放置すると異界に化ける森と人を考える

NO.120
2022/10/01

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ヨーロッパでは、人々の憩いの真ん中に森林を備えた公園のようなもの、例えば都市林というものがあり、市民が自由に行き来する。ドイツなどでは「森なしには生きられない」などという本があるくらいだ。

日本はそれとだいぶ事情が違う。結果として人と森林は、宣伝された緑(森林)信仰は蔓延したが頭でっかちのお題目だけで、実際は分断されたように見える。造園が施された人工の都市の公園あたりが関の山で、メディアなどがムードで描くものと程遠く森林と人の間は隔絶されているに近い。それは何故だろうか。

わたしはその一点にこだわりながら道内外、国内外の森林を見てきた。うすうす、その背景はわかりかけていたところに、先般、柳田国男の『山の人生』という論考を読んで膝を打った。古来、日本の山々は鬼や山姥の住む異界であり、罪人や精神を病んだ人、現実から逃避したい世間の不適応者の隠れ場、誰でも受け入れるアジールだったのである。そしてその背景には、放置すると繁茂して暗い闇をつくってしまう日本の風土があった。かいつまんで言えば、日本の森林はそのままでは人々に「快い」ものではないのである。そこでどうするか。いささか手のかかった自然、いわば「手自然」(糸井重里の傑出した造語)を目指すのである。




土日の分散作業

2022/11/27 sun 5℃ 曇り
abe-aki oyama kai kusa tomi-k&n = 6 persons

*補足 11/26 abe-aki urabe kawam tomi-k&m oyama wada ya-taro = 8 persons

札幌ウッディーズと立会



11/26土曜日の天候が不安定で風が強いため、コモンズのメンバーの山仕事は土曜日と日曜日に分かれた。土曜日は風が強かったため、伐倒は取りやめたようだ。

わたしは数日前に、育林コンペに参加している札幌ウッディーズから選木のために立会をしてほしいというオファーがあったので、土曜日はやめ日曜日に、富士本代表、女性の佐藤事務局長と立ち会った。札ウの富士本さんらは、これまで除伐中心に来て、当初申し合わせのヘクタール1500本の密度にほぼ達したがこの後どうするか、という対策を立てたいという要望だった。

実際、札ウの現場は、まだ株立ちが多く残り樹冠が細くなったものも多いために、このまま枯損に向かうものも出てくるので、これからは密度に縛られずに「雑木林の修景」に主眼を置いて対応してもらうことにした。このほか色々な意見交換をして、これでお二人とも納得されたが、作業後にコモンズの作業跡をみんなで見に行って、佐藤さんは「論より証拠、見るのが一番、よくわかりました」と言って札幌に帰られた。

実は札ウが、こちらで頼んだ修景の段階に入らないのを入らないのは何故だろうかと疑問に思っていた矢先のオファーで、これまでの除伐中心の「伐採セーブ」から、さらなる択伐修景へのステップアップが、相互のコミュニケーション不足からストップしていたのである。これでスムーズに進むことになるが、フィールドをたくさん抱える札ウの今年の育林コンペはまた来春、ということになる。

焚き付けを確保

日曜日の育林コンペには6人が顔を出した。初冬の寒さだったが山仕事にはちょうど良い。わたしのブロックにもya-taroさんが手掛けたらしい作業跡が見られ、どうやら三々五々、マイペースで休日などにこの里山で作業をしている構図が見える。



小屋に焚き付けがなくなっているので、カラマツの枝をリヤカーに集め、一緒になったbe-aki さんにホオノキ中心の小割焚き付けをつくってもらった。さらに冥想テラスやベランダに置いた端材をすべて小屋の床下に動し、格納した。

ブルーテントの格納棚がデビュー



この秋から、薪ヤードの除雪体制を組み直している。

まずは薪ヤードの入口を町内除雪の置き場にされて入口がふさがれてしまうのを避けるため、安平町役場と 11/30 am に立会することになった。その簡単な位置出しをした。また、今週末には、サイン担当のtomi 夫妻がグリーンの看板を立ててくれる段取りとなった。表示はズバリ、「苫東コモンズ 薪ヤード入口」。

一方、ママさんダンプなどの除雪機材はキャリー4台、雪かきスコップ3本も、担当のabe-aki さんが早速用意した。

昨日の山仕事は伐倒を避けたため時間ができて、燃料などの格納棚が整備された。血液型A型の人が主導したのではないか、と想像されるような、きちんとした光景になっていた。お茶道具セットなどの棚も、朽ち始めていたものを捨てて、wada さんの手になる堅固な棚がデビューした。いずれも手作り感、満載である。

こうしたながれや仕組みを振り返るつど、このごろ思うのは、コモンズがゆるい作業グループを超えて、「チーム」になろうとしているのではないか、ということである。それも野球ではなく、サッカータイプで、分担を持ち、しかも縦横無尽にカバーする、一人はみんなのために、みんなは一人のために、そんなイメージになりつつある。よく動いてくれるメンバーの好意に単に便乗する、という関わりだけでは持たなくなってくるかもしれない。




秋、深まって


2022/11/19 sat 9℃ 曇り時々雨のち晴れ
abe-aki abe-e urabe oyama kai kawam kuri kusa naka-f&s tomi-k&m wada ya-taro = 14 persons

いつもの作業、しかし、そこに各々のドラマあり



今日も淡々と自律的に作業が進行した。このところ土場Aを定位置にしているので、今日は昼前にBに行ってみた。wada 塾は、今、kawam さんとabe-e さんを塾生としていて、太い丸太に挑んでいた。昨年まで、除伐専門になっていた反省から、生産性の高い除間伐を目指して自分の薪5.4立方と、事業費に充てる数立方も自賄いするアプローチである。このままだと今季のスキルアップは確実視されている。ポータブルウインチを用いた集材も並行している。



土場Aも着々進行している。突如、バキバキという音がしてホイッスル予告なしの伐倒が散見されたが、枯れ木などの事情もあった模様だ。わたしはホイッスルが見つからず伐倒時、手袋を脱いで指笛で対応した。ホイッスルは実は腰のベルトに付いていて、気が付かなかっただけだった。残念ながら、指笛は100円のプラのホイッスルに格段に劣るのは認めざるを得ない。

このところ、北に向かうフットパスと両側20mずつ整理しているが、労力の割にはなかなか見た目が判然としない苛立ちがある。除伐と修景的な整理は材は少なく、手間を取る仕事だが、来春まで見違える径を創りたい。



寸暇惜しんで晴林雨読生活をコツコツ邁進


2022/11/16 wed 晴れのち曇り時々雨 朝3℃、午後8℃
solo-work

一人の山仕事



勤め人仕事をリタイヤしてからの晴林雨読生活は天国だ。人生は70歳からだ、という年寄の迷い言のような口癖を地で言っている、という言行一致感覚がこれまた気持ち良い。毎日、この預かった my satoyama で時間を過ごしたいが、意外と雑務もあるし、片道30km弱というのは近くもないので平日は週の中日だけとなってきた。

今日は午後から土地所有者から呼び出し依頼あったので、昼までのつもりで来た。小屋の薪ストーブに火をつけてから、先週やり残した5本の玉切りを片づけただけで、もう11時となった。新たに2本伐倒して枝を片づけたらいい時間になって、小屋で今日の打ち合わせで話題になりそうな資料をおさらいした。

里山的な山仕事は、あまり意気込まずにちまちまと時間を費やす位があずましい。こうすれば長続きするし、なにより、心が開放される。

■苫東の緑の資源量


打ち合わせは、土地所有者・苫東が外部委託している、緑資源の理活用方策の検討に関するもので、在京の有名な大企業の担当者お二人から、わたしがヒアリングを受ける格好だった。

かつて、つた森山林、平木沼緑地、柏原地区の施業方針について、NPO苫東コモンズが3回にわたり調査を受託して林班ごとの現況と保育の目安を提案したことがあったが、今回は苫東全体の緑資源のデータベースを作り、施業や管理の方法を検討していこうというもの。個別対応はともかくとして、まずあらためて新しい令和の時代の全体計画の元をつくる、というのが土地所有者のねらいのようである。

ヒアリングでは、プロジェクトがスタートしてから約50年の、緑地に関する関係機関の考え方の変遷なども含め、これまでマニュアルもなく手探り状態だった「ミズナラ・コナラ林の保全」について、ようやく見えてきた保育の見通しなどについて、ここの林に関わってきたものとして数々のエピソードを交えて所見を述べつつ意見交換した。(写真は先方のプレゼン資料の表紙など)

世間では、木が生えているのだから木材を売ってビジネスに役立てればいい、という意見が良く聞かれるが、儲けを出すのはそう簡単ではなく、かつ、それを長期的に確実に継続させる約束などは、土地所有者としてできない相談であろう。そもそも、苫東緑地は公共が担保する、というのが当初の約束だったから、民間の苫東としては、重すぎる荷物を背負わされていることになる。とはいえ、そもそも現況を把握し資源量の実態を明らかにしてみないと始まらない、というスタンスとみた。

話を現実の林に戻すと、勇払原野の苫東は、薪炭林として活用してきた低林施業が最も適した施業方法であるというのが、個人的な到達点であるが、その優れた点は、

「基本的に放置してよい」
「薪などに活用できる」
「萌芽再生によるので森づくり経費が掛からない」
「未来に向けて維持できる」
「ニドムのようなリゾート地を創るポテンシャルをもつ」
「多種多様な生物の生息空間になる(なっている)」
「お金のかからない積極的放置ができる」

などで、その管理に多様な主体がさまざまな形で参画できる、緩やかな管理をどうやってコーディネートしていくか、が問われているような気がする。近年注目されるコモンズ的発想がそこにどう関われるのか、そんな視点でも注目したいと思う。また、地域住民も、ここで働く人も利用できる、いわば一種の「都市林」というとらえ方も視点の一つとしてあげておきたい。




風景改善のわざと喜び

2022/11/12 sat 晴れ  14℃
abe-e oyama kawam kawai-h&m kusa tomi-k wada = 8 persons

シーズン2日目で見える変化





今シーズンの除間伐に着手して本番2日目。合計8人、ふたてに別れての作業となった。東側の沢地では、正面土場を kawai 父子、右手の沢を tomi-k さん、北に向かうフットパス両側をわたしが担当して黙々と作業が進む。黙々と汗をかいたが、実際には4台のチェンソーの音でワンワンの喧噪状態。しかし、場に勢いがあり確実に風景が変わっていくのが、ちょっと離れた位置で見るとよくわかる。

わたしはといえば、新しいチェンソーにも慣れてきて、径25cm前後を5本、枯れ木を5,6本片づけた。ホイッスルを吹いて最後にクサビ2,3回たたいて思った通りの方向に倒すシーンは癖になる。にわか山子(やまご)を魅了する。枝を処理して玉切りして径まで小運搬し、かつ風景としてのおさまりをみた若干の手直しなどしていると、これで正味4時間たっぷりかかる。

こんなことを3~5日すれば、少なくとも自宅分の薪程度は作ることができる。今年は除伐が多くないことと、苫東コモンズの伐倒レッスンに秀でた wada 塾が新しい塾生2名を引き受けたので、生産力が増強されるものと期待される。それにメインは11月と12月の無雪期作業だ。

途中水を飲んだり、燃料を補給したりする以外は、ほとんど動きっぱなしだから実にいい運動である。半袖の下着にサラリーマン時代の古ワイシャツ1枚で汗をかく程度とはいえ、70を超える老体には疲れる。。良く動ける理由というのは、実は雪がないおかげだ。雪というバリアーがないから、北海道弁で言う「ハタラカサル」訳である。

チェンソーをいつ引退するか

この夏、卒寿のお祝いをした migita さんがちょっとさびしそうだという声がちらほらと聞こえる。気のいい若い仲間たちと一緒に冬場の作業ができないのは、確かに週末にぽかんと穴が開くようなすき間が生れたのは想像できる。メンバーはみんな優しいから、そんな声が自然に出るが、かといってあらためて何か安全に手伝ってもらうような妙案ないか、となんどか話し合っても実際には見つからなかった。作業テント、冬の除雪ではハウス技術やトラクターを駆使してスムーズで快適な作業環境を提供してもらい、薪割りを専門にしてくれたから、わたしたちは他の仕事に就くことができたのだから感謝してもしきれない。ただチェンソー仕事は違う。

そもそも、チェンソーワークは機敏な若者でも危険であり、とっさの瞬発力で難を逃れねばならないことも多い。そのうえ、土地所有者とのコモンズ協定の本旨からいっても、事故は禁物である。これまでも一般の会員の間では、肉体的にもつらくなったのでなんとなく75歳で区切りをつけたい、という方もいたし、そこは自分の身体能力と、人生の残された時間を見極める時期が個々に訪れるようである。

そういう意味で卒寿で引退していただきたいという請願は、わたしの苦渋の選択ではあった。ただ、卒寿と言えば90歳である。奥さまやお子さんたちのご心配も聞いているので、今朝奥さまにお会いした時も事情を直接お伝えしたが、やはり同じご意見のように伺えたから、わたしたちの選択も間違っていないように思える。ここは時間が解決してくれるのを待つしかない、というのが個人的な結論である。




コモンズのヒアリングと山仕事

2022/11/09 wed 12℃ 晴れ
solo

■柳田良蔵さんと




毎年必ずやってくる落ち葉浄土の世界。

今日は札幌から柳田良蔵さんを静川の小屋にお迎えして、広義・狭義のコモンズについてのヒアリングを受けた。柳田さんは北大の建築を出られた方で、農村空間や屯田兵村の研究を(も)されている。長く建築デザインのコンサルをされたあと本州の大学で教えていたが、里山や地域づくりの関係で、だいぶ前から接点があり、こちらも貴重な話を聞いてきた間柄である。聞けば、近く出版を控えているらしい。

今回は、なぜ、あまり実践例のない、まれな空間をここにコモンズという名前で創ることになったのか、そして出来つつある背景などについて、意見交換しながらの3時間だった。早めに来て小屋の薪ストーブを焚いて準備していたのだが、なんとなく外をご希望だったのでオープンテラスで微動もしないで口だけ動かして過ごした。トイレに1回立っただけであっという間だったが、さすがに寒く、わたしはパタゴニアのマンパーの上にアルバータの厚い羽毛服をはおり、柳田さんはウールのコートに毛糸のマフラーのいで立ち。後半は手が凍え、震えが来た。

■山仕事





ヒアリングを終えてすぐ育林コンペのマイ・フォレストで作業した。1時半を過ぎていたので少しあわてて小屋をでたせいか、燃料を忘れたのに気が付いた頃に現場到着。直径12cmから24cmまで合計5本をまず倒すだけ倒して、6本目(中段左)に差し掛かったところで、とうとうガス欠で途中終了した。来週出直して玉切りと新しい間伐に取り掛かることにしたころ、周辺はもうマズメドキに差し掛かっていた。晩秋の一日はさすがに一日が早い。

ところで、落ち葉浄土はかわらず美しい。帰りの林道で、キジバトが3羽、無心に何かついばんでいる。林道徐行はプリウスの電気作動で静かに進むので、キジバトは全く気が付いていない。わざわざ2,3mまで近づいてきた。なにがそんなについばめるものがあるのか、上木を見るとどうもサワシバくらいしかない。あの松かさのようなものから落ちた実を食べているのだろうか。よくそんな小さなものを見つけるものだと感心しながら見守った。

小屋前のウシコロシの黄葉がかそけき晩秋の紅葉風景を彩っている。地面が濃い落ち葉色になった分、黄色が目立ってきたのだろう。横に張る枝がなんとも邪魔にも思えるけれども、アカマツが曲がるようにこれがウシコロシの個性で、静川の小屋周りの大事な植生であると思って伐らずに残して来たら、小屋の周りのシンボル的景観となった。それが「雑木林&庭づくり研究室」のバナーである。↓

林相の中間を占める樹種の多くがウシコロシのため、林が時に黄色に見える年がある。

   

小屋の窓から見る風景はあいかわらず好ましく、良い。灯り採りのために新設したものだったが、奇しくも雑木林風景を切り取る「額縁的窓」となった。小屋が暗いからこそ生れる和みだ。


オンコ薪の正体や、いかに

2022/11/06 sun



今朝は、薪ストーブの焚き付けに、隣家がオンコを片づけた際にできたという枝を使ってみた。他の焚き付けと混ぜてあるから、決して多くない量なのだが、ものすごくパチパチ爆ぜた。異形の薪や、色々な樹種を燃やしてみるのは望むところだからこれまで使ってきたが、これは経験のない爆ぜ方だ。

となると、migitaさんからもらって、先日割って自宅に運んだオンコの薪(写真)は、どうなるのだろう。ガラス扉が壊れるほど爆ぜることはないと思うが、少なくとも扉を開けておくと火の粉が飛んで床のフローリングを焼いてしまいかねない。たった1,2cmの太さの枝がこれでは先が思いやられる。2,3年乾燥させてからの話しだが…。



2022年秋の里山仕事、始まる


2022/11/05 sat 晴れ 13℃
abe-aki abe-e urabe oyama kai kawai-h&m kawam kuri kusa nakam tomi-k wada = 13 persons

フットパスの評判と山仕事開始

「すごくいい径ができましたね。沢筋の径は大島山林になかったので特に素晴らしく感じます。」

「まだ始まったばかりで、今、本格的に除間伐も入りますよ。来年の新緑を期待してください。」

「それにサインもベンチも素晴らしい。あそこに座って食事でもしたい感じです。」

「ありがとうございます。」

遠浅の山林散策利用者がコナラのフットパスなど、今シーズンの歩く環境をこのように評価していた。まだ、ヤブを切り開き始めたばかりだが、ニュースレターなどでPRしたのが少し届いたようだ。これは山仕事のまたとない励みになる。



二つのエリアに分散しての今年の作業が、先週の伐倒研修に引き続いてソロリと始まった。ソロリとはいうものの、競走馬がスタートラインで前足を蹴りつつスタンバイするかのように、チェンソー初日は集合時刻も早くスタートしたように思う。かつ、伐倒も素早い。世代交代はまず伐倒の素早さに出ている。かといって安全意識もほどほど進んでいて、今日は伐倒前のホイッスルの呼びかけもよく行われていた。

かくして、精力的に、かつスムーズに2022年秋の除間伐が開始した。
土場Aは7人、土場Bは6人。除間伐の作業は、伐倒と玉切り、枝処理、藪だしと続くが、技術を求められる伐倒に比べると枝処理は地味で面倒で嫌われがちだ。しかし、メンバーは雑木林の修景、ひいてはフットパスの沿道風景改善の意味もよく熟知し、適宜、取り掛かっていた。このまま行けば見違えるような風景になるだろう。



わたしはコナラのフットパスを北に向かって再度切り開きながら、フットパス沿いにさらに小さな土場を2,3設けるために拡幅を始めた。その際にツルや倒木もなんとか風景として治めるために結構無駄そうな仕事が見え隠れする。

その一つが切り株の「戻し」だ。北大演習林でかつてブルによる林道づくりで押し倒され放置された切り株が、沿道風景を台無しにするという反省から、ブルで戻したことにちなんでいる。「戻し」はわたしが勝手に命名したものだが、苫東コモンズではその後、風倒木の根返り木で数年経過して根が腐れた頃を見計らい、この「戻し」を試みてきたが、何事もなかったかのように見えるのが実に面白い。フットパスを拡幅しながらこんなことをしていて3時になった。

エノキタケ



2週間前にエノキタケを少量採取したヤチダモの根元を、kawai-h さんが伐倒しているとき、葉っぱの下にオガクズだらけのキノコがある、と教えてくれて、2房のキノコを譲ってもらった。エノキタケだったが、落ち葉の下にしっかりと次のものが出ていたのだ。

帰宅後、水につけておがくずを落とすと、きれいなエノキタケが顔を出して、ちょうど無農薬大根が届いて葉っぱを軽くゆでたばかりだったので、少量散らしていただいた。新鮮なとれたて青物ともども、今季待望の秋の味覚だ。幸せである。

個人的には、11/5 は新しいマイ・チェンソーのデビューだった。

スチールのMS201-CEMで、ヘッドギアもついでに新調した。チェンソーは股関節の不具合を感じてからは、極力、軽いMS152という軽いものを愛用していたから、5kg近いチェンソーは久々で、やはり結構疲労感があった。



ハルニレの大木に出会う


2022/11/02 wed 晴れ 14℃
solo

赤に見惚れる



オンコの薪を運ぶために薪ヤードに来たついでに、林を歩いた。紅葉は終わりに近づいており、先週は社台ファームの道道沿道が圧巻だったが、今日は、広場のはずれがわたしには饗宴状態に見えた。コナラのフットパスの入口である。



エノキタケとムキタケは相変わらず顔を出してくれるが、エノキは多くない。やはり、倒木の多い、切り株に苔が生えているような湿った環境が楽しめそうだ。懸命に除間伐したエリアは、その点、やや乾燥気味に見える。シメジはまだ顔を見せない。

大木に出会う



倒木の多い一帯を歩いていたら、ふとハルニレの大木に出会った。ドロノキのシンボルツリーと並ぶような太さで、まだまだ元気がある。付近まで径をつけて周りを疎開してあげようかと思う。それにここは、苫東で最も標高の高いところである。とはいえ、せいぜい標高25mだが、名前を付けるとすれば「苫東で最も高いところにある最も太いハルニレ」ということになろうか。

苫東の中は、ほぼ半世紀の間にかなりくまなく歩いてきたが、こうやって思わぬ大物に出会った時の喜びはひとしおだ。遠くからではなかなか見つからないのが面白い。神々しくて、保残木としてテープをつけるのはさすがに憚られた。



先週の土場づくり跡では、遠くから真っ赤なものが目に入った。ヤチハンノキの木口である。これから年末まで、ホームグラウンドをこうやって歩くのが楽しい。一期一会の発見がある。



チェンソーのスキルアップで自主研修


2022/10/29 sat 晴れ 14℃
abe-aki urabe oyama kawai kawam kuri kusa migita tomi-k&m tomiz wada ya-taro = 13 persons

チェンソーの勘は戻ったか?、安全意識は万全か?




いよいよ今シーズンの除間伐作業がスタートする。先シーズン1,2月の大雪の反省などから、今季からは11月と12月に主たる伐倒作業を終えることとしたので、紅葉がほぼ終わって落葉も進んだ来週11月5日に本格着手である。それに備えて、安全確認、伐倒手順のおさらいを行った。

数年前まで、伐倒のプロ、abe-b 技術顧問が担当してくれたが、今は療養中なのでガイダンスをわたし、クサビを使った伐倒デモをoyama tomi-kのお二人が担当した。ついで、ya-taroさん、kawai-h さんがトライアルした。いずれも個人的につかんだ手順や作業要点を口頭で伝えながら試技をしたが、どの伐倒もきれいに思い通りの方向に倒れた(いや、倒した?)。伐倒後は切り株の前に集まり、伐倒の手順や目安は正しかったか、みんなで評定したのはもちろんである。



今季からは斜面も含まれるため、藪だし作業にポータブル・ウインチ(以下,PW)を導入するので、午後一番、その操作を学んだ。コモンズは数年前の2シーズン、このPWを用いて経験済みだったが、今回はabe-akiさんが個人で購入した機材を借りての作業である。アクセル付き新機種でなかなか便利である。丸太を載せるヘッドの取付、誘導、滑車の利用など、一通りの操作を体験した。これらの作業は、2か所の土場で12月に本格稼働の予定である。



午後のPW研修に続いて、もう一つの土場予定地に移動して、林相を確認し、選木や搬出のシミュレーションを試み、これからの段取りを話し合った(上左)。「散りモミジ」状態で、いよいよ紅葉ピークは過ぎつつある(上右)。

中広場のベンチ



一日の終わりに、中広場の破損したベンチを補充した。原因不明の壊され方だったのが気になるが、ホームセンターでは一脚の単価が半額になっていたので、二つ追加して合計3脚とした。もし自宅そばにあったら、毎日でも訪れたい雰囲気である。

ベンチの背中合わせにあるアカエゾマツの林に踏み入ると、林縁のシラカバの切り株にエノキタケのひと叢を発見した。この出方であれば、ていねいに林の中を歩けば、かなりのエノキタケがありそうだ。みぞれが降るころまでのこれからが楽しみである。



待望のエノキ、採る


2022/10/26 wed 快晴 13℃
kusa migita seki = 3 persons

冬に備えて




破れっぱなしだった作業テントを補修した。migaitaさんに農業用ビニールハウスの切れ端をもらって、パッカーを外して再度挟み込み、風で煽られないよう強力テープで隙間をつないで完成。

3人並ぶとちびっ子三人組みたいだが、バックの紅葉と薪棚が整然としているため、いい記念写真となった。10/26 という日は例年なら紅葉の盛りだが、もう少し赤く、あるいは黄色に色づくのではないか。

10/23 はわたしの山の先輩が職場の山好きを連れてフットパスを散歩に来ていた。勇払原野の雑木林を堪能した模様。お礼のメールには、「ウトナイ湖に始まり、遠浅の駅と神社、メインの大島山林、そば哲と鶴の湯温泉、おまけに島松駅逓と随分、寄り道をしました。」とあり、数十枚の写真が添付してあった。巡ったツアーコースが、しぶい。

フットパス外周枝拾いと選木のテーピング




ひとりの山では昼食は取らないので、migita さんらと別れたあとはそのまま、懸案のフットパスの枝拾いに出かけた。20年近く使ってきた、枝拾い専用ボッコを駆使して外周一周のコースで、落ち枝を拾いまくった。大枝と中程度はほぼすべて、細枝もほぼ径の脇にぽいとはじくように移動させ、ざっと数百本はフットパスから除去した格好。

もちろん、紅葉のほぼピークを快晴の中で眺めまわるのは、山仕事冥利に尽きる。
皆伐試験地はシラカバとコブシの背比べの最中で、その中にはナラの3mクラスが混じっているので、皆伐さえできれば一斉に更新が可能であることは立証されたと考えていいのではないか。最後は樹齢80年程度で皆伐して更新させることにして、その間、何回間伐を試みるか、である。

ベンチ周りは「散りモミジ」だった。途中からフットパスを離れて「コナラのフットパス」へ向かってヤブを漕いで斜め横断した。週末のチェンソースキルアップ研修の土場用地と伐倒デモ用間伐木にテーピングをするためだ。20m四方程度の見当をつけてマーキングし、ポータブルウインチを懸架木と滑車を取り付ける木などにテープをつけ、伐倒デモ候補も何本か目印をつけると、ようやく土場のイメージが湧いてきた。

ここまでで歩いた距離は6.4km。わたしのリハビリにはちょうど良い距離だった。

今年の山菜を締めくくるエノキタケに遭遇



今年も勇払原野の恵みは十分楽しませてもらった。アイヌネギ、ミツバ、コゴミ、ボウフウ、フキ、ワラビ、スドキ、コシアブラ、アズキナ、ハスカップ、サンショウ、それに川エビである。キノコ類は、ブナハリタケとチャナメツムタケを採った以外、楽しみが途絶えていて、ボリボリはほぼ諦め、残すはマイタケとエノキと考えていた。

土場予定地の薮を漕いでいて見つけたのが、写真左のエノキタケの一塊。途中、手つかずのムキタケもあった。小さなムキタケは、和風出汁をとっておすましにした。大きめのムキタケは、「ムキタケのふかひれスープ」にして食してみよう。



また、昨日は栗をいただいた。これを包丁で切れ目を入れてからアルミホールに包んで、オーブンで5分と薪ストーブのオキで15分の二通りで試してみた。結果、薪ストーブの方がやわらかく甘みもあったように思う。どちらもけっして食べやすいわけではないが、10個ほど食べてみて、なんと1万年前の縄文人を想像してしまった。


NPO苫東コモンズの総会にて

2022/10/22 sat 17℃
oyama kawai-h&m kawam kusa naka-f&s tomi-k wada migita ya-taro + guest/ tsuzuki = 12persons

13回目の総会



紅葉が始まった苫小牧市静川の雑木林ケアセンターで、第13回目のNPO総会を開催した。参集した会員は11名で、そこに名古屋から会友が1名飛び入り参加した。ほか9名の委任などがあり、ほぼ全員参加の状態で行われた。

総会と言っても、過年度の決算と、すでに進行している新年度の事業について、春の理事会の追認をするのが本題になっており、総会の本命は「各進捗状況の報告と活動の予定と懸案」についてであり、たっぷり密度の濃い意見を交換する場となった。正午過ぎには、BBQをつまみながら歓談。

小さなNPOだから形式ばった進行はなく、横道にそれながらの会であったが、話し合いがメインの全体打ち合わせは滅多にないことから、経緯にも詳しい運営役員と会員の質疑応答や情報交換は十分に意味があって、これからの方向性もナントナク見えてくるという、いささかいい加減な会でもあった。しかし、それが良い。歩きながら、動かしながら適当な方途を探して蛇行しながら進められるのは、小さな自立した会の強みであろう。

決算や予算、土地所有者との協議案、行政への事業報告など内容自体を、わたしが事務局として資料作りをするのはこれが最後になるが、まずは13回(13年)、無事来られたことについて、これまで関係された方々に感謝したい。

紅葉の今




雑木林は今日も実に美しかった。かそけきフットパスも幹線の林道も、このまま歩き去るのがためらわれるほどなので、用もないのに落ち葉を踏みつつ径を外れてしばしたたずむことに相なった。

白い妖精、コシアブラの白い葉にも思わず足を止める。そこで径で走る若い人とすれ違った。オリエンテーリングの大会のようだった。参加したアスリートたちは、紅葉が素晴らしかった、などと語っているのだろうか、少し聞いてみたい気がした。



紅葉ピークまであと1週間の風景

2022/10/19 晴れ 13℃
solo

大島山林にて



先週、土地オーナーが大小の広場全体を刈ってくれた(2回目)ので俄然、整然とした草原に替わった。芝刈り用のモア2台でも1日近くかかるかなりの大仕事のはずだが、できればもう少し早く刈ってほしいとは言っても、これは致し方ない。来年に向けて要望はしておいたが、その際には、草の茎が堅くなる8月以降は、コモンズの刈り払い機ごときでは手に負えないという実情も、念を押すように付け加えてお伝えした。この規模は本当なら大型トラクターの出番だと思う。

ところで、いただいたオンコのうち、節だらけの丸太を中広場の奥の薮に運んだ。雑木林を「自然の力で腐らす天然廃棄物処理場」と見立てての扱いだ。昨今はコモンズの作業に関連して発生する木灰など木質系の不要物は林内に散らして持ち込むことでずいぶん気が楽になったと思う。ゴミは基本的に薪ストーブで燃やす。公共にごみ処理を頼むことを考えればずっとリーゾナブルだ。

巷では、森林を大事にするあまり、盲目的に神格化させている。家庭からでるゴミは見えない処理場で処分されるだけで、環境にやさしいのかどうか、よくわからない。雑木林の天然廃棄物処理場は、規制ランクをふたつみつ下げたようなものである。コロナ対応を2類から5類に落とすようなものか。

これはしかし、マナーやルールを内に秘めて自律的なコモンズのようなグループしか、採用できない特権的な手法だろうと思う。フリーアクセスで野放図になりかねない一般庶民行為を管理するのは、実は大変難しい。一般のフリーは散歩のみということになる。

ところで、例年、紅葉は決まったように10月25日ころにピークが来る。そろそろ始まってはいたが、奥のベンチもまだご覧のような状況だ。

静川の小屋にて




大島山林を歩いた後、車を南の静川に移動する。

直線で2,3kmしか離れていない静川の小屋だから、紅葉の進み具合は似たようなものだが、モミジ系がどのように混じるかで、微妙にニュアンスが違ってくる。加えて、静川は黄葉するウシコロシ(和名はワタゲカマツカ)が多いから、紅葉に黄色が混じるために独特のものに感じる。

ここで、車に常備しているテーブルクロスを敷いて、「北の森カフェ」を展開する。

と言っても昼食は抜いているのでココアのお湯をわかしただけだ。テーブルのあるオープンテラスは、総会や研修など野外の会合用のほかに、実は森カフェの雰囲気を作りたいという下心もあって絵コンテを描いてoyama 棟梁に設計制作をお願いしたものだった。いつもはカップ麺やレジ袋のオンパレードになるが、ちょっとこぎれいにしつらえようとすると、まあまあ、期待した雰囲気に近づける。

リフォーム中の小屋も落ち着いてきたが、軒下の窓は依然として明るさが不足していて、小屋の日誌「雑木帳」を開いても卓上に灯りがいる。

林を出る手前で逆光に輝くススキ原が目に入った。と同時に午後3時過ぎの光線が、随分と長い日脚を作っていて黄昏気分をいや増す。

フットパスと雑木林の林床を、キノコかごも持たずにぶらぶら歩いただけだったが、万歩計は4.5kmを示していた。冬の山仕事に向けたリハビリとしては、こんなマイペースでちょうどよかった。山は、こうして心身をリフレッシュしてくれる。有難いことである。




「コナラのフットパス」を歩く


2022/10/12 wed 晴れ18℃
solo

紅葉前の雑木林観察

10月という時期は、蚊の発生も収まり晴天が比較的多く、紅葉の前、中、後とも、散策に都合がよくて、かつ気持ちが良い。キノコが見つかることもあるが、むしろ、あてにしないで歩く方が和みや癒しに近くなるようだ。




こんな日は歩かない手はない。

さて、これからの山仕事(除間伐作業)にあたり、材を集積する土場を造る計画である。土場の予定地は、この春に創った「コナラのフットパス」のほぼ中間にあたるが、土場のスペースを確保するためには実際、どれほどの皆伐をすればいいのか、チェンソーのスキルアップ自主研修をするにあたっては、そこに十分な試技木があるのか、あらためて下見してみた。

漠然と見ていた春とは、やはり観点が具体的になっているから、細かいところも気づき今回の下見は有意義だった。フットパスは未完成だが、この際、拡幅しながらさらに伐り進めて整然としたものに代えていきたいところだ。

林に入ってみると、先週よりはキノコの種類が多い。採ったチャナメツムタケも小さくぬめりが多く、若いせいか、土臭さがない。数日前にもたっぷり食べたので、探せばいくらでも採れそうだが今日はほんの少量で止めた。家人とふたりならこれでも十分だ。ただ、もしかすると今年はボリボリにはありつけず、チャナメで終わる可能性が出てきた。

ちなみに雑木林はほとんど紅葉していない。ウルシすら緑のままだ。折角のベンチも、まだ紅葉を堪能するための出番がない。ドングリは久々の豊作だ。

オンコ薪を積む



帰り際、先日割ったオンコの薪をパレットに積んだ。高さ1メートル、長さ1.5メートルで2列だから空隙込のボリュームは1立法メートル強。しかしオンコがぬれているためにスカスカに積んだので正味は多くない。それどころか、ご覧の通りの異形の薪ばかりだから、きれいに積もうにも積めないシロモノであった。誰にも声をかけないで正解だった。勧めたら、大方に尻込みされ顰蹙を買ったかもしれない。

しかし、異形の薪を焚く愉しみは格別である。そんなことを小さく独り呟いていたら、facebook の薪ストーブのグループには、暴れた薪を焚くのが楽しみだ、という本州人の投稿があった。薪材が比較的潤沢な北海道に比べ贅沢は言えないという事情もあったと思うが、これからは少しは声を大きくしてもよさそうだ。明朝は冷え込むようだから、今季の初焚きにしようと思う。



北大研究林でキノコ採集


2022/10/09 sun 晴れ 無風 17℃
oyama kusa tomi-k&m saitoh-pair = 6 persons

熊ノ沢林道でキノコ探索

フォーラムの翌朝は午前9時から北大研究林の熊ノ沢コースに、講師を含む6名が参集しキノコ採集に興じた。この日歩いた距離は約4km、所用時間はちょうど3時間で、正午に出発点に戻った。案内役は、胆振菌友会会長で苫東コモンズ会員のoyama さん。


主として広葉樹林、時にはアカエゾマツやトドマツ林にも入った。

齋藤さんは一番目ざとくキノコを見つけた。右の写真は彼がいち早く見つけた大量のブナハリタケ。わたしは夕方ゆでこぼししてから前日のチャナメツムタケと一緒に、お味噌汁にして食した。

キノコの山巡りはキノコがあまり見つからなくても、「山歩き」という点で楽しい。熊ノ沢は特にマイタケを採った実績のあるナラの大木も多く、左の記念写真はシナノキだったかもしれない。驚いたのは、スドキの繁茂。45年ほど前、熊ノ沢413林班にはスドキがある、と演習林の方に教えてもらい初めて訪れたところだが、今や、全山スドキがある。静川の実験でも気づいたが、驚くほどの拡散力だ。

アサダの木に小さいものがなっている。tomi-k さんの双眼鏡を借りて覗くと球果の房だった。エゾマツの枯れ木は直径60cmもあるキツツキの大型アパートのような見事なものだった。あたりにはエゾマツはなく単木だったから、ここの潜在自然植生でクライマックスに当たる風景の名残のように見えた。

キノコ採りは、キノコ採りの「人がいる林の風景を眺める」だけでも和む。少しくすぐったいが、これも「癒し系」であろうか。熊ノ沢は苫小牧の市街地から見れば、奥山にあたりヒグマの心配も高いから市民は意外とここまではやってこない。しかし、実際は人のいない和みの空間であるのは、この半世紀も、まったく変わっていないようだ。

それにしても大木が残る林は、歴史の中を歩くような深みがある。勇払原野に広く広がる、薪炭をとった萌芽再生の一斉林とは、所詮厚みが違う。格の差に近いものがある。

正午に戻って、林道が交差する広場で、お弁当を開いた。わたしはキノコは何も採取しなかったが、アカエゾマツの間伐作業エリアで見つけた牽引ワイヤーという、これから大事な錆び切った戦利品をみつけ担いで戻った。

このあと、齋藤さんを支笏湖の休暇村に案内した。飛行機搭乗まで時間がたっぷりあり、聞けばせっかくだから温泉に入りたいというので、湖の向こう側の秘湯・丸駒温泉をお勧めした。夫妻がさっそく丸駒に向かうのを見送って2日間に及ぶ癒しの森づくりフォーラムとエクスカーションは終了した。




「東大式癒しの森づくり」でコモンズフォーラムNO.9

2022/10/8 sat 曇り時々晴れ 18℃
abe-aki oyama kawaih&m kawam kuri kusa tomi-k&m migita wada + nomura-pair kodama maeda= 15
nishino+women tomamin-kawa = 3
saitoh+saitoh = 2 total 20 persons

フォーラム前に講師と現地回る



朝8時半、フォーラムの講師をお願いした斎藤さんご夫妻と市内のホテルで落ちあい、苫東コモンズの現地を巡った。まず、緑地の拠点でもあるつた森山林、静川の小屋、そして会員が作業中の育林コンペゾーンへ。ここでメンバーと短い懇談のあと、昼食は「そば哲」。帰り際、裏でそば打ちをしていたご主人に聞くと、今日のそばは沼田産、11月ころには知床や中標津など道東産が出てお薦めだ、と話していた。近いうち再訪の約束をした。

第9回のコモンズフォーラム

勇払原野の一角を占める苫東において、コモンズの考え方に基づき動き始める前には10年近い潜伏期間のような時間があって、NPO設立の2年前から準備し、前年に第1回目のコモンズフォーラムを開催した。フォーラムは、コロナなどで休んだ年を挟んで今年が9回目にあたる。各フォーラムのサマリーは下記のとおり苫東コモンズのホームページのフォーラムのコーナーにリンクしているので参照願いたい。

第1回 2009 「苫東環境コモンズがめざすもの」
第2回 2010 「環境コモンズの視点で見直す苫東の風土」
第3回 2011 「苫東緑地のフットパス利用と森林健康」
第4回 2014 「ハスカップの新時代に向けて」
第5回 2015 「ハスカップの新たな共有と保全を考える」
第6回 2016 「人口減少時代の自然空間管理」
           ~その担い手と手法を考える~ 
第7回 2019
「シカの食害が雑木林の存続を危うくしている」
第8回 2020
「勇払原野におけるヒグマの移動経路から共生の道を考える 」
           ~トラジロウ」の追跡調査結果から~

さて、9回目は、身近な森や林をどう育て付き合っていくのか、特に森の持つ「癒し」の部分に注目して、森づくりに関心を持ち、実際に活動するものとして、考え、議論をする場を設けた。(フォーラムのチラシはこちら、会場は苫小牧市民活動センター)

基調講演いただいた講師は、2020年に「東大式癒しの森のつくり方」を出した、東京大学富士癒しの森研究所長の齋藤暖生(はるお)氏。齋藤さんは、苫東コモンズの現場に数回すでにおいでいただいており、特に2015年のコモンズフォーラムで「自然資源の共有を巡る知恵と苦悩」と題して、ハスカップのコモンズを世界のコモンズ事情に位置づけながらご講演いただいた。

今回は、『癒しの森づくりは何を作って来たのか』と題してお話を伺った。「癒しの森づくり」というのは、齋藤さんの共著『東大方式 癒しの森のつくり方」(2020年築地書)に由来するもので、この内容が苫東コモンズでも共有できそうな部分が少なくないことから、会員の勉強会をかねて企画したもの。

講演は約1時間、そのあと、質疑と意見交換で1時間半ほどの時間を設けた。齋藤さんのカバー範囲はとても広く深いので、内容は森づくりという狭義の意味合いから、生物多様性、利活用、薪づくり、それから先生の専門の大事な分野であるコモンズについてなど、質疑と意見交換が続いた。

勉強会として想定した当初の視点は、

①森や林は、そもそも人の心身にとってどのような関係をもっているのか再考
②特に、森や林の癒し効果は現在どのように活用されているのか
③東大癒しの森のねらいと全貌
④東大癒しの森と大島山林の共通性、応用性
⑤齋藤さんから見た勇払原野のコモンズ
⑥薪づくり、薪需要、その対応
⑦欧米における森と人の付き合いと日本の森林セラピー  
⑧荒れた身近な民有林を快適な森林公園に変えていくための方向性

などだった。

講演では特に、森林と地域課題、地域のコンセンサスのつくり方、小さな組織のあり方とソーシャルキャピタル(社会関係資本)など、社会科学的な面と、森づくりのコストとその解決方法、森づくりのコツと技術、具体的な伐倒の試みなど技術的な面の双方から考え方が述べられ、コモンズにおける自己責任とルール、リスクマネージメント、ナラ枯れの現状と対策などで質疑と意見交換をし、話題は多様で広範囲に及んだ。

コモンズにおける山仕事の技術と社会的な循環の仕組み作りなど、一般的な解決策はそうそう簡単には見当たらず、やはり個々の現場、現実の中で方向を探すしかないようだ。ただ、できればこのようなフォーラムや研修などによって、常日頃からネットワークを広げて多くのヒントを得るように心がける必要はある、と感じている。今回の講演内容は、もし時間があればサマリーとして文字化したいところだが、できるかどうかはまだわからない。決心がつかない(-_-;)




研究林を下見後、オンコの薪割る


2022/10/6 thu 高曇り 18℃
AM  oyama kusa = 2 persons
PM solo-work

苫小牧研究林の広葉樹林にて





10/8 のフォーラムの翌日、講師を苫小牧研究林に案内するため、地元キノコの会の会長をしているoyama さんと苫小牧研究林の駐車場で待ち合わせた。山梨は富士吉田の東大演習林に住む齋藤講師は、コモンズや森林全体を研究対象にしていて、キノコも重要なカバー範囲としているためだ。どこを案内すべきか、まずは庁舎周辺の小径を巡ったが、針葉樹人工林が多く、案の定、面白味はいまひとつ。そこで、北の熊ノ沢林道方面(写真)へ移動することにした。

ここは広葉樹が多くを占め大木も多く倒木も少なくない。過去、マイタケを見つけたこともある好きな場所で、もともとはこの地区にだけ、わたしが山菜の女王とあがめるスドキが採れるのでよく一人で通ったのがきっかけだった。

キノコはと言えば、みちすがら沿道に駐車していた年配者が「なにもないよ」と断言する通り、いつも食するものはほとんどなく、木に生えるもの数種が目に入っただけだった。帰り際、oyama さんがチャナメツムタケを見つけた。チャナメは秋やや遅く、これからのキノコだ。キノコは成果がなくても、広葉樹林の現場は楽しい発見が一杯で、小面積のトドマツ人工林ではカラ類の群れが移動していた。

久々に熊ノ沢に来たが、やはり林道の様子が記憶と違う。しかし庁舎近くの高密路網に比べればまだまだ道に迷うこともなく歩きやすい。10/9 日曜日はここに案内して林道でお弁当を開くこととした。

もらったオンコの丸太を割る



広葉樹の薪は、ナラやシラカバやサクラだけでなく、いろいろな種類の重さも火持ちも違う樹種を焚くのが楽しみである。できればストーブの扉を開けたときの香りや燃え方や炎も楽しみたい。大島山林ではめったに手に入らなかったハルニレやエンジュやミズキ、昨年はドロノキ、ヤチハンノキを焚いた。ドロノキは焚くというよりも焚き付け用に小割して利用したが、非常に按配がよろしい。

先日、migita さんから「オンコ、要らないかい?」と声をかけられたので、上のような理由から一も二もなくいただくことにした。コモンズのメンバーは針葉樹に触手を伸ばさないから、誰にも声をかけないで、午後、ひとり、薪ヤードに出向いて、オンコ丸太を前にした。

割り始めてみると意外と量があり、元口に当たる部分は30cmもあり、年輪は60以上ありそうだ。割ってみると腐れも多く、薪材としては決して好まれないだろう。かつ、節だらけで割りにくく、薪としては積みにくい不整形ばかりだった。しかし、オンコ特有のにおいと、濡れて赤い薄皮が「おれはオンコだ」と主張している。1立方m程に2時間を要した。このような生木であれば、自宅で約2年は乾燥させようかと思う。

こういう手仕事が薪ストーブ生活の大切な要素だが、根底に燃やさないで腐らすのはモッタイナイという気持ちがある。効率など問題外、と言える身分になれば申し分なく楽しめる。



三菱マテリアル社の地元山林で森づくり研修

2022/10/01 sat 晴れ 24℃ UNT販売
abe-e oyama kawam kawai-h&m kuri kusa tomi-k wada ya-taro = 10 persons
北大研究林 yoshida sakai miyazaki hara + atuma-miya →total 15 persons

胆振地方で森を創り育てる現場

今週も研修である。
6/25-26の北大雨竜研究林、7/23の厚真町本田山林に続き、今年三回目、かつ来週はフォーラムを開催して、東大の「癒しの森づくり」の話しを聞くから、小さなNPOながら身の程に不釣り合いなほど勉強熱心と言えるかもしれない。

言い訳がましく換言すれば、多面的な森林を相手に、自分の住む地域の環境と見比べながらできるだけ間違いの少ない森づくりに到達するためには、このような課題を環境側から暗に突き付けられている、と言っておくべきかもしれない。なにしろ、寄りそって従うべきマニュアルは自ら作らないとないのである。

今回の研修では、苫東コモンズの会員で三菱マテリアル(以下、三マテ社)で現地を担当するkawai さんと雨竜研修での熱い意見交換がもととなって、北大の研究者と現場の技官の方計4名と、地元厚真町から林業専門スタッフとしてバリバリの活動をしている担当者が加わった。そのため、国の森林政策と森林科学、そして行政対応の広い範囲で意見や質疑を、片鱗とは言え直に聞くことができた。これはやり取りを伺うだけでも森林に関する現在のホットな制度設計と緊張感がほの見えて、得難い機会となった。




三マテ社は全国に14,000ヘクタールの森林を持つ国内屈指の山持ちで、その8割以上を北海道内に所有している。今回訪問したのは早来山林約1、300ヘクタールである。案内説明をしてくれた kawai さんは、山林の概要資料を用意してくれて、まず概況に始まり、6つの視察地個々の現場の課題と対応を整理して話してくれた。

同じ胆振地方の山林で、苫東とは数キロの距離にあるものの地位級が高いのか、カラマツの1年の成長量は格段の差があり、大木の風倒木が見られないことなどから、やはり森林の立地環境の差を感じざるを得ない。極論すれば、苫東が萌芽再生の低質広葉樹の低林作業が向いた場、こちらは木材生産の林業が可能な場所、と無理やり言えなくもない。

kawai さんが目下取り組んでいるテーマも段々わかって来た。
ひとつは広葉樹大径木を育てる育成林施業であり、もう一つは、造林失敗地の再生などで行う掻き起こしの天然更新補助、それと80年程度の長伐期の循環サイクルである。特に掻き起しについては今季に早々に着手するため、先行して実践してきた北大研究林の研究者らからのアドバイスや意見交換は熱が入るものとなった。

視察を終えて

勉強の詳細は省略することにして、いろいろな森林を見せてもらった後にいつもたどり着く感想は、すなわち、「よその山を見せてもらうのは自分の関わる自然や山の見方にとって、ものすごく勉強になる」ということである。なにが、と仔細を述べるのでなく、大きく山を見る視点を養ううえで、とにかく「勉強になった」という満足感である。それは風土の再確認、と言っても良いのかもしれない。

今回の研修で特筆すべきことは、三マテ社という100年以上の歴史をもつ大きな企業の懐の深さである。地域に根差した山林を、保全、資源、教育まで配慮し、木を伐って儲けるという経済行為よりも地域貢献を重視し、それが企業の責任だとするCSRの理想を掲げて業務にあたろうとしている。地球温暖化、SDGs、森林認証などなどテンポラリーな時流にもしっかり軸足をおいて、森林を広報ツールとして積極活用している。これであれば、長い目で森を見、最善の対応をとることが企業として可能となり世代を超えて引継ぎもできていくのではないか。

森林を持ち育てることを林業を超えて企業のステータスとしてとらえられている訳だが、それが代々受け継がれ、日本ではほとんど聞くことのない、オールラウンドのフォレスター養成をも意図しているように聞く。これなら若い人も夢が持てる。今回対応してくれた、若きkawai さんはその期待に応えるべく精力的に見聞と研究幅を広め実践しているように輝いて見える。

方や昨今は、木こりを希望する地域おこし協力隊が人気であるが、木こりの山仕事は若い時に限られるし、今のところでは子供の教育に再投資できる経済力にたどり着けるか、いささか疑問が残るのではないだろうか。森林に関わる人に対して、フォレスターを目指すような青写真が提示され、カリキュラムまでより広範囲で出来上がって、意欲ある若者が競ってその到達点を目指す・・・、そんな風にいかないものか。フォレスターは大学や国の機関が標榜して久しいが、その芽はここ三マテ社のような民間の試みが先鞭をつけるのではないか。ふと、そんな気もした。今の若い人たちは、どこか飄々として山仕事に挑んでもいるから、あるいはわたしの知らない兆しがすでにあるのかもしれない。やはり暮らせる処遇とその手立てに手を付けないと代われないのではないか。

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それにしても北海道の森林は広くて人気(ひとけ)なく、ウィルダネスに満ち覆われている。苫東に限らず都市郊外は野生の王国である。内心、北海道では人間が森にまさに圧倒されている、と感じることがあり、それに引き換え、人間側ができることは、ちっぽけなことである。地方に住んでいると、人の世界は野生や自然に征服されるのではないか、とさえ思うことがある。これは自分の非力さの自覚のうらがえしでもある。

ともあれ、あと10日以内に自宅薪ストーブの初焚きは行われる。これは話題の森林とのか細いが確実な接点である。