定点写真1 定点写真2 スズメバチの巣がハチクマに 襲われたらしいという話題も ホットだ。テーブルクロスに 落とされたハチの分泌液も。 ビニールが溶けている 被害のカップめんなど |
晩夏、林の語らい 今が最も緑の深い時期かも知れない。林に入ってすぐの暗がりが尋常でない。マイマイガの食害にあったカラマツ林だけはかわいそうにスカスカだが、ナラの雑木林は紅葉前の夏の謳歌だ。ちょうど、若葉色の土用ぶきもナラやヤマグワに見える。 8時半、刈り払いを始める。蚊が多いから今日はネットを被った。ほどなく(9時過ぎ)、瀧澤先生がみえてベランダで近況報告やら歓談を始める。話題は尽きない。 そのひとつは、11月に錦大沼で開催する3回目の「こころの森フォーラム」について。すでに公募まえに申し込みがちらほら。今回は樹林気功の小山内さんの2回目を、スピリチャルな山として瀧澤さんもわたしも注目する樽前山の見える森の中で行うというのがひとつのポイント。もうひとつは写真家・小寺卓矢氏の画像とトーク。「森のいのち」を平易な言葉でよどみない波動を送ってくれる。来年の春のテーマにも話は及ぶ。 そして苫東環境コモンズも滑り出しのこと。そういえばU病院の林の手入れ開始とフットパス、イコロの森の動き、それにつた森山林の前項植樹祭などが全部からんで、勇払原野一帯は、ここ2年ほどで結構ホットなエリアに変わったのだった。植苗、苫東のそれぞれのフィールドが「勇払原野」という共通項でつながる。要は、色々な人がこのエリア一帯に急に関わりだしたのである。 あまりに寒いので温かいスープなど飲みながら昼食を、とあいなったので丸太のフックにつるしておいたカップめんの袋をとりだしたが嫌に軽い。おお、とうとうヒメネズミにやられてしまった。中身はきれいに、スープもまるごとヤラレタ。以前、瀧澤さんにもらったドイツ土産の蜜蝋のロウソクも食い散らかされ、ドリップのコーヒーも袋が破られていたからよもや、という予想は的中してしまった。そのうち、服が食べられそうだ。 ベランダに座っていると、最もよってくるのは残念ながら蚊だが、そのほか、蝶や鳥も。ゴジューカラ、ヒヨドリなどは目の前までやってきて、遠くではアオバトの声が聞こえた。大型のタカが林に見え隠れした。あっという間に13時になって、散会。 |
森林限界から頂上方面 ポッカリ抜ける おお、支笏湖! 錦岡へ下る森の道 巣が落ちた屋根裏 巣のかけら。そしてテーブル カバーはふき取れない化学 物質。ハチの唾液かと思う フン マイマイガの発生で今年も 夏のカラマツ林があかるく なってしまった |
樽前山はパワースポット&スズメバチのその後 ~犯人はハチクマか?~ 2009/08/24(mon) 晴れ どうも、樽前山は、密かに、パワースポットだと思っていたのです。 それが7月、鹿児島の霧島神宮にいって「やっぱり」…と確信。 で、8/24は予定していた細切れ夏休みの最終日、樽前にちょっと行って見たのです、 ひさびさに。下から見ても7合目界隈でも、わたしは感じるものがあります。 で、駐車場で爆睡しました。 昨年からこれで、高千穂、霧島、伊勢神宮を巡ってみて、それに劣らないスポットが わが樽前の山だ、という結論に達したわけですが、もうひとつ、勇払原野もそれに近 いものがあります。 11月8日に、樽前のふもとの湖の見える広場で樹林気功などをするイベントを開催 することが今日決まりました。森の命の写真家「小寺卓也さん」とのコラボです。 題して「樽前山のふもとで山・森・湖の息を聴く」 B級自然「勇払原野」は今、ちょっと熱くなっています。 その足で小屋へ。 >8/22のわたし発のニュース スズメバチ「に」ではなく「が」襲われました。 先日の日曜日、小屋に行くとスズメバチの巣が壊されていてハチたちは殺気立っていまし た。フロントガラスにぶつかってくるのです。屋根の梁についていた巣はなく、ベランダには そのかけら少々。 長老に「(そのままでよかったのに)退治してくれちゃったの?」と聞くと、「そんな危ないこと 、オレはしないよ」と一笑された。では、ヘビ?それとも? 前回もそうだった。建設なかば に落ちていた… 長老によると、タカが襲うことがあるらしい。ヨタカも食べるという。 そういえば、巣のかけら以外、本体がなかった。 雑木林の小屋周辺で展開する自然の連鎖を、また目のあたりに した気がしていささか厳かな気分になります。 それへのレス(by 地域SNS「どっとねっと」 *まずRさん 壊された巣を見ること、ありますね。人が壊したとは思えない高い梢の巣が壊れていました 。 ハチクマということはないのでしょうか? この当りにはいないと言われましたが、そろそろ集結する時期で通りすがりに襲うとか、 そういうことはないのでしょうか? *再びRさん ワシタカ図鑑で調べてみたら関連の記述がありました。 ハチクマの胃の内容物調査の結果(石沢ほか) 5~10月 昆虫が100%で内訳は以下の通り ジガバチ幼虫~成虫 54% キイロスズメバチ(幼虫) 23% フタモンアシナガバチ(成虫、蛹、巣) 15.4% その他 レンジャーによりますとジガバチはジバチのまちがいではないかとのことです。 この辺りにはいないと言われていますが、ハチクマがスズメバチを食べることは確か なのですよね。 *そしてMさん 私もハチクマかと思いました。 ハチクマの和名はハチを主食とする性質を持つことに由来してますしね。 室蘭では毎年9月の中頃にハチクマが渡りのピークを迎えます。 昨年は350羽くらい渡っていきました。 ちょっと気の早いハチクマがいるのかもしれませんね。 *そしてわたし 検査に行きましたら、残骸はほとんどなし。かけら、少々。 そして、ジャーン、またもや、アライグマかと思われるフンが同じ場所に。 で、想像。 1 高いところでキャッチできる鳥のようなものが落として食べた 2 残り物をすかさずアライグマなどが食べた、あるいはもっていった 以下、写真から想像して意見を!最後は、なにもない!というベランダ。 ・さらに わたしも検索していましたら、やはり地面で蜂巣をあさっているものが2,3ありました。 屋根のスズメバチ(キイロ=ケブカ)は梁に作りましたから、ハングしたところに飛び ついたのでしょうか。 あと考えられるのはやはりアライグマ。テーブルにのってジャンプしても3m近くあり ますし、丸太の壁を登ったというしっかりした証拠は見つかりませんでした。 長老がトビが食べている、といったのを思い出しましたが、あの顔立ちはトビそっくり ですよね。 採捕の現場をみてみたいものですが、いかんせん、ワシタカの同定がわたしはうまく できません(^_^;) |
植苗病院のフットパスは とてもよく歩かれていた 錦大沼のミズナラ 錦大沼からあいにく樽前山は 見えなかった 辛うじて有珠の沢にたどり着いた |
林の情緒的把握の試み 昨年11月の第1回「こころの森フォーラム」で行ったアンケート結果は、今年3月「身近な林の印象表現に関するアンケート結果」としてまとめた。その副題で書いた「~喜怒哀楽でつきあう林~」の具体的イメージやネーミングの検討は実はまだだった。これは楽しい宿題としていずれやろうと決めていたことだったのだ。今日は瀧澤先生がこの探訪に付き合ってくれることになり、昼前から開始。 訪れたのは「錦大沼」「糸井山神社」「有珠の沢」「高丘展望台」「市の森林公園」「苫東の小屋の雑木林」「つた森山林」「柏原」の順である。市内の西端から東端まで、5時間以上を要した。 しかしまあ、あらためて別の下心で林を巡って、表現の言葉を探す、という作業はどこか照れくさいところがある。感性の記憶を惜しまず掘り起こす営みだからだろうか。瀧澤さんはわたしの意図を良くわかってくれているから、わたしが訊ねる前から適切な感想表現を出してくれる。わたしは自分の感想を述べながら、二人分まとめてメモした。 昼食は糸井山神社のベンチで小川を眺めながらした。有珠の沢は、溶岩流工事で大きく林道が変わってしまい、川沿いの探勝ルートは失われているのを知った。そのかわり、高丘の森林公園を組み入れて歩いてみた。風倒木処理の跡の造林が進んだが、わたしたちの求めていた市民の森林散策イメージとはかなり違う。「でも、予想外に快適」という感想を二人とももった。 北大研究林はよく共にした打ち合わせ場所だったので省略して苫東に向かった。小屋のスズメバチが気になっていたのだ。知らずに近寄って事故のない様に、注意書きのプレートと、小屋日誌を入れて隔離するビニールの袋を持参したのだが、どうもベランダ前にぶんぶんスズメバチがいて殺気立っているのがわかった。よく見ると、スズメバチの巣は落ちており、ベランダの壊れた巣の周りに何匹かが飛んでいる。その様子が察知されたので、車のドアを開けず窓もしめたままにした。ドアガラスにスズメバチが体当たりしてくる。落ちた原因はわからない。数年前も完結する前に壊れたが、原因はわからない。結局何もしないままあとにした。 つた森と柏原を巡って帰途についた。 |
刈り払い機」の周りには蚊の大群 雨のなごり 2週間で20cmに、ハチは25ほど 夏のしじま |
ままよ、スズメバチと共生しようか 一ヶ月ぶりにフットパスの刈り払いをする。毎年思うことだけど、草の伸びというのは一様でなく、真夏の時期になるとやや収まる。8月は結構手が抜ける。あれほどの雨が降ったのに、若い笹が出てきただけでオオバコなどの雑草はおとなしくて助かる。しかし。… 車の周りなどはその熱のせいか、蚊だらけ。刈り払いで一周してきたわたしの背中もワイシャツ越しに刺されて痒い、かゆい。 スズメバチの巣は20cmに成長した。真下のベランダとテーブルクロスは、なにか廃材のようなものが落ちていて容易に取れない。箒で掃いてみるが、大分残ってしまった。 さて、このスズメバチ、どうしようか。不特定多数の人が来る小屋だけど、ドアを思い切り閉めたりしなければ、まあ、飛び立って襲うこともないのではないか。わたしの郷里などは、スズメバチを駆除などしなかった。そして死亡事故なども聞かなかった。北海道では、地面に巣を作ってブッシュカッターで壊したりするように、自己が発声するのは知らずに破壊をするからだとわたしは思う。 で、いろいろな生き物と生きる空間、「雑木林ケアセンター」だから、これも朝顔にツルベをとられた井戸みたいに、ベランダを提供しよう。恐らく、霜が降るまで彼らは活動するだろう。ちょっと長いが、我慢しよう。 |
3人中お二人は苫東が初めて。 これは案内の醍醐味 和みの森のボラの方々 イコロにて |
苫東環境コモンズを初プレゼンする 7/31の夜、釧路公立大の小磯学長の「社会起業研究会」で、苫東環境コモンズの事例報告。大勢のまえで体系や概要を話すのは実は今回が初めてでした。事業化のことなどはまだずっと先のはなしの未知数のことであり、とりあえず、北海道の、かつまた、勇払原野の慣習を土台にした独特な環境コモンズの概念を提言して合意を得られることが、まず何より優先されること。なので、本当の意味からぶれないで愚直に動いて行くしかない、と自ら静かに戒めつつ。 会の終了後、関心を寄せてくれた数人の方にお会いした。全く知らなかった勇払原野と苫東の自然の現況について少しわかった、という話や、懐かしくかつ意義ある取り組みだとの評価など。 翌日は基調講演の中川さんと小磯先生、研究会事務局の関口さんを苫東の主だったところに案内。つた森山林では、刈り払いのボランティアの方々、小屋では先輩の吉田さんとお会いした。 ベランダの屋根裏のスズメバチの巣は、それらしい形に成長していた。 |
巣作り開始 刈りながら 小屋 つた森入り口のオウウバユリ |
~まるで生き物バラエティーショー~ 雨はもういいと思う。火曜日から道北を廻り、前半はずっと雨、後半のサロベツ原野も雨時々曇り。土曜日もほぼ雨、そして今日も。庭のビオラは徒長して花の寿命が縮んでいる。ああ、早くあがって欲しい。 そう思いつつ小屋のベランダに座る。ぎょ、ベランダの屋根裏にスズメバチが巣を作り始めた。直径8cm程度だが、7,8匹がせっせと励んでいる。そして時々、おしっこのような液体を、直下の椅子に座っているわたしに落とすのである。お茶を沸かすとき、バーナーにやかんを置いた途端、びっくりしたのか、テーブル下の袋から3,4匹のネズミが四方に逃げ出した。サイズからしてヒメネズミか。トガリネズミよりちょっと大きい。 さらに。ほうきを取り出してベランダを掃く、といういつもの所業のために、オイル缶のわきのほうきをとったら、そこからゆっくり身を引いたものあり。そのスピードはこの小屋の主「みどりちゃん」、アオダイショーだと思う。おお、バラエティショーだ。みどりちゃんとネズミは共生を始めたのだろうか。 フットパスに掛かったササを手鎌で刈る。ブッシュカッターを出すまでもない。ササミチとカラマツルートをスタート地点から数百m手がける。そこへ11時過ぎに、お客さん2名来訪。わたしに「勇払原野=B級自然」説を発想させた映像プロデューサーのKさんだ。これから苫東の映像を手がけるというNさんを同行。 歓談しているとそこへ精神科のTドクターが手鎌をもって登場。昨夜のメーリングリストで、わたしが今日現場に刈り払いに来ることを知り手伝いに来たのだと。聞くと、Kさんも何かしたいというので、中鎌を用意し、一緒にフットパスの残りを手がけてもらった。2時過ぎ、二人をつた森山林と柏原フットパスに案内するため、ドクターとともに帰途に着いた。 |
例のフン 夏木立 ナラの実生。かわいい |
フットパスに生えた実生の若木 苫東の斉藤ガーデンでツルバラ「サマースノー」の写真を撮って、小屋へ。久々の晴れだが、林道はタップリの水溜りができている。ベランダに、見慣れない真っ黒な糞が落ちていて、中身は粒粒の果実が含まれている。ぷんと匂う。ノートのクリアファイルの上にも汚れがあるところから、わたしはまたアライグマだと決め付けた。ホウノキの葉っぱに枝で乗せて藪に捨てた。糞は柔らかかった。 ベランダを掃き清めてから椅子に座ると、耳慣れない鳥が飛んできてさえずる。よく見ると、ヒヨドリ。ということは若鳥か。そういえば、キツツキに警戒音がもう聞かれない。やはり、原口さんが見つけたシラカバの穴が巣立ったのかも。親鳥はしきりに、ベランダの後ろの方で音を発し続けた。巣穴のほうでなく、後ろを向かせたかったのだろう。なるほど。 フットパスの枝払いに出かけると、もう笹が出始めている。と、その濡れた道には実生のミズナラ、コナラの若木がかなり生えてきている。多いところは1㎡に6本もあった。昨年の豊作に生えてきたものだろうか。でも困ったものだ。刈らないわけには行かない。実生の苗をポットにでも移すか。 奇跡の落ち枝、3本に出会う。かなり、ブッスリめり込んでいたのが二つ。抜くのに力が要るものもあった。どういう偶然なのだろう。いいことが続くから、これからもそのままいくという予兆かもしれない、とわたしは今日も調子のいいことを考えた。 |
ハスカップ 佐藤さん、奮闘 わたしの収穫 三沢さんのメモリアルゾーン 砲金で作ったメモリアルプレート。 三沢久男緑化記念と彫ってある |
ハスカップ採りから「奥のささみち」 7月。勇払原野ではハスカップ(和名;クロミノウグイスカグラ)の黒紫の実を摘む市民が思い思いの穴場に集まる。苫東のつた森山林の一角には、いすゞ自動車の工場建設の際に、郷土種保全のために移植したこのハスカップが約5万本ストックされている。会社は、約30年近く、この畑を管理しながら立地企業の家族や関係者に、しばしば開放してくれてきた。今日はその日のひとつ。OBの、大野さん、原口さん夫妻、浜中さん夫妻、佐藤さん夫妻+お嬢さんなど。小一時間で約1kg採れた。 野草園を眺める原口さん 原口さんが以前寄贈してくれたクワ 昼食後、小屋に行くと、OBの大野さんが「いやあ、久久なので道に迷ったよ~」とやってきた。先日まであるNPOの理事長をやっておられたので、これから苫東で展開するNPOの運営についてアドバイスをいただく。大野さんは30分ほど散策などして札幌へ戻った。わたしは「奥のささみち」を刈り込んで、今季フットパスの刈り払い1周目を完了。そのころ原口さんご夫妻がこられ、野草園の手入れを始めていた。ブッシュカッターを担いで戻ったところでテーブルを出して懇談。少し、蚊がでて、にわか雨が降ってきた。近いうちの再会を約して手を振る。 |
初夏モードの小屋 今日もバッチリ 一服に帽子や手ぬぐいを地面に おいたら間もなく、尺取虫が 上がってきた。 おお!この豊潤! 初夏の雑木林 |
蚊のいない林で刈り払い 鹿児島の余韻をひきずりながら、いつもの週末保育地へ。9時前後に知人のTさん一行5人がフ まだ、今年は一回目の全路線刈り払いを終えていない!ずいぶん怠慢な年かも知れませんが、おかげというかいつの間にかというべきか、「ねばならない」というプレッシャーから離れることもできて、とても気分的に楽なスタートだとも言えます。ま、誰が期待しているわけでないいい加減な林の特典でしょうか。(笑い といいながら、今日でささみちフットパスは全線刈り込みを終えました。来週、小屋の北側の「奥のささみち」を刈れば今季、全線刈り払いはまず完了。サラリーマンの週末ヤマゴ(山子)のリズムというのは実はこんなものです。 遅い作業の原因も実は、刈り幅をグンと広くしてみた結果。これまでは1mもあれば十分、と見てきたものを、今年は歩き幅を正味1mとしてそのほかに左右に0.5mずつ合計1mを余計に刈ることにしました。遅い作業進行は実はそのせいでした。 不思議なことに、霧島同様にここも蚊がいない。繁殖の微妙な時期に雨がなかったから、というのがいつもの解説になりますが、真相は不明。ベランダで着替えしてもまったく支障なしはラッキー! 今週は、茶色や黒の蝶が目立つ。いわゆる、夏の蝶に急に入れ替わったような感じ。シーンという蝉の声かと思ったら、持病の耳鳴り。思えば、先々週あたりの蝉は、短い最後の夏だった…。ならば、もっとじっくり付き合ったのに…。(^_^;) |
7/2 まず下見へ 外縁はクリ、エノキなど 混んでいるが不快ではない 穴に生まれた笹地 7/3 切ってみて年輪を数える 太さと本数を調べる 昼過ぎ、記念に 午後の検討会 7/4 伐採したあとにこんなに 日が差す 簡便な枝打ちを始める 風景は変わる 今日もまた記念写真 (前日と同じ場所) |
鹿児島の霧島桜ヶ丘病院の林にて 2009/07/02—04
曇り→雨→晴れ 24℃程度か 林が本来持っている力を医療に役立てるプロジェクトの身近な第1弾は植苗病院でした。その瀧澤先生のコーディネートに共振したのが、北海道のはるか南・鹿児島は霧島市の桜ヶ丘病院。この第2弾とも呼ぶべきプロジェクトに、瀧澤先生と東京農大の上原巌准教授、末席にわたしめが参画して霧島を訪れることができました。以下は、その足掛け3日の検討会と作業記録の備忘録です。 ■初日・7月2日 くもり 午前10時半に新千歳空港を発って鹿児島空港には午後3時過ぎに到着。タクシーで霧島の病院へ直行し、副院長さん、事務長さんとご挨拶&懇談。病院の前院長の遺志をついで職員が自発的に一丸となって森林療法に取り組もうと準備をされているのがよくわかりました。特に中心となって企画している若き事務長さんの意気込みは瞠目するレベルであり、病院の経営を超えた大きなミッションという支えのようなものが感じられました。上原先生と事務長さんと3人で午後4時頃から対象の林に分け入ってみました。どんな林か早く見たかったのです。また、わたしのようなものは特に、よそ様の林を見て、作業やその先を見立てること、言って見れば「手入れ」のシミュレーションをしてみることに実にワクワクするようです。 病院が所有する林は二つに分かれ、一つは2ヘクタール弱、もうひとつのまとまりは沢に面した急斜面でこれよりやや小さいものの沢に面した細長い土地でした。当面、療法の対象となる林は、病院のそばのヒノキとスギの造林地でした。鬱蒼として藪に見えているのは、外縁の広葉樹林だけで、内部は林床植生にとぼしいものの実に整然としつつ混みすぎた造林地で、第一印象は、「手入れのしがい大いにあり」。日が入るところは笹が発生していることが植生の様子からわかりました。これは、手入れを始めると休眠していた笹が生えてくるのは間違いないとみなければならないでしょう。 若く熱い事務長さんが「明日の現地踏査がとっても楽しみ」と真顔で何度もおっしゃっていたのもとても印象にのこりました。それと上原さんが心配されていたヤマビルがおらず、わたしが心配した蚊もほとんどおらず、まず、場所の快適さのもとが大丈夫であることに安心をしました。 ■2日目・7月3日(金) 雨 現場歩きと勉強会 事務長さんが楽しみにし、天候回復を予報した朝は、残念ながら晩からの雨がやまず、出かける頃には本降りになってきました。午前は現場に出向き現場検討会と全域踏査、午後は林の見立てと今後の方策の検討会の予定です。検討に参加する若々しい作業療法士さん、看護士さんら数人が紹介され、副院長先生、事務長さんともども雨具を着、勇躍、雨の現場へ向かいました。病院と林の丁度中間にエノキが一本たっておりそこにヤドリギが二つ生えています。上原先生は「これは幸運」と太鼓判を押しました。これはいずれ、大きな意味を持つかもしれません。 林を皆でみながら互いに感想を述べ合い、敷地境界の石杭も探しました。敷地境界は思っていたあたりより北へずれていることが判明し、さらに沢の音が聞こえる北側の所有地を探策しましたが、そこはイノシシも転げ落ちそうな急斜面と軟弱なあしもとで、とりあえず、増水した沢までたどり着き、登りなおしました。面積こそ、さほどではないのに、アップダウンと、鬱蒼とした植生は深山を思わせる不思議なものでしたから、再度登りきったあと、牧場越しのあまりにすぐそばに病院がデンと見えたのには、一同、内心驚いたのではないかと思います。それほど急斜面の本格的な上り下りでした。 雨で濡れたまま、20m×20mの標準地を設け、そこで木の太さや本数を調べます。若い声が林に響いて造林木がヘクタール換算で1800本程度であることがわかりました。ヒノキの直径は20cm前後、スギは最大で40cm近いものがありました。雨の中ですから、野帳のノートも水を含んでベコベコです。一本のヒノキを切り倒して年輪を調べると30年程度でした。雨のなか、全員でこれからの作業のことなどを意見交換して昼過ぎになり現場を終了。 午後は、午前のスタッフに院長先生、医師の先生、午前に現場にこれなかった若いスタッフと共に勉強会。最初に上原先生が、森林療法という「森林」と「療法」という全体の体系にたって各地で関わってきた森林療法のあらましと、前日踏査した結果を基にした特徴付けをパワーポイントで紹介しました。2番手は、わたしが、森を作る現場の立場から、前日の1時間の観察から思いついた手入れ作業の見立てを、前夜急遽作成したメモをもとにお話しました。最後に瀧澤先生が、医療のなかにおける森林療法の位置づけや事例、霧島の病院における展望などを話しました。 事務長さんはもちろん、若いスタッフからも質問が続き、5時過ぎ、なんとなくこれからの取り組む作業の段取りについてイメージが共有されたような気分になって、散会しました。なにやら、胸が膨らむ話し合いで、おそらく、実現可能性を確信したからだろうと思われます。伐採という核心部分の作業も自分たちで可能でないか、という話がでていました。また、病院と林の間にあったエノキに生えたヤドリギを、事務長が冗談交じりに「トマリギ」と呼んだことから、人と林の「止まり木」もいいのではないか、意味のあるエントランスやイニシエーションの場になるのではないか、という意味の発言も出ました。 ■3日目・7月4日(土) 曇りのち薄日 晴れの林の観察 わたしたち3人は、午前の早いうちに霧島神宮と高千穂河原などを見学しました。というより、すでに来たことのある上原さんと経験豊富な瀧澤さんに初訪問のわたしが案内してもらった格好でした。タクシーの運転手さんも気持ちのよい名ガイドで、結論から言うと、日本の源はやはり九州にあるのではないか、と思い始めました。宮崎県の高千穂と鹿児島の高千穂の双方を体験してみて、すとんと落ちるものがありました。神社というパワースポットの北の高千穂、天孫降臨の峰々と広大な神宮を備えた鹿児島の高千穂の各々の意味もおぼろげに見え始めました。 そんなことを思いつつ、昼前に病院に伺うと、丁度事務長さん一行が作務衣姿で花束を抱え病院の玄関に入るところでした。森林を療法に役立てようと考えていた前院長先生の3回忌の法要だったようです。晴れ間も見え出した折、晴れ間の林も見ておこうという上原さんの発案をうけて早々に着替えて林に入りました。驚いたことに、たった一本伐採したヒノキの後は、ポッカリ穴があいた状態で、ステージのように太陽が差し込んでいました。 恐らく、暗さとのコントラストがすごいのでしょう。著しく相対照度の低い林の内部のこの現象は、演出可能な変化ともいえます。光の入れ具合で植生もコントロールできるかもしれません。また、わたしが北海道でよくやる方法として、太さ5~10cmの長い枝をもって、枝打ちをする方法を披露したところ、スタッフの方々が交互に枝を落としていきました。すると瞬く間に林の様子が変わっていきました。明らかに風景がすっきりしてきたのです。スタッフの一人はわたしが前日使った言葉「手自然」をどう実際につくるのか迷っておられたのですが、光の変化や枝打ちによる変化などで少しわかっていただけたようでした。ここでもまた、いろいろな可能性の話がでて、尽きませんでした。「志」とそこへ向かって具体化する方法の共有。病院の「人」を中心としたつながりがそこに見え、その立ち上がりをまのあたりに触れるという貴重な経験をすることができたように思います。 初めての鹿児島の訪問でしたが、病院のみなさまの懇切で温かいおもてなしを受けることができたこと、それと霧島というわたしの憧れの地を体験できたということのおかげで、願ってもない幸福感を味わわせていただきました。副院長先生、事務長さん、スタッフの方々、そしてコーディネートしてくださった瀧澤先生、陣頭指揮をされた上原さん、みなさまにこころからお礼を申し上げたいと思います。 |
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