広葉樹林讃歌
NO.85
2014/10/0$

みち」を創るための測量作業で、道なき道をさまよった。いや正確に言うと「彷徨う幸運に恵まれた」。

以前から、測量などのために林を自由に歩くことができるのは、笹がなく平坦な苫東の広葉樹林の優れた特長だったから、

いつも忘れない思い出となってきたが、今年はしかし、格別だ。広葉樹林の手応えが違う。

なぜなのだろう、と立ち止って考えてみた。

一つは、人が歩くための道が完備されて、林が格段にわかりやすくなってきたこと。

もう一つは広葉樹林の産土(うぶすな=土地の神様)が喜んでいるように感じるから。

そして、手入れした林は豊穣で多様できれいになる。

今度は人が喜ぶ。


平成26年の山仕事納め




2014/12/27 sat 晴れ マイナス8℃
oyama kai tuduki tomik & tomim abe
kusakari =7 persons



約20年以上前、わたしの仕事以外の関わりをなんとなく
「雑木林&庭づくり研究室」とネーミングしてホームページ
を立ち上げたのだけれど、今ようやくその意味が形を成してきた
ような気がする。

もうかつてのようにガーデニングは手にしないが、
雑木林を庭仕事と同レベルで考えるようになり、
かつ、庭と同じように人手をかけよう、と自らが
呼びかけるようになった。

⇒そんななか、千歳のT病院から依頼された修景作業が、23日終了した。修景の方向は関係者と概略打ち合わせたのち作業は会員のabeさんに全面的にお任せした。認知症の方々も扱うこの病院では、森林散策が認知症予防に効果があるとの医学的見地から、この秋新たに広大な敷地の林の手入れと、フットパスの新ルートを開設することになり、植苗病院の周辺で雑木林の修景と1.7kmのフットパスを作った当NPOに依頼がきたもの。

結果は左の写真のように変わった。これは敷地の南東端で、コナラの大木のある一角。もとは左下の写真のようになっていた。この林はナラや春楡などの中径木も存在する広葉樹林だから修景のしがいもある。

今季からはNPOのスモールビジネスの感覚で応対した。スモールビジネスとは、ここではあくまで「無料奉仕ではない」という程度の意味である。しかし、リーズナブルな価格で、このような仕事を任せられる組織がそうそうあるとも思えない。ある意味、独特なポジションにいるかもしれない。

その一環で、電線の掛かり木と隣接地への樹木の傾斜(右下)を是正してほしいとリクエストがあり、abeさんと二人午前を費やした。

 
午後の大島山林では、2週間ほど前、kaiさんと伐倒方法をABEプロを講師にして意見交換しようと話していた2か所の応用問題を、みんな立ち合いのもと解いて、プロが伐倒した。(左)
小口だけ見れば結構な量に見える。こんな塊があちこちにできる。7人いれば、調子が良ければ1棚〜2棚はかるく伐倒できるような気がする。写真はもう薪サイズの35cmに玉切りしたもの。


    わたしたちの伐倒技術はabeプロは別にして、まだまだ不安定な、実力としては前途洋洋とした未完成である。実力をつけてきた人から、まったくこれからの人まで幅が大きい。けがをしないで、毎年少しずつスキルを上げ、総力として一定面積の雑木林間伐を進めて、かつ、ほどほどの薪材を生産できればまずは合格だ。その過程で考えながら経験を積むしかない。

コモンズ林業を提案することになった背景には、このような各人のスキルアップと薪利用の実情が大きい。やればできる。「めざせ、林のガーデナー!」である。




*12/27のkaiさんのビフォーアフターの作業写真はここ



スノーモービル運転開始




2014/12/20 sat 曇りのち雨 4℃

oyama take / abe = 3 person


鉄板のストーブはすぐ熱くなり、素早く冷める。現場の暖房としてはすぐ熱くなる方を好まれる。早いお昼を小屋で済ますべく、火を入れると間もなく、水を入れたやかんだけでなく氷になっていたものも間もなく沸騰を始める。快き哉。
スノモが始動するまで

8か月ぶりのスノーモービルの始動はどんな塩梅だろうか。うまく点火するだろうか。バッテリーは上がっていないだろうか。

そんな心配をして格納庫に入り、始動の前にまずヘッドにあるソリ部分を確認。土間にめり込んでいる。もちろんわたしの力ではびくともしなかったので、材をあて大トビの梃子を利用して「メリッ」とはいだ。

これで始動させてみたら、セルモーターは動かなかった。取り扱い説明書で、手動のコイルの扱いの手順を確認してから、レバーを引いてみたが、これがやたら重い。なんどか試しているうちに、ドドドと3つくらい回った。こんなことを繰り返して、再度セルモーターを回したら、どっとエンジンが始動した。あんなので蓄電できたのか。


しかし、ギアをバックに入れてもびくともしない。もう一人がいればなんとかなるなあ、と思っていたころ、ちょうどoyamaさんがきてキャタが動いた。キャタのデコボコに氷がかんでいたので、車体の下からキュビックアイスが出てきた。


スノモは冬の間中、外に保管することにしたので、まず用意していたコンパネを敷いて床にした。これでもう次回からはめり込む心配はなくなる。しかもほぼ2坪のスペースができたから、会合も宴もできる。そこには入口に陣取っていた薪割り機を移動した。

林のガーデニング 

今、NPOが依頼を受けて作業しているT病院の林。放置され荒れた様相だったものを、患者さんが積極的に歩いている植苗病院のようにすべく、改良を頼まれたもの。わたしが基本コンセプトをたて病院に企画提案してスタートした。現場作業は伐木のプロabeさんに専属に対応してもらっている。

 そのプロが「なかなかはかどらない」とメールで言ってよこしていたので、午後、大島山林からoyamaさんとわたしがそっと応援に駆け付け、雨が降り出すまでの2時間手伝った。上の写真が入口の正面。墨絵の如し。

その入口は、秋は下のような恰好であり、雑然とした原野風景をwelcomeの風景に替える、というのが我々のミッション。残すところあと2日、春が楽しみだ。

                                                                                   樹林を美しく見せる方法の一つに、足元の猥雑物を除去し「足元を見せる」ということがある。この樹林地は病院側に白樺の塊があるので、それを整理すると見栄えはぐんと上がる。試しに上のような笹とホザキシモツケの繁茂と左奥の傾斜木を除いてみたのが下の写真。こういう積み重ねを、組み合わせて仕上がりを考えていく。あるところは念入りに、あるところは手抜きして、全体のおさまりをイメージするのは、風景を創るというガーデナーとしての醍醐味だ。







 



山の神の参拝 2014





2014/12/13 sat -2℃

inaba oyama kai tomik&tomim kusakari
kikuti migita abe tuduki = 10 person

NPOの安全祈願、山の神の参拝。大島山林のドロノキ大木にお参りした後、つた森山林の鳥居のまえで正式参拝。最後は小屋で焚火し薪ストーブも熱くして昼食。

参拝前に、軽トラックで前進キャンプに薪や燃料を運搬した。荒木さんの軽トラを借りてきたところが右田さんも1台出してくれたので、さすが頭数だ、8人であっという間に「薪の椅子」が完成。oyama棟梁の力作の今年の小屋は居住感がいい。参拝前の作業後、テント内で記念撮影。

 
つた森山林の鳥居に参拝する前のちょっとした時間、昨年提案した管理方針にのっとった作業箇所を案内した。メンバーは「なるほど」といった感じだ。

土地のオーナーたちは昨日参拝したらしく、しめ縄と御幣が新しくなっていた。
 



今年の無雪期も無事山仕事ができてありがたいと思う。これからの冬シーズンも安全第一で、楽しみと満足をともに味わいながら怪我のにないようしていきたい。

札幌は吹雪の一日、全国的にも大雪と報じられる中、苫小牧はこのような晴天で、おかげでキリリと身の引きしまる感覚がある。これが胆振特有の冬である。外で焚火(写真左下)をおこし神前に捧げたノンアルコールビールをみんなで飲んでから、小屋のストーブ(中央)を囲んだ。

  

6時からの忘年会には江別からabeさんが参加し8時過ぎに仕事帰りのtudukiさんが合流して、宴は11時まで続いた。話は仕事、家族、週末活動その他に飛び飛びしたので、あっという間の5時間。

締めの話題は原発と東京裁判史観というかなり重たい、話せば終わらないテーマになった。きっかけは明日の投票と全く関係はないところで始まったが、わたしたちは今、環境や福祉、外交、防衛、経済などといったもろもろの難問に身近に直面し、「あなたはどう考えるのだ」と無言の問いかけの中にいる。

さばききれないほど大量の情報が行きかい、かつ簡単に制御されている情報の中から真実をつかんで判断するのは実に骨が折れる時代でもある。個人的には怠慢しないでアンテナを伸ばすつもりだけれども、いろいろな意見も聞き柔らかくありたいと願うこのごろ。
「考え」の目指すところは他との「共有」であり、コミュニケーションはしばしばそこに向かっているのだろうと思う。



冬季作業用前進キャンプなど


2014/12/06 sat -2℃ 

inaba oyama tomik&tomim kusakari
= 5 persons
2パーティに分かれての作業日。わたしは資材の購入などを経て小屋へ。9時過ぎ、小屋薪ストーブに点火して間もなく、林道向かいのカラマツ林に向かう。先週に続いて2回目の枯死木・風倒木整理。

独りで小屋で昼食。到着した時の室温はマイナス10℃、薪ストーブを稼働してもお昼に戻るとプラスの10℃。それでも、薪ストーブの暖を背に昼寝ができた。


主たる作業が大島山林に移動することから、細々とした資材を車に積んで、午後、移動。
今年のテントは、これまでの反省を踏まえて、より居住性・快適性を求めて、oyama棟梁の知恵と準備が結晶。作業のストレスが解消されるような、居心地が仕組まれている。
 
今季はトイレ(緑いろ)も隣接した。







小屋のわたし。静かに出陣す。




こんな、虫食いも多々。掛かり木になるリスクもものかわ、大トビを多用して、ひとつずつ倒していく。林に向かってフットパスの左をメインに。掛かり木は覚悟とはいえ、難儀する。


oyama棟梁の今季の改良は、コンパネの背板。昨年、中津先生と2時間で仕上げた、ほぼ同間取りのテントとはかなり異なり、裾が壁になった分、天井が高い。たくさんの骨材となる小径木の用意など、氏の段取りに負うところ、大なり。苫東ウッディーズの2014年シーズン、始まる。



平木沼緑地の最終回と
  大島山林の前進キャンプ


2014/11/29 sat 曇り 6℃ 
調査;孫田、草苅@平木沼緑地
作業;oyama、inaba、kai、tomik 
計6人
   
     26年度前進キャンプの概形。kaiさんはtomikさんらの力作のトイレの
     方向を指さしている。


やや手遅れのカラマツ林で。処方を語りあいつつ。 

昨年提案した「つたもり山林」の主要林道沿線の修景間伐が、苫東会社の手で進められている。NPOが設定した標準モデルよりもきめの細かい手入れが進んでおり、関係者はぜひ、見てほしい。林の手入れもここまで来ると、パブリックな営みと呼べそうだ。成せ、これができるのか。いろいろなヒントがある。

育林コンペはこれ以上の提案をしたいところ。そのためには種々工夫が必要だ。



注)先週は、草苅が不在のため活動記録はありませんが、投稿&画像貼り付け希望の方はお申し出を。
 今日の作業は2班に分かれた。
 一つは平木沼調査の5回目。孫田、草苅が担当。現地調査はめでたく5日目で完了した。

 もう一つの班は大島山林の冬季作業に備えた前進キャンプ。快適さを徐々に求められ、もちろん備品の倉庫も期待 され ている ので、今季は特に居住性を重視。コンパネで壁面を創り、椅子に座っても居住空間を狭めないように配慮。

 ブルーシートがやや濃いめなため、キャンプ内の明るさがやや犠牲になったが、居住性は間違いなくアップした模様。 次週、薪 ストーブをしつらえたら、もう山の神のお参りで、いよいよ山仕事に入る。

 また、女性メンバーが増える可能性もあってトイレ・テントを新規企画。ティピーのようなトイレができそう。

 明日は町内会の青少年のマラソン大会が池周辺で行われるとか。林の手入れと利用が重なっていけば申し分なし。

  
     kaiさんの指さしたトイレはこれ。シンプルがベストだ。
  道は穏やかな晩秋の風情あるかなければ、損。




平木沼緑地の林を調べる

〜取り扱い方針調査4日目〜


2014/11/20 木 晴れ
kusakari,sonda,oyama,shida= 4 persons
託調査4日目、通算5日目。

今日は、雑木林が伐採のあとや手入れ後にどう更新しているかの状態を記録するための調査を、応援の二人を加えて合計4人でとりかかった。

幸い、昼過ぎまででめどがついたので、先週の採り残し部分を手掛けたが、またもや、暗礁にのって不安なまま日没を迎えた。完結しなかった。次回はもう一日かかるだろう。
 



町内会と合同作業
〜池の周りで間伐する〜


2014/11/15 sat 曇り 2℃
inaba kusakari tomik & tomim oyama
町内会10名= 15 persons

自分の町内の林を町内の人が整理する第1歩。NPOの役目はここで
応用問題に入る

札幌は大雪で、札幌ウッディーズの事務局から早朝6時半に、作業参加を断念する旨、連絡が入った。そのころ苫小牧は快晴だった。太平洋と日本海の天候はかくも違う。いよいよこれから山仕事の好機だ。

今日はNPO環境コモンズと地元町内会の合同作業日。池の周辺の林を、間伐してもう少し見通しの良い林にしようというもの。

定刻9時、池の広場で段取りのミーティングをしてエリアを決めてさっそくとりかかった。町内会は入口のトドマツ林と向かい側の広葉樹林、NPOはトドマツ造林地とドロノキ周辺。作業量は結構多い。わたしはカラマツの掛かり木の応援にいって、次のカラマツを伐倒しようとして見事にまた掛かり木になって苦戦した。ミイラ取りのたとえ通りだ。カラマツで単独苦戦した15年ほど前を思い出した。

町内会のゾーンにも半折れのハリギリの直径40cmほどのものがあって、片づけた。道端のヤチダモの枝折れも危険だったので、5人がかりで引っ張って落とした。

午後は冬の前進基地の小屋掛け準備。軽トラックを借りて、ストーブや煙突を運んだ。

11月12日夜の竜巻は、大島山林の北側で始まったらしい。それでも林内を歩いてみると、フットパス沿いにかなりの風倒木や枝折れが発生している。フットパスを横断するものは片づける必要が出てきた。
 
林の陰々滅滅状態はこんな放置木が醸し出す。だから
いち早く、気づいたときに手を加える。


このたびの大風で、こんな風倒木が随所に発生している。



調査3日目は雪


2014/11/13 thur 曇りのち雪 2℃
kusakari & sonnda = 2 persons


造林地はことごとく不調というか不成績だ。しかしいずこも、広葉樹が入り込んで、次のステージを示唆している。

←@朝日沼の近くで
日目の天気予報は雨のち雪の悪天候だったが、なんとか持ちこたえて夕方から雪となった。

いいペースで仕事は進んでいたのに、造林不成績地で林小班の境界が不明になって現在地の確認ができなくなって、難航。ぐるぐる回ったりして結局調査は大幅なロスをした。


結果的にはもう一日必要となった。次回は残りと方形区調査。ナラ類の萌芽具合を3次元で記録する。
←200近い林小班(樹種や植栽年などひとまとまりの林)をひとつずつ当たって、これからの取り扱いを意見交換し記録していく。「積極的放置」のほか、いろいろな条件を加味する。

←今日はエノキタケに3回出会った。いろいろな樹種に出ている。


孫田氏と別れてから小屋の薪ストーブとともに過ごす。すでに真っ暗で雪も降ってきたので大好きなろうそくを出す。





平木沼緑地の調査の2日目

2014/11/11tuesday 快晴 12℃
kusakri & sonda = 2 persons


300ha の調査2日目。たった一つの林小班も漏らさず、全部踏査。雨の昨日は思ったより歩数は少なく8000歩台。今日も結果、そんな数字だった。しかし思ったより仕事は進んだ。全体の半分は超えた模様。先はまだ。


小屋はさすがだ。あずましい。
ついてすぐ、薪ストーブに火をつけて相方の到着を待ち、出会ってしばし歓談するだけで、根っこが生えそうになる。やばい。

今朝は心を鬼にしてふたりそそくさとフィールドに向かった。今日こそ本番だ。



 
このぐらい燃えたところでストーブを後にした。軽トラ「あらき号」は快調。










厚真町のゾーンで人気(ひとけ)のするところにこんな異形の大木があった。
フィールドの一期一会。おそらく人家あと。



平坦な広葉樹林を中心に跋渉できるシアワセを感じる。わずか8000歩というなかれ。わたしの足は太ももを揚げるのにかなり疲れを感じた。しかし、しみじみありがたいと思うのは笹がないこと。そして雑木林の壮大なまとまり。わたしたちは、その資源と環境の扱いをお互い議論しながら林小班ごとの向き合い方をメモしていった。

「ジャッジ」といえば大げさだとすれば「所見」というところか。目の前の広葉樹林をどう対処していけばいいのか。孫田氏は所有者がいてくれたらいいのに、とぼやく。わたしは、まあまあ、これもむべなるかな、とかなりいい加減な対応をする。




再度300haの雑木林を強調したい。わたしの人生が2,3度あれば、その余禄の時間はここに捧げたいと思うほど修景の魅力に富んでいる。

ここの環境取組を表現するには、世の名声、名誉はおろか、自己実現という言葉すらもぎらぎらしすぎている。もっとはるかに自然体のあるもの。個人の利得をこえた成熟社会の姿がちらっとみえそうなそんなスタイル。言えそうでまだ言い切れない。日本人の感性もまだ追いついていないそんな世界が、どうもここにありそうな気がするのだけど、その先のメソッドがまだ私にも見えている自信がない。そもそもそんなことを考えること自体がそぐわない。

土地所有者から求められているのはそんなに大げさなものではないけれども、現場から発想する環境や緑は、実は哲学のようなものとと隣り合わせのような気がする。




平木沼緑地の調査を開始

2014/11/10 mon 雨のち曇り、時々雨 10℃ 
kusakari & sonda = 2 persons

   調査にて
雑木林ケアセンターのある苫東・平木沼緑地約500haのうち300haの管理方針を決めていく受託調査を開始。あいにくの雨スタート。担当の孫田氏とわたしは雨足が収まるまで小屋で事前打ち合わせをして、出発は10時半。今回は、遠浅の荒木会員から四駆の軽トラを借り上げ。まさに山野を跋渉することも可能。

エリア北のはずれから林小班ごとに林の実態を調べ取り扱い指針を決めていく。約200ある林小班の1割しかできなかった。ずいぶん歩いたのだが万歩計では9000歩近くだったとか。明日が本番。

 
 暗く手入れを待つ針葉樹林(左)と野帳をつける孫田氏


修景モデルを創ってみる


2014/11/09 sun 晴れ 12℃
 


25年度に、土地所有者から、つた森山林の長期的な取り扱い方針策定の仕事を受託した際に、結論として「積極的な放置」を提案した。補助金をもらいながら造林して収穫する林業のサイクルから離れようというものだ。それほど、造林地は失敗しているし、一方の広葉樹はずっとパワフルだ。いわば、その自然体でいこう、というのが結論。

「積極的放置」をすることになれば、結局、どういう施業をするのさ?、ということになる。それに対しては、林道の両側20mを修景してあとは放置する考えを示してある。そのひな形を創る仕事を、今日の午前中に仕上げた。約800uに2時間半かかった。受託した故のボランティアだ。

理想的なカタチといっても、なにも改まったものではない。@ツルや傾斜木、枯れ木、暴れ木などを除く、Aいろいろな樹木を残す(多様性)、B手入れ作業が行われた形跡をできるだけ消しておく。反対に、C人が時々手入れしている形跡は残しておく(整頓)、などがあった。それが実にうまくいくと、散策をする人の目にエラクやさしくなる。

今日の仕上がりはなかなか満足のいくものとなった。絵のキャンバスと同じで、手を入れながら少しずつ完成させた。至福の時間だった。
ご覧いただければ幸い。

 
ビフォー↑、アフター↓
 
朝鮮五葉の実生が随所に



チェンソーのスキルアップ研修



2014/11/8 sat 晴れ 10℃  

abe inaba oyama kai kurita kusakari tuduki tomik & tomim = 9 persons

重心が右に寄ったナラを左側に倒して見せるabe講師
チェンソーのスキルアップ研修。メンバー内の先達であるabeプロに、機器のイロハからおさらいをしてもらい、午後は実技、最後は志願者を募り己の伐倒を見てもらった。山の神の参拝を前に、まさに山仕事の起承転結の緒に就く。考えようによっては結構おごそかな日である。

午前は、チェンソーの安全点検と整備、目立て、伐倒の理論を座学。午後は雑木林に出て、伐倒のデモンストレーションのあと新人に実体験してもらった。経験者は周りで見守りつつ、時折アドバイスなり手伝いなどした。欧米スタイルの伐倒(クサビ2枚使用)とツッコミしてクサビ1枚を打ち込んで方向をコントロールする二つの標準を復習。
       
大腸憩室炎の先輩でもあるinabaさんが、お昼、退院祝いにとシフォンケーキをふるまってくれた。感謝。
実技研修で誕生した長さ70cmの薪材。4本からこれだけ誕生する。

道具は基本。安全のためにここはみっちり時間をかけて


育林とピザにいそしむ 

2014/11/01 sat      inaba oyama kai tomik & tomim = 5 persons

(わたくしめ草苅は、不覚にも大腸憩室炎で急きょ入院することとなり、欠席)

この日、tomimさんは久々にピザ窯を使ってくれたようで、病院のスマホに画像が届きました。




各々の森づくりが始まった


2014/10/26 sun 19℃ 快晴 風有り



葉が落ち始めたとはいえ、手入れした
小屋の周りの紅葉(右)は格別だ。

 
NPOが一部をあずる苫東・平木沼緑地500haの一部で、「育林コンペ」という森づくりが静かに展開している。

平成9年から3シーズンが第1タームだった。今回は同じゾーンをメンバーを交代し、24年度から29年度をめどに、
束の間の森林所有者「owner」として認定。5年間、あるルールのもとで魅力的な森づくりをしていくもの。

これまではNPOの、ほかの日常活動が多くてなかなか手を付けられなかったものが、今季はようやく、各ゾーンとも意欲的な作業が始まっている。

あまりの好天に歓喜し、山仕事に出かけてみると、すでにtomi夫妻が現地に。いろいろと工夫も考えていると同時に、まず与えられた0.5ヘクタールを把握することに注力し、笹の刈り払いを進行中だった。

わたしは隣のブロックのabeさんが全体を刈り払ったので、その対照となるものへ作戦変更し、まず、除間伐を先行している。

紅葉するものを残し、枝はやがて奥から運搬するときの邪魔にならないように、小さく東西方向にまとめるようにしている。


雑木林を預かるというのは至福である。この育林コンペという方式がもっと一般に広まるためにも、ぜひ、アッというようなエリアが生まれてほしい。

シカ猟が始まっているようだ。
消えかかっていたサインを書き換えた。




第5回総会@ログハウス


2014/10/25 sat 16℃ くもり
abe arakit chujo inaba oyama kai kusakari
kitano saitoh
sonda tuduki haraguti tomik & tomim
= 14 persons


10時半から。
1時間以上前から焚火の準備などはじまり、定刻まで14名集合。
個人会員数40名、委任状21、直接参加者13名。過半数の出席とみなし定款に基づき総会成立。

たき火を囲んで。来年は、同じ場所の、できれば新設のテラスで同じようにたき火を囲んでやりたいもの。
小さな所帯のNPOだからできる、こんなたき火総会。遠くから見れば山賊の会合みたいだが、
特別会員の北野さんは、たき火が大好きで一日いても飽きないとおっしゃった。

原口代表のあいさつに続き事務局・草苅から資料説明、若干の質疑ののち12時から懇親の昼食会BBQへ。

さながら、やや高齢化した山賊の宴だ。
総会は報告をメインにして若干の意見交換。

助成金や受託業務などで予算規模が当初より
増えたのでそのためにどうするか、も話題になった。

昨年度の「つた森山林」の受託業務の結果は孫田氏から概要説明。
今年は小屋のある平木沼緑地300haについて調査を受託する。

ハスカップの企画「ハスカップとわたしたち」の概要を説明し、本件は
依然として今後の課題とした。わたし一人でやるにはコトが大きすぎる
し、地元の人の力が不可欠。予算という力仕事も重要だ。


実行委員会のとっかかりを探しつつ、チーム「コモンズ」がけん引する
シナリオも用意せねば。
取材、編集、出版で150万から200万円は必要だろう(なあ)。助成金を
お願いすることになるから、そうなるときつく縛られる。そんな余裕が
あるかどうか。

NPOコモンズは、身近な林を住民のものにカスタマイズする
お手伝いをする。

これまで@小屋の周り、A大島山林、苫東以外ではB植苗病院が
それにあたる。近いうち、新たな場Cに着手する可能性が出てきた。

初めて参加した上村先生を食後フットパスに案内。モミジの落ちたフットパスは赤いじゅうたんのようだった(←)。みちの枝以外はすべて落ち葉に隠されて、これもやがて雪に覆われる。かくしてしばし、浮世の猥雑なものすべてが半年の間、別世界になる。その日がまじかだ。

上村さんからはオレンジピールの差し入れ、中條さんからはお嬢さんのお店「ドロッペ」のヴァイナハツ・シュトーレンをお土産にいただく。
  


フットパスのサインを充実


2014/10/18 sat 晴れ 13℃ 
inaba oyama kai kusakari tomik = 5 persons

サイン設置。



見ごたえのある紅葉シーンが随所にあるけれども、もっともどっしりしているのは小屋周辺のようだ。(下の写真)
紅葉はうまく進んでいます。今年はヤマモミジが鮮やかでイタヤカエデはすでに散った感じ。奮戦しているのはナラ類。いつもならいち早く茶色に変わるところが、今シーズンはまず黄色に色づいて、これからブラウンに変化していくようです。

育林コンペのゾーンを見ると、15年ほど前に手入れした効果というのか履歴というのか、紅葉の色合いに明確に反映されています。(右の写真)

ここは苫小牧レクリエーション協会が最初手掛け、のち数年は草苅が引き継ぎ、15年たって今はoyamaさんが受け持っているゾーン。
広大な林にはほどほどの人工物が映える。人工工作物は自然のものさしであり、アイスポットであり、隠し味でもある。(←)



心身が弱っている人にはぜひ身近な山に行くことを薦めたい。わたしたちはその身近な山(林)を掃除するちっぽけな奉仕人だが身の回りに手入れを待っている林は無尽蔵だ。





矢島教授と林をめぐる


2014/10/15 wed 曇り 



人工造林地はここも無残な結果だ。天然のアカエゾマツにも非常に詳しい教授も、アカエゾマツ造林地の全滅に近い枯死については、原因がよくわからない、と言っていた。
10月、土地の所有者から、平木沼緑地の管理方針について調査を受託。平木沼緑地とは、苫東地域の東端の保全緑地を含む樹林地で、約500haあり、「つたもり山林」の北側一帯に広がる。雑木林の保育の拠点である「雑木林ケアセンター」はこの緑地の一角にある。

15日午後、管理方針策定のアドバイザーである北海道大学の矢島崇名誉教授を案内し、概況をみてもらった。今回の見解は、これからの調査結果をまとめる数回の検討会で、アドバイスとして反映される。



篤林家や森林に関する識者と山の話をするのは格別だ。さながら、釣りにおいてバックキャストをして、その力で前方に向け未来を標榜するのにちょっと似ている。林にとって良かれと願う立ち位置は、地域や地球へのやさしさにもつながっているように思う。




休日の広葉樹林

2014/10/13 mon 曇り 14℃


 
連休の3日目、とても素敵だった2014年の春夏秋冬を脳裏に刻印すべく、ぶらりとwifeとドライブ。GPSのやり残した仕事もあったし、新しい道のそばの大径木もチェックしておきたかった。収穫は大。
10日ほど前に作ったみちは、なんと10年ほど使い古した道に見えた。来週はこれらのルートがもっと使いやすいように、多くのサインでさらにわかりやすくなる。地元の人は誰も知らないあたりが超もったいない。


育林コンペの作業開始

2014/10/11 sat 16℃ 曇り、風あり
inaba oyama kai tomik&tomim kusakari
= 6 persons


広葉樹林に付き合える幸せを
感じているこの頃。山仕事は
今日も日常のように淡々と進んだ。

大島山林のサインの不足
を反省したので、さっそく材料を
そろえ、修復と準備。


*育林コンペとは;
コモンズの会員が0.5ヘクタールの広葉樹林6ブロックをあずかり、
平成24年から29年まで保育のうまさを競うもの。平成9年から11年
まで第1ステージを行い、今回は第2。エントリーしているメンバーは
owner ○○○と林の前に表示される。第1と第2の両方に参加して
いるのは草苅。好きな日に従事できる。この方式は簡単な協定さえ
あればどこでも可能。


新人オーナーtomik&tomim夫妻
のゾーン。とりつく島のない感じだ
がさてどのような変化をみせるか

わたしは少しずつ進めてきたので
粛々と保育箇所を拡大するのみ。
stump vise を使って目立てした
チェンソーのキレがよい。
午後から、育林コンペ
作業に着手。


ひときわ鮮やかな紅葉は
ツタウルシだった。伐るのは
やめた。


今、林道はこんな状態。
あと2週間で様変わりするだろう。


今シーズンの間伐作業の初日だから
と、安全を期して市内「中善」で懇親会を行った。
札幌での本業の山仕事を終えたabeさんも
加わって、7人。

食べて、飲んだ。今年もけがのないように頑張ろう!




キノコが邪魔で仕事にならない日


〜にわか雨の豪雨2回でずぶぬれ〜



2014/10/04 sat 曇り時々大雨 17℃ 
inaba oyama tsudui kusakari = 4 persons



 大島山林の林道網と林小班

道づくり3日目は、GPSでトレースして判明した座標値をたよって新たな道作りの最終日。マップの黄色の道である。

予想とは違うとんでもないところに図上の道はあったから、いざ、基点から進もうとしてもちょっと頭の整理が必要だった。思い込みはかくも激しいもの。
 

GPSにセットしておいた5つのポイントに近づいたら音のなる近接アラートという機能を用いて、ポイント6から順次進む。GPSの指定するルートは、結構わがままで、風倒木の多い、蔓もはびこったところをまっすぐ突っきれと支持する。再びミスすることのなきよう、今回はGPSのいうままルートづくりだ。





11時前に大雨がきた。にわか雨だがかなり本格的だった。雨雲レーダー「X・レイン」を見ると5〜10分ほどで通り過ぎるはずだったので、4人全員木陰でしのいだつもりが、あまりの大雨でかなり濡れた。

午前中、GPSを持ちながら採ったキノコたち。半分はボリボリ、残りはチャナメ。エノキ、ムキタケはほんの少々。





再開してややしてレーダーにはなかった新たな雨が降ってきて、やられた。inaba・tudukiの二人は昼が近いこともあって、車に戻り、oyama、kusakariはやり残しをやっつけた。わたしも完全に濡れて半ば焼けクソだった。





午後、ビニールの土嚢入れを街にいき買い求め、薪小屋前に集めた木端をinabaさんと5袋に詰めた。そのあと、午前の残り150mを仕上げてフィニッシュ。

(追記)
これだけの道ができたのだから、来期に向けて多方向のサインが必要だ。栗拾いに行っていたoyama,inabaの両氏とサイン談義。入口、池、広場、ドロノキ、岬、などの表示を加えて、とりあえず入口に戻れるような誘導が不可欠だ。来週はこれをすべきか。緑の板は小屋にあるが垂木が足りない。そうだ、これをやってしまおう。



























今日は、蚊はいるにはいたが、わたしは刺されなかった。作業路を導くべく、GPSのしめすままルート開拓をしながらピンクのテープをつけていったが、足元にボリボリがいやに目につく。今日はこのほかチャナメツムタケが加わって程よい大きさになっている。時にはエノキタケも交じる。

ボリボリはしっかりとまんべんなく生えているうえに、チャナメツムタケのピークが重なり始めた様相。というわけで、山仕事が進まない。後ろから、チェンソーと刈り払い機の爆音を聞きつつ少しずつ摘んでいったがかなりの量になった。

特筆すべきはドングリ。林道に降り積もり、バサバサと今も落ち
続けている。

「道ができたための変化」に気づいた。山林の広葉樹の主たる部分にくまなく道ができたために、全山がものすごく「身近」に感じるようになった。わたしにとっての「つたもり山林」と同様、どこに何があるかが、わかりやすくなっていくことは間違いない。

現場散会後、チェンソーとザックと腰籠を身に着けて、広葉樹林内をさまよってみると、フューチャー間伐のための黄色のテープがかなり目につくようになったこともそれを示している。

朽ちた丸太、もうすぐ土に帰る倒木、集積され腐れ始めた枝の束、それらが生きている樹木らと渾然と一つの世界を作っている。キノコはそこに誕生する束の間の精霊のごとし。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
久々に小屋に回る。大風があったのか、看板が二つ倒れていた。保育年度を示す小屋入口の1枚は、腐れた支柱が折れていた。保育前後の比較を示した新看板は、落ち枝に直撃されて支柱が折れ、看板が半割になっていた。

無残。落ち枝の一撃。

ナメコが遠くからにおう。食べごろだ。

落ち葉踏みながら暮れかかった小屋の周りを歩く。日没間際になると、太陽の光は樹冠の上部にあたるだけで林内には射してこないからいち早くマジックアワーがやってくる。よくぞ、広葉樹林に身近な生活を楽しめる境遇をいただけたものだ。

かつてへっぽこアルピニスト、いま、きっすいのウラヤマニストだ。




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