ウラヤマニストの白秋期讃歌

NO.105
2019/07/04~



この6月末で、44年3か月の勤め人生活を終え、給金を伴う仕事というもののシバリが消えた。
恨みがましくシバリという言葉を書く割りには、やりたいことをやらせてもらった
幸せなサラリーマン人生だった。
終わってみれば、お陰様で、と感謝申し上げたい事が山のようにあり、
それに引き換え
無思慮で恥じ入るべき所業も数知れなく思い出されるので、それはしばらく封印して
回想の玉手箱に入れておくことにする。

そうして、いよいよ、人生最大の収穫期と言われる白秋期を、名実ともに生きていくことになった。
歳を取った一年生の気分である。
これからは、これまで切れ切れにしか味わえなかった念願の時間を、大手を振って過ごすことになる。

が、幸か不幸か、時間ができたころに身体の機敏性や体力が落ち、不具合も多くなり、
かつて入れ込んだ山登りはもちろんとうにやめ、2艘のカヌーは売りさばき、
フライフィッシングのロッドも部屋の隅に何本もただ林立するだけでいつの間にか帽子掛けになった。
激しい動的な営みは遠ざかった。

そうしていよいよ残されているのは、平地林徘徊のウラヤマニストの生活で、
美しい雑木林をめざしつつ、そのゴールは薪ストーブのある暮らしになりそうだ。

たかが雑木林であり、薪であるが、それは半世紀前に始めた山の日々に体得した焚火の延長としてあり、
「雑木林&薪」を丸ごと堪能する薪ストーブのある暮らしが、デンと構えている。
これは若かりし頃、考えてもいなかったゴールデンタイムだ。

林を見定め、抜き切りする樹木を決め、寒気の静寂のなかでチェンソーを駆使し、
丸太を作り、薪にしていく一連作業。
このローテクの作業のサイクルの中に、わが白秋期の要諦があるように見える。

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雑木林だより トップ



赤とんぼが飛んでようやく薪仕事が一段落
2019/09/01 sun 快晴 25℃ 
inaba kusa araki = 3 persons


         *8/31 sat 曇り時々雨
           abe-e oyama kuri tomik migita wada seki = 7 persons


昨シーズンの仕事は、やっと終わりが見えた



前日8月31日土曜日が雨模様の予報だったので、わたしとinabaさんは事前に翌日の日曜に振り替えることを掲示板で告げ、今日、快晴の大島山林で落ち合いましたが、やはり、昨日は合計7名が雨の中もいとわず出てきて、ほぼ最後になった薪仕事の最後を片づけたようです。お疲れさんです~。

今日は残りを荒木先生が応援に来てくれ、薪小屋はあと1棚半を搬入・積み込みするのみとなりました。ヤードはこの1棚半を運んだ残りで棚ひとつか二つを積めば終了というところでしょうか。

昨日はそのほかに wada さんがヤードの刈り払いをしてくれたようです。ざっと1反(1000㎡)以上でしょうか。ただ、丸刃を使用した結果、刈った草が畝(うね)になり、仕上がりは no good でした。その理由は7/15の「雑木林だより」の「鋸刃による刈り払いの後始末」の項で考察した通り、数日もすると腐れて異臭を放ち始め、ミミズの棲みかに代わるのです。

その後始末を inaba さんが熊手で集め林の縁に横運びし、終わったのが2時半。最後はご覧のような仕上がりとなりました。ゴルフ場とは言えませんが、できの悪いゲートボール場よりかなりましな状態と言えるでしょう。かなりきれいです。

今年も結局、間伐後の始末が8月を超えました。去年はというと、9/1 と地震後の 9/8 の「たより」 を見てもらえばわかりますが
薪仕事がたっぷり残っている所に、新たなお荷物が転がってきたのでした。「まだ、まし」どころか、「よくやったね」と自分たちをほめたたえたい状況と言えます。

(おととしはというと、度重なる反省から早々に薪関係を終了させ、8月は静川へ移動し育林コンペを手掛けていたようです。)

北大院生一行の視察研修に備えて



わたしは 9/10 の北大大学院生一行の視察研修の準備として、案内する予定のひとつ、柏原の緑化方式試験地のアクセス路を刈り込みました。写真が露出オーバーでわかりにくいのですが、放置してきた導入路は丈が1.5mを超えるアワダチソウの超密生の大群落になっており、半袖姿で入った私の頭は、スズメバチの心配でいっぱいでした。

丸刃鋸を使用し往復2振りで2mを確保しようと始めたのが、くじけました。1.5mほどの一振りで妥協し、ドロノキとアカエゾマツまでの歩行が可能な状態にしました。

ちなみに当日の視察コースは、大島山林のコモンズ林業と薪生産の現状、緩衝緑地造成に先駆けた緑化試験地の40年後の成林状況、柏原展望台、苫東会社、ハスカップ・サンクチュアリ、上厚真の緩衝緑地の順で、お昼までに終了させますのでかなりタイトな時間割になります。さて、彼らの関心をどうしたら引き出せるか。

わたしはこの刈り払いを済ませた後大島山林に戻って、山林の案内ルートを刈りこみました。薪ヤードを見せコモンズ林業の概要を話し、五差路を経由してドロノキへ。この間に、ヒューチャー間伐が転じて風倒木処理を兼ねた小面積皆伐方式に移行したこと、などを話します。
      



薪割り、完了、しかし木口にカビ

2019/08/24 sat 曇り時々雨 21℃
ohsawa oyama kusa tomik

捨てたハンパ材まで割りきる



薪割りをすべて終了。数10m続く薪の山の前で記念撮影。ついでに、ハンパ材として捨ててあったもの(写真右)もことごとく割って、薪棚の隙間に埋めてもらうつもり。林に捨てにいく手間も、割って使い切る手間もこうなったらもう一緒だ。教訓、「割りにくい材は山から持ってこない。モッタイナイ、はもうやめよう。時間の方がもったいない」

■生きているものはいずれ死に、保存した木はやがて腐れる、腐れの中にまた生き物が


相前後して、土ソリの周りの材も処理。まず、ソリの上に残してあった異形の薪は2回に分けてマイカーで自宅に搬出。焚き付け用にストックされていた長材は kai さんの薪の上にヨッコ。右わきで腐れ始めた切れ端は、5回に分けて林の中に戻した。土ソリはこれか昼食のテーブルかベンチか一時的な物置に使用。

このごろ、痛感すること。形のあるものは壊れる。生まれたものはいずれ死ぬ。生きているものは腐る。人もモノも組織も、この法則から逃れることができない。そしてこの腐れの環境をあたらしい住みかとする生き物がやってくる。しかし、そのままにしておけば、人の環境としてはケガレチになってしまう。

■黒カビの薪、今年も避けられず



この長雨の間に、野積みされていた薪の木口がみるみる黒くなってきた。白や緑のカビも見える。かびる前の薪とは歴然とした差が出始めた(写真右)。材質には差がないけれども、この見栄えの差はいかんともしがたい。くやしい。



migitaさんが朝、もぎたてのトウモロコシを40本持ってきてくれた。採れたてほどおいしいトウキビだが、夕食に間に合っておいしくいただいた。腐った薪の処理のとき、色づいた実に気が付いた。カンボクだろうか。


夏は終わりか

2019/8/19 mon 曇り 20℃

今朝、苫小牧市豊川町の自宅玄関の温度計は20℃でした。暦の上では立秋を過ぎもうすぐ処暑、秋の気配を感じる頃です。昨日は30℃を超えましたので、今朝は「これで夏は終わったかな」という印象です。

■小屋に抜け殻2本、バンビ1頭、蚊1匹、人ひとり

大島山林の広場では強風で5,6か所、ブルーシートがめくれてしまい、崩れも。猛暑、そよ風のなか、修復完了。

静川の小屋では久々の抜け殻。アオダイショウ(左)とシマヘビ(右)か。

シカの害は迷惑だが、バンビはやはりかわいい。さすがに半袖では蚊に一か所のみだが刺された。

今年のヒグマ情報 (8/15現在、苫小牧市HP)
今年もヒグマ情報が相次ぎました。近年の目撃情報の場所と推移から言えば、苫東(地図ではほぼ線路に囲まれた右下部分)には冬を除いて4月ころから11月ころまでヒグマと一緒に暮らしていると覚悟すべきでしょう。苫東に限れば、体調1m前後の個体と親子連れがいたことは確実で、さらにこのほかにも来ている可能性があります。また、安平町の遠浅でも4月24日に確認されていて、これは前日に静川の橋で見つかったものと同一の可能性もあります。もしそうであれば、遠浅界隈は厚真の三菱の山からやってくる別群だとしたわたしの思い込みは撤回すしなければなりません。
いずれにしろ、これからは出かけるところ、ヒグマは居る、と覚悟が必要で、ひとりだけの作業やフットパス歩きなどは、出会いがしらの事故が起きないように注意する必要があります。支笏湖方面と日高・穂別方面をつなぐコリドーを動物との共有空間(コモンズ)として本格的に考える時期ではないでしょうか。昨日は遠浅の山林と静川の小屋に行きましたが、人間は誰もおらずヒグマと一緒の気配は濃厚でした。しかし、200m先まで見通せる間伐の成果で、恐怖はあまりないものです。



割って知る、材の断面が語る履歴

   柏原で材を入手した場所の植生は「ミズナラ・コナラ・ハンノキ林」だった?!


2019/08/11 sun 曇り時々霧雨 20℃
ohsawa kusa = 2 persons


                *8/10 sat 曇り時々霧雨
                        oyama kai tomik = 3 persons


■木口の黒い薪を今年も生産


長雨が続いているうちに、やっぱり薪の木口が黒くかびてきた。縦断面はきれいな樹木らしい色合いを保つが木口がかびる。しかし割ってすぐ棚に積んでシートをかけるのは至難の業。

先週、HPのindex page (トップ)に田渕義雄氏の薪小屋の黒い木口の並ぶ写真(上の右)を載せて、「彼もそうなんだからこれも自然だ、妥協しよう」という意味を書いたばかりだが、現物を見て隣の薪小屋ユニットと比較するとその差に改めてがっかりする。色が黒いか白いかだけで、燃焼や熱量には全く問題はないのに。

■あと残り1時間分へ


遅れていた薪割りは急ピッチ。昨日は oyama-kai コンビが、今日は ohsawa - kusa コンビが精力的に割り続けた。

3時ころに霧雨の雨脚が強くなって、断念、それでもあと1時間で終わりがみえるところまできた。

■断面が物語ること




黙々と薪を割るということは、その都度、丸太の断面と出会うことになる。ひとつひとつ捌(さば)きながら、断面が語る「樹木の内輪の事情」、つまり生い立ちに思いを馳せる。断面が表現しているのは、勇払原野の、樹木が育つには厳しい環境事情ともいえるだろう。

(追記:今になって思えば、柏原のあの場所は、ハンノキとミズナラが混在する「ミズナラ・コナラ・ハンノキ林」だった可能性がある。湿原がやや乾燥してハンノキになったあと、さらに乾燥が進んでナラが実生で侵入してきた遷移過渡期の植生。であればナラ等は実生である可能性がやはり大きくなるわけだ。8/13朝)

まず二股が多い。薪屋さんならば現場に捨ててくる半端材にあたるだろうが、わたしたちはそうでない。使えそうなものは使おうという「モッタイナイ」精神が先にたつ。この半端材を捨ててしまえば、薪としてゲットできるものが実は格段に減ってしまうという裏事情もある。

それにしても、と思う。連休の頃、現場の柏原で積み込む時点で、ずいぶん枝の多い薪だと感じてはいた。ということはおそらく、これらの木は天然の実生から発生したものだ。実生は地上1m前後あたりから枝を出し、時に暴れ木のように奔放に枝を出す。萌芽ならもっともっと枝は少なく、したがって割りやすい。

それと、一見すらっとした外見の丸太でも、割ってみると枝を巻き込んだものが非常に多い。これらはマサカリで割る際は結構な難儀となって、時間がかかる。「ダマサレタ~」。柏原から運んだこの材は、薪割り機がなければ大変な時間がかかってお手上げだっただろう。

また、一般に風にもまれた根元は堅い。考えれば、大木になった広葉樹なら、根元から上部にトン単位の重量がのしかかり、根元はそれを支えるだけの強度がいる。枝先とはわけが違うだろう。時に直径30~40cmほどの丸太を自宅で割りながら、自賄する自宅の追加の薪は直径25cm以下にしよう、などと後悔を交えて考えていたところだ。割れない薪は踏ん張らざるを得ない。これはつまり高齢者の坐骨神経痛と大腸憩室炎の予防対策である。

■様々な神経痛

facebookを見ていたら、東京に住むひとつ若い山仲間が、神経痛が出たので筋トレにいっている、という動画を載せていた。神経痛と筋トレの関係が良くわからないが、この病気は各々の体の癖を知る本人が試行錯誤して解決策を見つけるもののようだ。

昼休み、ohsawa さんも坐骨神経痛があって自分なりの対策を練って実践しているという。特に、ストレッチがマイナスに働き、「四股」が効くようだ、という。

わたしは整体スタジオの若先生がいうセルフケアと、先に学んだスワイショウやと外丹霊動功の気功、それと上半身の反らし、手もみ、そしてサロンパスと、何でも取り入れている。

神経痛も坐骨神経痛のほかに顔などの三叉神経痛、肋間神経痛があるというが、坐骨神経痛の場合は、上の図のどの筋がどうなっているかをまだよく飲み込んでいない。大殿筋に隠れた梨状筋や中殿筋と骨とつながっているあたりをもんでいるように思うけれども、これは今週の施術のときに若先生に聞いてみよう。

神経痛は各自まちまちの症状で、だから、おのおのの対処療法があることを知っただけでも収穫だ。完治に向けて一歩前進。


伸びて、小世界、創る

2019/08/10 sat 雨時々曇り 18℃




去年の年末に埋めた、冷凍ハスカップの実と、林道で拾ったドングリが、ずいぶん大きくなっています。原野のハスカップはしばしば8月に入ると葉っぱが枯れ始めるのですが、不思議なことに、書斎の窓辺にある病気でもないハスカップの葉っぱの外縁も、8月の声を聴く頃に枯れ始めました。ドングリとハスカップ。簡単に芽が出るこれらのタネを、鉢に入れて育ててみると環境の共有みたいな不思議な感覚が楽しめる。これからプレゼント用に何鉢か作ってみようか、と思う。小さな勇払原野が再現されるのは、意外と大きな喜びを伴うものです。



ソロワーク@静川の小屋

2019/08/08 THU 曇りのち雨 24℃

■生き物の息吹がある、頃は立秋


リタイヤ後らしくぷらっと山仕事。天気予報で空模様の谷間を感知して、早出し本格的に降り出した11時に終えた。仕事は静川の小屋周りの刈り払い。里山風景の維持が表の目的だが、裏にはそのことによって人の気配を創り、ならず者の盗難を未然に思いとどまらせることもある。今季、2回目。ただ、まだササミチフットパスは手を付けていない。

テラスに戻って休み休みの仕事ぶり。座っていると、まあ、いろいろな虫がやってきてイスの周りを飛び回り、あるものは這い上がる。アブ、ぶんぶん虫、オニヤンマ、羽ありなど。蚊はいない。ぶんぶん虫とは、一件蚊のような音をたてながら顔の周り、特に耳元で飛ぶ目障りなやつのこと。捕まえてみるとブヨのような小さい虫でうるさいだけで刺さない。

なぜ、耳元なのか。不思議の思っていると、カメラのファインダーの前も好きそうだ。共通するとすれば、黒い穴。この虫は微妙にそんな環境に惹かれるのか。穴黒フェチ。

小屋で久々にヘビの糞を見つけた。もちろん、絨毯のうえであいかわらず行儀は悪い。
朽ちた木はここでも小さくいじられている。もっとも腐朽したあたりをめくっている。やはりクマにしては小規模すぎる。と、そばにタヌキの糞。そうか、これらはタヌキの仕業かもしれないな。(写真左上)




カラマツの朽ちた苔の上にはモミジの実生がいくつか葉を広げていた(写真右上)。湿地のミズゴケの如く、苔は色々な植物が芽を出すインキュベーターのような役割をもつのだろう。間伐調整試験地の中には、シカに食べられながらも、かろうじて枝を出し、今、土用ぶきで淡い新葉を出している株があった。しかし、なかなか大きくなれない。

8月8日は二十四節気では立秋。体は夏対応、こころは秋と冬に向かう。


白老の皆伐試験地

2019/08/05 mon 晴れ 27℃

■シカを排除した伐採地で更新進む


白老町の萩の里公園に平成25年に作られた皆伐試験地があったことを思い出して、川でフライフィッシングをした後に寄ってみた。場所は石山だから、釣りのポイントと自宅との通り道にある。

一見して順調な回復だ。ホオノキなどは高さ10m近くに達していて、背の高いヤマモミジも見えた。ヨブスマソウやハンゴンソウなど高さ3mにもなる雑草の中だが、成林することは間違いなさそう。

シカの食害を避けるために漁網のような防護ネットが張り巡らされていて、胆振総合振興局の応援も得ていたように記憶する。「広葉樹林は、皆伐すれば、更新する」という明確な結論はこれだけでもいえる。

さらに、「シカがいても大丈夫か」、「皆伐に近い間伐という方法はないか」、苫東コモンズの着眼はこの辺だから微妙に違いはあるけれども、共有できる情報だ。覗いた萌芽地の中に、オヒョウニレのような葉っぱが見えた。白老は植生の多様性が苫東より高い感じがいつもする。木も良く育つような気もする。勢いがある。


この猛暑に薪仕事

2019/08/03 sat 晴れ 31℃
inaba oyama kusa tomik migita = 5 persons

薪割り機が復活して



7月12日に破損した薪割り機が、部品交換して修復が終わり戦線復帰。ややパワーが落ちるようだとオペレーションの感想が聞かれるものの、うずたかく積まれる薪の速さを見ると、そこはさすがに機械。マンパワーの比でない。性能に書かれている13トンの油圧がかかるかはともかく、めでたし。

まだまだ割らねばならない丸太があり、積まねばならない薪も山積み。静川の小屋はクマ出没もあって細々と小屋周りとエントランスの雑草を刈っただけで、2回目はまだだし、フットパスは未着手。

作業は大きく滞り気味だが、そのもとの原因はといえば、昨年の震災とその前後の台風被害だった。今年は霧の7月のあと、猛暑だが災害らしい心配をしないできた。あれからもう1年近くになる。今週の中日でも午前早めに静川方面も行ってみることにしたい。



離れたところに置かれた膨大な薪を、静かに積み始めた。立ったり座ったりの連続動作を続ける間に、臀筋が痛くなってくるので休み休み。なにせ、31℃。


蚊いなくとも盛夏のフットパスは誰も歩かず

2019/07/28 晴れ 28℃
abe-e kusa = 2 persons

               
*2019/07/27 曇り一時雨
                 oyama ohsawa tomik wada = 4 persons


今月3回目の晴れの日

27日土曜日は出がけに雨がぱらついて、雨雲が来るのは時間の問題に見えたので、早々に予定を変更して28日の日曜日を山仕事の日にしたのでしたが、まあ不思議、雨雲は北にそれて、昼頃は現地から4人でやってるよ―の連絡が来ました。

でも、まあいっか、28日は晴れるのだし、と思い直した翌日、期待通り晴れ上がり、快適な暑さでした。手元の手帳をみると、今月で晴れたのはたった3日目です。



薪小屋の前に車を止めると、目の前にサワシバの雌花がぶら下がっています。一軒、カラハナソウ(ホップ)にも似ています。そばで見ると結構な存在感。林の主役ではありませんが、勇払原野の雑木林ではアズキナシに次ぐ名脇役です。

今日は、abe-e さんとふたり。abeさんは薪割りに専心。腰痛もちのabeさんは腰にコルセットをしての作業です。坐骨神経痛もちのわたしは、無理をしないで荷を軽くし、薪棚や丸太の足元の雑草をトリミングしたのち、薪小屋裏の林道を南へ。



先週からずっと水たまりの足跡を観察していますが、クマの足跡はありません。もう一度、掘り起こされた腐れ丸太を思い出すと、あれはヒグマではない、という気がします。

野生はとことん餌を追うので、100ある丸太の2割だけほじくるというのは考えにくいのです。ちょっとやってアリがいないから、残りもいないと「判断」して思いとどまる、ということをしないはず。匂ったらとことんやるのが普通です。隣の丸太も3分の1程度でやめていますから、おそらく、あれは人間のしわざではないかと思います。カブトムシなど昆虫採集の一環の所業ではないかと。

発見者のmigitaさんが、シカの試験地に行くと何かがゴソゴソと藪に消えたのもきっとヒグマではないかと推測されましたが、あれはシカかもしれません。キツネは音をたてない。思い込めば木立でも幽霊に見えるのが人のサガです。

というわけで、サインに書いたクマ情報(7/8)に、「7/28 帰ったみたい」と書き足しておきました。(笑い

ちなみに蚊がまったくいません。風もときどきソヨと吹きます。ワイヤーカッターでフットパスの雑草は小気味よく散っていきます。こうしておけば、キノコや紅葉の頃にアクセスする際も、まあまあ、荒れた感覚を持たないで歩けるでしょう。

それにしても、夏は虫がいる、という思い込みは、かくも人を林から遠ざけるものです。
 


今月は「ミラクル落ち枝」を数多く見かけます。先週のバーバラさんも「ミラクル」と目を丸くしていました。
と、そこへカワセミ色のチョウ。コナラの葉を食草とするシジミチョウの一種のように見えます。



お昼は、やはり日差しを避けて木陰に入りました。午後、abeさんは引き続き薪割り、わたしはフットパスの残りの刈り払い。これでテントから北側はあらかた完了しました。最後は二人で、3棚にブルーシートをかけて終了。

■盛夏のフットパスはますます不人気



それにしても散歩に来る人はおらず、こどもたちもクワガタ採りにくる気配もありません。親に子供のころから「虫がいる、虫に刺される」と教えられた子らは、よほど強いインセンティブがないと林に寄り付きません。無理はありません、夏の林は湿度が高く、風も吹かず、たいていは蚊に刺されますし、春は特にダニがいます。散策好きのN先生ですら、歩くのは冬だけ。林の姿だけでなく人の関わりの濃淡も、バーバラさんのドイツとはそのあたりがまるで違うのです。

この偏りの違い。フィンランドやドイツは、森なしでは生きられないといい、わたしたちは森なしでも十分生きていける・・。この差はどこから生まれどこに出るのでしょうか。



Google Earth にシカ食害試験地をはっきり確認

2019/07/24



広葉樹林の小面積皆伐を考えながら Google Earth をみていたところ、なんと、大島山林のシカの食害試験地がバッチリ出ていました。30m四方の試験地ですが、大木が風倒木になった際などは、このサイズの小面積皆伐になるでしょう、そしてある程度の材積が産出され、萌芽更新と実生の更新が活発になる・・・、このスケール感覚がこれでよくわかります。

写真右下の試験地の斜め上の白い部分はドロノキ大木3本組。それを結んだ線の左(西)にある空地は作業テント。ドロノキやテントエリアの小面積皆伐なら、上空からも全く違和感がなさそう。



シーズン末期のハスカップ摘み

2019/07/20 sat くもり 時々はれ 20℃ 
hamanaka2 satoh3 oyama inaba ohsawa2 sasaki2 chiba2 takahashi6 kiriki saitoh2 tomik kuri kodama
Barbara kusa =27 persons

■7月20日なのに採り残しで十分な収穫




この1週間、雨模様が続いてきたのにようやく雲が薄くなって、暑くなく、蚊がおらず、微風、気温は18~20℃、絶好のハスカップ日和。

先週7月13日の土曜日が苫東立地企業の家族サービスデイで、過去最多470人が採ったとは思えないちゃんとした実のなり方で、夕方まで三々五々、思い思いの収穫が確保できたようです。これは予想外でした。
それにしても、雨が心配された3連休の初日に470人もの家族連れがきたとはどういうことでしょう。再び、ハスカップは人気がでてきたのでしょうか。

1週間後のNPOコモンズ関係者のハスカップ摘みは総勢27人。シーズンの後期であること、大勢が採った翌週であることなどから、今回は積極的な広報はできませんでした。「それでも良ければどうぞ」と。

それでも集まった精鋭です。いわゆる勇払原野の風物に惹かれた「ハスカップ市民」。収穫に向けたスタイル、容器など、それぞれ工夫の跡がしのばれ、まだまだ進化中といったところ。調理もさまざまで、ジャムのほか近年のブームは塩漬けのようです。来年は調理と味自慢コンテストでもしたい感じ。


■ドイツ人のバーバラさんが飛び入り参加



19日、白老のバーバラさんからコンタクトがあり、「ハスカップ採りたい」。先日、メールのやり取りをしたばかりでしたが、うまく連絡が取れず、偶然の携帯連絡、そして開催前日の偶然のオファーで滑り込みセーフ。20日当日は、道に迷ったとはいえ、定刻の9時から10分過ぎにハスカップ畑に登場。お見事です。

バーバラさんはドイツはデュッセルドルフ生まれで神戸など日本在住約40年。名刺に書かれたプロフィールでは、兵庫と北海道の物産に関わるイベントなどに参加し、神戸の甲南大学でドイツ語と文化を教え、アイヌ文化を支援、大学では建築を専攻、関心は自然、スポーツ、そして(文化)人類学。全道のアイヌ民族に強い興味を持っており、神戸と白老の2地域居住もそんなご縁のようです。

結果的にバーバラさんは丁度2㎏のハスカップを収穫。これでジャムを作り、製品化する由。
欧州人のベリー好きはつとに有名ですが、バーバラさんのサンドイッチはクワの実が入っているのをチラッと見ました。日本人にもクワを食べる人はいますが、ジャムを作って常食にされる方はきわめて稀です。どうもベリーに対する眼差し、渇望の度合いが違うと、私は以前から思ってきました。





森を歩きたい、とおっしゃるので1周3kmの林道ショートコースを案内しました。

「素晴らしい森。ドイツにいるみたい」
「子供のとき、おばあさんによく森に連れて行ってもらいました」

バーバラさんは都会よりも田舎の小さな町が好きと言い、キノコや木の実など、道ばたの色々なモノに気づいては立ち止まり、観察。ハスカップも樹林のそばの方が葉っぱが大きく栄養状態もいいのではないか、と科学者らしい仮説をたてて味も確かめながら採り比べていました。

わたしは、

①この森やほかの緑地がディベロッパー(苫東)の社会貢献で維持されていること、
②日本はドイツと違って植生のバラエティーが高く成長速度が早いので里山のような絶えず人手を投入する管理方法でないとたちまち荒れてしまい快適な林にならないこと、
③日本の放置された身近な山林はまず気持ちのいい里山状態に近づけないと人々は寄り付かないこと、
④この山林はその里山状態をかろうじて継続してきたこと、
⑤経済的な管理のために林道の両側を一定幅だけ手入れして手抜きするモデル手法を実践していること、
⑥私はその手伝いをしてきたこと、

などを歩きながらお話ししました。

もちろん、苫東の雑木林に顕著な、「ミラクルな落ち枝」(写真最下段の左)についても説明し、わたしの多少手前勝手でスピリチャルな位置づけも紹介すると、うなづいてくれました。その昔、ドイツの田舎町でリロさんという女性ハンターに狩猟の森を案内してもらった際に、冥想やヨガ、メンタルでスピリチャルな話になった時、彼女も深い理解を示したことが頭に浮かんできます。

2,3年前も日本語の上手なドイツ人のアン畠山さんがハスカップ摘みに来られました。森と外人というくくりで思い出せば、米ミシガン州のバーレンハイトさん(女性)、オランダ人のW青年、中国黒竜江省の森林系の役人、ソウル大学の林学科一行、スコットランドのアバディーン大学の研究者一行などをつた森山林、大島山林、静川の小屋、ハスカップサンクチュアリなどに案内したことがあります。

中でもドイツの方がもっとも自然に対する向き合い方が真摯で感性が高いという印象が、わたしにはあります。そしてドイツ人と親しいある方に、ドイツ人は自然の「気」を感じる能力が優れている、と聞いたことをよく思い出すのです。個人的には、わたしがいつも美しいと感じるドイツの林に幼少から親しんできた方に、わたしが関係する勇払原野の林を「気持ちがいい」と言ってもらえるのは、実は望外の喜びだったのでした。

印象深い一日になりました。


こまごま作業、目白押し

2019/7/15 mon くもり 24℃
solo-work

■ブルーシートの追加と長持ち&簡便戦略

薪の積む場所と列の考え方がだいぶ共有されてきました。
あと、小さなことながらうまく見せておきたいのが薪の屋根、即ちブルーシート。最後の後始末的作業として地味に済ましてきましたが、経済性や持続性など統一する必要も出てきました。しかし、まだ手法が共有されていませんでした。

安くて長持ちする方法になんとなくたどり着きましたので紹介します。


左上↑が標準形

丸いリング=ハトメが壊れやすいので、軽そうな2kg程度以下の丸太をその棚の上部から選んでつるします。異形の重いものを使うのは、ハトメの強度からかえってマイナスのようです。そのかわり風であおられた場合はその都度補正する必要があります。

今、使っている1.8m×3.6mのシートは縦5個、横では3個の穴がありますので全12個、これを全部使って、その代りおもりを軽くするわけです。

ハトメはナイロンロープを1.3mから1.5mのリングにして右上のように通して、丸太を吊るすリングを右下のようにしてここに薪を入れます。こうすると薪の顧客は薪を簡単に外して持ち帰ることができ、シートだけ残していきます。



5kg以上もある丸太や薪を吊ると下左のように荷重がかかり過ぎ、ハトメが壊れていきますので要注意です。

この1間×2間のシートの在庫が、先週はコーヨーが3つしかなく、弥生町のホーマックは昨日4つしかありませんでした。今後を考えると、あと6,7枚は必要。ナイロンロープも昨日で使い切りました。次回まで調達しておきます。



①同じボリュームの薪棚を②同じ色のシートで覆い、③整然とした列状に並べ、かつ、④その間を2t程度のトラックが横付けできること、⑤シートは使い捨てでなくできれば使いまわしする

これが目下の共通課題です。

■鋸刃による刈り払いの後始末


刈り払い機にも微妙に向き不向き、得手不得手があって、使いこなすための工夫が要るようです。

金曜日にsekiちゃんが刈ってくれた林のへりの草地には、実は刈った草の畝(うね)ができており、後始末が必要な状態でした。それで、急きょ、除雪用スコップを取り出して集め、笹ヤブに寄せました。上の写真2枚とも作業後です。

畝(うね)はわずか3日しかたっていないのに、すでに蒸れて臭いにおいがして、かつ太い土場ミミズが何匹も棲んでいました。

メンバーが昼食したりするエリアは、刈った草が均等に分散するナイロンカッターでやはり仕上げたいところです。あるいはレーキで集めておく必要があります。

ただ、下の写真のように、茎の太い牧草やカヤツリグサのように芯の堅いものはナイロンでは効率が落ちて、ここはやはり鋸刃の出番です。15日は鋸刃で時々地べたの根っこも深剃りしながら、フットパスまでつなぎました。



■薪割り機の対応



ようやく薪割り機の破損部分と様子がわかりました。

しくじった薪割りのもととなった丸太は一方の木口が斜めになっただけの、直径20cmほどのなんでもないものでした。プッシュするほうの四角のブレードの当たり方が悪くてめくれていったようです。

migita さんとsekiちゃんの二人の作業でしたので、丸太が見慣れない動きをしたと気づいたときにレバーを止めれば何でもなかったはずですが、きっとあれよあれよという間の出来事だったのでしょう。migitaさんはレバーに右手指2本を挟みそうになって辛うじて抜きましたが、すんでのところで指の骨をくだくところでした。

昨年のKさんの事故、今回のヒヤリハット事件など、マンネリに陥らず、基本を守り、異変に気づいたら俊敏に停止させるなど、お互い、こころがけを新たにしたいものです。

さて、今後の対応ですが、薪割りはまだまだ太いものが残っていますし、木口の黒カビも心配です。さっそく製造元に部品交換が可能か問い合わせて、可能ならば修理、万が一、修理不能であれば早急に買い替えが必要です。そのため、

①薪割り機修理の実績がある森鉄工さんに修理をお願いする

②部品名を問い合わせるために、oyamaさん、migitaさん、森鉄工さんの3人で破損部分を確認し、新潟の製造元に連絡

③部品があれば調達して、森鉄工さんで溶接を含む修理をしてもらう

なお、修理費が高くついて新品の方が経済的とわかれば再考します。

また、だいたい機種も検討してみましたが、ピストンがダブルで割れるスグレモノなどもありましたが、概して重厚で重く、値段も高いことなどから、買い替えの場合は、現在の機種と同様のホンダウォークの、対応圧13トンあたりが望ましいと考えられます。これだと、前回購入時と同じく送料込み23万円です。



7月13日の画像(kaiさんの報告画像)

2019/07/13 sat 遠浅は晴れ 温度不明
kai tomik oyama = 3 persons

雨上がりで参加者、少なめ



このところ、ずっと本州の梅雨に付き合っているような天気で不安定な日が続きます。土曜日は前夜からの雨で山行きはやめと決め込んでのんびりしていたら、tomik さんから「遠浅は晴れてる」と掲示板に書き込み。

(わたしは前夜、札幌の送別会もあったので、真夜中の決意どおり欠席を決め込んで15日月曜日の作業を決める。)


写真説明

①薪割り機が12日にアクシデントで壊れたようで、oyama さんと tomik さんが善後策を検討。kusaがH機械に行って色々聞いてみたが、力の掛かるところは補修は効かない、と。単純な作業なはずだが、異常な力がかかるような丸太は、薪割り機とは言え、避けてあげた方が賢明。もしかのときには跳ね返る危険もある。

②migita さんの差し入れのトマト

③3つ目の棚はtomik さん

④ブルーシート3つがかかった。7/15、どこかで5,6つ調達予定。



平日、雑木林に来れる幸福

2019/07/08 mon 曇り 20℃
solo-work

■薪を積み直し、しみじみ眺める薪の素顔



働き盛りの人々が、仕事に出かける平日に、「あ、わたしは今日仕事に行かなくてよかったんだ」と何度言い聞かせたか知れない。仕事をリタイヤしてたった1週間もたたないうちの話である。考えてみると、こう述懐した後に感じる安堵、この幸福感は何物にも代えがたい。この「思い」を味わうために半世紀近く仕事に縛り付けられてきたともいえる。

そんな月曜日、遠浅の薪小屋で、崩れたというkai さん預かりだった薪ユニットを、恐る恐る積み直した。写真左の左側だ。ちょうど2列半=1棚(2.7立方)が残されており、これに新しい薪を1棚プラスするところ。ただ、積み直してみると、天井あたりがスカスカになった。少し緻密に積んだせいだろうか。

ついでに、先週、inaba さんが積んだ右隣も積んでみた。手前の2列目が前かがみになってきたところへoyama さんが来たので、押さえてもらってカケヤで打ち込み立て直した。



積み直した薪(左、右とも)は、昨年の痛恨の「カビ薪」。割ったのち、野積みにしている間に長雨に会い、木口がかびてしまったのだ。これもそろそろ割って約1年、来年使用時は2年半モノになる。

外に積んだ薪をじっくりと見て回った。小口を見れば樹種だけでなく林の生い立ちをも偲ばせる壮大なストーリーが彷彿としてくる。








■応急措置「ヒグマ、来ています」




ヒグマらしい確認をしたmigita さんが第一発見者として派出所にコンタクトをとったところ、苫小牧の本署に繋がって、警察に役場も加わって、6日夜は大変な騒ぎになったようだ。第一発見者の意味はかくも大きい。結論は「通りグマ」ということになったようだが、安心はできない。

人が来るように案内をしている、半分公的な意味を持つ公園は、一応、関係者に周知するのは、面倒だけれども仕方がない。残念ながら、夏場、林を歩く人はほとんどいないが、フットパスに掲げたサインの余白に、クマ情報をメモした。気づかないかもしれないが、まあ、こちらも心構えも込めて書いて回った。

ピンクの白墨などの方が良かったかな、とちょっと反省した。その方が消すのも楽だ。



勇払原野、あちこち

2019/07/06 sat 曇りのち晴れ 22℃
kusa + コモンズ研究会3  & 作業班 inaba oyama kai ohsawa tomik wada migita = 7 personn


■厚真の震災の爪痕とハスカップ



環境コモンズ研究会のK先生一行を厚真町のハスカップ農園に案内。穂別に向かう道道沿いにも、
斜面崩壊の現場はまだまだ生々しく残され、農園の一部も罹災していた(写真左)。
写真右はたわわになったハスカップ。

成りは、今年も悪くないが、罹災により生産量は見込めず、一般開放は7月7日で終了とのこと。
K先生は約2時間で2kgを採取したが、一年分となればこれでは足りず、午後もう一か所を回った。
同じく2kgを採取し「これで1年分は確保できました」。

先生の場合、『ハスカップとわたし』の発刊の祝詞で書かれている通り、
瀧澤紫織NPOコモンズ代表理事から、ハスカップが身体のみならず認知症予防などにも
効能を持つと聞いてからは毎日ハスカップを食するようになり、出張先などでハスカップを食べることが
できない日は体調不良を感じると、ほぼ真顔でおっしゃるほどのハスカップびいきになった。



上の写真は、原野である。原野であっても手つかずであればハスカップは粒は小さくてもたわわになる性格、
本性をもつことがわかる。

逆に言えば、わたしたちが見慣れたハスカップの実成りは、実は人が少しずつ採取した後の途中経過だったり、
熟していくつかが落ちた後の枝である可能性が大きい。

わたしはこのような混んだ実成りを実はあまり美しいともカッコよいとも感じなくて、ひたすらプロポーションの
良いハスカップの構図を求めてきた。過密状態はあまり絵にならないと思うのだ。

下の写真(故・中村千尋さん撮影)も右のカット(ジャムのパッケージ・草苅作)も素材は曇りの勇払原野だった。
枝が短くいかにも原野らしい。そこに3、4個の実がなっているだけ。もう30年近く前の話。



■虫のいない7月の雑木林のそよ風



研究会一行と別れた後、静川の小屋に顔を出してみた。もうアクセス路はまた刈り払う必要があるほど、
草は伸びた。樹木はすくすく成長している。葉っぱが茂ると林は暗くなる。だから着実に成長している
ように感じる。

テラスにたたずんでいると眠くなる。そよ風で20℃くらい。蚊もアブもいない、絶好の昼ね環境だ。
リタイヤ後のこれからはいつでも来れる。そう思っただけで幸せだ。

■ヒグマは通過型から定住型へ替わるのかヒグマとの共生の時代が来るのか



先週は苫小牧市静川の備蓄基地のフェンスをヒグマがよじ登って侵入したというニュースが
あった。同じころ、安平町遠浅のメガソーラーの地域でもクマが見つかった。その前は大島山林の
家庭菜園や神社の境内に足跡が発見された。

そんな折りも折り、研究会一行と別れて静川の小屋でたたずんでいると、migita さんから
携帯の呼び出しが届いた。フットパスの朽ちたカラマツを積んだところが何者かによって
ばらばらに荒されており、oyama さんによればヒグマがアリを探してめくったものだろうとのことらしい。

そのあと、migitaさんがシカの試験地に電気牧柵を点検に行くと、藪の中に何者かがワサワサと逃げて行った、
クマのように見えた、という。色々勘案すると、大島山林内にヒグマがまだいると思われるので、
町内会の会報を通じて山林への立ち入りを控えるよう案内を出してはどうか、ということの相談だった。
第一発見者・migitaさんから町内会と派出所へのご連絡をお願いした。

これまで、苫東のヒグマはいずれいなくなると考えられてきた。通過型と言えるもので、何度も目撃が
相次ぐということがあまりなかった。しかし昨年あたりから、ヒグマの地域内発見は7、8回以上に及び、
今年も港や弁天沼など、あちこちに出ている。ハスカップの自生地などにもいる可能性は否定できない。

ヒグマが夏場、苫東内に定住することになれば、考え方も変えねばならない。
ヒグマとの共生、である。

ただ、ここで考えておきたいのは、ヒグマは前からこんな状態で夏場は苫東で過ごしていて、変わったのは
人間の数と携帯による通報の頻度ではないかということ。
いずれにしてもいつもいる、と考えるに越したことはない。



*kai さんから作業画像レポートアリ



薪ヤードの丸太は割り終え、いよいよ薪小屋へ積み込みを開始した模様。その際、積んだ薪が荷崩れを起こして(手前)、
また人手が必要になったのが判明。(kusaが4時過ぎに現場を見て、顛末がわからなかった)

熱くてテーブルは日陰に移動して昼食。昼寝風景の画像もあったけれどもこれは省略。


サンクチュアリで自生ハスカップを摘む

2019/07/04 曇り 17℃
inaba kusa



■勇払原野のサンクチュアリを貸し切り状態


いよいよハスカップシーズンの到来です。5月の末の花の時期に来てみると、例年より花数は少ない印象でしたが、いえいえ、実の数は平年並みのようです。ハスカップは今年やや早めに熟しているようで、6月から柏原に車が来ているようです。今日もいすゞ自動車南の道道沿線と国道235号の間に何十台かがみえました。

わたしたちが入ったサンクチュアリ一帯は一組を遠くに見かけただけでinaba さんと貸し切り状態で、雨の二日間に熟した実がかなりついていました。

しかしながら本物の原野産は実がさすがに小さい。ただ、いつも思うことですが原野に自生するハスカップはやはりうまい!雑味のバランスがいい!甘みを強調したとされる栽培物より断然おいしいと思うのはわたしだけでしょうか? 今日は、メンバーのinaba さんを誘って、動画撮影のモデルになってもらいました。そして棒の先にデジカメを載せてドローン風の画像を撮ってみました

3mほど上空にカメラをあげるだけで、「ハスカップ原野」の実像に2,3歩近づけるような気がします。これはいずれ、動画「コモンズってなあに?」に使用するための試し撮り。いくつかの動画を編集していきます。

朝九時前にサンクチュアリの前の駐車帯につくと、奥の方から3人の男女が黒いピックアップの方に戻ってくるところでした。

「あ、kusa さんだー!」

ぎょっとして近づいてみると、四季の料理のKさんたちでした(上右)。6時から仕込みの前の二時間、初めてハスカップ摘みに来たとのこと。ペットボトルには2キロ近くがありました。

「まだ、青いのが一杯あるよ」

お店は5月中旬、NPOの出版記念パーティでお邪魔したところで、当日の会が始まる前に新刊を寄贈し、サンクチュアリの場所をそっと教えてあげたのが現実になったようです。しかし、この日この時間に偶然お会いするとは、まったくの奇遇です。不思議な縁と言えます。また、お邪魔せねば。


■小さな発見、更新の姿か


また今日はちょっとうれしい発見がありました。いつもの大群落からやや離れた、まだハンノキに覆われていないゾーンに、若いハスカップ群落があったのです。背丈は20cmから60cm。それも一面の群生です。

また、ハスカップトレイルができている中心地をよく見ると、親木のもとではないところから、30cmほどのハスカップがいくつも散見します。原野のハスカップはどのように更新していくのか、まだよくわかってはいませんが、とりあえず、若い世代が確実にあること、育っていること、はわかりました。そこはこんな風景です。

これらの若い群生地をさらに西へ行くと、300mほどで写真右のような湿地帯の原野にぽっかりと出ていきます。スゲ科植物やハンノキ,ヒメシダなどが、谷地坊主の上に生えていてミズオトギリが目立っていました。この湿った一帯は、先の若い群落の予備軍になるゾーンで、数年前、ヤチボウズの中にハスカップの稚樹やツルコケモモを発見しています。湿原の動画はこちらです。

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