夏の雑木林は避暑地であり、林と対話する場

NO.26

2004/07/03〜


蚊もダニもいる林、セミの時期を過ぎてやがて鳥のさえずりも終わる
むんむんと蒸しかえる夏、植物たちが陽炎のように生を全うする
その勢いのすさまじさは、定点観測するとよくわかる  夏は植物たちの季節だ
願わくば、そのエネルギーを受けとめて己の活力にしたい



九州大学の学生さんが来訪                8月29日(日)曇り 18℃ 九大足寄研究林に実習のついでに、学生さん20人が雑木林に寄ってくれた。「北海道は空 がメチャ広い」「道路は高速道路なみ」「平坦地に森があるなんて信じられない」。それ と 「寒い」。それもそのはず十数度気温差があるからね。長袖のシャツが辛うじて1枚あ れ ばラッキーだが、それでもウインドブレーカーの下がTシャツだと全然ぬくもらない とある学生さん。                                  林の生い立ちから、自然治癒と免疫、森林散策の今日的意味なんてところまで話したか ら、なんか変なレクだったかもしれないけど、挨拶を指名された女子学生さんが「森林の 癒しにとても興味があったから、大変勉強になった」と模範生のことば。3年生だという のにしっかりしてるなあ、とわたしが感心。意外と多かった質問は「どうして林の手入れ を夏やらないのですか」。これはやってみるとすぐわかる(笑い)。また「手入れのための 資材はどうしてるのか」。アゴ・アシ・ケガそしてチェンソーなどは自分もち。そうして も十二分の見返りがあるから、と付け足すのを言い忘れてしまった。          猛暑の直後、今シーズン初の薪をたく  8月21日 土曜日 室内14℃c、外気20℃c 林の南の入り口はこんなトンネル状になっている 小屋に入るとシーン。その静けさと、窓外のヨブスマソウやヌスビトハギがそよ風で揺れ る様が、無声映画のようにどこかばらばらの出来事に映る。半そででは寒い、と感じた部 屋の温度はやはり14℃だった。 コナラの落葉は色づき始めている  小屋の前のヤマモミジが枯れている。ヒラタケが出ていて、すでに菌が回っていたこと がわかる。枝先をみるときに見上げると、二股にアマガエルのお尻が見えた。やはりアマ ガエルの大合唱が木の上から聞こえてもおかしくない。ただ、鳥に対してちょっと無防備 なような気がする。                                 フットパスの刈り込みをするのは2週間ぶりになるが、さほどでない。「ささみち」の あと、「カラマツ」の途中まで刈り込む。ラン科のミヤマウズラがあちこちに群れ咲いて おりそれらは刈り残す。いつもながら、低みに見えるミニ・まほろばの小径は気持ちがい い眺めだ。必ず立ち止まって眺めるポイントがあるのだが、それは初めて道を作ったとき から変わらない。いわば直感の世界であり、それが春夏秋冬変わらない、というのが面白 い。                                       閉鎖した道はもうササで埋まった。この回復力! ササ林床のカラマツ林は美しい  ブッシュカッターを担いでログに戻るとまだ11時過ぎだった。と、視界の端っこで動く 物発見!!カナヘビである。入り口階段の周りにスリムでかわいいカナヘビを見つけた。 カナヘビそのものが久々だが、ここで出会うのは初めて。薪の上に寝そべっていたアオダ イショウはログのヒメネズミがいなくなったころから会っていないと思っていた。その代 わりに、このカナヘビである。そうかあ、よろしく、ってな気分。ログに入る枝道の上空 で、ピーッというワシタカの鳴き声。トビと同じくらいかちょっと小さめの大きさのこの 鳥はノスリかもしれないが、このあたりにはオオタカも確認されているので、その可能性 も捨てきれない。ネズミやカナヘビなどの小動物を狙っているのだろうか。        キノコが出始めている。少し痛んだアカハツを裏返すとひだに細かい虫がうごめく。そ ばに目をやるとアリが卵の運搬をしている。満開のアワダチソウにはマルハナバチがこだ わっていた。樹木も鳥も爬虫類も昆虫もそしてバクテリアまで、この林の中で生きている 構図が浮かぶ。わたしはその世界につかの間、お邪魔しているというイメージである。だ から余計な迷惑、負荷をかけないが、伸びすぎた草の刈り払いと間伐のみ粛々と進める。 今年、山菜の王者スドキ(モミジガサ)を摘めなかった。 だから一杯花が咲いていた。良かった。食の原罪を思う  林道入り口とログハウスの周りも刈ってから、大鎌をもって1.5km北にある育林コン ペのエリアに行って見た。2年前、少し多めに間伐したコナラを中心にした林が、まだ復 元していないのが気になる。コナラは新緑と同時に虫害を受けることが少なくないが、そ んなときは7月には葉がほぼ食べつくされ、その年2回目の新しい葉が出てくることが良 くある。今年もそんな風な葉の少ない木が目に付いた。                 再び小屋に戻っても室温は変わらなかった。遅い昼食をとるにはチョッと寒い。新聞と カラマツの枝と小さな薪をふた切れストーブに入れて日をつけた。猛暑の後まもなくの薪 ストーブ。季節を先取りしているような、嬉しいような悲しいような気持ちだ。     熱中症前に小屋に戻る             8月7日土曜日 晴れ 27℃ aragehangonsou entrance of loghouse 鳥の鳴かない静寂。暗い部屋で目を瞑ると、タラリと汗が、頭から頬へ、胸からへそへ。 先週草刈りをしなかったから、この猛暑のなか、さぞや草が伸びて荒れただろうかと、恐 れと希望を胸に秘めて出かけてくると、どっこい、さほどでもない。荒れ放題でないと2 枚羽のブッシュカッターの出番としては役不足。あれはていねいに低く刈るような造園的 な修景に向いていない。 akahatu  とはいえカラマツフットパスの真ん中あたりは20日ぶりになる。逆ルートで刈り始め る。長袖のシャツでは暑いが仕方ない。1時間ほどたったころ、あまりののどの渇きに休 んだが、水がない。我慢してつきすすんではみたが、どうも気分が悪い。20分ほどして カッターを担いで戻ってきた。今日でなくともかまわない!小屋で着替えてヨコになると ウイークデイの睡眠不足がどっと来て眠ってしまった。で、起きると1時半。小1時間、 昼寝してしまった。暑い。これでいいよね、と己と妥協。早朝か、盆すぎか、そのころ改 めて参ろう。


三笠にて                7月31日(土)8月1日(日)晴れの猛暑 三笠のNPOが主催する集いでドイツの森林散策の話をした。友人知人も混じる中、森林 散策からリラクゼーション、免疫、ヨガなどの話になって終えた。結構質問も活発にあっ たが時間切れとなりビールの時間に。関心の高い人2,3人がやってきて近況紹介。  早朝5時半、NPOの会長である高篠さんが直径1m50cmのナラの木を案内してく れた。わざわざそこまで刈り込みしてあった。大木は珍しくまっすぐな幹で、急斜面に立 っていた。皆さんが帰ったあと、そこで樹林気功。林道に戻ってから道にシートを敷いて 朝のつとめ、ヨガのポーズと冥想を行う。地面から力が伝わってくるような感じがある。 oh!!  9時から、湖畔でツリークライミング。岩登りのテクとかなり似ているが、起源は英国 の庭師・アーボリスト。そういえば、このHPで親交のあった佐藤万理さんがキューガー デンでサドルに乗って木に登っていた。あれである。あれを遊びや情操教育にしたもの。 大人も子供も結構、楽しんでいる。                         kids


夏季休業!                         7月24日(土)くもり マチは晴れていたのに、苫東に近づくと次第にうす曇となってきた。しかし、夏らしい暑 さで林の中はほぼ無風、草いきれがする。どうも、林の作業系は夏休みした方ががいいよ というささやきが聞こえる。しかし、そこはそこ。伸び盛る草を放置すれば結果は見えて いる。すこしずつ手を加えておくことに意味があるのだよん、と誘惑を突き放す。  短パン、Tシャツをズボンとワイシャツに着替え、奥のささみちを刈る。ただひたすら 無念無想、一振り一振りていねいに刈る。小屋に立ち込めたお香のにおいが、木陰の暗さ とあいまって涼しさを作っている。いい感じである。23日、キツツキさんが来訪した由、 メモあり。 ●7/23 kitutuki  今日苫東の林で昆虫観察をしてきました。 小屋の前では、ミドリヒョウモン、イチモンジチョウ、ささみち −からまつでサトキマダラヒカゲ、ミヤマクワガタ♀、マユタテ アカネ、平木沼近くでミヤマクワガタ♂、アマガエルを観察。つ た森山林でミヤマクワガタ♀、ノコギリカミキリムシも見られま した。  気持ちがよくなる樹木もいいけど、森と生きものの関係をしっ かり感じられるフィールドって最高ですね♪ 林も猛暑                            7月17日(土)晴れ 窓の気温系は26℃を示している。25℃を越えることがめったにない苫小牧だから、正直、 暑いと感じる。鎌をもって道を一周する。刈りこまれた道の部分にササが蔓延してくると いうことは今のところないのに助かる。毎週か1,2週間おきとでは作業のノルマとゆと りが雲泥の差。  林は上層で風の音がするが林内は全く無風に近い。今回は、刈り払いは休みにして、持 ち込んだ本を読む。やはり、ログの中が涼しい。そしてやや薄暗い。  フットパスのマップができた。ログハウスのドアに張り、hpにもいずれのせよう。そ してまた、使い勝手を聞こうと思う。 まほろばは木霊する                      7月10日(土)霧雨 苫小牧らしい深い霧の日。騒音にフィルターがかかってしまうように、マチはこころなし か静かである。フットパスは数日の雨模様に雑草の伸びはさぞや、と思っていたらどっこ いそうでもない。拍子抜けしつつ小屋周りとササミチのみ手を入れた。ついでにブッシュ カッターをかついで、カラマツ・フットパスの林道部分を刈った。たっぷり伸びているの で、地際から刈ると日の当たらない根元の青白い部分が見えてくる。  再びカッターを担いで太いカラマツ林に着いたときに、雨にぬれそぼったカラマツの林 が美しかったので、低みに向かって「おおお〜」と叫んでみた。すると小さく木霊が発生 した。なるほど〜!!!まほろばは木霊するのだ。とてもしっくりいくのでしばし、カッ ターを下ろして遊ぶ。 ホーミーを歌ってみると、心なしか音量が大きめに感じる。遠くのヒヨドリの声に入り込 むように突然頭上の方からセンダイムシクイが合唱始める。あろうことか、枝の間に体を 見せてしきりにこちらをのぞく。センダイムシクイなんて、普通は見ようと思っても姿を 見せないものだ。ありがとうよ、コンチワ! カラマツとササ ログハウスのアプローチも丁寧に刈り込む。こんなに頻繁に刈っていると、草丈が短くて 刈りにくいことこの上ないが、目的は別にある。雑草を低く刈り込んでササなどとのエッ ジをはっきり見せるのだ。これをしっかり繰り返すといわゆる人工のみちの向こう側の雑 草がガーデニングの素材に見えてくるのだ。これは苫東時代に発見した原理だが、数年前 信州の上高地を訪れたときにやはり同じような仕掛けを発見して心を強くしたのである。 コテージガーデンをもっと野性的にしたようなガーデニングのステージもここにはある。 おにぎりの昼食後、霧のベランダで本を読んでいたら、マイナスイオンにリラックスした のだろうか、しばし眠ってしまった。


家内と林を歩く、くつろぐ                 7月3日(土)晴れ wonderful green 初夏というより夏のような暖かさ、しかし蚊があまりいない。こんな夏は原野に火事が多 いのが常だ。雨が少ないために原野が乾燥しており、ハスカップ摘みの人が捨てるタバコ の火がむき出しの泥炭に燃え移るのだ。林に来る前にそのハスカップ摘みの車をたくさん 見かけた。 kanrinin  「ささみち」などの写真をとるのに人間という物差しがないと林とフットパスのスケー ル感がでない。そこで仕事がオフの家内にモデルになってもらうことにした。ささみち、 からまつ、まほろばと、結局、全コース歩いてもらったら1時間20分ほどかかった。途 中、フキをとったがゆっくりだとやはり1時間半はかかるようだ。途中、「ここはジャン グルだぞお!」とうしろで叫ぶ声。そう、ナチュラルコースまほろばには、羊歯で行く手 が阻まれる箇所がある。ここは不安がられるかも。でも一瞬もののけを感じるのもいいの ではないか。そうやってみち探しするのは林とこころのもうひとつのつきあいである。 mahoroba oh! jamgle!  「ここ、気持ちいい」という箇所があった。「からまつ」のコースの、太いカラマツが ある低みだ。斜面から、カラマツ林とフットパスを見下ろす、ちょっとした俯瞰景。低み のカラマツ林は、まほろば同様、和み、憩いなどの共通項があるようだ。 ha  冥想台でヨコになって、上空を見上げる。緑の葉が陽光を取り合い、あるところは陽光 に透けて見え、あるところは日が当たっていない。それらの樹木、林、地面の動植物たち と、こうしてみている自分が生き物として一緒であるという、不思議な一体感。静かな林 の中で、木々と同じように生かされていることに感謝。


●きつつきさんの28日訪問記             5日の来訪の際は、皆さん林床が明るいということを言ってましたが、 私は単純に「新葉が開いたばかりだから」と思っていました。 今日歩いてみて、あまりの明るさにびっくり!林床の植物たちも 喜んでいるようでした。 tanakaさんが言われたように、コナラの林というのと関係あるのでしょう。 視界も広く、快適で気持ちよかったです! 夜勤明けの「一人散歩」にいいかも。。。




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