、崩壊す               7月6日 日曜日 晴れ 20℃     

先週、草を刈ってからわずか1週間の間に10cmほど伸びたのがわかる。さすがに初夏だ。 小屋の周りは刈ったばかりのこぎれいさからもう様変わりして、来週あたりまた刈らねば という雰囲気である。                                もう夏の風景。アオジ、イカル、アオバトの声あり。 色の淡いのがこの一週間に伸びた分  小屋の北側にいくフットパスを刈る。そのあと、小屋の周辺にある直径60cmほどのハリ ギリ、カラマツ、コナラの大木をつなぐ小道をつけた。直径60cmというのは、苫小牧では 崇めていい大木なのである。大木のそばに行くのは気持ちいいから、行くいくはそれらし い道になっていけばと願う。来た人にも案内したい。                  積んできた薪が案の定、崩れた。ショックだが仕方がない。自分の設計ミスである。内 側の薪が外側に力を加えるのだ。それでなくとも積み方の甘い外側の壁は何か特別のアイ デアが必要だ。独りで直すには気持ちの入れ替えが必要だと感じ、これは次回に回すこと にした。                                     上手く積めた。と思ったら帰る間際に崩れた!落ち込みそう。 涼しい日は力仕事               6月28日 土曜日 曇り16℃     今日は先週とうってかわってとても涼しい。セミはほとんどか細き声となった。今日の鳥 の声は特にアオジが元気いい。こんな涼しい日はうれしい。力仕事にもってこいだから。 小屋周りをブッシュカッターで刈り払いした。笹で覆われた前庭、アプローチも丁寧に刈 り込んでみると、ぐんと里山らしくなる。うれしい変化だ。草刈りという仕事は、人間が わずかこんな行為が、見方を変える。右は駐車場からナラの大木まで 歩いて近づけるように刈り分けたもの。ログからもつながる。大木との 出会いは大事にしたいから。 小屋の入り口のこの看板は、周辺は手入れして 10年目になったことを示している できるもっとも簡単な風景づくりである。風景づくりは人間のやることの中で高順位のぜ いたくであり、喜びである。庭づくりがそのいい例で、それがもっと大きなエリアがまか されたりすると、人は間違いなく触発され勉学にも励み、結果、はまる。風景づくりのほ かにもうひとつ贅沢なものをあげろ、といわれれば、マチづくりというのも浮かぶ。が、 こちらは合意形成、という一点が引っかかる。風景づくりはその点一人でできる自己実現 だ。その中で、里山の風景づくりはほとんど至福に近い世界かもしれない。       塚タイプの薪積みを始める           6月21日 土曜日 晴れ 25℃  こんな格好で寝てるから、君たちの個体数 は減る一方だ!これ、励ましのエール   急に暑くなってしまった。25度というのは生き物にはいいのかもしれないが、北方系の人 間が動くには高すぎる温度だ。セミは少し落ち着いた感じだが、依然うるさいほどの音量 ではある。林の入り口で、まず大きな蛇をよけて通った。いい色をして微動だにしない。 しかしカメラを持って近づくと首をあげてこちらも伺っている気配。アオムシ各種、シャ クトリムシ各種、甲虫各種、アリ、クモ。服に上から降りてくるみたいだ。ともかく昆虫 がすごい。鳥がいつになくおとなしい。                     カラマツの間伐の後は、こんな風に日が射して 笹や草本が繁茂してきた。間伐の枝などがこ  んな風に草に隠されて少し安心する。     「にお」のような薪積みを試みる。 里山のオブジェだ。         今日は、薪を早く片付けようと塚タイプの薪積みをはじめた。これなら運搬がいらず、 里山的オブジェにもなる。進んだようなそうでもないような。と、そこへ入谷さんらが軽 トラックでやってきた。カラマツの間伐材の運搬を手伝ってくれるということになってい たのだ。ふたりで何往復かやってくれて小屋の脇にカラマツの棚がもうひとつできた。 カラマツを運ぶ夫妻 黙々と薪割るワタシ。motasさん撮影。 セミの大発生                6月14日 土曜日 霧 16℃      あまりのセミの声に、入り口のここで車を止めた 14日、わが雑木林にはいってすぐ、ただならぬセミ時雨に車を止めた。締め切った窓越 しにでも、大音響のセミの合唱が入り込んでただならぬ雰囲気であった。天気は霧、風な し、気温は16℃、霧の粒が感じられるかというほどの霧らしい日に、何を鳴き競う必要 があるのか。大勢の坊さんが読経するときの息継ぎのように、セミたちは思い思いのフレ ーズで息をついで、全体としては平板なセミの声の大合唱になっている。9時ころ この大 音響の中を歩くと、音源は枝先のほうであって見えなかったたが、11時ころにはなんとな 笹でなくセミを見つけた く林の各層からとなった。つまり、音は地面のそばからも聞こえてきた。で、地際に目を 凝らすと‥、いたいた、ササの茎や葉にしがみついているのがたくさんいた。なぜなのだ ろう‥。この大発生を操る自然の法則、そして私の体に宿る力、これらが勝手に親和性を 感じているようだ。                                ホオノキの葉は虫知らず 丸太運びと薪割りを1時間ずつ。終わりのないように感じられる丸太運びは、「千里の道 も一歩から‥」という水前寺清子の歌を口くちずさみながらと相成る。実際のところ、ラ イフスタイルとか行動の価値を判断する物差しをかえないと、作業に対する充足感は生ま れないであろう。それほど、奇怪な、妙な、開き直った満足感である。とてつもない徒労 に終わるかもしれないのに。ここを、現代人(わたしのこと)は超えられるのか。自分を モデルにした小さな実験でもある。                         薪割りは、湿っていたのですごくはかどった。すべて一発である。裏に回ってまきを積 むと、少し増えているような気もする。滝沢先生のところがきて作業をしてくれたのかも しれない。                                    割れる薪割りは快感 コケイラン(ラン科)が咲き出した。暗いササや草の中などにまぎれて、しかししっか りと自己主張している。キリリとしているのか、埋もれながらもよく目立つ。これからサ サバギンラン、スズムシソウなども出てくる。                    左:コケイラン、右:ミズナラのケムシ ああ、それにコナラやミズナラの葉っぱがもう虫に食われて、もう半分ほどが虫食いに なった木もある。開葉してまだ2週間あまりなのに、現実はかくもきびしい。      


今週もひたすら刈りつづける      15年6月7日(土)曇りのち晴れ 15℃    ■緑は開葉してボリュームが断然増えた。雑木林は、俄然、生き物たちの場となった。イ カルはじめ鳥たちのさえずり、鳴き、これらはごたごたになって静寂を破る。そこへ、エ ゾハルゼミがやってきて合唱。しかし、意外な声はアマガエルか。木の上でゲコゲコやっ ているのは、アマガエルだと思う。渾然となった生き物の声、豊穣な世界だなあと耳を澄 まして感嘆。                                   ■作ったものは維持しなければならない。そこで手を抜けばもとへ戻る。生命力の旺盛な 自然の前で、人間の営為というのは悲しいものだ。わがフットパスもこの春、新しいササ や草に覆われてきた。もうすぐ、元の形も失われそうだ。草というのはちょっと乱暴で、 実のところはユキザサやアマドコロ、マイヅルソウ、ヒトリシズカなどの草花と呼ぶべき ものが多い。今日の刈り払いではヒトリシズカに謝りっぱなしだった。         ヒトリシズカ。楚々とした風情がすてきだ。明るくなった 道にたくさん発生してきた。              ちょっと南のルートだけ、と思って10時ころ開始した作業だがどうせなら、と北ルート も手がけて、終わってみると12時を過ぎていた。ミズキの新緑が美しい。       刈り残した木々への愛着が深くなる。特にミズキとコシアブラは 一番目に付くところにあるからひとしお。           ■小屋で昼食をとっていると、ものすごく響くドラミングが単発で聞こえる。クマゲラに しては短すぎるが、音量はすごい。抜き足差し足で音のするほうへ回ってみると、それは なんとコゲラ。小さい体で頭の振りも小ぶりだが、サクラの中が樹洞になって共鳴するの か、異常に大きい音を発している。やるもんだ。                  

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雑木林だより 19