林が新しくなる
NO.41
2007/01/06〜

落ち着いた雑木林の間伐に入った。
美しい林に変わりそうな予感がして、胸がふくらむ。
うして林を「イヤシロチ」に変えていくことが出来る、というのは幸せである。
そうしてそこへ、人々を呼ぶことが出来、その気持ちよさに気づいてもらえたら
それに勝る喜びはない。



カラマツの個性的なシルエットに。

まほろばでセルフタイマー。

まほろばで逆光写真を撮る上原さん。













まだまだ混んでいる。

こんな風に空が変わる。

シナノキの顔?小さく割れあり。









シナノキの枝。つぼみがぷっくりしてかわいいのだ。

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加工しやすいので記念の枝を適当な長さに切る。そして仏になるべく深夜に削る。あてもなく。


春の妙味、コシアブラの芽。よく見ると三またになっている。

上原さんが7年ぶりに     225日(日)はれ

24の土曜日は十勝支庁関係の講演があり、朝、帯広へ向かう。40人ほどのこじんまりした会合で、「林はセラピストだ」というお話をさせてもらった。少し早めに終わったので一便早い列車で帰ったら、というお勧めで駅についたが、時間ぎりぎりで缶ビールを買う時間がなくてがっかり。気を持ち直して、仕方なく本を読み始めるが身が入らない。窓の外には日高や大雪山の山並みが見えて、ここでビールがあればなあ、ビールを飲みながら十勝の風景を眺めるのは生きてる証なのになあ、などと未練を捨てきれずにいる。と、社内アナウンスが流れてワゴンサービスがあるという。おお、やったああ。2時間半の旅行に車内販売があるのはありがたい!発車して30分後、薄暮の平原と山並みを見ながらゴクリ。

苫小牧に到着後、森林療法の上原巌さんと森林療法に関わろうという医療関係者が待つ(阪神ファンが根城にする)焼き鳥屋さんへ向かう。いつもと違う脳の部分を使いながら、楽しく歓談。

25日朝、ホテルに上原さんを拾って苫東へ向かう。上原さんは7年ぶりの訪問。前回は精神科医の瀧澤先生と勉強会のついでで6月ころだった。あの時は、このほか演習林、支笏湖などを案内した。車で林に入ると「木々が、草苅さんがきたので喜んでいるようにみえる」などとうれしいことをおっしゃる。なかなか、第6感の鋭い方だから、まさかと思いつつもやはり悪い気がしない。今日は、10cmほど雪があるので、長靴に履き替えてもらってフットパスを歩き始める。上原さんは、地衣類に関心があるといい、コナラやハリギリの樹皮についた地衣を立ち止まって見ている。

小屋の上空をマガンが飛んでいる。

「このごろ、気持ちのいい地形、というのに興味があってね」とわたし。今年、あらたにつけようと考えているフットパスルートのところで、7年分の林の話、林の履歴など。まほろばの分岐で記念写真。まほろばに行ってみたいと上原さんはおっしゃるが、今なら1時間以上かかるので断念して、ゴールのまほろばに回ることにした。「人によっては感じるんですよ、なにかを」というわたしの話にこころを動かしたようだった。で、その感想。「自分の人生や心の内側を、ひとりでじっと考えてみる場にいいですね」。おお、同じようなことを感じておられる。

U病院へ向かい、周辺の林で、修景方針とこれからの保育のうちあわせをしてから空港に送る。




春の上昇気流か 
218日(日)はれ 10

久々に8時前に家を出た。まほろ場の分岐は間伐のおかげで空が開けてきたが、その穴のような空にオオワシかオジロワシであろう大型のワシが大きく気持ちよさそうに旋回していた。一時間後にはそこへトビが加わりワシはどこかへ見えなくなった。春なんだな。

先週切ったばかりのシナノキの木口(こぐち)が丸くて顔みたいだ。よく見ると、すべての芯に割れが入っている。どうしたことだろう。

フットパスはシカの足跡がいっぱい。なかなか実物に出会うことはないが、シカも道を使っており場を共有している観がある。時折、風に流れてケモノのにおいがする。

暖気なので雪が解け始め、古い防寒靴は今日もぬれてきた。やがて靴下も完全にぬれていやな感じ。戦意喪失。正確には戦意じゃないけどとたんにやる気がうせていく。沢で渡渉するとき男は急所がぬれると急にびびる、という話と似ている。もうやめて昼飯を食べることばかり考えていた。

先週は腰痛に悩まされた。重たい丸太を運びすぎたようだ。左足がしびれていた。今日も思い丸太を引きづったが、やはり腰を悪くしたようだ。昼、階段にぶら下がって腰を伸ばした。


外気温10度は驚いた。しばしベランダでくつろぐ。


シナノキの間伐、記念すべき日  
210日(土)曇りのち雪 2℃

天気は下り坂へ。雪は少なく固まってきた。ササのなかには雪がなく、フットパスのみが白い雪道になっている。そこへネズミ、リス、ウサギ、それと犬のような足跡がある。まだここで犬にはあったことがないから、それはなにかほかの、タヌキやアライグマなのかもしれない。もちろん、エゾシカも足跡は残している。鳥の声は今日はない。

お客さんが来るといつも散歩の息継ぎをする「まほろば」の分岐で、シナノキの一群などを抜き切りした。とうとうここまできた。長老は南のほうからこのゾーンに先週到達したようだ。これでフットパスの全線が一応手入れされたことになる。記念すべき日!

この分岐は、丘状の地形の中でもちょっと頂に近いところで、手入れもされていないやや荒れた感じの場所だった。少し、藪を払って枯れ木を倒した程度の広場を設けて記念写真などを撮ってきたが、夏でもフラッシュが光るほどの薄暗さだったのだ。そこに手が入った。5本株立ちのシナノキはそのシンボルだった。パワークラフトに使う枝20cmを寸断して3つ用意して持ち帰ることにした。また、つぼみがプリプリの枝先も水差しに誘うと思う。なにか、満ち足りた気がする。

戻った小屋は長時間空けたので薪ストーブにはオキがほとんど残っておらず室温は10度になっていた。もう一度ストーブを付け直し室温が20度になったのは1時間後だった。

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シナノキのタワー。



.すれた枝先が痛々しい。風の旅に隣の枝にふれ、枝葉笹むくれ状態になる。触れると、枝先の
芽は成長をやめて自殺する。


とうとう備えることにした消火器万が一の火事に備えて。 
イナス7℃で着替える  23日(土) はれ 

外は昼0度マイナス7℃の小屋で着替えるには気合がいる。精神をかなり前向きにセットしてえいやっ。

面倒な作業は、正月まで出ほぼ終えたのが功を奏して快適な作業になった。仕事前にまず先週の大失敗をリカバーすべくチェーンソーのトルクを下げて、アクセルを離すとほぼ同時に回転が止まるよう調整した。しかし作業して15分ほどたつと今度は回転が下がりすぎるようになってとうとうエンジンが止まった。オイルの混じったガソリンをほぼ使い切ってトルクが戻ったようだ。

日差しの指す無風の冬の日。予想以上に林の中は雪が多く、林道は車が腹をすり始めた。











笹道へ踏み出す

林道も美しい

幽玄の雪の日

事故に至る不注   127日(土)マイナス5度c→0℃c

寒い日だった。小雪がしんしんと降って今日の作業はやめようかと弱気だったが、手始めフットパスを伝って今年の長老の仕上がりをみてみようと、5cmほど積もった道を歩てみた。長老はかなり進んで、もうすぐ私のエリアに達する。フットパスの両側はだいぶ見違えるようになっていた。

そんな光景をみて、やはり少しでも片付けようという気持ちに変わり、着替えて現場に出。うかつにもチェンソーオイルを燃料タンクに注いでしまった。あっという間の出来事、少量だからとそのまま混合湯を継ぎ足した。しかし運転していると排気のにおいがいと違い、3,4回、トルクが急に落ちた。どこかおかしい。

そして倒したナラを玉切しているとき、チェンソーのブレードがズボンに軽く触れて小さくザッと音がした。刃が回転していたのだ。ハスクバーナの安全ズボンを履いていたからズボンがササクレだつだけで済んだが、普通のズボンなら太ももを切っていた。危なかった。原因はすぐ想像がついた。オイルを混入させたために、トルクが変化してしまいアクセルバーを話しても回転が止まらなくなったのだ。混合油をすべて吐き出し、新しく入れなおしたらだいぶ改善された。

山仕事の危険はこんなところにも潜んでいる。不注意は連鎖する。どんなに注意しても防ぐことができるとは思えない。こころの動揺は隠せなかった。今日は集中力がなく、注意力が散漫だ。2時間もしないうちに、作業はやめた。猛省。







ネズミが通る

ううむ、わたしとしては絶景





くたくたに疲れて    120日(土)快晴 4c

今週末は連日最終列車で帰宅、これだと0時半に家に着く。山仕事は別格だから7時ころには起きて準備を始める。子供の遠足、「夏休みラジオ体操」的対応となる。ま、真剣なのだ。林は、風のない暖かい日で雪もなく、そこでゆっくりとていねいな間伐を進める。

作業路を一輪車でいくと、ねずみの小さな足跡がフットパスを横断している。また、伐採した木の幹に繭に囲まれた昆虫の卵を発見、それらは茶碗蒸しの器のように行儀よく並んでいる。そういうことをいちいち観察しながら、間伐は進んでいく。

昼、ドイツで森林や自然の療法を研修していたT先生から携帯電話にアクセスあり。フットパス利用時のマダニ撃退方法に、私が提案したトドマツ精油を試した
い由。

1時に再度作業に出て、3時前にストーブの元に戻った。部屋は24℃というかなり快適な温度になっており、迎えられた、の感あり。くたくたに疲れる快感も。


林はもとはこんなだった            それをこんな風にする



長老が小屋で待つ

雪がないフットパス

長老と林を巡る
二人だけの仕事始め  1月12日から13日 晴れ −5℃

十二日夜7時、職場から直行して小屋へ。間伐のパートナーである長老と山仕事の新年会。 林に入って小屋までの間、ヘッドライトを遠めにして林をてらすと、林はとてつもなく雄雄しく自己主張する。長老は発電機を持参して小屋の内外を照らし、実に明るい夕餉となった。懐かしいジンギスカンや魚を焼きながら二人でベランダで乾杯。ホッキの煮物、ウドの酢味噌などの珍味も登場。四方山話で11時となり、朝は7時前に起床、この間に2回、薪補給。

朝、小屋の周りを歩いてみると、ほとんど雪のない林床はナニワズが冷たそうに作準備をしている。モミジの苗やその他次世代の植物達がびっしり待ち構えている。視点を低くしてみると、あるわあるわ。頼もしい限りだ。

9時から今年の進み具合を見に行き、新しく作ろうと語ったフットパスのコースを二人で歩いてみる。やはり広い尾根筋を歩きたい気分だ。東に林道が見えてくるところもあり、安心感がある。長老と別れてから、昼間でじっくりていねいに作業に励む。

別れ際に長老の背中に「ストーブに薪を一本頼むよ〜!」と頼んでおいた。昼過ぎ、小に入ってみると、なんと35度だった。恐らく過去最高ではないか。きっと、たっぷり入れてくれたのだろう。午後、もう一度作業に出る。寒さが身に沁みるようになって戻ると、岡山に帰省しているT先生から携帯に電話。森林信仰の本を借りれそうだ。


ここでの仕事は気持ちよい


こんな枯れた松がある

どうしてこうなる?
謹賀新年 2007年1月6日 雪

今日は午後から大荒れの天気予報。東京に戻る娘を朝7時半に千歳空港に送って、その足で8時前に小屋へ到着。年明けはいよいよ雑木林の間伐らしいゾーンに入る。まず間伐らしく伐採木を定めて伐り進み、2時間ほどして所定の長さに切手運んだ。単純な仕事だ。これがたっぷり残っており休みさえあれば勇んで通い冷たいところ。

単純な作業だから、頭は雑念の海になる。日常のやり取りの中で気になっていたことが、手を代え品を変えながら浮かんでは消える。しなければならないことと自分の能力に関わる不安、その他のマイナーなことばかりが今日は想起される。それでも昼前に予定の群が終わったので、これからの作業予定場所も下見してみた。本当にたっぷりあるのが、ものすごく嬉しい。

12時過ぎ、風で林が鳴り始めた。そして1時間後、雨に変わった。



昼休みのなごみ

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