白秋期の林との関わりを考える

NO.103
2019/03/02~

毎週、山仕事をしながらたどり着いた哲学めいたことが一つある。それは、「手仕事は強い」ということ。

世間的にはなんの寄与度も語られることのない、半ばプライベートな営みでもしたたかに持続できる、その背景にある精神的支えは、手仕事がもたらす精神性ではないかと思う。メンタルな充足といってもいい。

普通それは、「手応え」というのかもしれない。手応えは人々の公私の仕事の原動力になるのだが、往々にして地域活動は社会的評価を気にしてしまう。しかし、コツコツ、定例の作業を営みのように積み重ねていると、それは自分の内側に蓄積される充足、ゆるぎない手応えになるようだ。言うは簡単だが、手仕事よりも頭で考えてしまう現代人の日常だから、こころのバランスは崩れかねない、そして病む。

五木寛之の「白秋期」を読み、いい言葉を得たなあと喜ぶと同時に、命名の妙と意味づけに驚いた。加齢とともに、特に還暦を超えたころから、身体能力と脳も衰えが自覚される反面、人は人生を肯定的にみられるようになるらしい。冬の雑木林の木立に心ゆすぶられ、新緑に躍り、夏の生命力に圧倒されながら、彩り豊かな林をゆっくりと歩む。

雑木林の四季と人の一生が重なると、雑木林のある生活が俄然いとおしくなる。

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雑木林における馬の力を見直す

2019/03/23 sat 曇り時々雪 0℃
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雑木林と馬





病院のロビーで携帯の呼び出し。厚真森林(もり)むすびの会のnishinoさんが、育林コンペの現場が進んでおり、材の置き場所などで相談したいとのことで、診察後、現場に直行。

nishinoさんとnagai さんが現場にいて、ばん馬の「カップくん」(4歳)と材を運んでいた。会の面積は約8ヘクタールだが、ざっと見ると1ヘクタールから2ヘクタール以上が進んでいるように見える。全幹集材で、一部はほだ木が出来上がっている。

カップは長い一本を曳きながら自在に木立をくぐって道まで出る。その往復でかなりの材を出している。操るnishinoさんも一緒に歩くので、見ているとこれが大変そう。かなり身軽に枝に埋もれ木たなどをよけながらやっていた。もうわたしなどには無理だ。




そして、その仕上がりは良い。間伐度合いもほぼ予定通りで枝の片づけ方もていねいだ。いわゆる林業屋さんがする雑な始末ではなく、「あくまでも美しく」という育林コンペの主旨を、nishinoさんは良く理解してくれている。

上の写真の下2枚は育林コンペの看板そばから日高方面を見ているが、左側が森林むすびの会ゾーン、右は札幌ウッディーズの未着手ゾーンで、雑木林保育のbefore-after になっている。このまま、パフォーマンスをして、この方式が苫東にあった管理であることを発信して、コモンズ林業の管理エリアを拡大しようと励ました。nishinoさんも、すでにコモンズで進めてきたコンペゾーンのようなきれいな出来形にもっと近づけたいと言っていた。

ただ、この時期の作業では林道が傷む。現場の近くにはY建設さんがいるので、なんとか、近所のよしみで傷んだ部分を修復してほしいとお願いした。

■柏原の丸太処理

来る4/27の柏原の丸太運搬で、ポータブルウインチなどのお知恵拝借と思って聞いてみると、馬でもいいしグラップル付きトラクターでやってもいいですよ、とのこと。寒空の中、お昼ご飯を済ませて、ふたりで現地に出向いてみる。グラップルで道路下まで運んでもらいあとは人力でトラックの荷台に挙げる。それだけでも大助かりだ。

ただ、トラクターのアプローチが難しい。エリアをぐるっと南へ回って、市道から入る入口を見つけてなんとか現場に行けそうだと判断した。4/27までに道路わきに挙げておいてくれることとなった。ひとまず、目途が付いたが、見ればみるほど意外と材は多い。

■「岬」の大量の丸太




広場の薪作り作業は、小雪交じりの寒空の下で進行中だった。午前午後、選手交代しながら都合9人。

林道は春の淡雪が残っている。病院の股関節症と臀筋痛の診断結果が多少重くのしかかって、力仕事をパスさせてもらい山沿い林道の丸太を再確認に歩いて出かける。

場所はボリボリの三叉路を過ぎた、フットパスで言えば「岬」のポイントである。鉄塔の線下地の伐採で採寸もまちまちだから放置したものとわかる。苫東の担当者とも話しがついているので、連休の頃、軽トラックで運搬しようという計画だ。しかし、ここもかなりの量である。

■山仕事と養生の兼ね合いについて覚悟する ~プレーヤーからマネージャーへ~

今朝は臀筋の痛みがかつてなくひどく、立って歩けない状態だった。ソファに座ってもダメ、冥想のために足を組む事も出来なかったので、踏ん切りがついた。「よし、病院に行こう」。鍼灸院も一応考えたが、ここはまず総合病院で精密な検査なりレントゲン写真でちゃんと見てもらおうと思った。いわば観念した格好。20年前の坐骨神経痛診断以降、初めてだ。

診てもらったのはN病院の整形外科。S医師は、レントゲン写真を見ながら

①左の股関節は足側の骨が割れていて受け皿側に食い込んで擦り減っている。
  これ以上痛めば手術しかない。人工股関節になる。

②脊髄は4番5番だけでなくその前後がつぶれている
 (kai doctor によれば、臀筋痛はここから来る坐骨神経痛とのこと。
  確かに朝一番に筋肉痛になるのはおかしい)
 (また、わたしの見立てでは、若いころに比べて近年8cmも身長が縮んだが、
  この脊髄のつぶれも関係しているはず)

③看護師と事前に問診していると、手のしびれは首から来ていると思う、とのこと

思い起こせば平成10年に職場が変わって雑木林の保育に単身で取り組んでいた頃、ストレッチのし過ぎで股関節が開いて、運悪くその頃の丸太の重労働で股関節が不調になり、左足の親指の靭帯を損傷し外反母趾になった。ちょっと無茶をし過ぎてしかも放置してきたツケが回ってきたようだ。

S医師の診断を聞きながら、「もう無理はやめよう」「死ぬまで今の体をもたそう」と静かに覚悟した。今まではプレーヤーとマネージャーを両立させてきたけれども、プレーヤーの方はできるだけ返上しよう。体育会系から文化系一本やりにしぼるようなものだ。果たしてできるだろうか。

生涯現役を目標に、医療費削減の掛け声にも呼応していくには、コモンズのモットー「年寄、半日仕事」を大切にしよう。お互い、身の丈にあった仕事が大切。これまでと同様だ。


白鳥とガン、飛び交う

2019/03/16 sat 曇り 3℃から5℃くらいか
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黙々と割る、しかし捗ったのかは見えない



前夜の帰宅時も、JR糸井駅のそばでガンの群れを見た。さしたる好天でもないのに珍しい。明日の好天を占うのかと思いきや、16日は雪が積もって一日、パッとしなかった。

しかし、ガンも白鳥もずいぶん飛来している。大島山林の上空は周辺が田園地帯で、米どころもねぐらのウトナイも近いのでどの方向に向かっているのか、ちょっと見にはわからない。

一方、いつものことながら、薪割りの進捗は遅い。うすら寒い日は特にそんな気がする。薪割り機1台、チェンソーで玉切りを3名、マサカリが3名。そのほかに山で残りを切っているメンバーが2名。写真左下が、そのmigitaさんの作業箇所。


アカエゾマツ(上右)を割るのは初めてではないだろうか。アカエゾは困ったものだ。マサカリがヌメッと刺さるだけで、割れない。柔らかい木の特徴で、以前も同じように悩まされたことがあった。トドマツだっただろうか。

今日も割りにくい丸太をずいぶん手掛けた。ナラの丸太を見るとホッとする。先週てこずった樹皮に赤身のある丸太が、まだまだある。全体的に前途は茫洋として工程は読めず。

■二股の切り株を考える


昼食のテントから戻る際に、林の中を歩いてみると二股の切り株が目についた。当然ながら、数年時間がたっているので切株は腐れが見える。

思い出したが、いまから15年以上前の国有林の技術発表会では、広葉樹の二股を間伐すると腐朽菌が入って残した方も腐れ始める、という報告があった。確かに、現物を見ていると、早晩、残された樹木も腐れは入ってくるのだろうなあ、とぼんやりと思った。

ではどうするか。株立ちは株ごと切るか、残す場合は頃合いを見て腐る前に伐るか。後者は良く観察していればそのころ合いがわかるかもしれない。

■森林とコミュニティの関係


アイリス団地のNさんから、遠浅神社のヨーロッパトウヒの寿命を見てほしいと連絡があって待ち合わせ。6,7本あるヨーロッパトウヒは太いもので直径50cmほどで、いずれも頂端のカラス止まりは枯れて成長は止まっている。樹齢は70~80年程度かなと見立てたが、古老の話でもだいたいその程度のようだ。

ヨーロッパトウヒはドイツトウヒともよばれ、ドイツから鉄道システムを輸入する際に防雪林の考えも一緒に導入されて、このトウヒはその際の構成樹種だった。江別から滝川あたりにかけてのJR函館本線の防雪林に使われているが、かなり枯れてしまい今はニセアカシアにとって替わられようとしている。

美林としてはかつての定山渓営林署の試験林が「定山渓天狗岳」の登山ルート付近にあった。もう伐採されているかも知れない。

南ドイツでは田園の森はこの樹種がほとんどで、林床にササがなく地面を覆う植生が貧弱なため、落ちた種は
そのまま発芽するので造林が要らないように見える。天然下種更新である。わたしが見ていたのは直径が60cm以下だったような気がする。成長は早いが、わが国では構造材としての評価は高くないようだ。造林してみると、寒風害には弱かった。

ところで、近年の台風による風倒木発生で、神社の森もかなりダメージを受けまばらになってしまったが、周辺の電線や建物への倒伏で被害が出ないよう、先手を打つ計画をもっているようだ。わたしの見立ては、①成長が止まっていて、②寿命が近いのではないか、③大風による倒伏の可能性は十分にある、の3つ。人の往来がなく建物などもない十分な広さのある場合はともかく、高木になる樹木を植えるのはそもそもが倒伏というリスクを伴う。

参考に、北大のハルニレ大木の計画的伐採と、自然保護論者の対立の例をお話した。大木を切るのは嘆かわしいと反対する数名の著名人は、もし腐朽した大木が倒れたりふと枝が落ちて事故が発生した場合は「保険」で対応すればよい、という随分人情を無視した意見だった。「もし事故ったり死んだら保険対応、それまで生かせ」という訳だ。人命優先の考えとは言えない。そして案の定、ニレの大木は昼間に倒れ、奇跡的に事故にはならなかった。

わたしはそこはクールだ。樹木には寿命がある。見慣れた経験ある有識者が枯損の兆候を見つけたりしたら、よく生き延びてくれたと感謝して、供養して伐倒すべきだと思う。当然、材は利用する。

Nさんは大島山林の、苫東計画における位置づけに興味を持たれており、町内会が池の周りを管理するようになった経緯も聞かれたので当時のお話をした。Nさんは大島山林が隣接するこの団地の魅力に惹かれて家を建てた方だから、この辺の感覚はツーカーで通じる。

森林と、町内会やコミュニティの関係づくりは、実は実験段階であると言える。力になれることがあれば、苫東の緑地管理の担当者として、あるいは現在管理するNPOの立場で、なんでも協力すると申し上げて散会。


10日早く薪割りを始める

2019/03/09 sat 曇り 風有り 4℃
inaba ohsawa oyama kai kusa (kurita) (sasaki) migita wada seki =10 persons

長谷川機械にて薪の美しさに目を見張る

朝8時過ぎ、チェーンオイルを求めて有珠の沢の長谷川機械に行ったが、都合悪く店主は不在。たくさんある防犯カメラに驚きつつ見渡しているうちに、奥の薪小屋に気づいた。

むむ!美しい。角を合わせて積んでいるようで、わたしたちの積み方よりも隙間がない。半割をさらに半分に割った際、割った面を2ピースそろえて積んでいるようにも見える。我が家ももしこんな風に積んだら、使うのがもったいなくなりそうだ。

遠浅の現場に着くと遠くでスタックしている軽トラが見えた。手伝いに行って結局、inabaさんと二人で押して脱出したのは良かったが、急に飛び出た勢いで私は前のめりになって転んだところ、今度は軽トラが急にバックしてきた。ヤバイ、後ろを全く見ていない。わたしは横になったまま山側にぐるぐる回転して事なきを得た。遠くから見ていたwadaさんは、てっきり轢かれたと思ったらしい。

山仕事の事故というのはこんな何でもないことで起きる。もって銘すべし。

薪割り初日、ドローンのSさんと転勤者kuriちゃんが飛び入り


昨年の薪割り初日は3月17日、今年は10日ほど早いけれども、もとはといえば、昨年はそのころまで林道のスノモ走行が可能だったのが大きい。昨年今頃の「雑木林だより」をめくってみると、3月10日、広場はまだ雪原である。今年がいかに雪が少なかったかを物語る。となれば、春はおのずと近い。

ハスカップ会員の札幌のSさんが、おもちゃサイズのドローン、その名も「トイ・ドローン」をもって手伝いに来てくれた。コモンズの動画制作プロジェクト『苫東コモンズってなあに?』の要所要所に、彼のドローン動画を入れてくれるよう依頼。試験飛行はあいにくの風のため、軽量ドローンは結構難儀した。操作させてもらったが、なるほど、なかなか簡単で面白い。これで2万円弱とは安い。

今年は新緑の雑木林、ハスカップサンクチュアリと人々、紅葉の雑木林などがうまく撮影できれば申し分ない。

カレーの差し入れとガンたち、これで春を感じる山仕事

同じく「雑木林だより」によれば、昨年は3月3日にカレーの差し入れをいただいた。今日はイチゴジャム入りクリームパンのようなものもいただいて、満腹になった。帰りがけ、荒木さんご夫婦にお礼のあいさつ。

ガンたちは春先、群れが分散しているのか、迷子っぽいガンが鳴く。風が強いために千々に乱れるのか、飛来する方向が縦横斜めで、「君たちはどこを目指しているんだ?」と声をかけたくなるほど、まとまりがない。

今朝早く、窓の外1m弱のところにある物干しに、ヒヨドリが三度、居間を覗き込むようにして長い時間止まっていた。窓ガラスのこちら側2mほどの位置にわたしはいたが、ヒヨドリは光が反射してマジックミラー現象となっているせいでこちらに気づかずくつろいでいる風だ。

さえずるたびに息が白くみえ、何やら首をかしげる様子が可愛い。ヒヨドリを正面からこんなに長い時間観察したのは初めてだ。待てよ?かんがえてみれば、彼らは鏡に映った自分に「誰だろう」といぶかしんでいただけの話か。

ゴムのようにマサカリを跳ね返すこの木はなんだ?

左の丸太がそうだ。元玉は40cmほどあり写真よりもっと太い。これが今日の薪割りの二つ目。一つ目はナラで、いとも簡単に一投で両断できたから、ルンルンで振った一撃だったが、ルンとはじき返された。木肌はハルニレにも似ているが、違うように見える。栗でもクルミでもない。アサダでもシナでももちろんない。はじき返された思い出は数回、でもこれとは違ってカンカラカンに乾いた丸太だった。



広場に5日で材を出し終える

2019/03/02 sat 晴れ -1℃
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予定通り搬出を5日で終了




終わってみればほぼ予定通り、材は広場にすべて出し終えました。総勢9人、にぎやかな搬出でした。重い丸太が多い今年は、このぐらいのにぎやかさでやらないとはかどらなかったのも事実。どこにどの程度の丸太があり、どんなルートで運べば最も効率的か。その辺を臨機応変に組み換えしながらの走行24km。恐らく22往復プラスα。過去最高の回数だったでしょう。

さて、その丸太の量ですが、横から見れば、例年と遜色がないように見えます。ブルーのシートのように今年も積み上げますが、どれくらい生産したかは毎年、やってみないとわかりません。今年は4月末に静川の小屋と、別の場所から融通してもらう丸太もあります。50立方以上、80立方以下。今年のあまりもあるのでこのあたりになれば一安心。

■送電線の下が伐採

今季最後のスノモになるはずですが、例年シーズン最後は作業後に、普段回らない林道とフットパスを巡ります。

風倒木、枝折れの多いのはいつもですが、斜面下の林道沿いに大きな伐採跡があり、林道が封鎖されていました。北電による送電線下地の伐採です。かなり太い丸太もあって、終わったばかりの身にとってはいわば「うんざり」する風景に見えます。

しかし、材は欲しいところ。一応、聞いてみましょうか。引き取りてはあるのか。
■ああ、動物王国

朝から、この冬初めてマガンの飛行隊が目に入ります。大群ではなかったのですがあの懐かしいやかましい声も今朝はさわやかに聞こえます。渡り鳥がやってくる春のサインは心地よいものです。

もう一つの材の現場を再確認しようと柏原を通過すると、TOMATOHマークのてっぺんに数頭のメスのシカの群れがいました。絵になる構図なのですが、あいにく赤いTOMATOHマークの字がみえません。

アイシン精機の草地にも5,6頭。これだけシカがいると車が危ない。気をつけよう。