山仕事スタイルは移ろう

NO.113
2021/01/09~

腰(股関節と腰椎)の状態が思わしくないので、年末の山の神を参拝した日に、力仕事の完全離脱を、出席したメンバーにお伝えした。カッコ良くリタイヤ宣言などという人もいるが、わたしにとっては残念極まりない痛恨の決意でもあり、雑な一言で言えば山仕事の前線を担う一人としてはポンコツになったという告白と同じだ。

さらに、これからは兵站(へいたん=戦地の供給)というバックアップに専念するということでもある。そしてプレイングマネージャーの役を、プレイを捨て組織運営のマネージングと小間使いに絞る、とほぼ同義である。ぽかりと穴が開いた気分。

そう考える過程で、地味な森づくりに関わるメンバーの仕事のスタイルも、もっとイージーなものに変えたらどうか、という気持ちがまた強くなった。里山と林に良かれとばかり、あまりに律義に働いてきたことをセーブし、昨年試したようにもう少し「雑木林を楽しむこと」に時間をさこう、そうすることが世代ごとに活躍の場を提供し、世代交代を容易にし、結果的に継続に繋がりやすいと思うのだ。

ただ、コモンズという仕組みがやや複雑であるのと同様、今でもゆる~い作業ルールをうたってきた環境保全活動を、だらけずに、自律的に、かつ仲良く自然に進めていくというのは、実は結構むずかしいことである、ということも、わたしたちオジサン、オバサンたちは、すでによ~く知っている。

しかしながら、山仕事のスタイルは、その時々の状況に合わせ、時々変化せざるを得ないのも当たり前のことであり、それが自然の中で動く人々の、自然風の働き方改革にあたる。個人的な雑木林、晴林雨読生活などは、だから変幻自在、勝手気ままだ。そこにまた小さな幸せがある。



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2021/3/27 sat の山仕事
oyama tomi-k&m nakam-f&s migita wada seki = 8 persons


薪焚き人としての自戒

~私たちは贅沢に選り好みしていなかったか~

2021/03/25 曇り 6℃

■北海道人は薪と言えばナラという
、果たしてそれでいいのか?

下記3/24の記事を書きながら、心にちょっと引っかかっていることを書いてみたい。それが、この記事のタイトルである。

結構誰もかれもが薪の材料としてのナラに正目をおいて、マツやドロノキを少々バカにするのである。ハンノキに至っては、「このハンノキ野郎」と言えば北海道では最高の蔑称だという話も聞いた(爆)。(わたしの周りでは、かつて「このゴタッペ野郎!」という強烈な一撃も聞いた。この罵声をあびたら立ち直れない)

かつて震災の後の岩手・大槌町のNPO吉里吉里国に薪ビジネス「復興の薪」のことをヒアリングしたことがあるが、かのNPOでは素人の除間伐対象はスギ・ヒノキで、それで町内の公営施設のボイラー用燃料も賄い、年間数千万円のビジネスを展開していた。ペチカやメイスンリーヒーター、それにボイラーなどにはこれで十分だと言っていた。一気に火力を挙げるタイプである。

逆にこの辺りには広葉樹がないのである。だから、もし人工林の保育で難しい広葉樹に出くわしたら、その時はプロの木こりに頼む、という話も本州で聞いた。

個人的には、昨年から、メンバーからしばしば下に見られるアカエゾマツを焚いているが、わたしは、思ったより結構火持ちもよく、火力も高いと気に入っている。

そこで今回、ドロノキとヤチハンノキを扱うに当たって、その本当の位置づけを気乾比重で見てみよう。気乾比重は、自然乾燥後の比重だが、いわば燃えやすさ、空隙率のめやすにもなっている。

わたしたちの良く使う材は、ミズナラ・コナラの雑木林だから、①~③が圧倒的に多い。上位6種類がほとんどすべてといっていい。これが実は、自称ブランドの「雑木薪」の実力、評価である。

①コナラ  0.76
②カシワ 0.70
③ミズナラ 0.68
④タモ  0.65
⑤シラカバ  0.62
⑥サクラ  0.60
⑦クリ  0.60
⑧カラマツ 0.53
⑨マツ  0.53
⑩クルミ  0.53

さてここからが、蔑まれる材の登場で、

⑪キハダ  0.48
⑫ヤチハンノキ  0.47~0.53
⑬ヤナギ(≒ドロノキとした)  0.42

ちなみにNPO吉里吉里国のヒノキは0.42、杉は0.38である。彼らはこれを活かすために、暖房器具をメイスンりーヒーターを選択したのだった。

ミズナラに比べると、ドロノキは62%、ヤチハンノキは比重0.5とすると、74%に相当する。
「なんだ、それだけの差か」と思うのではないだろうか。要は、北海道において鋳物の薪ストーブを使っている人の薪材はかなり贅沢志向であり、わたしも含め高級志向の汚染されてしまっているのではないか。近所の医者の薪棚は今年も早々に業者から買ったナラだけが並んでいる。やっぱり、なんとなく贅沢を言い過ぎていなかったか?(その点、鉄板のルンペンストーブと類似するストーブなどは、基本、なんでも燃やすことが多い)

このたび、勇払原野の植生の典型の一つ、ミズナラ・コナラ・ハンノキ林の材を有効利用するにあたって、ひとつ、この思い込みを解放したいものだと思う。きっと北欧もそうだと気づいたが、「あるものを大事に使う」、「地元のものを丁寧に利用する」、「上手に混ぜる」、是非これで行きたい。そしてそれこそが、再エネ利用のグリーンライフに繋がるのではないかと思う。


ドロノキとハンノキなどの利活用を、さてどうする

2021/03/24 wed 曇り  8℃

■届いた丸太をどうさばくか


里山のフィールドに届いたドロノキなどの丸太を、さて、どう処理するか。下手すると、労力もお金もかかり、得るものがない、などとなりかねない。これがここ数日、頭の隅に懸案として引っかかっている。

未明に、ちょっとしたひらめきがあって、枕もとのメモ用紙にこんなスケッチを描いた。ドロノキ、ハンノキをメインにした玉切りされた丸太を図のように積んで、見かけ0.5立法のユニットを幾つもつくるのである。

内輪でさばいてもいいし、希望者に丸太で有償の分譲をしてもいい。それをできるだけ早く、対応しなければならない。ドロノキは乾燥は早く焚き付けなどには最適で、薪としても一応使える。ただ、樹皮から早々に腐っていくのである。放置して捨てればゴミ、上手にに使えば再生可能エネ、というのは除間伐材と基本は一緒だ。


基本、ここには下記の問題が横たわっている。

①ソーチェーンの付け替え
かなりの土砂が混じているのでカーバイト・チップソーを装着する必要があるが、これは一本一万円近い。かつ消耗品だ。これは斡旋者を通じて、搬入者に支援してくれるよう、早速依頼した。
②腐れないうちに利用すべし
ドロノキ、ハンノキは腐るのが早いから、遅くとも2年以内、できれば来年春には捌きたい
③さばくことは、分譲すること
もともとは毎年の生産量を軽減して楽をしたいと思って頼んだうけいれだから、内部需要を賄って、残りは有償か無償で分譲すべき。

以上のことから、「商品化」が必須と考えた結果、上の図が生れた。0.5立法のユニットを順次、総力で作っていくのである。

■規格と量と販路

・丸太の山のユニット(以下、ユニット)は、高さ1m、横幅1.5m、縦幅0.7m(35cm×2列)で、0.525立法
・1棚見かけ2.7立法÷0.525=5.143≒5ユニットであるから、5ユニットで1棚とみなす
・勇払原野ブランド「雑木薪」は1棚40,500円だから、40,500円÷5ユニット=8,100円/ユニット
・これでは高すぎるので補正すると、ドロとハンの質低下で×0.7  買いやすさでさらに×0.7
 割っていないので×0.7 これで 2,778円≒3,000円

ユニット一つ 3,000円というのが目下のわたしの試算である。これをかなりの量をこなし、100ユニットを創れば30万円の収益となるが、さらに買い手がつくかという心配もある。

ここはひとつ、流行りの「ひとりキャンプ」、「焚火」用にPRすることになる。また、今季作っている薪に適量を混ぜていくことも方法であろう。ホーマックやコメリと交渉することも一考したいところ。


ミズナラ・コナラ・ハンノキ林の丸太届く

2021/03/20 sat 晴れ 5℃くらい
abe-aki abe-e urabe oyama kuri kusa tomi-k&m migita wada seki = 11 persons


■ミズナラ・コナラ・ハンノキ林が産む超ミックス薪



先日来、人づてで提供のオファーのあった丸太が届いた。当初、数10本という話に聞こえたので気楽に受けたのだが、大型トラック10数台だ。とりあえず今日は4台分、すで一昨日から5台分ほど搬入していて、あと3,4台分あるという。

それで帰途、現場と思しき1500坪の皆伐地を覗いてみた(右下の写真)。「折角、冬にきれいに伐採したのに、その後の伐根処理と重なり、丸太は泥まみれ砂まみれになってしまった」という。土木の現場はいつもこうだ。材をきれいなままで、という希望は達せられなかった。やはり甘くなかった。材の扱われ方は、「ゴミ」のようだ。

積み下ろされた現物を見て少し驚いた。最も目立つ大木はドロノキ(写真右上)である。ドロノキは乾燥するとヘラヘラと燃えてしまう。そんなドロノキとどう付き合うか、一工夫と割り切りが必要だ。

そのドロノキににヤチハンノキやサクラが混じり、ナラ系は10%ほどか。要するにこれは、勇払原野の湿原が乾燥していく過程で誕生する、知る人ぞ知る植生「ミズナラ・コナラ・ハンノキ林」である。

これは、1000mの距離で高低差がたった1mというような苫東の原野でしばしばみられる植生で、要は湿地を好んで生育するヤチハンノキとドロノキを主体の湿地林が乾燥したところに、じわじわとミズナラ・コナラが侵入し混在するようになってできる。換言すると湿地植生の遷移の移行帯に当たる。伐採の現地は勇払川の右岸、川から数百mだから、かつて(おそらく6,70年前)は河川の後背地に存立した湿地林だったのではないかと思われる。

丸太を積んだ様相はまるで産業廃棄物である。それを砂交じりも厭わないカーバイト・チップ(?)をつけたソーチェンで、abe-aki さんが初めて玉切りして見た(写真左下)。結果は上々、切れ味は変わらないという。

このように玉切りすることができれば、産業廃棄物は少しずつ薪材の素材として商品化される。この量たるや多大で、今手掛けている「土砂のないきれいな薪づくり」を5月で終えた後に早速着手したとしても、晩秋の除間伐作業までには終わらないだろう。

■薪割り体制に入る




いよいよ除間伐して生産された材を薪にする過程に突入だ。

とはいっても、雪解けでコタコタになってしまったアクセス路や広場をトラクターで簡単に整地し、林の中に放置してきた枝条の後始末も欠かせない。あと2,3回は使うであろう薪ストーブの焚き付けづくりや薪運び、薪棚のシート直しなども必要だ。これらがすべて平行して進む。里山仕事は実に雑務が多いのだ。

そうしてはじめて薪割りである。薪割り機1台に補助含む二人がかかり、まさかり担当も今日は二人。玉切りに二人、林の奥では沿道の傾斜木や枯損の除伐にも延べ二人が関わった。

■第27回理事会

そんなあわただしい春の仕事始めの午後一番、理事会を開催した。
今般、保育作業に新たに5名の新人が加わったので、これまで阿吽の呼吸で進めてきた苫東コモンズの運営方針というものを成文化した。

具体的な事業も既定の環境保全、利活用、調査研究の各部門で欲張らずに事務局が計画した案に、理事から提案のあった事項を盛り込んだら、いやあ、盛りだくさんになってしまった。(-_-;)

主だったものを列挙すると、

①風土をもっと理解し享受する「コモンズ休暇」の再開(山菜等の時期、午後2時ころ切り上げ現地直行)
②薪小屋の増設4ユニット程度
③青空トイレ「Leaf-Let 2号」の大島山林広場に新設(水洗のかわり落ち葉をかけるもの)
④既刊『ハスカップとわたし』を市内すべての小中高、大学図書館への寄贈
⑤雑木林と薪をテーマにしたフォト・エッセーの公募(グランプリには薪1棚を進呈)
⑥静川の雑木林ケアセンターの窓増設
⑦第9回コモンズフォーラム(テーマは身近な林と心身の健康)

このほか、里山景観やフットパスの維持や育林コンペは粛々と対応、勇払原野の雑木林の広報活動もホームページ等を通じて継続する。恒例のハスカップ摘みや森づくり宿泊研修は予定通り。

オジサン、おばさんたちの週末活動としては、ややタイトではなかろうか。しかし、動機を持って提案した人は最後まで面倒を見るという、コモンズスタイルは堅持してできるだけ実現したい。それらをサポートするメンバーのフォロアーシップも幸い、万全とみた。


スノモ2回転倒し、藪だし作業を完了

2021/03/13 sat 晴れ 3℃
abe-aki urabe oyama kai kawai kawamura kusa tomi-k&m nakam-f&s migita wada seki= 14 persons

■藪だし作業を終える




林の中に辛うじて雪が残っていて、予想通り最後の藪だし作業となった。奥の風倒木は後日軽トラで搬出するよう、道ばたに置いてある。ようやく先がみえ、来週からは薪割り作業に突入だ。

わずかな早春の一日ながら、運んだ丸太の列は今日だけで3,4軒分はあるだろうか。何度も反芻するがツル伐り除伐の多い年にも拘らず、よく材が生産された。

しかし、今日の作業中、スノモを2回転倒させてしまった。わたしの通行ルートの形状に関する判断ミスだが、たまにあることだ。スノモの不自由さ、不安定さをあらためて痛感する。新人のurabe さんにも後半運転してもらったので、彼が体験するいい機会となった、ということにしよう。



またabe-aki さんが体験作業。伐倒の講習をよそで受けており装備一式をもって、午前は玉切り作業、午後は伐倒をしてもらう。もし正式に入会すれば、強力な戦力になるはず。

kawamura さんは、待ちに待ったハスクバーナの電動チェンソーが届いて、午後、試運転。なかなか調子が良さそうだ。

■掛かり木処理


藪だし以外のメンバーは、掛かり木処理など手掛ける。藪だし作業中も、宙ぶらりんの枝など、見えるものはその都度片づけてみた。kai さんも奥でツルに絡まれたナラを手掛けていた。どうにもならない宙ぶらりんになったので、ギブアップしようと勧める。



kawai さんはスピーディな玉切り手法として、並べ切りをデモ。並べる手間はかかるが、その後は素早くできる。無造作に積まれたままを切るのを選ぶ人もいる。その辺はなかなか、性格が出そうな世界だ。

oyama さんが木曜日に来て、目立て台(写真右)を作ってくれた。立ち位置でやれるのはいい。あとは安定性をどう保つか。需要は高い。

■町内のYさんと

帰り際、道路で子供と遊んでいたYさんと久々にお会いしたので、立ち話。山林を気に入り、もっとも林に近い場所に家を求めた方である。「いつも精力的に林の手入れをされて、住民として感謝しています」「特に冬は散歩に利用させてもらっている」とのこと。普段は奥さまと挨拶するくらいで全くコンタクトはないが、ホームページは時々見てくれて、状況は把握されているようだった。

また、今シーズン手掛けている除間伐エリアが、みるみるこぎれいに整備されていくのを、常日頃ご覧になっており、「すごいですね。見違えるようになりました」とおっしゃる。

こちらは調子に乗って、あの一帯には今年、フットパスを創ろうと思っていること、そして北はずれにあるoyama さんエリアのコナラの大木が、子供が木登りするのにとてもいい枝ぶりなので、お子さんに教えてあげて欲しいとお伝えした。


美しい林をどんなふうに創るのか

2021/03/08 mon


10日ほど前に聞いたある小さな苦情が元で、林の美醜について考えさせられました。これは、なぜ苫東コモンズが作業の対価を伴わないボランティア形式を貫いて来たか(近隣の森づくりは通常メンバーは山仕事をすると日当があたる。しかしこれではマイ・フォレストの感覚は生まれるか?)、なぜ経済の林業に向かない作業をして来たか、とも深く関係しています。そこで、相互に再確認し意識を共有するため、ホームページのトップのブログに簡単に顛末をメモしましたので、以下、転載しておきます。

「森づくり」といえば、きれいな森や林を連想する人が多いのですが、経済活動としての林業現場はあまりに無残でびっくりするほど荒れ放題に見えます。伐った枝は放置され、材を出すためにブルを使えば林床はガタガタ、切株がひっくり返っていたり、とても鑑賞に堪えないことが多いものです。

とはいえ、数年でおさまりの良い風景に代っていき、更新も進んで10年もすればビフォーアフターも見違えるものなので、要は時間軸の問題なのですが、そこに理解を持てない一般の方はあの風景には腰が引けるものです。それに、そこが訪れる人の視点のそばかどうか、場所の問題もあります。

それと比較すると、苫東コモンズの仕上がりはかなり違います。身近な林は美しくなければだめだ、と自らを律して頑なで来ました。そのもとを思い起こせば、40年以上前に「森林美学」や「森林風致」をかじり、学生時代の当時は年間100日以上を山歩きに費やして森林美を追いかけ記憶し、その後もかつての風致体験を活かして美しい広葉樹林を追求してきたことにたどり着きます。

その延長にある苫東コモンズが時間をかけて具現化してきた修景の試みの結果は、経済行為の林業のでき形と比較したとき、自ずとそこには開きがでてしまうのは当然だったのです。こんなコモンズの森づくりと仕上がりを見てきた方が、同じ林を効率的林業ルールでこなした仕上がりを見て愕然とした、というちょっとした出来事(事件?)が最近ありました。

もとをたどれば、苫東コモンズのコミュニティ林業は、実は「森林公園」を目指しているからであり、林業とは似て非なるものだったのです。だから携わるスタッフの愛着ももともと違ってくるのだと思います。それにコモンズはフットパスの両側50mを一所懸命にやり、あとは手抜きする、という考えをとっているのも影響しているはず。


大雪が助けになった3月初日の藪だし作業

2021/03/06 sat 曇りのち晴れ マイナス4℃ 風あり
urabe oyama kai kawai kawamura kuri kusa nakamura tomik migita wada seki = 12 perons

■若い力にまかせよう




週の初めに、いつもの3月の大雪が降って、フィールドは雪に埋もれた。が、それは早春の藪だしには好都合だった。migitaさんが降雪翌日と翌々日に2回も除雪してくれたおかげで、いつも通りスムーズに終盤の藪だしを進めることができた。

特に、スノモ運転に比較的慣れている kuri ちゃんが運搬に回れると申し出てくれたので、わたしは藪だしのスノモ運転を kuri ちゃんに任せた。おかげでこちらはすっかり手持ち無沙汰になったが、里山の運営というのは実は雑事がたっぷりとある。いつもの現場記録、薪のシートの手直しや立て替え払いのための両替など、雑用に専念して終わった。

個人的な感想を言えば、メインのスノモ運転をパスしただけで、とても「楽ができた」という感じがする。そして、甲斐がいしく動く若い面々を見ていて、できれば「若い力に任せたい」という、こころに仕舞っていた本来の願いがむくむくと湧いて来るのを感じた。

ただ、今日は12人での山仕事だったが、歳から言えば、87,72,72と上からわずか4番目、順序だけ見れば、まだ老け込んではいられないと言われそうだ。が、なにせ、数えで古希の、不具合持ちである。なにもこれといった動きはしないのに、歩数は5000歩弱、距離は3kmあまり、白状すれば実はこれが最近の限界すれすれだった。だから、若い人へのバトンタッチは、わたしにとってはやはり切実なのであった。

■ブランド薪



先週から丸太のヤードでは玉切りも始まった。並んだ列を眺めると、例年の約30mの列に換算すれば4,5本になるから、見かけの層積で40~50立法米は確保できるのではないか、と思う。だとすれば、つる伐り、除伐が多かった割には「よく出た」と言えることになる。これも若い力のおかげだ。

さらによく見ると、ナラは2,3割以上は間違いなく含んでおり、シラカバ、セン、コブシ、キハダ、サクラなど適当に良く混在しており、勇払原野ブランド「雑木薪」の横顔を彷彿とさせている。

実は毎日、この雑木からなるブランド薪を焚きながら、多様な混じり方がいいなあ、地元勇払原野の雑木林の薪を使えるのは幸せだなあ、としみじみ思うのだ。よく乾燥して、マッチ一本で火が付きそうな薪を、薪ヤードでかき集めた木質のゴミを焚き付けにして燃やすのである。いわば、雑木の完全利用だ。この秋は、さらに枝の焚き付けも用意しようと思う。

話は少しそれるけれども、先月から苫東コモンズの新事業プランを理事会に挙げる案として練っているうちに、ぜひ、「雑木林と薪を焚く行為」をテーマとしたフォトエッセーを募集してはどうかと思いついた。「雑木林&庭づくり研究室」に随時アップするもので、毎年のグランプリには勇払原野のブランド「雑木薪1棚」(時価5、6万円か)をNPOから授与してもらうというものだ。副賞はハスカップ摘み招待券である。

■新しいシーズンに向けて


スノモで歩きやすくなった冬の径を歩く人が何人かいる。冬の雑木林のすばらしさを共有できるのはうれしいことだ。ご夫婦でほぼ毎日歩く、そのNさんが、今日はお昼にたくさんのトマトジュースを差し入れてくれた。

お昼の歓談では、今年手掛けたエリアの奥、約50mほどは、次のシーズンでもさらなる除間伐の余地があり、かつ、今年の作業の結果、スノモでなんとか藪だしする目途もついたことから、この秋以降も、あと1シーズンはここで除間伐をすることになった。一方、池の西側の尾根筋も、いずれ本格的に手入れするときのために、進入路を確保することにした。

会員が現在10数名にスリム化されて、そのうち10名あまりが常時参加する作業の昼時は、まるで理事会と総会を毎週やっている様相である。これは予想以上になかなかいいことかもしれない。


今季の山仕事の終盤、藪だし作業の先が見えた

2021/02/27 sat 晴れ マイナス3℃
abe-e urabe oyama kawamura kawai kuri kusa nakam-f&s tomi-k migita wada = 12 persons

■雪解け前の滑り込み


藪だし部隊の精鋭たち          隣では残りの伐倒整理も続く

ヤードの積み下ろし            奥地ではoyama wada の両氏が風倒木を処理

恵みの寒さだった。例年この時期は、雪解けをにらんだ林内からの材の搬出「藪だし」に追われてきた。林道やフットパスはスノモとソリが20往復もすると土が見えてきて、そこからみるみる雪は溶けて、しばしばみんなでスコップを持ちだし、除雪ならぬ増雪、雪積みをしたものだ。今年はヤードと藪だしの現場はどこでも動ける広場だから、そんな心配もない。

先週は雨だったから、今週の日中マイナス3℃は絵にかいたような幸運だ。藪だしの積み込みの現場には、4名がいてスノモに乗った3名も加わる。積み下ろしにはヤードで玉切りをしている2名が手伝って、迅速に仕事がはかどる。

と言っても、かなり原始的な「横移動」ばかり。大げさな機械を使えるような現場でもなく量もないから、基本、人力の「手間」であり、GDPに反映される仕事ではない。そもそも除間伐材は山林内に捨て置くのもよくある話で、それをわざわざ持ち出して「薪」にする行為は、所詮、コミュニティやグループの「内輪のやりくり」なのだ。


それにしても、この機動力、変幻自在ぶりはオジサンたちのささやかな知恵と経験の結晶であろうか。木立の間を縫って丸太が積んである場所に、ソリを引いたスノモが誘導者の指示を確認して侵入し、帰り道も探しながら木立を抜けていくのである。その間の連携が、実に良い。特に若き新人らの、気づき、機敏さ、パワーに助けられた。

時には写真(カラマツ)のように太い丸太が満載になる。雪質にも恵まれたから、必ずしも急発進による衝撃スタートでなくても良かったが、下り斜面ではソリが勝手に動き出し、スノモの後部や立木にぶつかることも。

■憩いのひととき
藪のなかのそんな作業の合間に、山仕事には特有の、ふと和みを感じる時と風景がある。身近なのは、梢が青空に吸い込まれるような間伐後の樹冠。そして、春を知らせる斜面の雪解け、などである。現場から帰る夕方も、厚真の田園にはもう白鳥が落穂ひろいをしていたし、高速道路の法面では、エゾシカが採餌していた。青草など春のサインが出ているのだろうか。

そして一日の終わりは、ブルーテントの、あまり熱くない薪ストーブでの「雑談」だ。しばしば作業の反省だったり、森づくりの将来展望だったり、釣り情報だったり、時には釣果自慢をお互いに披露したり、病気と健康自慢だったり、なべて満ち足りた一日の終わりには和みあり、である。無事、作業を終えたことに今日も感謝。

 
 


危険を避け「とにかく安全作業」をめざす基本に返る

2021/02/20 sat 雨が上がって曇り 4℃
urabe-papa & junior oyama kai kusa nakam-f&s tomi-k&m migita = 10 persons

■作業の「禁じ手」相次ぎ、猛省
山仕事は、プロであろうが素人のボランティアであろうが、怪我や事故を起こしていけないものだ。事故は死と背中合わせであり、プロ・アマを問わず常に細心の注意を求められる。訳もなく怖がっていては仕事にならないが、人は少し無事故に慣れてくると、まあ、いいか、とつい慢心することがある。もっとより正確に言えば、よくある。慢心する日常を、どう乗り越えるか。



昨日の作業では、やってはいけない禁じ手を目にしたり注意喚起したりした。「ヒヤリハットの共有」のために、私見を列記したい。

①無サインの伐倒
ホイッスルなしでいきなり伐倒。その先数メートルに作業者2名いたにもかかわらず。当たってからでは遅い。わたしは、危ないシーンは何度か見てきたが、そのうち1回は、子供(小学生)を直撃。

②バケットに乗った危険伐採
掛かり木処理に migita さんのトラクターが応援に来てくれて、処理に苦心したあまり、バケットに乗って掛かり枝を落とそうとした。枝はチェンソーでやや予想外の動きをしながら離れたが、高所作業車の危険伐採やツリークライムによるものよりはるかに危険。セルフビレー(自己確保)もなかった。労災はこんな時に起きる。

基本の対策は、
・掛かり木処理は、トラクターなど、力まかせの作業に頼るのは、やはりもう止める
・掛かり木は、手わざの「大トビ」でコツコツ進めるのが、わたしたちの身の丈メソッドでないか
・それでも掛かり木は、宙ぶらりんになることも多々あるが、後日、プラロックを使うか、蛍光テープをつけて所在を知らせ、長ければ1年でも放置する。枯れて枝の強度が落ち、自然落下 (わたしはしばしばそうやってきた) ⇒ 公共の公園でもないのだからそれで十分、とわきまえて良いのではないか

③木の下に入らない
伐倒しても、なおかつ傾いて残っている傾斜木は、時に予告なしに倒れる。伐り終わって数十秒後もあるし、1,2分後もよくある。だから、木の下に入らない、通らないのが肝心。

昨日は、宙ぶらりんの幹にロープをかけて引っ張る際、urabe さんが数秒、木口の真下にいた。痛んだ枝が急にボキッと折れて、数百㎏の丸太が落ちれば内臓破裂と骨折は必至。これらは声をかける間もなく、始まり、終わる。一瞬のことだ。幸い、何事もなく済んだけれど、忘れないで肝に銘じておきたい。だからこうして、事後に、ヒヤリハットの告白と反省をしたい。

追記:
ロープでけん引する際、少ない力でこなすためには、幹と枝がどう絡んで、どう引けば抜けるかを、シミュレーションする必要がある。その絡みを理解してロープ掛けをしないと、なかなか、力まかせでも解決しない。

以前、abeプロは、傾斜木とツルで連鎖した藪の立木を、どのような順序でどう伐倒していくか、掲示板でなぞなぞで問いかけていた。力に頼ると、往々にしてその謎解きがおろそかになってしまう。今回はその例。

■テント内の水害

雪解けが益々進んで、テント内はいよいよ水浸し状態。migita -oyama ラインで床に穴を掘り、浸透を促す。
これは翌日の2/21に行ってみると、水が引いていた。

■搬出の難しさと危険とそのサポート

林内の丸太搬出は、周りの作業を時々応援しながら、黙々と進んだ。今日は、urabe父子が(写真右)が一緒に担当してくれて、さすが、誘導もよろしく、順調だった。

搬出で怖いのは、スノモのハンドルが利かないことと、ソリの進行方向がアウト・オブ・コントロールになること。糸の切れた凧のように自由に動き、時に木に引っかかる(写真左)ので、スノモの同乗者は全員前のめりに突然ぶつかる。時に振り落とされる。十分な木立間隔をとってもらい、切株を低くし、誘導路をイメージして欲しい、と頼んできたのはそのような理由からだ。今日も何度もぶつかりつつ、てこを利用して急場をしのいで、一日を終えた。


割りに合うはずがないコミュニティ林業

2021/02/13 sat 曇り 1℃
urabe oyama kai kawai kuri kusa nakam-f tomi-k migita wada +差し入れaraki-t = 11 persons

■各々、持ち場に散って試行錯誤


nakamura エリアは今日から新人3人が取り組むこととなった。昼前、3人が固まっているので行ってみると、「突っ込み伐り」の試行中でだった。ほぼ直立したカラマツだったので、tomi-k さんと、「これはオーソドックスなクサビ2枚のsaved-edgeがいいと思う」とアドバイスした。伐倒後、写真右の伐倒履歴をみながら、みんなで意見交換する。

kaiさん(左)は、広場近くのナラを片づけた後、奥の作業場に入ってからの一本を掛かり木にしてしまい、大とびでひと汗かいたが、二股にがっちりと挟まってどうも完結しなかったようだ。kuri ちゃんは午後、新人kawai さんの伐倒をサポート。

遠浅川に近い奥の風倒木現場では、wada さん(左)とoyama さん(右)が隣り同士で着々と仕事が進んでいた。tomi-k 、migita,kusa の3名は、丸太の積み下ろしに終日従事。

■除間伐の副産物として薪を生産する、信じがたい手間

苫東コモンズが作った地域ブランド「雑木薪」(自称)を焚いている人であれば大体ご存知のことだが、雑木林の除間伐をしながら発生する材を、家庭用暖房の薪に活用するのに、こんなに手間がかかるのかとびっくりするはず。

薪屋さんなら皆伐した林から買い取ってくるだけだが、林の手入れ作業の副産物となると、全く話が違ってくるのだ。絵に描いたように、極めて効率が悪い。奴隷のような苦役だ、と陰口されたほどだが、まじめに機械化する動機も薄く資金もない。林の中にスノモで丸太を取りに行き、重い丸太を人力で積んで、運んで、降ろして、それから割って、積んで、1年シートを懸けて乾燥させる…。間伐から暖房までのフルステージを体験できるという自己満足だけが励みだ。地球環境によかれというライフスタイルは、実はしばしばやせ我慢に他ならない。

だからこの山仕事は、近間に住む人々が手間を提供して辛うじて成立する、自給自足型の超ローカル&超スモールビジネスで、採算性はなし。耳を澄ますと、特に薪の積み下ろし作業は不評で、始まったばかりなのに苦情、辞退が続きそうだ。

そもそもこう書いている本人が、腰が超不調で積み下ろしを従前のように出来ず、スノモの運転に専従することを、昨シーズンに申し出て実行している。ただし不平をこぼしたことはなく、出来なくなったことを残念にさえ思う。。

しかし、苫東コモンズのポパイ seki ちゃんももう誉め言葉が利かなくなって(笑い)、とうとう今日は休んだ。代役を引き受けてくれた migita さんも、午後あたりから「腰がつらい。今日は終わったら鶴の湯温泉だ」と呟いたのであった。

そんななか、比較的若手のTさんが特段の奮戦をしてくれ、本番2日目を終えた。
大丈夫だっただろうか。来週は若手新人にバトンタッチだ。ここはひとつ、若手を大事にせねば。(-_-;) 要は、フルスケール薪作りは、実に大変なのだ。安売りしてはいけないことに改めて気づいた。

写真は、スノモに後ろ乗りして、一息つく migita さん。

*今日はお昼に会友のaraki さんが、豚汁、オニギリ、ドーナツを沢山差し入れしてくれた。また、夕方、安平町の町議会議員のTさんが顔を出した。関係する福祉系NPOの週1の暖房用に、アカエゾマツの薪をおすそ分けすることになった。


里山の和みの風景

2021/02/06 sat 曇り 0℃
abe-e ura oyama kawamura kawai kusa kuri nakam-f&s tomi-k&m migita wada seki = 14 persons

里山を手入れする風景、手入れされた里山の風景



11月に始めた今季の間伐エリアから、いよいよ、材の搬出が本番となった。まず、林縁に積まれたものから運び始めたが、その折々にスノーモービルから望む風景が好ましく、美しい。材の量は例年に比べ多いのか、少ないのか、まだ見当がつかないが、ツル伐り除伐が多すぎる割には、良く出ていると思う。ただ、ナラ材の割合は3割程度になるかもしれない。

コモンズのポパイ・seki ちゃんが、先週の薪の積み下ろしで腰が痛いという訴え。さっそく、kawamura さんにも応援を頼んだ。3人でスノモにまたがると、キャタピラのグリップが良くなって丁度いい感じだった。

■新人の仕事ぶりと熟練者の現場


新人・nakam-f さんと urabe さんのゾーンでは、先週からここ一番の厄介者の掛かり木とツル切りのこんがらかった仕事に着手している。朝一番、urabeさんと伐倒順序のシミュレーションをして、掛かり木のホオノキは恐らく急激に倒れることはないから、ツル、枝、枯れたカラマツ2本を、恐る恐る片づけてみよう、とあいなった。二時間ほどしてまた顔を出してみると、予定通り、見事に整理されていた。ホオノキはテキストで覚えたつっこみ伐りを試した由。

二人ともこの秋に参加した新人で、簡単な伐倒レッスンのあとすぐ本番に入った人たちだが、果敢に攻め込むところは攻め、慎重になるべきところは慎重に、なかなか、驚くべき仕事ぶりだ。そしてよく勉強している。


もう一人の新人kawai さんは、今日からマイチェンソーで本格デビューし、kuri ちゃんの先導のもとで、掛かり木なしで数本を伐倒して片付けまで完了。


熟練者のoyama wada の両氏は、奥のフットパス沿いにある風倒木の処理を今日から開始した。この山林は大木から風で倒れることを繰り返すので、倒れた木をマップにマーキングしておき、冬のしかるべき時に玉切りしてスノモで運び出すのである。この量たるや侮れない。

oyamaさんは掛かり木が避けられない難しい伐倒を手掛け、結果的には二股に掛かって宙ぶらりんになってしまったナラを来週、ロープを使って処理するとのこと。かなりの重さが二股にかかっているので、1週間の風次第で、自然と落ちている、なんてこともあったが、さてどうなるか。

wada さんは太いコブシとナラ?を玉切りするだけでも、半日掛かるだろうと話していた。こいう場所は積雪があるうちに現場にアクセスして早々に運び出す必要がある。


雪の中、スノモの運材始める

2021/01/30 sat 雪 0℃くらいか
oyama kusa nakam-f&s tomik migita wada seki = 8 persons
雪中散歩は夫婦2組と秋田犬1匹

■丸太を運び始める


先週、15cm、今週は20cmあまりの雪が積もって、あっという間に本格的な冬景色に替わった。早朝から migita さんが進入路を確保し駐車スペースを除雪してくれたので、何事もなく山の一日は始まったが、除雪がなければパニックになる雪の量ではある。

早速、今日から材の運搬を開始した。スノモのドライバーは「今季から自称ハンディキャプト」のわたし、助手は力持ちのseki ちゃん。事情を話して、今年からはドライバーが担う持ち運びは、手トビで動かせる程度までにしてもらった。積み込みと誘導は、次回からエリアの各担当者に手伝ってもらうつもりだ。

幸い、今年のエリアに大木はなく、かつ、ナラは多くない。写真のような、コブシとか、センノキ、ヤマグワ、などが目立つ。力持ちが、「kusa さん、これ重たいですね」とわたしに手渡したのは、キハダだった。彼は時々この手の冗談を言う。キハダは重さというより、もしあれば軽さの単位で呼びたい、そんな軽さだから、薪としては脇役のそのまた端役にしかならない。でもわたしたちは大事に燃やす。

大木がないせいだろうか、一番最初に手掛けた oyama-abe-kawamura ゾーンは、直径5cmほどの、本来は山に捨ててくる太さまで、丁寧に切り積んである。モッタイナイ精神である。ついでに、長さもかなりまちまちで35cmの定尺にこだわってくれていない。

新人も加わった俄か作りグループの微笑ましい、おおらかな光景であるが、いざ、薪割りが始まれば、「だれだ、これを作ったのは~?」「30cmの丸太も5cmも手間は一緒だぞ~」と声が飛ぶだろう。しかし、最初はみんなモッタイナイのだ。地球温暖化防止の、庶民ができる、このようなゆるやかな一歩は、残念ながら長続きはしない。

■チェンソーのくせ、慣れ、トラブル
nakam-f さんがチェンソーの調子が悪く、空回りのような音がする、という。
わたしは彼のチェンソーから時々煙が出ているのを前から見ていたが、今日そばで見るとバーも先が焦げていた。雪面にカラぶかしをしてオイルの出をみたが、一応少ないながら出ていた。

空回り?その感じが思いつかずにいて、夜中、ふっと思い当たった。STIHL社のMS150シリーズと192シリーズは、女性の軽作業用に買ったもので、機械のはせがわさんは当時、「これでも結構役にたつよ」と言っていて、苫東コモンズはinaba さんとわたしがツル伐りや裏木の処理で使ってきた。192は先生だったか。

しかし、所詮パワーがなくて、強く押し付けたりすると、回転が止まる。ググググとくぐもった音がする。nakam-f さんのいう空回りというのはこれではないかと思う。これを繰り返すと、煙がでるのかもしれない。

ちなみに、プロの林業用とされているのは、STIHL社であれば、MS201シリーズ(かつての200)、241などでカタログによれば、排気量は各々35cc、42ccで重さは4.1kg、4.8kgである。

一方、150や192は軽作業(一般・農林)用で、排気量は24、そして32ccで、重さは2.8kgと3.6kgである。

空回り状態を脱するためには、
①力で押し付けない、
②回転が止まってくぐもった(空回り音)がしたら、バーをすぐ木から放す、
③再び、高速で切り始める、
という手順でしのぐ。これは力のないMS150で覚えた、この機種の癖というか能力というモノだろうと思う。だましだまし使うのがいいみたい。それに、のこぎりでいえば、これらにはアサリがない感じがする。逆に言えば、kanam-f さんのパワーにしてみれば、この機種では物足りないということになる。

■フリースタイルの山仕事を目指して

珍しく、シンシンと雪が降る。雨雲レーダーを見ても、札幌から遠浅に向け石狩低地帯に沿って長い、濃い雲が連続しており、大島山林はこのような時、しばしば結構な雪が続く。そしてそんな時、苫小牧は晴れる。

わたしは雪が降ると戦意喪失する。雨ならもっとだ。それほど、胆振の山仕事は晴天の下でするのが常だった。今日はお昼を終えてすぐ、nakamu-f さんは現場に戻って快音を出し始めたが、おじさん3人とnakam-s さんは、雪をうっちゃるべく、薪ストーブを囲んで世間話に花を咲かせた。

山仕事はこれからこうありたいと思う。何事にも追われない、自由な山仕事。それはわたしだけでなくほぼ共有した思いだ。それでいて、ゆる~い段取り計算も裏には固まっているから、それに沿って時にはハードに仕事をこなす。リタイヤ後の地域活動というのは、こんな風にして細く長い継続につなげるものなんだろう。

写真右は3時過ぎ、ソリに道具を積んでテントに戻るnakam 夫妻。


牽引器具「マーベル・プラロック」を試す

2021/01/23 sat 晴れ 0℃くらい
bae-e urabe oyama kai kawamura kuri kusa nakamura tomik migita + kawai = 11 persons

■かかり木をマーベル・プラロックで牽引

山仕事は面倒で危険も伴うものである。その中でも、込んだ林のかかり木は時間がかかり、時には危険も多い。そこで、一般にはかかり木を簡単に処理する方法として、チルホールなど牽引する器具が用いられている。苫東コモンズではこれらを使ってこなかった。いや、見合わせてきた。

先日abe プロからかかり木処理用の「マーベル・プラロック」を寄贈していただいたので、先週そのままにしていたかかり木につけてみた。

ストッパーの扱いがうまくいかない。チルホールのような歯車のラチェット音がない。方向を変えても牽引で枝を引き下ろすことができず、なんとなく仕組みがわかったものの、いまひとつ不完全燃焼のまま散会。午後、反対方向から牽引して辛うじてかかり木の処理は終了できた。

次回は問題なくできるだろう。もうひとつカラビナを用意し、滑車を使った方がいいかもしれない。2トンの牽引力を持つ器具だから、使いこなせば、スノモの後ろの荷台に常備し、機動性を発揮できるかもしれない。

ちなみに、チルホールなどを使わないで来た理由は、正直、面倒くさいのだ。
これに代わるものとして、abeプロもわたしも「大とび」でこなしてきた。今日も、けん引のデモ研修のあと、nakamu さんが、かかり木を大とびで処理した。ズルズル、一歩一歩、約7mほどずらして完了。10分ほどを要した。(下の写真)



■ツル切りとマイチェンソー・デビュー

ura さんがマイチェンソーを新調した。STIHL社のMS201C 。バーの長さは40cm(いや45だったか)。何本か伐倒作業をしたあと、人の嫌がる、写真のようなツルの藪に挑戦してくれた。夕方には肩の筋肉が相当に疲れたと言っていた。

また今日は若いKさんがご家族連れで体験作業にやって来た。午前中、kuri ちゃんが簡単にチェンソーワークを伝授し、わたしは合間に苫東コモンズのフィールドと、概念、保育と薪の関係、それと育林コンペなどについて、細切れながら話した。フライの愛好家なので、共通の話題に花が咲いた。


作業テントに浸水

2021/01/16 sat 曇り 風強し プラス5℃
abe-e urabe oyama kai kawa kusa miya nakam tomik&m migita wada = 12 persons

■テントが水浸し


もうすぐ大寒に入るところで、よくある暖気がきて、朝いちばん、作業テントの床が3か所、水びたし状態を発見。それがお昼過ぎには写真のように水が増えた。メンバーの現状分析は、土壌が凍結し盛り上がり、テント周りの溶けた水が、幾分低いテントに浸水したとのこと。

スコップでテントの裾の雪を掘ってみたがその下は氷が厚くなんとも処置しがたい。明日以降の寒波で再び凍るので浸水は止まるが、3月にはまた床上浸水を覚悟する必要があるかもしれない。テント敷設作業の監督migitaさんと、春まで待つしかないと判断。

oyama さんらは、保管している刈り払い機と燃料置き場を浸水から守るべく、上の写真のように早々にかさ上げ作業を進める。

なお、上からの水の落下も半端でなく、テーブルやいすはかなり濡れてしまったので、南半分もやはりビニールシートで覆うこととなった。これはwada さん、tomik&m さんの段取りでスムーズに朝一番に手掛けられた。

■本格始動か



なんとなく、今年の山仕事は今日からが本番の気分。風が強くて枝の落下に注意しながら、作業が進んだ。今日から、nakamura エリアから私が完全に退き、urabeさんが入る。

現場ではクサビを使った作業が行われていたが、伐倒方向に無理があり、クサビを使い果たして(写真左)やり直しを余儀なくされた。最初はよくある話でもある。それでもカラマツ(右)はクサビ2枚を駆使した伐倒が行われ、切り株がその履歴を示していた。

wada さんは先週から薪小屋裏に現場を移動し、午後から掛かり木になりそうなシラカバを、ほぼ思い通りの方向に倒した。枝まで利用すれば、これだけで1立法近い。

団地と隣接しているoyama さんのエリアはついこの前まで、ツルの絡まる猛烈な藪だったが、右下の写真のように、すっかり見違えった。これは風景を創る醍醐味と言える。角のコナラの大木は、ひょっとして苫東の最北端の記念すべき実生のコナラで、春には子供たちを呼んで木登りの場として教え、「林との付き合いの入口」を企画していきたいと二人で話し合った。

■差し入れをいただく

新年早々に、町内のnomura 先生夫妻から、甘酒4リットルとふかしイモを5,6本分頂いた。ご夫妻は、大島山林を最も頻度多く歩く方で、かつ山林保育の善き理解者の一人である。毎年、こうして差し入れをしていただいてきた。町内会と大島山林利用の将来にも、最も心を砕いてくれるおひとり。






■林内の倒木をマップに落とす

今日から、重いチェンソーを持たないことにしたものの、スチール社のMS150という軽いものを短時間ならやれそうなので、スノモの後ろに常備し、メンバーの応急処置をしたり、林内に残された上の写真のような倒木と枯損木を、雪に埋もれるように片づけて歩く。


また、スノモでフットパス沿いを巡って、薪に使えそうな風倒木をチェックし、miya さんがくれたオリエンテーリング用のマップに所在をプロットした。2月の適当な時期を見計らって、伐倒と玉切りをしておきたい。

■シカはナラの萌芽枝を食べていない
シカの食害試験地を見てみると、シカの足跡は見えるがシュート(伸長枝)を食べていない。食害は今のところ、なさそうだが、油断はできない。


仕事はじめ

2021/01/09 sat 晴れ -6℃
urabe oyama kai kusa kuri nakam-f&s tomi-k&m migita wada seki = 12 persons

■とうとう雪が積もって




木曜日の午後あたりから、寒波が押し寄せ、とうとう胆振東部にも雪が降った。胆振東部とは言っても自宅の苫小牧豊川はわずか1cmほどで除雪も不要だったが、大島山林のあたりには札幌から南東に伸びた雪雲がしっかり雪を降らせて、30cm弱の初冠雪となった。

これを受けて、会員のmigitaさんが早々にトラクターで予定通りのエリアを除雪してくれたので、仕事始めもすんなりとスタートした。仕事を始める前には、バッテリーが上がっていたスノーモービルをダイナモのコードを交代で回し、10分ほどして始動し車庫から出て、ほどなくセルモーターも難なく回るようになった。

ただ、テント内には、結露した水分が大きな氷の塊となり、2重にしたビニールシートの接着テープを簡単にはがして、見るも無残な光景になっていた。wadaさんらがこれを早々に応急処置して復元、強化。こういう簡易なものはこうして当座をしのげるから、いい。

wadaさん(上右)は、イタヤの掛かり木を見事クリア。



ドクター kai さん(左上)は今日も病院の回診後に合流、林縁のハリギリを片づけた後、内部に取り掛かり、数少ないナラを処理していた。

nakamura ゾーンには、コモンズ現場のオリエンテーリングとクサビを使った安全伐倒のパターンをごく簡単に研修(講師は不肖、わたしめだからアテにならず)を受けた新人ura さんが次回から本格合流の予定(右上)。ここはこの新人3人体制で再スタート。oyama kuri migita seki の4名はいつも通り精力的に正月始動。。

■コモンズ流の働き方改革

こうやって見ると、いつの間にか、薪やほだ木など、材の利活用も積極的なメンバーが集まっている格好になってきた。が、保育予定エリアの発生材は先細りの見込みだ。これはアメーバ的にダンリョク的に対応しよう。

また、従来の研修や簡単な調査に加え、今シーズンからは山菜やレクにももっと積極的に取り入れるから、場の雰囲気は、山仕事から、「楽しい恵み享受」にもう一歩移行する予定。日頃から、メンバーと立ち話したり、テントで歓談したり、メールでやり取りした内容を反映しながら、最大公約数的なプランが固まっていく。

このような「享受」は設立当初のように、「(苫東)コモンズ休暇」と呼ぶことにしたい。昨年はすでにその予行演習みたいに、コシアブラ採り、ワラビ採り、ボウフウ採りにそれぞれ丸々半日を費やし、ハスカップは丸一日、さらに秋はボリボリ採集に半日を投入したから、あれを計画的に粛々とやる、ということになる。アイヌネギは厚真へ足を延ばし、スドキ、ミツバ他はここで。希望者はサンショウ採りも。沢筋には昔はセリがあったような気がするが、はたしてどうか。

あ、里山、原野、雑木林の遊びは膨らむばかり。楽しい余談はまことに際限がない。(-_-;)



tomi-k&m さんらはマイペースでナラが主体の間伐を進行中で、3時過ぎに上がって(左上)、テントに向かう。今日も12人が、極寒のなか、着々と仕事がはかどり、夕方のテントは、kai ドクターが懸念する「密」状態になりながら歓談してしまったが、4時、薄暗くなりかけたころに散会。

*午後、高速の爆音を蹴散らしてスポーツ用スノーモービルが子供二人を乗せ薪ヤードと間伐地の間を数回疾駆した。極めて危ない(そして、うるさく迷惑)ので、走行を止めて、管理者の立場から、もう立ち入らないよう申し入れ、先方の地元住民も渋々そうだったが素直に了解した。