写真を頼まれて 11月1日(土) 晴れ あるネーチャー系の雑誌に「里山」関係の原稿を頼まれ、これは既に提出済みなのですが、先週、編集者から「表紙の写真をあなたのテクスチャーから用意してくれないか」との連絡。 ぎょっ。うれしい話ではないですかあ。そもそも、わたしは重たい画像には縁はなく、ホームページに使えればいい範囲で、たまに出版に使えても200kbあたりで済むような、手軽なことばかりしてきたから、今回、「最低は一メガ」などと言われると困る。 とはいいながら、誕生日の朝、ドライブがてら来てみました。ありきたりの雑木林風景に賛意を盛ってくれた編集者の眼力に感謝。 |
小屋の裏のモミジ コシアブラの白葉 秋の収穫 |
小屋にエゾシカが来てエノキタケ出る、の巻 10月25日(土)晴れ 15℃ 欧州の森を歩いていたからほぼ20日ぶりに雑木林に来た。入り口で紅葉の出来をみたが、今年は、樹木たちの事情もいろいろのようで、個々勝手に散ろう、と約束したようなテンデバラバラ。写真をとる気もあまり起きない状態だった。 ベランダで本を読んだ後、ふと目を上げると50mほど先に黒い影が、3,4つ。鹿だった。この位置からエゾシカを見たのはあっただろうかと思い出してみた。ウサギとキツネの記念すべきチェースはよく覚えているが、はてどうだったか。 フットパスにでてみると、コシアブラの白い葉はまだ落ちないで居てくれた。日が傾いてからの白葉はか細い。消え入るような色で、ニンフのようだ。 カラマツの切り株に、エノキタケを見つけた。チャナメツムタケとクリタケも発見。こうやって収穫や目当てをつけて今日は歩いたが、手に鎌もカメラも何も持たないでボーッとして歩くのもいい。恐らく、そうしたときに、着想を得たり無に帰るような体験になるのだろうと思う。わたしは、ベランダでゴロゴロしているだけ、というのがいいみたい。ミズキは枝が層になり下から色づく 小屋全景 |
■お知らせ 10/11〜20日まで、欧州を旅行しました。 詳細は写真レポート「欧州の森で心身の健康を考える」へ。 |
ごらんの通りの空(笑い 歩き始める 奥へ奥へ ……ただただ… 足長オジサン、童心に帰る |
黄昏時の小径 10月4日(土) はれ 15℃ 今年はさっぱりキノコの話を聞かない。小屋の周りにキノコ採りの人も来ない。そろそろどうか、と籠をもって林に入ったがキノコの気配はやはりなかった。シメジやエノキタケはどうだろうか。それらは晩秋から初冬だ。 つた森山林の黄昏を歩く。美しい逆光の小径をまるで哲学者にでもなったような格好でたどる。こころは哲学どころか、光線のハーモニーにただただ喜ぶばかりだ。木漏れ日の斜め光線はうまきご馳走だ。枝道のずっと奥にエゾシカが数頭、じっとわたしを見ている。わたしは手を振る。約1分、シカたちは白いお尻を見せて斜面を飛んでいった。 帰途、Tさんのクラフト工房に寄った。カナダ産の組み立て式ウッディハウスは、なかなか快適で4年近いのに木のにおいがする。スタンドの明かりも壁の色も素敵だ。こんな空間を忘れていた。コーヒーをご馳走になりしばし懇談。 夜、お呼ばれしてキノコの大家お二人と7時から12時まで歓談。自然のこと、社会のこと、科学のこと、いい時間だった。大家はクリタケを持参されたので半分頂戴した。 |
重いものから力尽きる 光線がか細くなった この木をしばし撫でる |
気温12度、ホオノキの葉落ちる 9/27 sat 晴れ時々曇り 12℃ 秋分の日から急激に温度が下がって、晩秋のような温度になった。雑木林はハリギリやホオノキなどの大型の葉が落ちているが、まだ紅葉の気配はない。コナラのドングリはたくさん落ちているがミズナラはまったく見当たらない。 今日も午後から出てきた。猛烈な眠気が襲って、着くなり車中で30分熟睡。遠距離通勤のしわ寄せだ。もう雑草の伸びもササのそれも刈る必要を感じないので、夏場の作業は一段落したことを体が感じるのだろうか。怠け癖が頭をもたげる。少し傾いたベランダの光線の中で、原稿の校正作業をしたりメモをしたり。 肌寒さを感じる頃、トランクからフリースを出してフットパスに出る。キノコは見えない。杖をつきながら、独りのササ道。静かな内省の時間だ。やや物悲しそうな雰囲気を感じるのは、温度と黄昏光線のせいだろうか。それともわたしの胸にあるかすかな不安のせいだろうか。 |
勉強会の振り替え 9/21 sun 曇り 林とスピリチャリティの勉強会の13回目は参加者がおのおの所要が出来ており、急遽休会することにした。その代わり、11月に行うフォーラムの事務局企画会議に変更。岡山から十時頃帰道する瀧澤さんがそのまま雑木林に直行するというので、わたしものんびり出かけたら瀧澤さんは既にフットパスを一周されていた。それから、2時過ぎまで、ベランダから林の緑を見ながら、結局、人のこころと林のことなど。
地域SNS「どっとねっと」の面々が、朝早く寄って下さって日記に記入してくれたようだ。わたしは娘の夏休みに付き合い美瑛方面へ出かけて失礼をしました。以下、訪問日記。 ○訪問者の日記から ・初のフットパス、歩かせていただきました。歩きながらtakeさんの「林とこころ」を思い巡らし心地よいひとときでした。勝手ながら枯れ枝2本頂戴しました。ペットへのお土産に(笑い)また機会があれば来たいとおもいます。ありがとうございました。(金魚) ・前に下見に来ているので迷わずつきました。小屋の中も見せていただきました。次回は宿泊も。(キャロル) ・今日はとてもありがとうございました。わたしは目が悪いので緑がとても好きです。昔から目が悪い人は緑を見るとよいといわれたことがあるのです。それを今も信じて緑の物を見るようにしています。とても癒やされました。(スヌーピー) ・朝の光の中のフットパスはきれいです。先頭を歩くとせっかくつくったくもの巣をきりながら進むのでちょっとかわいそうです。冥想台へも座ってみましたよ。次は「まほろば」へも行ってみます。ありがとうございました。(TANAKA) |
お出迎え〜! 来訪の3人+1と分岐で 木漏れ日は春風 一回目 2回目は奥へ |
平成9年から、この雑木林は育林コンペという森づくりのイベント行った。6グループ延べ150人が思い思いの森づくりを3シーズン続けて選考会を開いたのだ。そのグループのひとつが北海道大学の農学部の学生。苫小牧演習林の技官が技術的なサポートをしたが、実際はかなり自主的な企画運営で、学生らはよく来て遅々として進まない作業をしては小屋に泊まったものだった。 先週、その学生OBの栗田君からメールが届いて、まったく久々に訪問したいとのことである。今は根室にいる公務員。それから、女性の旧姓川嶋さんは、夫の早稲田君に送ってもらって厚沢部からやってくることになった。二人とも、雑木林の手入れではよい働き手であったばかりでなく、早稲田君は、このフィールドをテレメーターをつけて移動していたヒグマ「とらじろう」の追跡調査をしてきた深い因縁もある。しかし彼らはここのフットパスを見ていない。彼らがここを離れて10年経つからである。 10時前に着いたら川嶋さんは「なおきクン」(1歳半)と広場にいた。どちらにも似ている。来週は八戸と札幌の方々が地域SNS「どっとねっと」が縁で見えられるし、食事前にはエンジンを止めたいから刈り払いを早々に済ませる必要があった。わたしは挨拶もそそくさとブッシュカッターを出し、装備を身につけながら話す。やがて栗田くん、八木さんが来る。ピザを作りたいという希望だったので、窯に火をつける。さらに小屋周辺の刈り払いを済ませてから、みんなをフットパスに案内した。なおきクンはおんぶされながら時々帽子の紐が顔にあたったりするので愚図るが、直してあげると機嫌が直る。 フットパスから戻って焼いた1枚目のピザは底面がこげてトッピングが焼けきらないという微妙なできだった。上下の温度バランスが巧く行っていない。いつも最後のピザが一番よくできるのだ。つまり前半はいつも試行錯誤。 guiterist alone水辺のベンチで打ち合わせ@ 娘が遅い夏休みで帰省するためにおいとまして、長老宅でとうきびとメロンをいただくと、そこへ飛行機のシステムトラブルで飛行機の到着は大分遅くなるという連絡。予定を元に戻して、瀧澤先生と北大研究林で落ち合い、11月の「こころの森フォーラム」(仮称)の企画を林道を歩きながら話し合う。上水の取水口のさらに上流まで行き折り返した。黄昏てきた林道はさすがに快適で樹木園に戻ってきたのはほぼ2時間後。十分話も出来た。林道は話しに集中できるし気持ちがよい。と、そこへ一台の車。林長のHさんだった。そこでも立ち話が続いた。企画はいい方向に向かいそうだ。 ●訪問者の書き込みから ・ひさしぶりにこの雑木林に来ました。子供をつれてはじめての訪問です。フットパスを歩いて、林の空気を吸って、久々にのんびりとした時間をすごすことができました。子供(直希)もなんだか楽しそうです。草苅さん、森の案内ありがとうございました。ピザも美味しかったです!(3枚目以降もっとうまくいきましたよ〜)やっぱりここはいいですね〜!(早稲田亜希子) ・8年ぶりにこの森に来ました。木漏れ日の中でピザ食べてのんびり。ゆっくり過ごしました。子供も楽しそうでした。また来ます。(塚原正久) ・はるばる別海から約8年ぶりに遊びに来ました。午前中は草苅さんの案内でフットパスをめぐり、お昼はピザを食べ、さっきは昔手入れしていた北大チームの林を見てきました。草苅さんが手入れを続けているケアセンター周辺の林に比べてうっそうとしていて初めは場所を特定するのが大変でした。ササ小屋や落ち葉のベッド、木道などは朽ち果てて居ましたが、シイタケのホダギは見つけることが出来ました。今は懐かしい林、懐かしい人に出会えて元気をもらいました。また遊びにきたいです。炊きつけと鉄板を寄付して行きます。(栗田健) ・札幌から参加させていただきました。クリケンのピザ窯があるという一言にときめいてしまい…当時のメンバーではなかったにも関わらず、思わずついてきてしまいました。屋外で皆とわいわい作って食べるピザは本当に美味しかったです。それにしても手入れされた雑木林は歩いていても本当に気持ちいいですね。やはり二次林はこうでないと…。草苅さん、ありがとうございます。また遊びに来させてください。今度は泊りがけでゆっくり来て林の作業もいろいろ体験してみたいです。(八木美穂子) ・久しぶりに(5年以上)来ました。途中、E地区の公園、つたもり山林を散策してきました。どこの緑地も木が生長していて元気をもらいました。都会にはなかなかない緑地、元気をもらって帰ります。帰りは斉藤さんのところに寄ってみたいと思います。(泉洋) |
主役は秋刀魚 眠る竹村 教授は車の灰皿からシケモクを 集めてきた 初めての研究林の居住まいに 驚く3人 踏み石ともや |
山仲間が雑木林見学、小屋に集う 9月6日(土) 曇りのち雨 25℃くらい かつて北大ワンダーフォーゲル部の顧問をされ、北海道自然保護協会の会長だった八木健三先生のお別れの会が札幌であった。あくまでも明るく、前向きで物怖じしない先生の横顔がスクリーンに映し出されたいくつかの画像やスケッチで思い出された。思えば、ヒュッテなどでも随分飲んでお話させてもらった。結婚式でスピーチをしてもらい、絵を一枚いただいた。最後に奥様がご挨拶された。情愛に満ちた名スピーチで、その中に夫・健三はひまわりが大好きだったとおっしゃった。そしてその語りはまさに先生がひまわりのような人生をあるいてきたのではなかったか、と思わせた。私利がなく善意で人とつながった、ともおっしゃった。わたしは初めて八木先生が宗教的な身の振り方を実践されたのではないか、と気づいた。後で聞くと少なくとも奥様はクリスチャンだったようだ。 同じ代の山仲間5人、雑木林の作業を見mなにか手伝いたいと小屋に集うことになり、わたしは会が終わってすぐ買出しのために苫小牧に戻り霧雨のなか一足先に小屋に向かった。ここで不思議な経験をした。林の薄暗い雰囲気に入った途端、この一週間、胸に懐いていたあるモヤモヤが霧散していくことに気がついたのだ。喜怒哀楽の森という視点を取り入れようとしているとはいえ、この林に入った途端、あるマイナスのイメージが吹っ飛んだこと、これはメモしておきたい。 わたしは霧雨の薄暗がりのなかで、黙々と焚き火パーティの用意をした。黄昏時を独り占めして至福の時間をゆったりと味わう。ベランダを掃き、焚き火を起こし、林道を歩いて、ヨガのテラスを掃いていると、OBが4人到着。6時前だった。安着祝いをしてから、明かりもつけないで焚き火の明かりだけで肉とサカナを焼いた。メインは秋刀魚。生88円だった。夜9時過ぎだったろうか、女性の勝野は明朝の仕事のため暗い林道を帰札。竹村は眠り始めていた。蚊が多い中、ポリポリかきもせず熟睡している。 夜中、ベランダがごそごそと音がする。アライグマでも来たかと覗いてみると大貫教授だった。「目が覚めてしまって」と焚き火を始めようとしている。3時だった。前回は3時半にしゃべり始めたが今回はさらに30分早い。カラマツの枝を床下から持ってきてたきつけにしわたしまた寝に着いた。ベランダが焚き火で明るくなり、誰かが起きてぼそぼそ話が聞こえる。 残念ながら、笹が被るフットパスの案内は出来なかった。また、熊本でみかん農家を営む大見は、ブッシュカッターで刈り払い奉仕をしてくれるはずだったが、これも取りやめにした。そのかわり、小雨のなか、北大の研究林を案内する。林内は傘をさしながら散歩する人もちらほら。幌別川は川面に霧が立ち込めて幽玄の趣。展望台で臨森林都市・苫小牧をPRしてオートリゾート「アルテン」の温泉で、焚き火くさい体を洗う。大見と背中を流し合うと大見は背中を流してもらうのは初めてだと言った。 |
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