1 つたもり山林 2 小屋周辺 3 笹道 4 遠浅樹林地 5 柏原 6 北大研究林 7 錦大沼 8 糸井山神社 9 豊川・山椒の丘 10 うすの沢 11 木漏れ日の道 |
カラマツの葉は食べられた H20/08/30 sat 曇り 26℃ このごろ、お客様が続く。わたしが所要でこれない日にぶつかっており、やや残念だけれどもほぼちゃんと笹道のフットパスは歩いてくれているようだから心配はいらない。むしろ、管理人顔して余計な話につきあうよりも、静かにコナラの雑木林を「感じる」ことの方の意味が実は重いかもしれないから「それでいいのだ」。さらに望むなら、そういうグループも離れて、いずれ独りで来て欲しいと思う。 今週から、早朝に来るのを止めて、原則、午後から薄暮までを過ごすことにした。正午に食事を自宅で済ましてくると、時間がタップリとあり、かつ黄昏の憂いに満ちた林に入れる。そのまま、公衆浴場に行く。この行程が今のところのベストではないか、と思う。小屋周辺は2週間ぶりだが、日ごろの手入れの成果で、荒れた感じはまったくなく、フットパスを周りながら、被った笹を鎌で刈り歩いただけで今週の作業は終えた。カラマツの葉っぱが食べられて、林は異様に明るいことに気づいた。樹木の生長に響くだけならいいが。ベランダで本を開いて、深い午睡をした。「これでいいのだ」と思う。 これから、喜怒哀楽に「淋」をくっつけた林のネーミングを試みようと思う。手始めとして、岡山に住むスピリチャリティの優れた感性をもたれる方に、今、わたしが日常的にかかわっている身近な林の印象を尋ねる準備をした。その方は、林などの霊性や林と共棲する妖精のことなどにもヒントをくれる可能性があるので、とても楽しみである。今日、お聞きする画像をすべて用意し、各々の林のプロフィールをメモした。それは次のとおりである。 *IYさんにメモした林のプロフィール 森と林のプロフィール 1.つたもり山林 注)1から5は、わたくし草苅が、23年間勤めた「苫東(とまとう)」というインダストリアルパークの中の緑地です。全体は1万ha、緑地だけでも3,000haほどあり、来年、この緑地を利用しながら管理するNPOを立ち上げる予定です。 2.小屋周辺 つたもり山林の2kmほど北にあり、わたしが20haほど借りて手入れをしています。小屋は一帯の中心にあり、間伐の道具などを入れる作業小屋、兼雑木林の別荘。このあたりは、北海道特有のササがないため、どこでも歩くことが出来、かつ、本州に多いコナラという優しい女性的な樹木が優先しています。小屋から南北にふたつのフットパスが伸びており、小屋に戻ってきます。鬱に悩む方などに隠れた人気があるようです。 3.雑木林の笹道フットパス 小屋から南へ伸びるフットパス周辺の林。冬もさほど雪が積もりません。フットパスはほぼ平坦ですが、ゆるやかな起伏があり、遠くまで見通せるせいか、安心感があり、時々はエゾシカやクマゲラの声もします。ルートはずっと若い林に包まれており、頭の上が完全に開けるのは、小屋の前だけです。手入れがされているために、紅葉がとても美しいのが自慢です。カラマツ(落葉する針葉樹)の林だけは、やや暗く荘厳な感じがあります。まっすぐ立っているのがカラマツです。 4.遠浅(とあさ)樹林地 つたもり山林の北5kmにある雑木林。林を所有している会社から林の入り口や一部をかりて、町内会が公園にして使っています。内陸にあるためか、つたもり山林よりも大きな木が多くひと気があります。林の隣接地に住宅団地と大きな家庭菜園が出来たせいもあるでしょう。赤いあずまやの向こうにあるのはドロノキという昔はマッチの軸にした樹木です。このエリアでは一番太く直径が1mを越えます。今年の秋から、町内会の人たちと風に倒れた木の片づけをはじめます。 5.柏 原 苫東(とまとう)のほぼ真ん中にある、防風林に囲まれた採草地。夏、南東の海風が吹くために、幅50mほどの防風林が縦横に残されています。そのため、椅子をもって保養地のように遊びにいったり、新緑のころ、山菜採りに出かけたりします。長距離を移動する際のヒグマの通り道でもありますが、ほとんど目撃されることはありません。農道や林道がフットパスとして使われます。 6.北大研究林 昔の帝国大学が各地に持っている森林の研究のための林で、ここは苫小牧にある北海道大学の研究林。北海道には東大が富良野に、九州大学が足寄(あしょろ)と言うところに持っています。苫小牧研究林は、ヨーロッパの都市林と同じで、林業をしながら市民に開放し、動植物や地球環境の研究を行っています。近年は世界中の森林研究者のセンターとしても機能しているようです。苫小牧は渡り鳥の通り道で、ウトナイ湖が水鳥のサンクチュアリになっていますが、研究林は森林性の鳥のサンクチュアリに当たります。面積2,700haをもつこの森は住宅地と接しているため、毎日、カモと遊ぶ市民も多く、わたしは冬になると、小鳥を手に載せて遊びます。 7.錦大沼公園 苫東(とまとう)の反対に、苫小牧の西外れにある森と湖の公園。公園の隣には今日本で一番評価の高いオートキャンプ場と温泉があります。ここも、海から2kmしか離れていないのですが、木々が寄り添って壊れないで森林を維持しています。この森はとぎれることなく国有林となり、支笏湖など一帯の大森林地帯につながり、札幌やニセコとも森で結ばれていることになります。子供達にも人気があり、道や木道がしっかりと使い古されています。湖の正面には小さく噴煙を吐く活火山「樽前山(たるまえさん約1000m)」がどっかと見えるはずですが、この日は残念ながら顔を出しませんでした。 注)樽前山は「8.糸井山神社」の冒頭にアップした写真があります。 8.糸井山神社 苫小牧の自宅から最も近く、ことあるたびに出かける小さな神社。開拓の頃から大事にされてきたようで、住宅地を見下ろす砦のような丘の上にあります。写真は雪のない12月頃のようで、この時期、広葉樹林は、とても明るい表情に変わります。神社の裏からは、木々の向こうに樽前山が望まれます。 9.豊川・山椒の丘 自宅のある豊川町の裏山。栗の木のほか、山椒の木が実に多いところです。昨年の暮れ、鎌をもって丘のてっぺんの藪を刈り払い、私設の展望台にしました。その折、展望台の頂上に枝を広げていたとげのある木がじつは山椒の大木だったのです。それでそれまでの仮称「希望の丘展望台」を取り下げ、山椒の丘と命名することにしました。林は所有者のよくわからない手入れのされていない民有林なのですが、散歩や道の刈り払いなどがほそぼそと行われています。身近なだけにもっときれいにしたい場所です。 10.有珠(うす)の沢 家から車で5分の民有地。雑木林の真ん中を、うねうね曲がりながら小川が流れて、苫小牧にきた30年以上前から好きな場所。水は樽前山の伏流で林の上流で湧いており、水汲みにいく市民がとても多いようです。この「有珠の沢川」はわき出してから海にたどり着くまでわずか4kmほど。 11.こもれびの道 自宅のある一帯がまだ湿地やじくじくした採草地だったころ(恐らく7,80年ほど前)、ヤチダモの防風林が作られ、やがて宅地にされるときに、防風林の半分が残され半分は道路になりました。その残された林にワインカラーの小径が20年ほど前に造られ、車の音が絶えないのに市民がよく歩きます。いわゆる林とはちょっと印象が違うのですが、数kmに及ぶ延長ゆえに、細長い林のように親しまれています。 |
フットパスの国際フォーラム 8/23 (土)曇り風強し21℃ & 24(日)雨、風強し 14℃ フットパスとのかかわりを振り返ってみると、気持ちのいい広葉樹林を作りながら、いつのまにかその林をくぐるフットパスを創り始めたのがわかる。ドイツのルーラルパスを見学しているうちに自然の成り行きだけどなんとなく本場英国のフットパスを歩くことにもなった。もちろん、北海道内にもいくつかの素晴らしいフットパスが出来て、うわさを聞けば行って見た。その中で、やはり、わたしの関心事は林が基本であり、心の癒やしのためであるという森づくり・道づくりのミッションはゆるがないでこれた。いわゆる田園を歩くフットパスとちょっとだけ違う。こんな風に目的を明確にして林の手入れを怠らないようにしているのは、まず苫東の雑木林がフットパス中の異例かもしれない。昨年から植苗の病院もそのお仲間として生まれた。 今回は格好のモデルを有するブナの里・黒松内で、そのフットパスのフォーラムが行われた。「国際」がつくのは、ウェールズのランブラーズ協会のマイク・ミルズ氏が基調講演をするからだ。ミルズさんの話は、平松紘さんや市村操一さんの著作で垣間見ている英国のフットパス事情をさらに臨場感ある色付けをふくめて伝えてくれた。 ミルズ氏は講演の中でわたしが注目したのは2点だった。ひとつは、人々がフットパスを歩くのはそこが魅力的に見えるからでありそう見せ続けるのが大事だ、と述べた点。歩いたチョボシナイコースは前半きれいな農地と川の間にある河川敷き(=そこは土地利用の狭間の藪のようなところでイタドリが繁茂する植生のニッチのよう)だった。それは植生が多様で成長力も旺盛な日本と北海道の特色であり、一見乱雑な光景であり、それを維持しようとする「手入れ」に実は押しつぶされそうになるのだが、ミルズさんには、その部分がどう見えたのか。魅力あるものに映ったか、と聞いた。二つ目は、訴訟の相手にもなる農家が、自分にプラスになることに気づき始めたという点。これは、自らファームインなどを手がけ始めたということか、そのほか具体はあるのか、など。その2点を聞いた。 ミルズさんはウェールズにも同じような場があり、十分魅力的に思う、と語った。かなり慎重に語る。美的ではないが、多様性は眼差しによっては魅力的だ、という程度に受け取った。ランブラーズ協会とは法廷闘争の相手にもなる農家だが、今はファームパークなどを展開する農家も増えたらしい。ファームパークはフットパスのウォーカーをターゲットにしているらしい。 教育長とはフォーラムの間中、片方の耳でさまざまな意見交換をしながら、片方でスピーカーの声を聞くという形に相成った。小さなひそひそ話しのつもりだったが、まわりは少し迷惑をしたかもしれない。が、わたしらはかなり密度の濃い意見交換をファーラムのさなかに交わすことが出来た。地域振興は教育から、みたいな黒松内だから、こういったフォーラムがよく似合う。北海道のエコツアーをリードするグループの代表はここに移住したし、フライフィッシャーが憧れるバンブーロッド・ビルダーの村田氏もここに10年近く前移住したのだった。 巨大なビニールハウスで行われた懇親会の後半、わたしはミルズさんに英国のコミュニティ・フォレストの話を切り出した。騒音と語学力のなさでそうそう意思疎通は出来なかったのだけど、COED MARROS という団体を調べるとヒントがあると思う、という情報にたどり着いた。2次会もちょっとミルズさんの話を聞いた。もう酔っていたのでメロメロだったが、彼は二次会に出されたサッポロ黒ラベルの瓶ビールを、クリーミーだと絶賛し、「これはMY BEER」と独り占めするようなポーズを見せた。 ホテルで相部屋になったFさんは大学の2年先輩であった。ほか、色々な知り合いの方々と旧交を温め、新しい方々と知り合いになれた。またフットパスを歩きながら大勢の方と話が出来た。24日はあいにくの風雨だった。窓からの景色は気持ちがめげるほど、白樺の枝がなびいていた。ウォーキング不参加グループはロビーの奥でやや決まり悪そうに出発前の数十分をやり過ごした。 |
ヨタカの躯(むくろ) H20/08/10 SUN
25℃ 晴れ 小屋についてすぐ、ベランダに鳥の躯を発見。獲物を追って小屋にぶつかったのだろうか。角スコップで移動させようとしたら、腹部には大小のウジが湧いており腐臭もする。顔をみると、タカではない。しかし、どこか初めて見る鳥だ。わたしはヨタカと直感。そこへ、精神科医の瀧澤先生が突然やってきた。図鑑を見せて、 「ヨタカだと思うんですよ」 丁寧にホダギのそばに埋めた。その際に、尾羽と胸毛を数本抜き取って、週末、一緒にフライをする予定の川仙人さんへ進呈することにした。ヨタカの羽をフライの材料にできるなんて滅多にない。前回はシマフクロウの羽を進呈した。 瀧澤さんとはベランダで、そのまま1時前まで話しこんだ。コミュニティ・フォレストのこと、国内の森林療法やセラピーのこと、そして瀧澤さんやわたしのおのおのの関わりの部分。思いがけないほど、お互いにそれらの流れからそれていて林と人のこころ、それがどうすれば繋がりを感じることができるのか、という一点をフォーカスしている。特にわたしは人々がどうすれば身近なマイフォレストをもてるのか、に今最も興味がある。講師など依頼された折、この頃のわたしは森づくりであれば「もっとふさわしい人がいらっしゃる」とお断りし、森林療法関係の話があれば「自分は医療関係者ではないから」とお断りするようになった。林と人のこころの原点のところに照射する話以外、わたしはする必要がない、と考えるようになったのである。独りで林と付き合う実験は終わりそうにない。 瀧澤さんとは興味ある話がつづく。所用で2時間弱ほど出かけられた間に、わたしは小屋の周りと林道の一部を刈った。この頃、ブッシュカッターのトルクが下がるのだが、チョークを調整すると適度なところでトルクが盛り返すことがわかった。一安心だ。 作業後、本を読んでいるとそのまま寝入ってしまった。起き掛けに、瀧澤さんが、千歳の航空ショーで渋滞にはまり遅くなった言いながらと戻ってきた。また、ふたりで林とこころの話を始める。次第に林は「たそがれ」てきた。互いに斜め光線の林の写真を撮りあう。黄昏の林はいい。明日は本州で水垢離の体験だという。その行動力には脱帽する。修行の安全を祈って楽しい黄昏対話を終え散会。4時を過ぎていた。偶然の訪問に感謝。 眠りバナ、スズメバチが何度もやってきた。クワガタ、カミキリ、カナブン、林道のカラマツの下にはオオスジコガネが無数に。蝶ももちろん。そして、今日のヨタカとウジ、先週の緑ちゃん(アオダイショウ)。フットパスには赤、白、黄色のキノコがでている。ああ、魑魅魍魎。循環の真っ只中にわたしは生を得ている。合掌。 |
ハリギリの木漏れ日 今日もこの姿 股に息づくゴミシ? |
ヘビの「緑ちゃん」 晴れ H20.7.26 SAT 30℃ 満タンのガソリンをブッシュカッターに入れてから二時間弱でフットパスを一周して刈り払い。蚊はおらず、ただただ暑い。暑いはず、30℃だった。林道は草が厚いのか、ブッシュカッターのトルクが落ちてスピードがぐんと落ちた。ワイヤーカッターのワイヤーもちょっと長かったようだ。ひたすら早く小屋に戻りたかった。 ベランダで昼食。おいしいメンタイコを入れた手製のおにぎり。有明海の海苔がうまい。ボーッと見ていると、視界に飛ぶものが一杯入ってくる。各種の蝶、甲虫など面白いほどの昆虫、そして鳥の声。これが生き物の喜ぶ夏というやつか。ものすごい数の昆虫がひしめいている。 ブッシュカッターを片付けに階段を上ると、モハーっと40度近い。屋根の熱などが充満している。で、バーが屋根に引っかかってうまく置けない。いったんバーを下げて置きなおそうとすると、ダンボールの上に何か3層にたたまれたようなものがある。あれ、っと思いつつバーがぶつかるのと、あ、ヘビちゃんだと理解するのと同時だった。 ひゃー!たまげた。今年はベランダに居ない、と思っていたら、こんなところにいたの?さっき、下すときは気づかなかった。思えば、10年ほど前、小屋の薪にいつも寝そべっていたあのヘビちゃんだとすると、もう長い付き合いな訳ね。あのあと、小屋にはネズミが居なくなった。そして昨年は、ベランダの丸太で寝そべって動かなかった君。これからは「緑ちゃん」と呼ぼう。 |
NPOの本拠地&会場 鎧坂ミニ公園 英国のスタッフと通訳ジュディさん わたしたちのイメージ 早朝訪れた三島大社 トンネルの上のふれあいの園 おじさんらの工房 ビオトープのインレット 湧水を見る 園路 源兵衛川 川で遊ぶ インタビューの高校生 まだ研修は続いていたが… |
グランドワーク三島の訪問 7月20日から21日(日、月) 約30℃? 三島湧水で有名な静岡県の三島市を訪れた。日本グランドワーク協会とグランドワーク三島が主催する「日英グランドワーク技術交流研修会」に参加するため。ほそぼそと続ける当方のスピリチャルな林の手入れは、大所帯のワークショップとはあまり関連はないが、運動論や伝播、コミュニケーションスキルなどは興味がある。2日間の見聞を雑木林便りにもメモをしておこう。 ■ワークショップと放置されたミニ公園 初日は、英国グランドワークのスタッフがランドスケープと、コミュニティでの取り組みの事例を紹介。それを受けて、放置された小さな公園「鎧坂ミニ公園」を見に行き、グループごとに問題点改善策などをあげてイメージを図化した。強みと弱み、可能性、恐れなどSWOTの観点から評価した。荒れた公園を心配してきた地元の方はとっても参考になる意見ばかりだと驚いていた。個人的に何か解決策が見えた、とおっしゃる。鎧坂公園は東海道(国道1号)に面した数10坪の縦長の狭隘地で、かつて管理の中心になっていた方が亡くなって荒れてしまった失敗地。それをどうするかをまた合意形成で再生していこうと言うものである。可能性は十分、工夫次第で蘇ると直感した。わたしなら、市民として積極的にしたい。夜は自己紹介と懇親会。 ■視察@ 住民管理の緑地「みどり野ふれあいの園」 21日は10時から緑地などを巡った。案内はNPOの渡辺豊博事務局長、小松幸子理事。最初は、宅地開発で発生した換地を住民サイドが中心になり合意形成をはかりながら管理してきた「みどり野ふれあい園」。道路のトンネル予定地の真上で、富士山が見える170坪のがけの上。サツマイモなどの菜園、園芸の草花、水場、果樹などがあり、わたしの目から見れば手入れレベルは必ずしも良くはない。しかし、この広さをわずかな人数で管理すれば、草取りに追われるのは目に見えている。前日、挨拶したこの園の管理担当の年配の方は、「いろいろなデザインをご提案いただくのは結構だが、メンテひとつでも実はかなりの労力だ」と、管理の手間を無視したような発言に苦言を呈したい気持ちが覗いた。これは日々経験済みだから良くわかる。畑や芝や緑を快適にしておくのは日々のこととしてとても手間が掛かる。暇な高齢者に任せてしまう関係者の傾向もしのばれる。 ■視察地A ビオトープ(三島南高校) 炎天下、三島南高校のビオトープの現場を訪問。6匹のニホンメダカを放流し、翌年2万匹に増えそれを3000匹にした池。増えたニホンメダカは里子に出して各地で育てられているという。見えているビオトープゾーンは70坪程度だが、池を作るための粘土の置き換えなどで、作業範囲はずっと大きかったというから、下ごしらえの大変さがわかる。特に、井戸水を供給する際に鉄分が入って当初池は茶色になったらしい。この対策に関係者で時間をかけて智慧をしぼり、シュロのフィルターと階段工による流れづくりで解決できた。蒸散による温度低下などで池の温度は高温にならずに推移しているという。井戸水に手を入れてみると、池の水とは7,8度の温度差があったから、そのバランスなのだろうと思う。蒸散が絡むと池は自らホメオスタシスを実践するようにバランスすのだろうか。関心のあるところだ。小さな池であるが、メダカの魚体は良く見え、トンボも数種類確認できた。グランドワーク福岡の大谷事務局長によれば、福岡では作った池に蛇が居ついて近所が嫌がったという。 ビオトープは、20年ほど前、ドイツから日本に上陸したが、当初は近自然河川工法とともにセットでやってきたと記憶する。コンクリートブロックの護岸が生物多様性に全く配慮なされてこなかった反省から、石を使った空隙の多い、あるいは小動物が行き来しやすい生物の生息空間を確保して行く運動でもあった。司法の町カールスルーエは当時、このビオトープで有名で日本からの視察も多かったと聞く。たくさんの事例の画像も見た。わたしも南ドイツで近自然河川工法の川を実際に見たが、外見からはまったくの自然河川のように落ち着いていた。その概念が環境教育のビオトープモデルとして日本の各地で展開されている。何となく理科の先生が熱心にリードする構図をイメージしていたが、必ずしもそうではなく、福岡の大谷さんはNPOが働きかけてようやくスタートしたといっていた。 ■視察地B 境川・清住緑地 静岡県の土木事務所からの要請をうけ、グランドワーク三島がワークショップを開催し、住民のアイデアを取り込んだプランを練り再生されたエコロジカル空間。数箇所で湧水が見られ、バイカモが生育する大小数本の流れがある。人が寄り付けない湿地帯であったらしく、ヨシの間の樹木はヤチハンノキが多かった。カワセミ、ヤマセミが生息し、逃げ込める十分な茂みがあるので、鳥類、昆虫の生息地としてはかなりグレードが高そうである。1ヘクタールのこの緑地は、市の中心部の楽寿園7ヘクタールとほぼ同じ種類の鳥が観察されるという。この辺から、かつて、三島がグランドワークを立ち上げた頃のイメージが髣髴としてくる。視察ルートとしてクライマックスを後半に寄せているという印象。 ■視察地C 源兵衛川 三島のグランドワークで最も有名な河川再生「源兵衛川」。町の真ん中の、だれもが立ち入らないゴミ捨て場を市民と行政の協働で親水空間に生まれ変わった。デザインもよく、親子が大勢遊んでいて、護岸にただ佇んでいる家族も何組かいた。ああ、こんなのがあればいいなあ、と思わせる施設と仕掛けだ。この部分だけで補修費が約15億円、そのほかの市内の自然再生で25億円ほどが投入されているという。腐臭のするドブ川という表現を担当者はするが、基本的に水源が清流の資質をもっているのは何よりの強みである。もっとひどい停滞水のドブ川はよくある。茶碗やビール瓶のかけらなどを拾いこむことの難儀さは理解できる。町の環境再生の糸口を見つけ、その過程をいつくしみながら小さな達成感を味わって行く営みを想像させる。 終点近くで女子高校生の放送部らしい二人にインタビューされた。 高校生「この試みはあなたの街の参考になりますか?」 わたし「地域ごとに地域が持つ課題と素材が異なるので、即、役に立つというものはあまりないかもしれない。でも、デザインとか憧れのイメージの体験はどこかで参考になるものだし、何より約に立つのは、町の課題をこういった形で時間をかけて話し合い改善してきた人々が居る、ということはここを訪れ見た人に夢と勇気を与えると思う。」 このほか、いろいろなものを創るおじさんたちの工房も拝見した。建設会社の社長らが主力のようだが、その方々がNPOの力仕事と技を担っていること、そのことがもうひとつの生きがいになっていることなどがわかる。それらは全国各地の奉仕活動に励む人(おじさん、おばさん)に共通しているだろう。三島のように視察者の賞賛を浴び続けてきた組織なら、喜びは一塩であることが容易に想像でき、継続の力になっているはずだ。 ■事例発表 21日午後は、英国グランドワークのスタッフが最新動向を語り質疑。東京農工大の千賀教授が、落ちこぼれた高校生らをどのようにグランドワークの輪に入れて行くのか、これは非常に難しいのではないか、と聞いた。これはわたしも聞いてみたいことだった。答えは、困難は確かで成功も失敗もあること、また、最初のきっかけ作りは、遊んでいる彼らに話しかけたり、サッカーをやっている場にすっと入って一緒にやってみる、などだという。 国内のグランドワーク事例発表は福岡、鳥取、北海道の順で行われた。活動が15年に及び内容も多岐にわたる福岡は、環境改善、環境教育、国際交流などをスライドショーにして紹介。エコパートナーとっとりは、家庭の食用の廃油をバイオディーゼルの燃料に活用した取り組みを紹介。王子製紙の工場で培ったノウハウを地域で活用している好例である。当NPOは特に北海幹線用水路の植樹活動を、サクラの種取りから植樹までを、北海道世界遺産、北海幹線用水路の背景などとからめて簡単に説明した。その後は帰道の時刻が近づき退席した。 ************* 英国グランドワークのプレゼンでは、特にアダム・ホワイト氏の提案するplay scape が、従来の都市公園の再生、リフォーム時のデザインと進め方の提案だった。ほころびや破損を修理するような際に、大掛かりのリストラをしてしまうような場合、その場の持ち味を活かし、人々のアメニティも考慮しつつ合意を形成して行く方法として参考になる部分が多々あった。概念は思慮深くすでに整理されたうえで、個別のマターに対しては飽きさせずよどみなく自信をもって提言して行くプレゼンのスキルにも日本人にあまりないものが感じられる。 コミュニティ関連のサポートを語ったスタッフが言うように、ミッションの対象となる貧困地域というエリアの存在というのも、彼我の違いと受け止められる。BTCVにしろグランドワークにしろ、根底の部分で失業や NEETなどの社会問題、特に社会的弱者に対する支援という意図が明確だ。格差が画然としてあるという現状の前提も見える。そもそも、エンパワーという言葉そのものに「マイノリティー」を対象とする、という暗黙の合意があるとかつて聞いたことがある。 いずれにしろ、現実が抱える社会の課題を、環境であれ、生活であれ、雇用であれ、市民も行政も企業もパートナーとして手をつなぎ改善すべきものは改善していこうという概念と方法論はこれからの「社会関係資本」として北海道でも蓄積していきたいところである。 |
こういう地味な花も素敵だ 赤身を帯びたキノコ |
ヒヨドリバナ 7月19日(土)曇り 24℃ 雑木林の小屋には、何も作業はしないつもりで本だけ持ってきた。とはいえやっぱり大鎌をもってフットパスを歩いてみる。ヒヨドリバナが木漏れ日のなかで孤高の美しさをみせている。小径には、先々週あたりからキノコが出始め、今週は初茸のようなキノコが出ている。と何気なく文字を変換したが、ハツタケの語源は「初茸」のようにシーズン初めにお目にかかるからか。 林道をトラクターが刈り払っていったようだけで、刃が切れないのか、ひどいトラ刈りで、仕上がりが醜いことこの上ない。揚句、大事に刈り込んできた小屋の入り口のエッジも、無造作にトラ刈りにされて、がっかりした。手入れと機械作業の差は思ったよりひどい。 笹は十分伸びて昨年の枯れた笹は見えなくなった。 |
エントランスは神々しかった 林道の広大な水溜りには、 いつも小鳥が居る。池や湖 がわりだ。 |
今日も林道を刈る H20.7.13 SUN 晴れ 25℃ 土曜日は天候不順を理由に、ホームページ作りなどで自宅待機した。日曜日の今日は早々の涼しい時間に刈り払いを終えようと8時過ぎに家を出発。緑は濃くなって、雑草の伸びも早い。 |
育つ木を見る幸福 H20.7.10 THU 曇り 24℃程度 かつて25年間お世話になった職場に顔をだしました。 そこではたった一人のガーデナーとしての設計などもしていましたので、公園や沿道の並木や、社屋の周りなどの樹木のデザインと育成は懐かしい思い入ればかり。霧や火山灰で木が育ちにくいところなので小さく植えて大きく育てる工夫が要るのでした。 苗木や潅木状態からぐんぐん育っていく様は、圧巻で、これは草花にもちろん感じますが、長時間樹木に関わる人にだけもらえる特別な視線かもしれません。 「おれはこの地に根づいたからね」 10年ほど前から樹木たちはそんなメッセージを出しています。そんな、ひとつひとつの育ちぶりに感嘆しながらこちらからもしばしあいさつをします。顔がみえるからです。 (地域SNS「どっとねっと」のブログに掲載) |
山椒の葉 実 実 |
快適な夏に山椒 H20.7.6 SUNうす曇時々薄日 28℃ 昨日は、自宅の裏山が実は山椒の群生する雑木林であることを発見、展望台の名前を「希望が丘」から「山椒の丘展望台」に変更したことを、午後からの博物館大学講座(約100人)のまえで早速報告した。丘の頂上(=展望台)の大木になった実を、鳥が運んだのだと思う。群生しているのだ。今日は、苫東に行く前に、丘の上にもう一度出かけて、山椒の実を採った。佃煮にするのだ。(下*に、山椒の醤油にメモ) 小屋は28度になっていた。鎌をもって逆周りにフットパスを一周。手仕事をしながらだと40分もかかる。ほとんど蚊もいない、しかしちょっとだけ風のある気持ちのいい初夏の林である。草が伸びておらず刈らなくても良い、という余裕。Tシャツ姿になって、あちこちで胸いっぱいに深呼吸する。瞑想テラスで気功の真似事をし、もういちど林道をぶらぶら。気が満ちてくるような気がする。 先週は「ホオ葉寿司」だったし、今週は「山椒の醤油煮」。なんだか、マイナーな、しかし、めっちゃメチャうまいものを創っている気がします。
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