森羅万象に埋没する

NO.112
2020/10/03~
横浜の「きずなの森」という森あそびモデルがあった。今は別の里山グループの会報が定期的に届くので目を通すが、ホームページが実にセンスが良く、多方面、網羅的で、森の幼稚園やバザーやセミナーなど、発信力も高く多彩で素晴らしい。

それらに比べるとこのローカルな日々は、素朴であか抜けない作業を飽きずにやっていると思う。身辺にないものは上昇志向とかビジネス志向という課題性だろうか。興るもすたるもひたすら自然体で、「手自然」のイヤシロチを創ろうとしている。

「手自然」の手を抜けば、文字通り、自然に戻る。それが日本の自然、ここの自然であることに気づいた。それでいいのだ。

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ヒグマに関する勉強会で意識も新たに

2020/10/24 sat 曇り時々雨 14℃
abe-e inaba oyama kuri kusa kodama migita wada = 8 persons

■身近になったヒグマを科学的にとらえる



コモンズに関するフォーラム形式の勉強会は今回で通算8回目。昨年のシカ・フォーラムに続いて、今年はこの頃最もホットな話題である野生動物、ヒグマとしました。テーマは「今、トラジロウの軌跡に学ぶ勇払原野のヒグマ行動」。当NPO主催、土地所有者の㈱苫東さんが後援。

講師は1996年ころ、苫東の柏原でヒグマを捕獲し発信機をつけて放して、電波を追いながらヒグマの軌跡を探る調査を行った青井俊樹・岩手大学名誉教授(当時は北大苫小牧演習林長)と、当時大学院生として修士論文にまとめた、札幌の野生生物等のコンサルタント・早稲田宏一氏。

お二人は、アカデミックなヒグマの現状と札幌市等のヒグマ対策の現状を例に、苫東の勇払原野でどのような対応をするべきかを提言し、フロアからの活発な質疑で予定の2時間半を終了しました。

かつての調査は、ヒグマの存在が企業誘致の支障になる、と土地所有者が懸念を示す中で、「苫東」という地域名を公表しないことを前提に進められたため、今回の発表はその具体的な地名と位置を具体的に示しながら行われる初めてのものとなりました。

参加者はNPO会員のほか、コンサル、行政、地域ボランティア、報道関係者など総数は27名。

■消極的共存と共生の考え方

ヒグマ出没の頻度が高くなっていることを受け、苫小牧市はすでにホームページ上に「ヒグマ出没情報」として発見場所と時刻を公開しているので、苫東でヒグマが高頻度で発見されることは常に明らかになっています。そのため、これらの情報をいかに利用し、どのようにして事故を未然に防いでいくか、つまり多少なりとも存在してしまう事故のリスクを、可能なだけ低く押さえながら「止むを得ない共存」を実行していくのかが重要になってきます。

このままでは、そうならざるを得ないという「消極的共存」であり、この状況をできるだけ多くの市民と共有することによって、絶滅が危惧されるヒグマの稀な「積極的共存」に、結果的になると言えます。

事実、苫東計画がスタートして約50年、その前を含めばさらに長い間、勇払原野のこの一帯で事故は起きていないようで、このような消極的共存をあと50年も維持できれば、それは結果的に「共生」と客観評価してもよいのではないか。そのような実績を備えた産業空間は、文字通りインダストリアル・パークの新モデルととらえてもいいのではないか。

幸い、苫東はふんだんな樹林地や草原をもつ、ヒグマにとっては移動しやすいコリドーであり、急激な大型開発は当面あまりないだろうという社会背景のもとで、自然度の高い、快適でよりよい産業空間を目指していける可能性を持っています。

弾力的な緑地計画、市民も参画する自然保全活動などを内包しながら、地域が一体となって風土保全を図っていく意味は大きいと言えるでしょう。ヒグマの会が今年3月に発行した『ヒグマ・ノート』はそのようなつきあい方を知るうえで、ヒントになる事柄が多角的に網羅されており、もっと広報していくことも必要と思われます。

*このフォーラムの内容は、「開発こうほう」の来年2月号頃にサマリーを紹介する予定になっています。
*案内チラシヒグマに関する勉強会「今、トラジロウの軌跡に学ぶ勇払原野のヒグマ行動


初めてみる人のカメラアイ

2020/10/22 thu 晴れ

 
 

  
 
東京で、電通系のややビジュアルな仕事をしている娘が、遅い夏季休暇で帰省し、マオイの丘に寄り道して野菜を買っての帰り、大島山林に寄って薪の山を見せました。若干、紅葉が見えますが、まだまだです。子供のころ、キノコ採りもドングリ拾いもカヌーも大好きだった子が、いつの間にか、大学時代から都会の人になってしまって、「お父さん、ボリボリってどんなところに生えるの?」とか聞く。

見ていると、色々な構図を広場を歩いて探しながら、左右に移動し座ったり立ったり。スマホで撮った写真を LINE で送ってもらった。初めてみる父親の地域活動のフィールドをどう感じどう見たのでしょうか。少なくとも、多少は琴線に触れた風景を切り取ったはず。それと、わたしとは違って、平板でなく、メリハリをつけるようです。スマホの待ち受け画面にしたようだから、束の間の癒し系になったか。


育林コンペに集まる

2020/10/10 sat 晴れのち曇り 18℃
abe-e oyama kusa tomik & m migita seki = 7 persons

■ヒグマの来訪



この秋、初めての育林コンペの持ち山にくる。札幌ウッディーズの定例日だがだれもまだ来ていないので、とりあえず平木沼の前の自分の林に向かったが、着く早々、水たまりの泥の上に生々しいクマの足跡を見つけた。

苫小牧の東部方面の出没情報(写真左)では、1か月ほど前にハスカップ・サンクチュアリの辺で見つかって以来。やっぱりいたか、という感じだ。このあたりにドングリは落ちていないが、千歳は豊作だと聞く。

■チェンソーワークのおさらいを手伝う



abe-eさんから、間伐の本格着手前にチェンソーのおさらいをしたいと申し出があったので、わたしのゾーンでお付き合いした。かく言うわたしは恐る恐る一人で長くやって来ただけで、臆病さとエイヤの踏ん切りだけは自信があるが、テクはからきし駄目である。

とはいえ、見込まれた以上わかる範囲で初歩からスタートした。

わたしは伐倒の安全性は特にツルの扱いが半分と考えているので、クサビを使う伐倒の前に2本、オーソドックスな方法、つまり受け口を正確に作ってのち、追い口を素直に入れてツルを残す方法を実践した。この昔ながらの方法で、直径20cm以下の細い場合などは、手で押して倒すのである。手で倒す快感は格別である。時には掛かり木にならないよう少しだけ勢いをつけて木々の間を縫って倒すこともある。

これはabe-e さんの兄であるabeプロは決して勧めなかった方法だが、ツルの感触とその原理を体でつかむのには、内心、実にいい方法だと思っている。このあと、受け口を作った後にバーを幹の中心に突っ込んでクサビを打つ方法を2回、最後に「セイブド・エッジ」、NPOではoyama式と呼ばれるクサビ2枚を使う方法で締めくくった。ツルの意味がだんだん身に着いたのか、きれいに成功した(写真右)。

一方わたしは、おかげで来年の薪を確保してもらうことになった。一本ずつ、枝条を片付け、玉切りも一緒にやったので、たった正味2,3時間で0.5棚を確保できたのである。

今日は、migitaさんとsekiちゃんも早々にやってきて、ササ刈りをしていった。oyamaさん、tomik & m さんも各々のゾーンで作業。人が集まり、林は華やいだ。あと2週間で紅葉のピークがくる。

■どうも、雑木林は若い人や家族連れと似合う



札幌ウッディーズの約20人が定例の作業を行った。大都市札幌勢はさすがに大勢で、全体的に若い方が多く、女性も5,6人、子供もいた。

昼休みに、10/31に予定しているコンペのプレゼン打ち合わせを兼ねて顔を出すと、長老に当たるTさんと、いつも元気な女性のKさんと会って、久々の歓談。Tさんはもう傘寿になられるというのに、重たいハスクバーナを使って頑張っている。Kさんも数えで喜寿だという。

そういえば、わたしはあと20日足らずで満69歳だから古希になることに気づいた。

Kさんは10年以上前に両方の股関節を人工にしているので、その後の養生生活などもお聞きした。今日、作業前に密度の調査をするとヘクタール2700本で、少ないところは1700本ほどだったという。この現場が樹齢50年ほどの萌芽再生林であり、この密度が一般的でこれをまず1500本あたりまで間伐するのが常だったと経過をお伝えした。

男女を問わず色々な世代が、一見脈絡もなく動く(それぞれ理由はあるのだが)にぎやかさは、雑木林では特に似つかわしく感じる。無駄そうな動きが自然でいいのだ。

苫東コモンズは、札幌ウッディーズのように若い人の絶え間ない入会で若返りは期待できないので、妙案「長生きして、長く現役を続けること」をみつけたこと、そのキャッチはいつもの「年寄、半日仕事」だと冗談めかして、若干負け惜しみ風に白状した。

お二人の活躍ぶりをみて、わたしも無理しないでソロソロとやろうか、という気になったのだった。


刈り払い機の棚できる

2020/10/07 wed 晴れ時々にわか雨 18℃
kusa migita seki = 3 persons

■広いテントを有効に使う




今週末から育林コンペの作業に入るので、混合油や大とびなどを調達するために大島山林へ。

すでにmigita さんらが来ていて、テント資材経費の精算を済ませてから、刈り払い機の棚の位置と天井を支える支柱ポールについてやりとり。棚は妻側に立てかけた方が場所をとらないことがわかり、方針転換してとりあえず7台が据えられた。薪割り機もキャンピングテーブルの脇にセットされ、広いテントが効率よく使われ始めた。

これらの資材はmigitaさんの使用済みのものを流用させてもらったものが圧倒的に多く、おかげで新設にかかった資材経費はわずか約4万円あまり。これでまた、作業環境がアップする。

■今朝は8℃、林内はひんやり別天地




今朝はこの秋一番の冷え込みだった。林のなかも湿度があってひんやりしていた。色々なキノコが出ている。特に池そばのクルミの切り株に、ブナシメジのようなキノコが密生していた。いくつか採取し持ち帰ったが、食べるのはやめた。➡ 10/10 oyamaさんに写真を見せると毒のあるの「カキシメジかも」とおっしゃっていた。帰宅後あらためて図鑑で見ると、かさにぬめりがほとんどなかったうえ、幼菌でもかさが茶褐色でなかった。色形は毒のあるイッポンシメジやクサウラベニタケに似ていた。いずれにしろ食べなかったのは正解だったと思う。

静川は傘をさして小屋を一周する。小屋の前に大きなカラカサタケが立っていた。林は紅葉を前にして実に快適で紅葉はまだ始まっていない。


作業小屋が竣工

2020/10/03 sat 雨のち曇り 19℃
abe-e oyama kusa tomik migita wada seki = 7 persons

■広場に作業テントを新設



先週に続いて、テント新設作業。
骨組はあらかた終わっていたが、風の強い広場なのでテントがあおられないように、アンカーは強度を上げねばならない。わたしが着いた9時前に、migitaさん、sekiちゃんは先週設置した6本に、新たに6本のスクリュー式アンカーを足しているところだった。雨の予報だったが、ひどくならない、と踏んで来たものの、時々本降りになって、migitaさんと顔をあわせる。「ちょっと強いね」。やがてabeさんが到着して、順次、作業メンバーが増える。

約9m四方のブルーシート(ホクレンで特注、約1万円)でフレームを覆い、フレームの間に針金入りバンドテープで押さえる。雨はますます強くなって、雨具も蒸れ始めるが、テントで雨宿りができるのが救い。

先週運び込んだ、奥のテント(2015年11月設置)の資材を運び込み、テーブル、燃料、薪を移動した。並行してoyamaさんが中心になって薪ストーブをセット。無事、初焚きを済ませる。

新居の広さは約1.5倍。薪割り機、刈り払い機などもテントの一角に収める予定。

縦横9mのシートは妻側に折り返しを作れるように枠組みができており(長手方向に70cmずつ折込む)、それをsekiちゃんがハウス用テープで貼り付けてくれたために、なんとなくアーチ形に見えるようになった。

「彼は意外なところに美的センスがあったね」と称賛の感想が小声で漏れた。ただ、透明のシートが泥だらけで、これは来週でも洗車ブラシで泥落としせねば、と相成った。

すべての段取りをしてくれたmigita さんも「ようやく終わって肩の荷が降りた」としみじみとおっしゃる。責任感をもってリードしてくれる姿はさすがで、頭が下がる。メンバーも良くサポートしてくれた。

これで今後は、作業現場まで100m以内になり、資材のある薪小屋とテントに車を横付けできるようになった。高齢者の作業環境の大幅改善が完了したと思う。

■キノコはいったん終息か、樹洞でタヌキとばったり


3時前に作業は終わったので、さて、もう一つの大事な山仕事はキノコの観察。oyama tomik さんの二人はドロノキの方へ向かったので、わたしは昨シーズンの現場に入ってみた。アカエゾマツと広葉樹の境界あたりで、ボリボリのひと群れを見つけたが、他は散発で採取には至らなかった。

アカエゾ林の林床はすっかり変わって柔らかそうな広葉雑草になっている。間伐箇所にはこれといったキノコの新生は見えなかった。

コナラの大木に改めて対面してみると、やはりこの山では最も太いコナラだ。直径は80cm近い。ツリークライミングを頼み、枯れ枝を落としてもらった前後に、コナラの枝先に触れるハンノキやシウリザクラを伐倒して疎開させたはずだが、今はハリギリの成木(直径40cm)の枝がコナラの空間を狭めている。

樹冠の上の方がまだ透かし切れていないのは悩ましいが、このコナラだけはもうひとつのシンボルツリーとしてまだまだ長生きしてほしいので、方策を考えよう。

フットパスはもうサワシバの落ち葉で埋もれていた。キノコにとっては迷彩色になる。

今日はテントの中にコオロギが入ってきて鳴いていた。薪を動かしていたら大きさ10cmほどのネズミがササ藪に逃げて行った。

キノコ観察の帰り、数年前に伐倒したシラカバの樹洞を覗き込んでびっくりした。もぞもぞ動くタヌキとバッチリ目があってしまった。先日のヘビの抜け殻と同様、「キャッ」と心の中で叫んだような気がする。里山の森羅万象、生き物社会は本当に興味深い。
 
タヌキがいたのは直径40cmほどのシラカバの枯れ木の樹洞で、画像の履歴を見ると、2016年1月23日の伐倒(写真左)で、翌年2017年の10月21日にヌメリスギタケモドキが密生していた(同右)。タヌキはこの穴に体を丸くしていたのだ。(➡そのあと追確認したoyamaさんによるとアライグマとのこと)➡10/7地元の人に聞くと「ふるさと農園」は何ものかにかなり荒らされて、特にトウキビがひどかったとのこと。

伐倒の当時、このシラカバがこれほど枯れていたとは知らずに、伐倒はクサビを打ち込む前に倒れ、一部掛かり木にもなって、いやな思い出がよみがえった。シラカバはこのようにコントロールからはずれる (=out of control) からいつも要注意だ。