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森のFF top

■2019/3/22 ロッドを振らないフライフィッシャー530km走る



毎年、時間が許せば3月下旬は道南の日本海に向かいます。サケの稚魚が川から海に降りる頃で、稚魚を狙う海のアメマスをフライで釣るために、1泊2日で熊石方面に出向くのです。22日は幸い代休が取そうだったので乙部町の宿を事前に予約して、21日昼過ぎに苫小牧を出ました。あいにく、この日の夕方も今朝も、目当ての熊石・鮎川海岸は低気圧の接近で大荒れで、雨や雪も交じりました。ただの風雨はともかく、フライの場合は向かい風の抵抗があると超難儀で、日本海はアゲンストの西寄りの強い風は勝負になりません。
結局、方針変更、宿の温泉と食事に焦点をあてて、早めに宿について本を読んだりしてゆったりすることにしました。行きは八雲まで高速、そして雲石峠、帰りは瀬棚、ニセコ、支笏湖経由で合計530kmもあります。無駄といえば限りない無駄ですが、道南の風物を眺めつつ、ラジオのニュースや英会話に耳を傾ける1日も悪くありません。前期高齢者の白秋期のささやかな楽しみ方としては、頑張らないこと、自然に逆らわないことも大事です。帰途、黒松内から雪が降り出し真狩あたりは一見地吹雪模様でした。
一方、家のわたしの机の上には、昨年暮れに埋め込んだハスカップの実から出たハスカップが数本大きく伸び、ダメもとでばらまいておいたドングリのひとつがスクスク。ドングリは11月の末、林道で拾ったものでした。どうしても毎年、何か播きたくなる。そして一足先に春を感じる。この光景はちょっと救いでした。



海に住む森のイワナ「アメマス」の躍動

久々の熊石・鮎川海岸

2018/03/23 & 24 晴れ時々曇り 4〜6℃



 

職場の理事会3/22が済んでNPOの理事会3/24との隙間に、道南・熊石の鮎川海岸に出かけてみました。金曜日の黄昏時の1時間、そして土曜日の朝6時からたった1時間のために、片道230kmのロングドライブです。

近年の鮎川海岸はアメマスよりもサクラマスが人気で、そのせいか、昨日も今朝もフライのアングラーはわたしだけでした。しかし、ねらいは正解、1cmあるかないかのヨコエビに似せたフライに45cmのアメマスがヒットしました。

手でつかむと伝わる筋肉の躍動。海に降りて生きるイワナの驚くような力強いパワーが伝わってきます。そうか、旅というのは、自然であれ風景であれ、はたまた食であれ芸術であれ、このパワーをもらいにくるんだった・・・。




と、2、3枚の記録画像を撮って、即リリース。目の前の岸辺を一羽のカイツブリがもぐったり浮かんだりしているのに励まされてのこ
とでした。乙部町の三セクの温泉に戻って朝食とお風呂をいただいて、これから羊蹄山のふもとを通って苫小牧に戻り、夕方は苫東コモンズの理事会です。

(追記 @)
今回は余市の樋口さんと待ち合わせて合流した。今季からアメマスとサクラマスを始める熟年アングラーを同伴しており、熊石平場で23日の夕方お会いしてマメイカ30杯をいただき、24日の朝、わたしがヒットした大沢橋でコーヒーをご馳走になりながら歓談。




(追記 A)



24日の朝、ポイントはすでに数人のルアーマンが遠投していた。わたしはいつも通り、降りてすぐの小さな川の河口から右へ少しずつ移動していった。軽くアゲインストの風があったが気にならない程度。沖の30mあたりにはカイツブリが出たり潜ったりしていたので、なにか、コナゴとかサケ稚魚でも来てるのかな、と、カイツブリをラッキーシンボルにみ立てて集中した。

河口によると、前方に泡のたった水径が見えた。海の見えるアングラーによると、これは波が帰るときにできる逆流の流れで、アメマスはそこを岸に向かって餌を待っているというのだ。離岸流のようなものか。それを思い出して、その水径に投げた一投目だった。




■海にすむイワナ

2002/mar


渚には落ち葉が筋になっている。拾うとその多くはブナの葉。さすが道南。
 2002年のFFの幕開けは、海のアメマス。森とどう関係するか、と言われそうだが、そう、川から海に下った北海道のイワナがこのアメマスで、森の中の清流で生まれたこれらが降海して沿岸を回遊するのである。森が生まれ故郷、って訳。だからということではないけど、秋の終わりから冬にかけて、海岸にはおびただしい落ち葉がたどり着く。それが春までに少しずつ分解されていく。増毛漁協のSさんに聞くところでは、落ち葉のバクテリアは磯焼けにとても効くのだという。留萌における水産加工の残りと落ち葉の菌を混ぜて渚に埋める実験も行われている。そして、3月の末、海岸にはまだ落ち葉がたくさん残っていた。海と森はここにもしっかりしたつながりがある。森は海を育てるのである。 さて、陸封されたりして降海しないアメマスはエゾイワナと呼ぶ。そして一方川を下ったアメマスは海で暮らす3年だったか4年だったかの間に大きなものでは80cmにもなって、また、川にのぼって産卵するのである。ちなみに北海道には、アメマスのほかにもう一つのイワナ「オショロコマ」がいるがここではふれないでおこう。         
雲石峠をこえて、見市川と山並み
 ところで、川でも30cmほどのアメマスをみかけることはあるが、7,80cmに育てることができるのは、やはり、海である。11月ころから釣れ始める海のアメマスは、時に、口いっぱいにオオナゴやコナゴをくわえたまま、さらにルアーやフライに食らいつくほどどん欲に食べまくる。川で水生昆虫や羽虫を食べている生活に比べ、海がいかに豊かということを示すのだろう。いってみれば、毎日が大宴会みたいなものか。      餌になっているのは、おそらく晩秋から冬にかけて、オオナゴ、コナゴ、サヨリなどのベイトフィッシュ、そして1,2月の終わり頃からヨコエビ(スカッドと呼んでいる)、そして3,4月は、川から下ってきたアキアジの稚魚をねらう。だから、この時期、アメマスを海でねらうときには、従って、稚魚の形をしたフライと小さなエビに似せたフライをたくさんもっていく。凪いだある日、稚魚をねらうアメマスと逃げる稚魚の群が、あたかも海を沸き立たせたような様相をつくる。それをボイルと呼んでいる。かつて、ものすごいボイルに巡り会った夕方、暗くなるまで岸を移動しながら追いかけようやく釣り上げた1匹のアメマスの胃袋を開いてみて驚いた。小魚は一匹も入っていなかった。狩りは時にとてつもなく効率が悪い。                            というわけで、3月の末、わたしは苫小牧から静狩峠を通って長万部・八雲を経由して熊石をめざした。ここまで、約200km、そして、瀬棚をへて島牧により、真狩・支笏湖を通って時計回りに戻るのである。大体600kmの行程だ。1泊か、2泊する。   熊石の鮎川海岸は、こじんまりしているが砂浜で魚が濃い。かつて、とてもいい思いをした思い出のポイントであり、何より人も魚もすれてないので、ほっとするのだ。最近はサクラマスも混じって釣れる。だが、あいにく、風が強くて、#10のダブルハンドのロッドでも、フライではちょっときつかった。30分ほどロッドを振ってやめた。こういうときは作戦変更するに限る。平田内川のぞばか関内の方へ移ることにした。       ちょうど平田内川の右岸の方の岩場で車を止めてみていると、おじいさんふたりがなにやらせっせと釣り上げている。ホッケである。ホッケもルアーやフライに良くくるので、ここで遊ぶことにした。おじいさんらは、もうクーラーいっぱいホッケを釣っており、なかにボラが一匹混じっていた。ホッケの型は30cm程度。アメマスは釣れていない、という。                                      「天然のサケ稚魚はもう川から海に降りたよ」  さっそく、アメマス&ホッケねらいで、岩場からキャスティングして、小一時間、4回のあたりがあり、2回バラして1本を釣り上げ写真を撮ってリリース。どうも食いつきが浅い。だからバレルのだ。ヒットしたフライは稚魚パターンで、おじさんたちはオキアミの餌釣りである。シーズン最初の対象魚はホッケとあいなったが、なんであれ、生き物との知恵比べはわくわくするもの。天然のサケの稚魚はもう海に降りて、養殖物はこれからだと言っていた。雨が降ってきたので、平田内荘で風呂に入り、車の中で眠る。夜のラジオはハングルとロシア語ばかりだ。                        
元気のいいホッケ。ダブルハンドロッドでもまあ楽しめる  なぜ、日本海のこのあたりでアメマスのスポーツフィッシングが盛んになったのか。この釣りの草分けとも言える知人のYさんによると、まず、禁漁河川の存在だ。積丹川、余別川、古宇川はじめ、南に下って千走川、大平川、泊川、須築(すっき)川など、北海道の日本海側、後志から檜山にかけて、著名な禁漁河川が続き、アメマスはそこで保全される。しかし、アメマスはサケマス増殖に関係する人たちから見ると、サケの稚魚を食べる害魚とされ、島牧村のアメマスダービーのそもそもの始まりはこの害魚駆除だった。固有種を何と失礼な扱いをするのだ、という市民らからの指弾により害魚駆除のタイトルは消えたが、位置づけがどうなったかはよくわからない。                 翌朝の熊石は鮎川海岸。少し向かい風であるが、波の切れ間で6時からロッドを降り始めた。波が1,2枚ある程度だが、しんどい。しかし、我慢の甲斐があった。7時半ころ重たい抵抗を感じたかと思うとグイグイと揺れだし、ラインをはるとアメマスの引きが感じられた。頭をふりふり抵抗するアメマスをランディングして写真を撮る。38cm。リリースするとき、魚体は力強い筋肉の躍動が感じられる。やはり、黒い稚魚パターンだった。                                      
今シーズン初めてのアメマス。引きはいい。川のものよりははるかにブリブリしている

こんなフライで釣った。下のふたつは熊石の人にかつて聞いてつくったフライ。ポーラーベアを使ったシンプルなものだが、よく来る
 このあと、浜を独占したもうひとりの地元の青年アングラーと歓談した。いつの間にか、一時間ほど立ち話をしたようだ。おもしろかった。かれは左のワンド(小さな湾状の海)でコナゴのようなミノー(ルアーの一種)で6本のアメマスをヒットしたという。しかし小さいようだ。                                 
地元のアングラーAさんと。地元人と語るのはたのしい。情報が生きている。そこを馬場競馬のそりが通っていった

島牧・江ノ島海岸で。向こうは狩場山
 FFは朝の2時間でやめた。風も強くなってきたのでそのまま瀬棚経由で島牧に向かった。夕方、島牧の江ノ島海岸は風が強く温泉に入って本を読んで寝た。翌朝は出し風で 凪いでいたが、魚の気配がなかった。海岸の落ち葉はブナが多いのも、ブナの里ならではだ。                                      
黙々とキャスト、そして海と林を考える