2004/05/08〜
Welcomeサインの圧力 平成16年6月26日(土)くもり 小屋に近づくと、ログハウスの丸太のてっぺんに赤い物が見えた。ああ、あれだ。先週 厚真の斉藤さんとここであったときログの腐れの話をしたのだ。そうすると斉藤さんは 丸太の端っこ(ログエンドと呼ぶ)が雨ざらしだからだ、小さな屋根を作ってあげる、 と約束してくれた。それである。同じ形の赤いトタン屋根がへの字型にきちんと折り曲 げられてまあ、ちょっとした大工さんの仕事だ。梯子をもってきてすえつけてくれたに 違いない。 welcome看板を立てかけたら途端に軽いお迎えモードになってしまった。サイン一枚で 湧き上がるそのプレッシャーというものに驚く。実のところ、大勢の人を呼ぶなんて魂 胆はまったくなく、ほんのマニアックな人がこっそり寄ってくれたらそれだけでうれし い、という程度である。多くの人が「いいところだ」「気持ちいい」と感じるような場 所に近づけばいい。でも、その方々もやっぱり welcome。このメッセージは出しておこ う。 「奥のささみち」にサインを10枚取り付けてから、ささみち、カラマツの2ルートの2回 目の刈り払いをした。また、道のなかに小さな根ッ株が埋もれていてよく躓くことがあ るが、その株を掘ってのこぎりで切って歩いた。今日は蚊がいない。冥想デッキで大き なサケのおにぎりをほおばった頃は午後1時半になっていた。「奥のささみち」を刈る 平成16年6月19日 くもり ササが生え変わった。したたるようなみどりだ。その縁を刈りそろえる。 雑木林フットパスのサインをつけたのだから、もうそろそろオープンを公言していいかも しれない。PRして、みんなに歩いてもらって感想を聞く必要もあるなあと考えた。が、あ とひとつ、刈り残しがあった。ログから北に伸びるルートである。南進するささみちをメ インとするとこちらはサブなので、「奥のささみち」と命名し、根性こめて刈り始める。 と、まもなく、下向きでブッシュカッターを操る身にとって完全に無防備となる後ろ首の 襟足に蚊がついた。作業中は一段落するまで一気に片付けてしまう性癖を熟知しているか のようにたっぷり知を吸っていった。かゆい。先週はこの体勢で左の耳の脇をやられた。 カラマツ林床だけでなく、フッキソウが元気だ。 オープンついでに思い出したが、どこかにwelcome のサインも創って入り口にメッセー ジ性を出そうと思い至った。これらの看板は、半割りドラム缶で焚き火をしてそれで焼き を終え、雨が来る前に小屋の中でペンキの筆をとった。うむ、これでオープンは公言でき る。冥想台(心穏やかに冥想できたためしがない)の脇 2mにブロックを板を2枚渡して イス代わりにした。これは常設だ。 わたしのランチ。ゆかりのおにぎりと郷里のさくらんぼ、そしてバナナ。 奥のビンは、ただの水。念のため。
里山のにおい 6月12日 くもり 仲のよさそうな人たちを見るのは人生の楽しみ! ホームページで当研究室にであったMさんらが、林を見に来てくれた。雑用を片付けてか ら来たわたしより一足先だった。お会いするのは初めてだから、この林のことを少し立ち 話する。小屋のなかのひんやりする薄暗がりの中では「林とこころ」のテーマにも話が進 んだ。昨秋の札幌の「林とこころ」分科会にも実はご出席だった。そうなんだあ、と驚く わたし。Mさんは国有林関係の仕事からアロマテラピーに転進しようとされている。チャ レンジのスケジュールもしっかりだ。うらやましい! 踏み分けは着実にできつつある わたしはブッシュカッターをかつぎ、ささみちを先導する。刈り残したカラマツルート 途中から刈り込みを始めるので、帰りのルートとまほろばルートを簡単に説明してとりあ えずお別れする。昨年の道が見えないほどびっしり生えてきた笹は、逆にとても刈りやす い。フッキソウとツタウルシの混生部分もあり、それらの汁が体にかかる。小屋の前の林 道まで刈り進んでから、ていねいに小屋周りと入り口部分を刈る。これですっかり里山モ ードになった。気持ちがいい。今日は市内で北大研究林と博物館の公開講座があったが、 石城(いしがき)林長はかつて演習林の森づくりを「現代の里山づくり」と位置づけられ た。そのうえで、苫東でわたしが行っていた一連の森づくりのフィールドも「都市林」と 折にふれ紹介されたのだった。そうして、今、ここも現代の里山のひとつとして横顔を見 せているわけだ。だからますます里山っぽく見えてくることがとてもうれしいのである。 ■Mさんたちからの林へのメッセージ ・緑一杯の林、鳥の声、木のざわめき、透き通った空気。 青い鳥を外に求め続けている自分が内なる自分に出会える よう願う日でした。いろいろな話が聞けてうれしかったで す。たくさん考えたり思うことができました。 M ・風の音、緑の色、とても安らぐようなきがします。ユッ タリとできるところですね。 I Mさんらが戻ってきて、迷いながらまほろばコースを歩いたと聞いた。先日、FMさん が言ってたように途中1,2箇所不安になるところがあるという。重要な参考意見として 伺い再会を期してお別れ。わたしはおにぎりを食べてすぐ大鎌をもってこのコーステープ の修正に行ってみる。ナチュラルなだけ、枝も葉もはびこってやはりテープの視認性は格 段に落ちている。反省して手直しだああ。 このあたりのことなら何でもくわしい、斉藤さんがお孫さんとやってきた。 芯入り鉛筆をあげたらお孫さんは大喜び。
八戸からのお客様、来訪 6月5日 くもり まず、記念に一枚。ようこそ! 八戸から遠来のお客さんを迎える。ホームページで、同じような林の手入れをしているわ たしを見つけたJMさんが、メールを送られたのがきっかけで、その後、掲示板で彼我の 関係者によって楽しいやり取りが続いてきた。ホッキ貝、ホーミーなど林とはあまり関係 なさそうに見えるテーマでもどこかしっかりつながった収まりが見えていた。苫小牧の林 を見に行くよ、というメールをもらったのが、ちょうど3ヶ月前。それからは見所紹介も 加わった。ネーチャー系のとっておきスポットは実は結構多いのだ。だから、札幌や支笏 湖などを含んだお決まりのものでない、このエリア限定のスケジュールを勧めることにな っていった。ガイドつきの玄人っぽいエコツアーともいえる。 昼前に、ささみちなどを案内 三浦さん、田中さん、棟方さんの3家族6名は4日、苫小牧に上陸。きつつきさんが苫 小牧有珠の沢やと白老の林や川、フットパスを案内してくれ、今日は苫東のフィールド、 つた森山林、ウトナイ、北大研究林、ツアーの締めは高丘の展望台。そして夜、川仙人さ んも加わりWEBでつながったもの同士、「あじ呂」で初のオフ会と相成った。 皆さんからは小屋のノートに次のようなメッセージを頂いた。 ■ごのへやまチーム 3月から計画していた苫小牧が実現しました。コナラの林は光が 輝いて天国のようにすばらしい場所でした。――田中 雑木林のお手本にさせていただきます。また来れる日を楽しみに しております。――三浦 美味しい空気とごちそう…。来てよかった!わたしたちの人生の 楽園です。友達になれてうれしかったです。――棟方 フィールドではまず「ささみち」と「カラマツ」のフットパスを歩いてもらったが、虫 もいない、暑すぎもしない、林も春っぽいいい状態で、いいところを感じ取っていただけ たと思う。また、遠来のお客さんを迎え、「素敵」と言って貰えたため、林もログもとて も喜んだと思う。田中さんらは、町から遠くない平坦地にこんなに深い林がいい状態で残 っていることに驚かれた。そして苫小牧というマチが、深い樹海を背後にもっている恵み を何度も口にされた。それは、わたしが苫小牧に住むようになって感じてきたことと一緒 である。このような同じような価値観を持った方々とユッタリした時間を過ごせるのは人 生の幸せである。まさにそんな時間であった。 お昼はやはり、こんな風で。 夜は、八戸の山と林、チェンソーの話など、話題は尽きなかった。JMさんとは草刈り 作業の神秘性、恵み、癒し効果のような日頃の感想を述べ合った。出勤前のひと仕事とし て広場の草を刈ってくる、というのを誠にうらやましく聞いた。
ささみち、今年1回目の刈り込み 5月30日(日)はれ 雨上がりの日曜日は、体がなる。Nさんが偶然山菜取りにいくというので、のせても らうことにして、急遽、チェンソーなど荷物をNさんのRVに移した。林はもう新緑 を越えて濃くなっていた。わたしはサイン用の板を40枚ほどバーナーで焼きをいれ、 白いペンキでナンバーを書き込んだ。 バーナーで丹念に焼いてから、番号を書き込む。 セットはNさんも一緒に一輪車に全荷物をいれて「ささみち」の1番から昼過ぎス タートした。多すぎないよう気をつけてみたら、「ザ・ささみち」「ザ・カラマツ」 2ルートがが20枚で足りた。蛍光テープがその間を埋めているからだ。コースのスタ ート地点のサインも間に合わせでしつらえた。 棕櫚縄で結ぶ。ルートのスタートはこんな風にした。 ササの背丈はすっかり伸びた。来週か再来週あたり刈り込めばちょうど効率的だが まだ2時半だったので、ブッシュカッターで「ささみち」だけでも刈ることにした。 そしてやっぱり「カラマツ」にも欲を出す。やってよかった。これで少しフットパス らしくなった。Nさんはフキとアズキナの山菜がたまってきた。フキは虫が食べたあ とをいただいている、と笑った。 まほろばコースをモニターとして歩いてもらったところ、初めての人は大いに不安 が残るという感想をもらった。改善しなくては。
夕方、鳥の声聞く 5月22日(土)くもり 匠・千葉さんの愛車はピックアップ 早速穴あけを開始 庭仕事が長引き、夕方雑木林に出かけた。サイン用の板に取り付けのための穴を開ける ためにベランダ作りの匠・千葉さんがドリル持参で応援してくれ、あとは焼き付け、文 字書き、取り付けの作業が続く。週末作業はこうやって少しずつ進む。千葉さんと「さ さみち」「カラマツ」と歩いてみる。ヒヨドリ、センダイムシクイ、アオジ、イカル。 春らしい鳥のにぎやかな声が満ちている。道は新しいササが顔を出してもうすぐ刈り払 う必要がでてくるだろうが、やりがいのある効率的な仕事をするためには、少し生長さ せてからバサリといった方がいい。 作業後、フットパス「からまつ」へ案内 今年、この雑木林について色々な方が訪問の声をかけてくれている。全部応対ができ るかわからないけれども、できるだけコナラの雑木林の素晴らしさをPRしようと思う。 素材としての林は気持ちがいいが、小屋の前に憩いとくつろぎの仕掛けが足りない。座 って語る場がない。これは考えよう。
フットパスに名前をつける 平成16年5月15日 晴れ18℃ 里山の春、爛漫。カラマツ林はまだ明るいまま。 サイン用に木材をもらったので、早速焼き付けの準備を始めた。プロパンのバーナーで板 の両面を焼いて焦げ目をつけ白いペイントで書き込むのだ。焼付けをやってみると、思わ ぬ事態であることがわかった。乾燥注意報の出ている昨今、板にはすぐ火がつき始めるし 落ち葉にもすぐ燃えつくのである。山火事の心配がある。緊張する。厭な予感がして反割 のドラム缶の中で作業を始めたのだが、案の定、ドラム缶の中に残っていた落ち葉はたち まち引火して燃え尽きた。注意して、少しずつやっても心配は解消されない。大きなサイ ンを焼き終えたところでやめることにした。新緑が萌え、異常乾燥の注意報が解除された ころにやり直そう。 左はコース案内サイン、中央は道順、右は全景 さて、フットパスの名前だが、the ○○○○としようと思う。各々、「ささみち」「か らまつ」「まほろば」と決め、まほろばだけは刈り込みをしないので「ナチュラルトレイ ル」と注記するもの。まず、「ささみち」だけスタートのサインを作ってみる。そしてそ の据付け。杭を使ったりするのはやめて薪や丸太をつんでそれに立てかけるタイプにして みよう。何年かたって管理ができなくなればそのまま朽ちてもいいように。
丸太小屋をケアする 5月8日(土)快晴 カラマツの枝先が緑になった。いよいよ勇払原野は春の様相を見せだした。樽前山の残雪 も急激に小さくなってベクトルは大きく春と夏に向かっている。そんな春の一番の仕事は ログハウスの丸太の防腐処理から始めた。樽前山のふもとに新居を構えたNさんが、余っ た防腐剤を分けてくれたのをしまってあった。さっそく、白い菌状物体をこそげ落とし、 不安定な体勢でログエンド全体にぬった。というより液体は瞬く間にしみこんでいった。 特に小口の染み入り方は防腐が利きそうな気配に見えた。 この防腐剤を木口はスポンジのように吸った 笹道などをもっとフットパスらしく見せるためには、落ち葉をはいで土をむき出しにし てはどうかと考え、レーキで剥いでみた。黒土が見えて道らしくはなるが、労力とあわせ て考えれば効果はそうそう大きくない。残念ながら、人を呼んで踏みつけるのがやはり一 番かも知れない。 道は確かに明瞭にはなるが… まほろばの道は、どうも造林地を通らないほうがいいという結論に達した。大きく迂回 した方が雑木林のみでいけるし、アップダウンもあり、かつ沼を巡ることができる。バラ エティと快適さでは断然迂回した方がいいことが今日の探索でようやくわかった。迷って きたが、これが結論になる。ロングルートとなるが、道を作らないサインだけのナチュラ ルルートとすればシナリオはできる。ここはそれで行こう。もちろん、テープを結ぶルー トと思しきところは鉈などで障害物はとっていくことにする。これで、ササ道、カラマツ 、まほろばナチュラルの3コースができることになる。今年の初物。いただきもの 帰途、青いフキの畑をみつけ、家内と二人のおかず用に頂く。また、アズキナ(ユキザ サ)が顔を出したからこれも少々。安いホッキ貝が手に入ったのでフキノトウを探し葉の 部分を摘んだ。もちろんかき揚げ用に。今年2回目にして最後のホッキとフキノトウのか き揚げとあいなった。今年の間伐地とフッキソウ 家について手紙を読んでいたら、耳の辺りがモソモソ。ボリボリとかいたら手紙の上に ダニが落ちた。ああ、そんな季節だ。